2020年7月30日

笑顔が見える立体透明マスク

開伸が開発  飛沫ブロック  防曇加工も

 透明プラスチックケースの製造を手掛ける「開伸」(西上坂町、橋本久司社長)がPET樹脂を使った「透明成形マスク」を地元企業と共同開発し、9月の発売に向けて準備を進めている。

 透明成形マスクは同社が得意とするプラスチックシートの特殊加工技術を活用し、マスク製造のノウハウを持つ橋本クロス(南浜町)、プラスチック樹脂を取り扱うパンテック(大津市)の協力を得て開発した。

 従来の不織布や布マスクの課題である夏場の暑さや呼吸のしにくさを解消するために、透明のPET樹脂を加工した立体構造としている。鼻から口元を覆う形状で、飛沫防止はもちろん、呼吸がしやすく熱がこもらないのが特徴。曇り止めの加工を施している。また、口元が見えることから笑顔などの表情が伝わりやすくなる効果も。現在、特許を出願中。

 新型コロナウイルスの影響で従来の化粧品用のパッケージ需要が激減するなど逆風にさらされる中、同社ではこれまでもフェイスシールドやパーテーションなど感染対策製品の開発に取り組んできた。今回の透明成形マスクも営業課長の戸島章裕さんら若手が「まったく新しい形のマスクを」と約3カ月かけて作り上げた。紙粘土で型を作ってはマスクを成型して試着するなど、昼夜、試行錯誤を繰り返して、完成にたどり着いた。

 戸島さんは「透明プラスチック加工のプロがこだわり、考え抜いた商品」と太鼓判を押し、レジや受付などの接客業、商談の席、教育現場など口元の動きによるコミュニケーションが必要となるシーンでの活用を期待している。透明成形マスクの問い合わせは開伸℡(68)0870へ。

クラウドファンディングも

 

 開伸では透明成形マスクの開発と製造にあたり、現在クラウドファンディング(CF)を実施中。支援金額に応じてマスクを送る。目標金額は100万円。CFサイト「READYFOR」では開発に至った思いや商品の特徴などを紹介している。

 

 

2020年7月27日

長浜産の和紅茶・烏龍茶試飲会、好評

 長浜産の和紅茶・烏龍茶の仕上がりを確かめる試飲会が26日、えきまちテラスで開かれ、約20人の参加者が、さわやかな風味を楽しんだ。

 主催した長浜市地域おこし協力隊の中山恵梨子さん(32)は昨年3月、「在来茶を活用したまちおこし」を任務に隊員に着任。今年5月、地元産の和紅茶と烏龍茶を作ることに成功した。

 緑茶、和紅茶、烏龍茶は同じ茶の木からとれ、発酵具合などにより、違いが現れる。中山さんは数多い市内産地の中から自分の舌で確かめた木之本町古橋の茶葉を用いて、製品化。参加者に飲み比べてもらい、その成果を確かめようと、試飲会を企画した。

 試飲会では中山さんが和紅茶、烏龍茶を開発した経緯などを説明した後、参加者が2つの茶葉が入ったポットに湯を注ぎ、香りや味覚を評価した。

 「和紅茶は風味があって、おいしい。烏龍茶は良い香り。飲みやすい」(湖北町在住、40代女性)、「和紅茶はアッサム紅茶のよう。烏龍茶は葉の水分を軽く飛ばしてしおれさせるがしっかりできている」(東近江市政所の製茶業・佐藤さなえさん)、「和紅茶は中国茶(青茶)のようで苦くない」(高月町高月、柴田麻衣子さん)、「子どもでも飲みやすい」(木之本町小山、久木真子・咲那さん親子)などと、いずれも好評。

 中山さんは今後、産休に入るが、来春から商品化や地域教育、生活文化の伝承に向けた取り組みを始める計画。「発酵具合を変えれば、もっとおいしくなる。来年以降も勉強して頑張ってゆきたい」と抱負を語っていた。

2020年7月22日

えきまちライブラリー誕生

企画第1弾は「勝手にゴツボ×リュウジ祭!」

 えきまちテラス長浜1階のエンガワ・スペース(旧マルシェ内)の一角に、長浜ゆかりの本などを紹介する「えきまちライブラリー」が誕生。第1弾として22日から長浜市出身の漫画家ゴツボ×リュウジさんらの作品を紹介する「勝手にゴツボ×リュウジ祭!」が始まった。

 ゴツボさんは脱力系サッカーマンガ「ササメケ」や最新作の「異世界落語」などで知られる。「ササメケ」は滋賀県立竹生島高校でイタリア帰りの主人公・長浜楽市が繰り広げる青春ストーリーで、舞台や登場人物の名前からはゴツボさんの郷土愛がうかがえる。

