2025年8月29日

伊勢型紙で描く美の世界

元浜町のこめかで、玉置さんの作品展

 着物染めの型紙として1000年以上の歴史を持つとされる「伊勢型紙」の技法を使い、絵画的表現を楽しんでいる大垣市の玉置廣さん(76)の作品展が元浜町の「コーヒー&ピザこめか」で開かれている。細やかな彫りが生み出す繊細な美の世界がさっそく来店者の目を引いている。

 伊勢型紙は、柿渋を塗った美濃和紙3枚を貼り合わせ、燻製と乾燥を繰り返して強度を高めた「渋紙」を使う。そこに細かい文様を彫り抜き、布地を染める際の型紙として用いてきた。紀伊半島を中心に職人技が伝承されてきたが、現在は染色にとどまらず、美術工芸作品としても注目を集めている。

 玉置さんが伊勢型紙に出会ったのは7年前。新聞に載ったカルチャー講座の紹介記事がきっかけだった。現役時代は印刷会社で製版を担当し、文字の切り貼りを手作業で行っていた経験もあり、細かい作業に抵抗はなかったという。それでも、線を一つひとつカッターで彫り抜く作業は気が遠くなるような緻密さを求められ、制作できる作品は年間10点ほどに限られる。

 こめかには、喜多川歌麿の美人画「ポッピンを吹く娘」や、アール・ヌーボーを代表する画家アルフォンス・ミュシャの「月桂樹」などを題材にした作品のほか、着物の古典模様をデザイン化したものなど計10点が並ぶ。

 「多色刷りの原画を一色で表現する難しさが張り合い。完成した時の美しさは、歌麿には悪いが原画よりこちらの方がいいと感じることもある」と玉置さんは笑う。

 さらに「伊勢型紙を知る人はほとんどいない。今回の展示を通して、1000年を超える歴史を持つこの技法の魅力を知ってもらえれば」と語る。展示は9月23日まで。

2025年8月27日

「湖岸を裸足で歩ける砂浜に」

米原市世継の小川さん、清掃毎日続ける

 「子どもの頃のように、裸足で湖岸を歩ける砂浜に戻したい」。そんな思いを胸に、米原市世継の小川光康さん(70)は、自宅前の琵琶湖の湖岸で毎日清掃を続けている。散歩やサイクリングを楽しむ人が腰を下ろせるベンチやテーブルの設置も計画しており、清掃関連機材を含めその購入資金をクラウドファンディング(CF)で募っている。

 小川さんの幼少期、遊び場は自宅近くの湖岸だった。流木や枝は当時も漂着したが、住民が風呂の焚き付けや薪として持ち帰り、自然にきれいな砂浜が保たれていた。「台風の後は、流木や枝の取り合いでした」と振り返る。

 しかし今は、流木に加えペットボトルや空き缶も打ち寄せ、ごみが目立つようになった。定年退職を機に「共に暮らしてきた琵琶湖に恩返しを」と清掃を始め、市や地域の活動にも積極的に参加してきた。

 2年ほど前に流木などのごみを取り除いたが、今年に入りまた散乱。そこで「本格的な環境整備活動が必要」と決意し、4月12日からは荒天以外のほぼ毎日、朝は午前5時ごろ、夕方は午後6時ごろから清掃に取り組み、流木の回収やごみ拾い、除草などに汗を流してきた。

 「空き缶や空き瓶は1日で30個は流れ着く。ライターも多い」と嘆くが、「最近はいつもありがとう、と声を掛けられることもあります。うれしいですね」と笑顔を見せる。

 活動を知った住民からも協力の声が届き、活動は少しずつ広がっている。「裸足で歩ける琵琶湖の会」も立ち上げた。

 琵琶湖に突き出た揚水場跡地には木が生い茂って荒れ放題だったが、小川さんの活動を知った県土木事務所が木々を伐採し重機で整地。広さは約200平方㍍で、琵琶湖の夕景を楽しめる絶好のビューポイントとなった。

