2021年1月30日

金居原の暮らし、人々

長浜ローカルフォトが写真集発刊

 市民団体「長浜ローカルフォト」(田中香織代表)は木之本町金居原の人々の暮らしを紹介する写真集「金居原フォトブック」を発刊した。

 グループは市内の集落や地域にスポットを当て写真を撮影。発信を通してまちづくり活動をしている。金居原は少子高齢化が進み、伝統行事なども縮小・簡素化しながら何とか維持している状態で、メンバーたちは「これまでここに住む人だけが担ってきた『受け継ぐこと』を長浜ローカルフォトなりの形で補うことができれば」と考えた。

 写真集はメンバーがカメラ片手に集落内に入り、約1年間かけ、取材、撮影。オコナイなどの神事や仏事、地域の景観を守るため、草刈りや墓掃除に汗を流す人々、地元で採れる旬の食材を使った山菜料理やトチノキの巨木の群生林、村の安心を守る消防団の人たちや遺構「土倉鉱山」を語り継ぐ人たちなど、素朴な風景や生き生きとした村人の表情をカメラに収めている。

 写真集の発刊に合わせ、写真展「金居原の日々」を2月6日から14日まで、元浜町の湖北観光情報センターで開催する。田中代表は「冊子や展示を通じて、金居原の魅力を感じ、地域コミュニティの維持について改めて考える機会になってほしい」と話している。

 B5横、36ページ。50部限定で無料配布。問い合わせはながはま市民協働センター内事務局℡(65)6525へ。

2021年1月29日

コロナ禍こそ人材確保へ

湖北の18社、求職者とマッチング

 新型コロナウイルス感染症の拡大で企業の求人が減少する中、長浜地域雇用創造協議会は28日、北ビワコホテルグラツィエで地元の製造業18社と求職者をマッチングさせる就職面接会を開いた。

 長浜公共職業安定所によると、管内の有効求人倍率は2019年12月に1・34倍だったが、コロナ禍に伴う求人の減少で昨年6月には0・65倍へと低下した。11月にはやや持ち直したものの、製造業(フルタイム)は求職者394人に対して求人が190人で、有効求人倍率は0・48倍に落ち込んでいる。

 ただ、コロナ禍でも業績を伸ばしている事業所や、求職者が多い今の時期に人材確保に積極的な事業所があることから、マッチングの機会を設け、求職者48人が参加した。

 面接会では各事業所の人事担当者が順番にプレゼンを行い、「研修制度が充実している」「社員の健康管理に力を入れている」などと事業内容や社風などを紹介したうえで、「会社見学で雰囲気を確かめてほしい」「モノ作りが好きな人、手に職を付けたい方を求めています」と呼びかけていた。その後、各ブースに分かれて、人事担当者と求職者が面談。参加した事業所からは「今後の採用につながる出会いがあった」との声が聞かれた。

 面接会は昨年12月にも製造、建設、運輸業を対象に実施している。同協議会事務局の長浜ビジネスサポートセンターでは「今後もマッチングの場を設けてゆきたい」と話していた。

2021年1月26日

長浜音楽祭 今回はネットで

合唱・器楽15団体 動画を制作し

 長浜音楽祭実行委員会は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止となった昨秋の音楽祭に代わって、インターネット上に各団体の演奏や歌唱のようすを公開する「リモート音楽祭」を企画。24日から動画共有サイト「ユーチューブ」と、えきまちテラス長浜内のモニターで動画を披露したところ、「演奏者の表情が良くわかる」「工夫を凝らした動画が面白い」と好評だ。

 長浜音楽祭は毎年、湖北地域の合唱団や吹奏楽団など約30団体が一堂に集い、日ごろの練習の成果を発表している。2020年は11月14、15日に長浜文芸会館で開催する予定だったが、出演予定団体がコロナ禍で満足に練習できず、特に合唱や吹奏楽の団体は飛沫感染のリスクがあるとして活動自体を休止していたところもあり、従来のステージ発表型の音楽祭を中止。実行委員会では単に中止するのではなく、今後も継続して開催するために違う手法を模索し、動画制作に行き着いた。

 11、12月に市民交流センターで各団体の演奏の様子を撮影したほか、独自に撮影・編集した動画を持ち込む団体も。参加は15団体と例年に比べ半減したものの、替え歌でコロナ禍の克服を願ったり、県内各地を巡って撮影したりと、リモートならではの工夫を凝らした演出が見どころともなっている。