 ライブラリーでは、ゴツボさんと、同じく漫画家として活躍する妻のゴツボナオさん、弟のゴツボ☆マサルさんの作品計45冊、「風の谷のナウシカ」(宮崎駿)や「AKIRA」(大友克洋)などゴツボさんのおススメ漫画65冊を並べ、自由に閲覧できる。

 えきまちライブラリーは本を通した交流が生まれるコミュニティスペースを目指し、木之本町大音の出版社「能美舎」(堀江昌史代表)が運営。堀江さんは「本を持ち寄って語り合える場を作りたくて、まずは企画展を始めることになった」「『長浜人の本棚』として定期的に長浜ゆかりの人のおススメ本を紹介できれば」と構想を語っている。

 第1弾を企画するにあたって、単にゴツボさんの作品を展示するだけでなく、インターネット上でフェイクニュースを扱った「虚構新聞」を配信し、ゴツボさんのファンでもある県内在住のUKさんに声をかけて2人の対談を実施。また、UKさんに漫画の書評を依頼し、対談のパネルとともに展示している。堀江さんは「虚構新聞はネット上で人気がある。情報を拡散してもらって、若い人にここを知ってもらいたい」と話している。

 勝手にゴツボ×リュウジ祭!は9月末まで開催。漫画は自由に手に取って読める。ゴツボさんのサイン入り新刊本を抽選で5人にプレゼントする企画もある。エンガワ・スペースの開放時間は午前11時から午後5時まで。火曜定休。

2020年7月18日

中川家住宅能舞台 国登録文化財に

地福寺町の住宅に併設  地域芸能の拠点

 地福寺町の個人宅にある昭和初期の能舞台が国の登録有形文化財に新たに登録されることが決まった。

 登録が決まったのは中川家住宅能舞台と土蔵。能舞台は東京の観世流で修業した中川清氏(1900〜84年)が1931年(昭和6)、自宅に併設した。木造平屋建て切妻造り。舞台の大きさは3間四方で、後部には地元の日本画家が松の絵を描いた鏡板がある。舞台の南と西は見所(観客席)となっている。舞台の床下には陶器製のが6カ所に据えられ、演者の足拍子の音が響きやすい構造。土蔵は明治期の建築で、能の道具の収蔵蔵として使用されてきた。

 能舞台を拠点に清氏と2代目の雅章氏(1930〜2016年)が能楽文化の継承と普及に努めた。また、湖北地域を代表する近代画人の加納凌雲、国友敬三もここで能楽に親しんだ。京都工芸繊維大学の日向進名誉教授(建築史学)は「地域芸能を支えた能舞台と収蔵蔵として、他に類例がなく、建築史上はもとより、地域芸能史上でも貴重な文化財」とコメント。

 近年、能舞台で能楽が演じられることはなく、最近になってクラシックコンサートの会場などとして利用されている。雅章さんの娘で、能舞台を管理する野上寛子さんは「登録を機に活用の機会が増えれば、舞台を造った祖父母にも、維持してきた両親にも喜んでもらえる」と話している。

2020年7月17日

あつまれ!どうぶつの城

18日から 長浜城歴史博物館で特別企画展

 長浜城歴史博物館は18日から、動物をテーマにした工芸や絵画などの作品を紹介する夏休み特別企画展「長浜城夏の動物園〜あつまれ!どうぶつの城」を催す。

 新型コロナウイルス感染症の影響で出かける機会の減った市民や観光客、夏休みを迎える子どもたちに、博物館で動物園気分を楽しんでもらおうと、収蔵品の中から選び出した動物に関する資料41件を展示する。

 江戸期、坂田郡宮川村(現在の長浜市宮司町)にあった宮川藩の6代目藩主・堀田正民(1791〜1838年)の「子連虎図」(縦157・7㌢、横97・7㌢、絹本著色)は中央に親子の虎を描いている。ただ、3頭の子虎のうち1頭はヒョウ柄。朝鮮で霊獣として信仰されていた虎は江戸時代の動物絵画の主要な画題だったが、当時の日本には虎がいなかったため、中国や朝鮮から輸入された虎の絵や、猫を参考に描かれたとされる。また、ヒョウが虎の雌と信じられていたこともあり、ヒョウ柄の子虎が描かれることとなった。

 長浜町神戸(現在の長浜市元浜町)生まれの画家・沢宏靭(1905〜82年)の「兎」(縦130・1㌢、横42・8㌢、絹本著色)はソラマメの花のそばで周囲をうかがう黒いウサギを描いている。ソラマメの淡い緑の葉と白い花に対し、黒色のウサギの存在感が際立つ作品。