 CFで募っているのは電動のこぎりや流木の粉砕機の購入資金で、これらを導入することで清掃活動をより効率化する。また、揚水場跡地にベンチやテーブルを置き、訪れる人たちが一息つける場所を整えたい考えだ。CFの目標額は50万円。返礼品には琵琶湖の風景のフォトカードや七夕いちご園のいちご、米原産のキヌヒカリ、鮒ずしなどを準備している。

 小川さんは「湖岸の環境は世継以外でも悪化しており、各地域で同じ課題を抱えていると思う。清掃のほか、湖岸の環境を整備する必要性も感じている。私たちの活動がほかの地域でのきっかけになればうれしい」と話している。

 詳細はCFサイト「キャンプファイヤー」(https://camp-fire.jp/projects/860395/view?list=search_result_projects_popular)。募集は9月10日まで。

2025年8月22日

インターハイ400㍍リレーで優勝

洛南高・北村選手が米原市長に報告

 米原市世継の北村仁一朗選手(17)=京都・洛南高3年=が全国高校総合体育大会(インターハイ)陸上競技大会の男子4×100㍍リレーで優勝、100㍍でも自己ベストを更新して入賞を果たした。19日に米原市役所を訪れ、角田航也市長に報告した。

 北村選手は双葉中1年から陸上競技を始め、洛南高でも陸上部に所属。高校1年の時には同校OBの桐生祥秀選手から「3年のインターハイの時にどれだけ記録を残せるかが大事」とアドバイスを受けたという。それ以降、「ほかの選手と同じ練習だと勝てない」との思いから、帰宅後に自宅前でトレーニングをしたり、休日に競技場で自主練習をしたりした。

 広島市内で開かれた今年のインターハイでは、7月26日の100㍍決勝で自己ベストの10秒38で7位入賞。翌日の4×100㍍リレー決勝では第一走を務め、大会新記録となる39秒49で金メダルを獲得した。

 金メダルを手に訪れた米原市役所で北村選手は「リレーでは高校新記録(39秒34)を狙っていたので悔しさがあるが、大会新記録なのでうれしかった。100㍍でも入賞でき、今後の陸上人生の糧になると思う」と笑顔を見せた。角田市長は「インターハイの記録は米原市民の一人としてとても喜ばしいこと。今後も大きな大会があるが、けがをしないよう練習し、ますます活躍されることを心から祈っている」と激励した。

 北村選手は今月30日の近畿陸上競技選手権大会や来月下旬のU20日本陸上競技選手権大会にも出場予定。今後の目標として「将来的には日本選手権の舞台で決勝にのぞみ、メダルを獲得できる選手になりたい。先輩の桐生選手は目標であり、超えたい選手」と意気込みを語った。

2025年8月18日

夫婦ホルンデュオ 「すいーと・ほーんズ」

ボランティアで出張演奏、「良かったよ」励みに

 勝町の伊藤誠一さん(60)・幸子さん(54)夫婦で活動するホルンデュオ「すいーと・ほーんズ」が湖北地域を中心にボランティア演奏に取り組んでいる。これまでに165カ所で演奏し、子どもから高齢者まで幅広い世代に音楽の魅力を発信している。

 誠一さんは中学・高校時代に吹奏楽部でホルンを演奏し、幸子さんも中学時代にホルンを経験。しばらく演奏から遠ざかっていたが、2015年に2人でユニットを結成し、18年からは地元の社会福祉協議会にボランティア登録。高齢者施設から保育園、地域イベントまで幅広い場で活動している。そのモットーは「ホルンの魅力を知ってもらい、演奏を通じて人に喜んでもらうこと」。

 最近ではギターやウクレレの演奏、歌唱も取り入れ、レパートリーは100曲以上にのぼる。9日には曳山博物館広場で開かれたイベントで「ドラゴンクエスト・ロトのテーマ」など約10曲を披露。会場に「ゲゲゲの鬼太郎」のコスプレをしたグループがいたことからアニメ主題歌を即興で演奏するなどして場を盛り上げた。