 動画は3つに分けて、それぞれ25分程度に編集している。長浜市民コーラスがえきまちテラスで開いたコンサートで披露した「宙船」で始まり、神照ヴィーナスエコーは市民交流センターで「やさしさに包まれたなら」などを歌い上げた。VOCEはバイオ亭長浜(奥村忠一さん)の「証城寺の狸囃子」の替え歌を、身振りを交えて歌い上げ、「負けるな負けるなコロナに負けるな マスクだ手洗いだソーシャルディスタンス」とメッセージを込めた。

 歌声サークル「みんぐる」は「陽気に行こう」を歌い、「喜びの朝もある 涙の夜もある 長い人生ならさあ陽気に行こう 陽気に行こうどんな時でも 陽気に行こう」と、コロナ禍の閉塞感を吹き飛ばそうとのエールがにじむ。

 よし笛アンサンブルマイレイカは昨年、サークル結成から10周年を迎えたのを記念して「琵琶湖周航の歌」の歌碑がある県内7カ所を巡って演奏したようすを動画で配信している。

 実行委員会事務局の長浜文化スポーツ振興事業団は「コロナに負けないとの意気込みが込められている。各団体の思いのこもった演奏を楽しんでください」と呼びかけている。

 動画は http://www.biwa.ne.jp/~bunspo/ongakusai/remote-ongakusai.htmlで視聴できる。

2021年1月25日

湖北の地酒「長農高育ち」

冨田酒造とのコラボ、ロングセラー

 長浜農業高校と冨田酒造(木之本町木之本)が14年前からコラボしている日本酒「長農高育ち」がロングセラーとなっている。

 同校食糧生産分野は酒米「吟吹雪」を栽培。名酒「七本槍」が人気の同社と提携し、2007年、「長農高育ち」を開発した。

 冨田泰伸社長によると、この酒はすっきりとした辛口で、米の味がしっかり出ており、キレがある。七本槍に比べ、力強く、素材の味を楽しむ刺身や焼き魚などに合うという。

 同校の小森恒夫教諭は「開発当時は高校生でも珍しい取り組みとして注目を浴びた。14年を経過した今でも『どこで購入できるのか』という問い合わせは絶えない。生徒たちが作った酒米を身近に感じてもらえれば」と話している。

 無濾過火入れ純米酒は720㍉㍑1500円、1升3000円(税別)。元浜町のかねなか酒店、さざなみ酒店と冨田酒造で計500本を販売。問い合わせは同酒造℡(82)2013へ。

熱意と技の結晶

 長浜農高の2、3年26人は今シーズン、吟吹雪を30㌃の水田で栽培。「環境こだわり農産物」として育て、水管理や肥料散布、除草などに気を配りながら、1等米180㌔を生産した。

 雨の日も学校が休みの日も田んぼで泥まみれになり、献身的に作業する生徒たち。「積極的に取り組んでいる姿を見て、びっくりした」(冨田社長)というほど。丹精込めて作られた酒米は大粒で米の芯(心白)が強い、酒造に適した素材となった。

 450年以上続く老舗の冨田酒造では長年の経験を生かし、普段、使用している酒米とは異なる吟吹雪の特徴を引き出し、今シーズンは2000㍑を醸造。すでに純米搾りたて生原酒は完売しており、今は純米酒のみとなっている。

 3年の笹木智徳君は「様々な品種の水稲栽培をしたが、その品種に応じた育て方をした。酒の評判は『まろやかで、くどくない』と聞いている。地域の方に僕らの作った酒を是非、飲んでほしい」と話している。

2021年1月21日

出店、起業、副業を応援

かわいいレンタルハウス「ヤドカリ」

 米原市井之口の国道365号線沿いにバウムクーヘンのような形の小さな建物がお目見えし、道行く人の目を引いている。

 この建物は隣接する洋服のセレクトショップ「イズント イット デザイン」のオーナー・田中秀典さん(47)が所有するレンタルハウス「ヤドカリ」。

 田中さんはスポーツ用品小売チェーン「ヒマラヤ」に勤務していたが、気軽に入れるセレクトショップを開業しようと、脱サラ。米原に移住し、2018年4月、伊吹山が一望できる現在地に店舗を構えた。

 店を訪れる人の中には「資金に余裕がないけど、店を出したい」「独立したい」という声やコロナ禍でマルシェやイベントが中止、延期され、「出店機会がほしい」という人もおり、店の隣の空いている土地にレンタルハウスを建築し、応援しようと考えた。