 明治・大正期に長浜で活躍した名工・西川亮次の「木彫鯉置物」(全長48・5㌢)は今にも泳ぎ出しそうな躍動感ある作品。大正元年(1912)に農商務省商品陳列館に出品し、同省に買い上げられた。ち密に表現した鱗、長短2対の口ひげなど鯉の生体を見事に写し取っている。

 企画展のタイトルは今、人気のテレビゲーム「あつまれどうぶつの森」を意識して付け、子どもたちに企画展を楽しんでもらおうと展示資料の解説文は分かりやすい表現を心掛けているという。入館料は大人410円、小中学生200円(湖北地域は無料)。午前9時から午後5時、8月30日まで。

 8月1日午後1時半から展示説明会がある。

2020年7月15日

アニメキャラや動物、恐竜など4千点

元浜町に海洋堂フィギュアミュージアムオープン

 長浜市街地で進められている元浜町13番街区市街地再開発事業の中核施設の一つ、海洋堂フィギュアミュージアム黒壁が15日、リニューアルオープンした。

 世界的フィギュアメーカーの海洋堂が40年以上にわたって制作したアニメキャラクターや動物、恐竜などのフィギュア4000点を展示している。展示総数はリニューアル前の約2000点から倍増させた。展示室の入口では人気漫画・アニメ「北斗の拳」に登場する等身大のキャラクターが入館者を出迎えている。

 また、人気アニメ映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の公開を記念した特別展として、作品の名シーンを躍動感とともに精巧に再現したジオラマ約80点も展示している。

 海洋堂創業者で同館の館長を務める宮脇修さん(92)は「ジオラマは動きや物語性がある展示となっている。世界中の人に見に来てもらいたい」と話し、同館支配人の岡本宏一郎さん(52)は「長浜という素晴らしい場所に、素晴らしい施設ができた。いろんな方に楽しんでいただきたい」としている。リニューアル前の倍にあたる年間10万人の入場客を目指す。

 1階がショップ、2階が展示室。入館料は高校生以上900円、小中学生500円。午前10時から午後5時まで。不定休。

2020年7月9日

飲食店支援 714万円集まる

CFで「未来の食事券」 348人が協力

 新型コロナウイルスの影響で苦境にあえぐ湖北地域の飲食店を支えようと、クラウドファンディング(CF)で「未来の食事券」の購入を呼び掛けるプロジェクトが終了。支援金の総額は714万6500円にのぼった。

 プロジェクトは「BUY  LOCAL  BIWAKO  Area  N  #滋賀湖北の食を応援しよう!」。地元でフリーペーパー「WATCH」を発行する江畑政明さん(50)らが飲食店に呼びかけ、5月8日から6月30日まで実施した。

 参加する飲食店の中から好きな店を選んで、支援金額を選択すると、8月1日以降に店で使える食事券が発行される仕組みで、食事券をもらわずに支援するコースもある。当初は300万円を目標としていたが、支援が続々と寄せられて1カ月を待たずに達成。このため、「少しでも多くの店に支援を」と目標を500万円に再設定し、それも大きく上回る結果となった。計348人(地元企業41社含む)が支援し、食事券をもらわずに20万円を寄付する男性もいた。

 支援金からCFの決済手数料10%を差し引いた金額がプロジェクトに参加した53店舗に分配され、支援者には7月下旬までに食事券を発送する。

 CFで飲食店への支援金を募る取り組みは大津や東近江などでも行われているが、湖北の700万円超は他地域に比べ突出した金額。江畑さんは「地域の飲食店を応援する市民や企業の温かい気持ちを感じた。プロジェクトを代表して感謝申し上げます。これからも『3密』を避けながら地域の飲食店に足を運んでほしい」と話している。

2020年7月7日

布勢町の休耕田でハス見ごろ

3㌶に30種 ピンクや白の大輪

 布勢町の山裾の休耕田でハスがピンクや白の大輪を咲かせ、見ごろを迎えている。

 NPO法人つどい(川村美津子理事長)が水はけの悪さや獣害などを理由に放棄されていた休耕田約3㌶を借り、3年前から栽培。「あいのたにロータスプロジェクト」と銘打って、収穫したハスの花や葉を使った商品開発に取り組んでいる。

 ピンクや白、黄、赤の花を付ける約30種類を栽培。今年も6月中旬から大輪を咲かせ、優美な花と瑞々しい葉の対比が観賞者やカメラ愛好家を楽しませている。

 ハスの花は早朝に開花し、午後には閉じ、4日間かけて花を完全に広げる。同法人では開花初日か2日目の花を収穫して料亭などに卸しており、料理の器などに利用されているという。現在、マスクに吹き付けて使うハスの香りの「フローラルウォーター」も開発中で、ハスを活用した地域おこしに奮闘している。