 ボランティア演奏のため無報酬で引き受け、必要なのは「場所と電源」のみ。音響機材はすべて持ち込み、200人規模の屋外イベントにも対応可能という。

 8月だけでも4回の出演があり、幸子さんは「喜んでもらえることが私たちの報酬。スケジュールが合えばどこへでも演奏に行きます」と語る。演奏後に寄せられる「良かったよ」という言葉が活動の喜びと励みになっている。

 音楽で地域に笑顔と元気を届けるホルンデュオ「すいーと・ほーんズ」。演奏依頼は長浜市社会福祉協議会℡(62)1804、米原市社会福祉協議会℡(54)3110へ。

2025年8月13日

ほっとできる場所「ほくほくこほく」

湖北地区の介護事業者らタッグ、毎月第3火曜、山本に開設

 湖北地区(旧湖北町内)の介護事業者が中心となってコミュニティづくりに取り組むプロジェクトチームを結成。毎月第3火曜に高齢者や子どもなど幅広い地域住民が集える場「ほくほくこほく」を湖北町山本に開設することになった。

 プロジェクトチームはれもん(湖北町山本)、真ごころ(湖北町今西)、まんてん小谷(湖北小谷郡上町)、ケアステーションかけはし(湖北町山本)、湖北真幸会(湖北町延勝寺)、リハビリデイサービス湖北(湖北町速水)の6者でつくり、長浜市や社会福祉協議会、湖北高月地域包括支援センターがサポートする。

 高齢者、子ども、障害者など幅広い住民が体操やゲーム、創作活動などを通じた交流を楽しんでもらう場をつくろうと、訪問看護ステーションれもん(湖北町山本)の隣にある「cafe学び舎」に開設する。

 4月のプレオープンでは椅子に座ったままできる体操や缶倒しゲームのほか、お茶やお菓子を楽しみながらの団らんタイムがあり、参加者が笑顔を弾けさせていた。

 第1回は今月19日午後1時半から。対象は湖北地区の住民。定員30人。参加費100円。「つながり、語らい、ほっとできる時間を一緒に過ごしませんか」と参加を呼びかけている。

 申し込みは湖北高月地域包括支援センター℡(85)5702へ。

2025年8月8日

長浜曳山まつりフォトコンテスト 入賞者決まる

金賞は「縁の下の力持ち」

 今春の長浜曳山まつりをテーマにしたフォトコンテストの入賞者が決まった。 実行委員会(漣泰寿会長)がインターネット上に設けた「長浜曳山まつりフォトサイト」で写真とコメントを募り373点の投稿があった。審査で金賞1点、銀賞5点、特賞7点、銅賞5点を選んだ。 最優秀の金賞には浦城一男さん(66)=名古屋市=の「縁の下の力持ち」が選ばれた。高砂山が演じた「義経千本桜」の一場面をとらえた作品で、「役者さんをクローズアップした訳でもない写真が金賞に選ばれるとは思いもよらないこと。役者さんを支える関係者のみなさんあっての曳山まつりだと思っております。背中しか写っていない皆さんのおかげでこの写真が撮れたのだと感謝しております」とコメントを寄せている。 特賞の滋賀夕刊新聞社賞には中嶋伸恵さん(44)=名古屋市=の「精悍なまなざし」が選ばれた。壽山の「仮名手本忠臣蔵」に出演した子ども役者の凛とした横顔を写し、「お化粧もとてもきれいなため、より目力を感じさせ魅力的です」とのメッセージを添えていた。 このほか、入賞者は次の皆さん。 ▽長浜市長賞=森篤志(米原市米原)▽曳山文化協会理事長賞=松伏祥吾(十里町)▽長浜観光協会長賞=辰巳順士(四ツ塚町)▽長浜商工会議所会頭賞=多喜信一(彦根市)▽長浜市教育長賞=遠藤秀隆(尊野町)▽特賞=こしだまほ(神奈川県逗子市)、辻正明(神前町)、鈴木邦生(横浜市)、重本美智子(名古屋市)、中立喜広(京都府亀岡市)、嶋津里美(高月町)▽銅賞=寺澤智恵(名古屋市)、箕田恵美子(野洲市)、福本一磨(平方町)、渡辺牧子(平方町)、小倉清典(南高田町)。