 建てたのは多賀町のものづくり会社「HIJ」が開発した小屋のような家「タイニーハウスWOW」。丸太を横にしたような円筒形で長さ約5・5㍍、幅1・7㍍、高さ2・1㍍。外壁は鋼板だが、内装は地域材を取り入れ、自然の風合いになっている。木質構造のため、商売や用途に合わせ、自由にレイアウトが変更でき、カフェやサロン、雑貨店のほか、テレワークスペースとしても活用できる。

 田中さんは短期間の貸し出しにより、周期的に業態を入れ替えながら、自店との連携を図り、地域を盛り上げたい、としている。オープンは2月11日ごろ。これまでに120件程度の問い合わせが来ているという。

 田中さんは「人通りの多い街中や有名な駅地下でなくても集客はできる。起業したい人や副業を考えている人にも使ってほしい」と話している。敷金は1000円。家賃は売り上げの10%。建物の見学可能。問い合わせはイズント イット デザイン℡(56)2283へ。

2021年1月19日

本と客のご縁結ぶ「御書印」

書店巡り収集、長浜の文泉堂も参加

 社寺を参拝した証の「御朱印」や、城を訪ねた記念に押す「御城印」の収集がブームとなる中、全国の書店のオリジナルのスタンプを集める「御書印」がじわりと人気を呼んでいる。県内では大宮町の文泉堂が参加し、店構えをデザインした御書印を押している。

 御書印は小学館と小学館パブリッシング・サービスが事務局を務める「書店と人を結ぶ」御書印プロジェクトの呼びかけで昨年3月にスタート。徐々に参加書店を増やし、現在は全国234店舗に広がっている。

 参加店で「御書印をください」と依頼し、200円を支払うと、書店のオリジナル印を含む3つの印と、店員が選んだフレーズやメッセージを記入してもらえる。また、御書印帖も配布している。

 文泉堂は「電子書籍やインターネット通販で書店に足を運ぶ機会が減っているが、書店巡りを楽しみ、本と出会うきっかけになれば」と当初からプロジェクトに参加。スタンプの絵柄は1849年創業当初のたたずまいを残す店構えをデザイン。また、手作りの消しゴムはんこで「文泉堂」と押している。そのうえで「本は心の糧」とのメッセージを大きく記している。

 吉田健治社長(41)は「昨年3月の開始以来、幅広い世代が訪れ、ほとんどが県外の客。御書印を集める目的で店を訪れ、そのまま長浜観光をしたり、来店して初めて御書印を知って集め始めたり、いろいろですね」と語る。御書印を押す際には観光マップを手渡して長浜の魅力を紹介するなど客とのコミュニケーションに努めている。

 また、吉田豊店主(68)は「探している本はインターネットで検索すれば手に入る時代だが、本屋には客と本の出会いをサポートし、本を紹介する役割がある。御書印は本と客をつなぐきっかけになる」と話している。

 なお、文泉堂では初めて御書印を集める客には御書印帖をプレゼントしている(数に限りあり)。

2021年1月16日

学徒出陣、文化人思想伝える

湖北町今西出身・熊谷氏の寄せ書き日の丸

 湖北町今西出身で長浜北高教諭を務めた熊谷直孝氏(故人)が学徒出陣のため早稲田大学の教授陣から集めた「寄せ書き日の丸」の励ましの言葉の中に、言語学者の金田一京助や作詞家の西條八十ら多くの著名人が見つかり、寄贈を受けた県平和祈念館(東近江市)が公開。当時の学徒出陣のようすを伝えると同時に、文化人らの戦時中の思想を知るうえで貴重な資料となっている。

 熊谷氏は早稲田大高等師範部(現・教育学部)の3回生だった1943年に出征することになり、当時の教授らに揮ごうを依頼し、41人分を集めた。寄せ書きの中には戦後の「象徴天皇制」を発案した政治学者の杉森孝次郎、軍国主義を主張した柳士廉(青柳篤恒)、万葉研究の窪田空穂、大正デモクラシーを代表する教育学者・稲毛金七らが壮行の言葉を記している。

 杉森は「皇風萬里」(天皇の良い政治が遠方まで広がる)、青柳は「任重通遠」(責任は重く道は遠い)、窪田は「好征」(よい出征)、稲毛は「人生は只一度や」と記し、金田一や西條は署名だけだった。

 早稲田大学百年史には田中穂積総長が多くの学生から求められ総長室で終日、筆をとっていたことが記されている。熊谷氏は生前、「寄せ書きは、早稲田の顔となる先生方に一筆を頼みに教授室を回りました。ちょうど女性が千人針を頼みに回る感覚ですね」と体験談を語っていた。

