2022年5月30日

西田天香・杉本哲郎を顕彰

クラファン実施中 長浜ゆかり「2人の業績知って」

 長浜ゆかりの思想家・西田天香の生誕150年と、宗教画家で哲学者の杉本哲郎の生誕123年を記念した顕彰事業が8月から12月にかけて市街地で開かれるのを前に、顕彰事業実行委員会(月ヶ瀬義雄会長)はクラウドファンディングを通じて事業のPRと資金調達に取り組んでいる。

 天香は1872年(明治5)に長浜市の商家に生まれ、青年期には財界の後押しで地元の農家を率いて北海道に渡り開拓事業に従事。現地で出資者と労働者の対立に苦悩して失意のなか帰郷し、以来、争いのない生き方を求めた。長浜八幡宮近くの愛染堂にて三日三晩の断食坐禅で悟りを開いた。「無所有・奉仕」の生活を送り、京都に奉仕団体「一燈園」を創設。生前は多くの文化人、実業家に影響を与え、その精神は今も脈々と受け継がれている。旧長浜市の名誉市民第1号になっている。

 杉本哲郎は父親が長浜出身。京都画壇の重鎮・山元春挙に学び、インド・アジャンター壁画の模写など、古典に学んだ仏画をはじめ、さまざまな宗教を題材にした絵画を残している。第2次世界大戦末期の1945年(昭和20)には長浜に疎開し、湖北に多くの作品が残っている。閉館中の琵琶湖文化館には巨大壁画「舎利供養」が残され、県が移設を決めている。

 顕彰事業は、天香の生涯や長浜のまちづくり、哲郎の画業を専門家が紹介する連続講座(8〜10月)▽天香と哲郎の足跡を辿るゆかりの地見学会(10〜11月予定)▽長浜城歴史博物館や曳山博物館での展覧会(10月29日〜12月11日)▽シンポジウム(11月予定)—などを計画。実行委員会では「長浜ゆかりの偉大な2人の業績を多くの人々に知ってもらい、イベントを通じて長浜のまちを活性化したい」としている。

 クラウドファンディングでは展覧会の資料輸送費(300万円)、図録作成費(100万円)など総額500万円を目標に、6月30日まで資金を募っている。詳細は「キャンプファイヤー」のサイト(https://bit.ly/3alBQh7)で。問い合わせは実行委員会事務局の長浜城歴史博物館℡(63)4611へ。

2022年5月24日

人力車で日本一周途中の福浪さん

学びあいステーションに2カ月滞在

 兵庫県明石市の福浪弘和さん(35)が人力車を走らせて日本一周を目指す旅の途中、立ち寄った米原市近江学びあいステーションに2カ月近く滞在している。「いろんな出会いがあって毎日が楽しい」と話し、29日には米原市の道の駅伊吹の里・旬彩の森で人力車の乗車体験イベントを催す。

 福浪さんは地元で和食の料理人をしていたが、以前からの夢だった人力車で全国の県庁所在地を巡る旅に出るため退職。今年3月13日に明石市を出発し、24日に大津市に到着した。その模様を放映したテレビ番組を見た近江学びあいステーションの山田裕美館長(66)が、インスタグラムで福浪さんに「私の気持ちも一緒に旅に連れて行ってほしい」とのメッセージを送信。琵琶湖一周の途中だった福浪さんは山田館長と連絡を取り、3月27日に同ステーションに到着した。

 福浪さんによると当初は2日程度の滞在予定だったが、ステーションの利用者たちとの交流が楽しくそのまま滞在。4月22日に琵琶湖一周の旅に再出発したが、足の爪がはがれ、腫れもあった状況を知った山田館長や村田輝男理事長(69)の「戻って来たら」の言葉を受け、同ステーションを再訪問。現在まで滞在している。福浪さんは、げたを履いてのフルマラソンでギネス記録を持つほど普段からげたを愛用しているが、人力車での旅には足袋を使っているため、まだ足が慣れていないという。

 生活費は貯金を切り崩しているが1日1000円の出費と決めているため、同ステーションでの宿泊代は宿直を兼ねて無償。福浪さんは「皆さんには感謝している。露天風呂や焼いも作り体験などをさせてもらい、毎日が修学旅行みたいになっている。いい意味で進めなくなっている」と笑顔を見せていた。山田館長は「館内の整備や清掃もボランティアでしてもらっている。(福浪さんの)志をこれからも応援したい」と語っていた。

乗車体験イベント 旬彩の森で 29日

 29日の旬彩の森でのイベントは午前10時から午後3時まで。福浪さんはその後、再出発する予定だが「旅の目的は人との出会い。(乗車体験など)依頼があれば駆けつけ、多くの人に人力車に乗ってもらいたい」と話していた。今後は山科から奈良、和歌山を経て、太平洋沿いを進み、数年かけて日本を一周する予定。旅の様子は福浪さんのSNSで確認できる。