 なお、ハスの花は1輪200円で同法人の事務所(常喜町)で販売中。問い合わせは同法人℡090(6969)3764へ。

 

ハスの花が復活 早崎ビオトープ

 早崎内湖ビオトープでもハスの花が見ごろを迎えている。

 同所では4年前、原因不明でハスが消滅したことがあったが、その後、徐々に数を増やしていた。

 現在、咲いているのは丁野木川の北側のエリア。きれいなピンクの花をつけているが、ここ数日の大雨に打たれ、花びらが垂れ下がっているものも。つぼみも多く、ここしばらくは花が楽しめそう。

2020年7月4日

技術継承へ親子で作業

住茂登で鮒ずしの漬け込み

 創業130年の歴史を持ち、「鮒ずし」を看板料理にする郷土料理店「住茂登」(大宮町)で鮒ずしの漬け込みが行われた。親子が力を合わせての3日がかりの作業を通して、郷土料理の技術を継承している。

 住茂登は1893年(明治26)の創業。漁師でもあった初代の藤林元次郎さん直伝の漬け方を守ってきた。現在は3代目・茂さん(71)と4代目・空也さん(31)が中心になって、家族総出で漬け込み作業を行っている。

 今年は7月1日から3日までの3日間、店を閉めて作業に集中。漁師から仕入れた天然のニゴロブナ約600匹を塩洗いし、干して水分をある程度落とした後、木桶にご飯と一緒に漬けてゆく。ご飯は有機栽培のコシヒカリ。量は2俵(120㌔)になり、炊飯だけで8時間かけた。

 塩洗い、干し方、フナへのご飯の詰め方、塩加減などは、茂さんが中学生の頃から祖父の元次郎さんを手伝って教わった方法だ。「鮒ずしを漬けて50年になるが、まだまだ分からんことが多い」と語る茂さん。漬け込み作業の際は元次郎さんの遺影を飾って「これでええかな」と語りかける。

 3日がかりの作業を終え、茂さんは「1年に1度の本漬けが終わると、やっと終わったという気持ちになる。祖父から教わった技術をしっかり継承したい」と語る。空也さんは「店の看板商品なので、一つの大きな節目となる。今の段階では出来上がりが分からないが、漬け終わるとちょっと安心しますね」と話していた。

 住茂登の鮒ずしは来年2月ごろから食べごろを迎えるという。

2020年7月2日

「鯖そうめん」MV 動画を公開

作曲家や歌手、ダンサーら28人が協力

 長浜ゆかりの作曲家や歌手、ダンサーらが郷土料理「鯖そうめん」をPRするミュージックビデオ(MV)を作成し、1日から動画配信サイト「You Tube」で公開している。著作権の制限を設けず、個人や団体、営利、非営利を問わずに幅広く使用してもらいたい考えで「動画を通してみんなで一緒に長浜を盛り上げよう」と呼びかけている。

 新型コロナウイルスの感染拡大で閉塞感に包まれる中、湖北町石川の作曲家・坂本真一さん(33)が長浜を拠点に活動するクリエイターや歌手、ダンサーらに呼びかけて「さば太郎プロジェクト」を結成し、総勢28人が協力して作り上げた。

 「今っぽい」サウンドの「さばそうめんのバラッド」(下記QRコード)は坂本さんが作曲。「さば〜、さばそ〜うめん♪」と「鯖そうめん」を連呼し、思わず口ずさみたくなる曲調に仕上がっており、坂本さんは「イベントのオープニングなどでこの曲を流して、盛り上げてもらえれば」と話している。

 伝統民謡調の「長濱さばそうめん音頭」は岡田健太郎さんが作詞・作曲し、民謡歌手・塚田陵子さんが歌い上げている。子ども歌舞伎、小鮎、賤ヶ岳など郷土を連想させるワードをちりばめ、MVでは地元のよさこいチームのメンバーが振付を披露。坂本さんは「盆踊りの際に、そのまま使ってもらえれば」と話している。

DVD付き商品も 長浜萬商が販売

 インスタント鯖そうめんを製造・販売する長浜萬商(6月15日、セイキン商事から社名変更)は7月中旬からMVを収録したDVD付きの「長濱つるつる焼鯖そうめん」を販売。税込み1080円で、長濱ええもんショップセイキン、えきまちテラス長浜、ココイロギフトマーケットで販売予定。