 学内では軍や政府の言論統制を受け、軍国主義・国粋主義を主張する教員が大きな力を持ち、積極的な発言を控える教員も。熊谷氏は体験談で「中には丁重に拒む先生もおられたが、それはそれで納得できました」と振り返っていた。

 寄せ書き日の丸は縦72㌢、横97㌢の布製。ビルマ(現・ミャンマー)の戦地から復員した本人が長く所持していたが、2009年に寄贈した。調査した同館の北原治専門員は「戦後、平和を唱えた多くの文化人も、戦時中は教え子の無事を祈って記した貴重な資料」と話している。

 寄せ書き日の丸は2月21日まで開催している企画展「戦争と教師たち」で展示されている。休館日は月・火曜。

2021年1月14日

ボロになるまで、機能的に

企画展、3地域の野良着にスポット

 浅井歴史民俗資料館で明治から昭和にかけ、地元に暮していた人々が着ていた「仕事着」にスポットを当てた企画展が開かれている。モノが無かった時代、暮らしの知恵を生かし、ボロ布になるまで使い果したり、機能性をアップしていった「野良着」の特徴や進化を紹介している。

 仕事着は野良着とも呼ばれ、季節や生活環境、野良仕事などに応じて、動きやすいように各家の女性が手作りしていた。時代の変遷とともに生活様式は変わり、既製品や洋服を着るようになるが、手仕事が減った農家では古着を利活用し、作業しやすいよう袖や丈を加工するなど工夫を凝らした。

 企画展では西浅井、余呉、上草野地域に残っていた仕事着や道具など20点を並べ、その時代や各地域の特徴を見比べることができる。

 西浅井で明治時代に作られた野良着は農作業時に着用。普段着としても大正時代まで使われていた。鯉の口のような形をした細長い筒袖で、田植えの際、袖まくりがしやすいよう短くなっている。展示品は110年間、4代にわたり地元の農家で受け継がれ、大切に保存されていた女物。弱くなった生地には当て布や刺し子がしてあり、穴の開いた部分は繕ってある。

 余呉で夏、山に柴刈りにゆく時、着た上衣が「シャックリ」。「サヤックリ」とも呼ばれ、名前の由来は「裂織」。横糸には使い古しのボロ布を再利用している。生地に厚みがあったため、柴を担いでも背中が痛くなかった。

 資料館は「古い仕事着を保管している家庭は極めて少なく、実物に接する機会もない。何とか今日まで保存してくださった人たちがいたおかげで、企画展が開催することができた」と話している。

 午前9時から午後5時、2月28日まで。入館料は一般300円。月曜、2月12日、24日休館。

◇   ◇

 あざい歴史の会は24日午後1時半から、浅井図書館で歴史講座を開く。

 県立大学の横田尚美准教授(生活デザイン科)が「滋賀県の仕事着」をテーマに話す。受講料一般500円。申し込みは浅井歴史民俗資料館℡(74)0101。

2021年1月12日

自分を成長させるチャンス

米原市の成人式、コロナ対策し、開催

 米原市の成人式が10日、ルッチプラザで開かれ、あでやかな振袖やスーツに身を包んだ新成人356人が晴れの舞台に臨んだ。

 式は新型コロナ対策として、2部制とし、プログラムの簡素化により、1時間に短縮。集合写真や式典後の交流会も取り止めた。

 山東・伊吹学区の178人が参加した第1部で、平尾道雄市長は「他の市町で中止、延期される中、大規模に縮小し、1人1人の感染予防に配慮し、開催にこぎつけた」と述べ「家族の皆さんに感謝の気持ちを込めて『ありがとう』の言葉を直接伝えてほしい。今日から名実ともに大人の仲間入り。大人になることは自立すること。自分の信じる道を歩んでほしい」とエールを送った。

 実行委員会(大野匠委員長・22人)の代表・脇坂源さんと川那辺龍舞さん(いずれも大東中出身)は「今の日本社会は新型コロナの影響もあり、不況が続き、若い私達にとって、とても厳しい環境の中にある。しかし、この厳しい環境は自分を成長させるチャンスだと思っている」「今まで自分を支えてくれた家族、友達、先生、地域の方々に感謝するともに、自分も誰かの支えとなり、助けていけるような社会人になれるよう日々精進したい」などと誓いの言葉を述べた。なお、式の出席率は81%で参加数、率とも前年を上回った。