金賞 浦城一男さんの「縁の下の力持ち」

 

滋賀夕刊新聞社賞 中嶋伸恵さんの「精悍なまなざし」

2025年8月8日

思い出のヤンマー会館、写真で再会

高月まちセンで追憶展、内藤さん撮影

 ゴシック様式の尖塔をそびえさせ地域のランドマークとなっていた高月町東阿閉の「ヤンマー会館」(東阿閉公民館)。昨年、老朽化のため解体されたが、その姿をカメラで記録し続けた写真愛好家・内藤又一郎さん(72)=高月町西柳野=の写真スライド展が高月まちづくりセンターで行われている。 ヤンマー会館はヤンマーホールディングス(大阪市)の創業者で東阿閉出身の山岡孫吉氏(1888~1962)が1952年、私費を投じて建設・寄贈したもの。のどかな田園地帯にあって、高さ約30㍍の尖塔がそびえる会館は、多くの写真愛好家に被写体としても愛されてきた。 中学生時代からカメラを始め、湖北地域をフィールドに写真を撮り続けている内藤さん。日ごろから四季折々の会館の姿を撮影し、「朝日を後ろから受ける塔の姿が一番美しい」と語る。解体されることを知ってからは「自分にできることはこれしかない」とシャッターを切り続けた。 写真スライド展では解体が迫った2024年に撮影した写真を中心に「雪夜」「朱色の朝」「夏雲」「暁光と月灯り」「ダイヤモンドの輝き」などのタイトルで37点を紹介。季節や時間、角度によって表情を変えながら地域を彩った会館の姿を伝えている。また、写真リストではカメラの種類、レンズ、シャッタースピード、絞り、ISO感度を記載している。 内藤さんは「湖北にこんな素晴らしい光景があったことの証は、写真に確実に残せた。達成感と残念な気持ちと感謝の気持ちが入り乱れます」と追憶の言葉を寄せている。 写真スライド展は8月末まで。

2025年8月4日

世界の前衛アート、慶雲館に集う

国内外の芸術家11人、長浜滞在で創作・交流も

 長浜市に滞在するなどして制作した国内外の芸術家の前衛アート作品を紹介する美術展が慶雲館で開かれている。絵画や造形、空間芸術など約40点が並び、慶雲館はさながら現代アート美術館となっている。

 芸術家が一定期間滞在し、地域との交流や創作活動に取り組む「アーティスト・イン・レジデンス」と呼ばれる取り組みの一環で、宮部町の芸術家・西村のんきさん(68)が代表を務める「AT ARTS」が長浜国際芸術祭と銘打って企画した。現在、欧州の芸術家5人が西村さんのアトリエに滞在し創作活動に没頭したり、地域と交流したりしている。

 慶雲館で作品を展示しているのはイギリス、イタリア、スペイン、ウクライナと日本の芸術家11人の作品。日本の田園風景などを描いた作品をはじめ、仏像作品群、タペストリーや屏風の空間展示など、日ごろは長浜で鑑賞できる機会がない前衛アートの数々が並んでいる。土日には午前11時、午後2時からミニコンサートを開き、中国、カナダ、イギリス、ポーランドなどの音楽家が出演する。

 西村さんは「紛争が絶えない国際情勢だが、国を飛び越えてすばらしい作家たちが長浜に来ている。作品をご覧になっていただき、文化の違いに考えをめぐらせてほしい」と来場を呼びかけている。

 入場料は大人800円、小中学生400円。午前9時半から午後5時、20日まで。