2022年5月20日

豊国神社に多国籍屋台村

梅本さんら企画  CFで資金募る

 豊国神社境内に多国籍料理の屋台を並べるプロジェクトを、化粧品会社経営・梅本博史さん(64)ら市民有志のグループが企画し、クラウドファンディング(CF)を通じて賛同者を募っている。

 梅本さんは今年2月の市長選に立候補し、選挙戦を通じて若者の一人から屋台で長浜を活性化したいとの夢を聞き、「何とか実現できないか」とプロジェクトを立ち上げた。手作りした屋台を準備し、そこで外国籍市民らに自国料理を提供してもらうことで、観光客や市民の賑わいを生みたい考え。

 屋台は無料で貸し出し、売上歩率を徴収することで、誰でも参加しやすい仕組みとする。梅本さんは「出店者のリスクは材料費だけ」と語る。

 屋台は7月下旬から毎週末オープンさせる。当初は市内に居住する外国籍市民による多国籍屋台とし、軌道に乗れば広く市民からも参加を募る。すでに市内の飲食店で自国料理を提供する外国籍市民ら複数が関心を示しているという。

 梅本さんは「豊国神社の屋台村に市民や観光客が集い、コミュニケーションをとれるような賑わいを生みたい」と話している。

 なお、CFでは設備費や人件費などに充てる資金として100万円を募っている。詳細は「キャンプファイヤー」(https://bit.ly/3LDIYm3)で。

2022年5月18日

70代4人 ビワイチ満喫

1泊2日で「来年も行きたい」

 自転車で琵琶湖を一周する「ビワイチ」。湖周道路のサイクリングコース整備や県の推進条例制定などもあって自転車愛好家からの人気が高まる中、長浜市内の70代の女性4人も年1回のビワイチを満喫している。

 宮部早苗さん(73)、松本久子さん(72)、田中千代子さん(73)、田中朱美さん(73)=いずれも三川町=は3年前から揃ってビワイチを楽しんでいる。

 元々自転車に乗ることが好きだった4人。いつしか揃って余呉湖や賤ヶ岳、醒ヶ井、彦根などへの日帰りサイクリングを楽しみ、2019年からは年に1回、ビワイチに挑戦している。

 今年は今月16、17日の1泊2日で挑戦。16日午前7時半に三川町を出発し、午後3時40分に大津市南小松のホテルに到着。17日は午前8時半にホテルを出発し、琵琶湖大橋を渡って午後5時半に三川公会堂へゴールした。全行程約150㌔を、平均時速17㌔程で駆け抜けた。

 「風もなく穏やかな天気でサイクリング日和でした」と話す4人。道中、対岸の湖西からの竹生島と伊吹山の眺めが普段と違って印象的で、琵琶湖大橋ではスピードの出る下り坂で風を切るのが楽しかったという。また、サイクリングコースの整備が進んで快適に走行でき、「来年もまた行きたくなった」と笑顔をはじけさせていた。

条例でビワイチ推進 今秋にはイベントも

 ビワイチは琵琶湖を反時計回りに1周する約200㌔のサイクリングコースで、走り慣れた人なら1日で走れる距離だが、観光や食事を楽しみながら2〜3日かけて走るのも魅力。1周完全走破だけでなく、琵琶湖大橋の北側(約150㌔)だけや南側(約50㌔)だけのコースもある。2019年に国指定の「ナショナルサイクルルート」となり、今年4月には県が推進条例を施行している。

 県の集計によると、2021年度の体験者数は8万4000人(速報値)。コロナ禍の影響で19年の10万9000人に比べると減ってはいるが、15年の5万2000人と比較すると、体験者が増加している。

 推進条例で制定された「ビワイチの日」(11月3日)と「ビワイチ週間」(11月3〜9日)に向け、県は老若男女が楽しめるサイクリングイベントを準備している。各地にエイドステーションを設置し、ふるさと観光大使でアーティストの西川貴教さんも参加。県を挙げてビワイチの魅力を県内外に発信する。

2022年5月12日

山久、湖北初プラチナくるみん認定

仕事と子育て両立支援で

 仕事と子育ての両立に取り組む企業を労働局が特別に認定する「プラチナくるみん」を、八幡中山町の機械工具販売「山久」(平山正樹社長)が湖北地域で初めて受けた。

 各都道府県の労働局は次世代育成支援対策推進法に基づいて、仕事と子育ての両立を支援する企業のうち、一定の水準を満たせば「くるみん認定」を交付。その中で、さらに高い水準で取り組んでいる企業に「プラチナくるみん」を認定している。

 認定を取得すれば、認定マークを利用して子育てサポート企業であることをPRでき、イメージ向上、優秀な人材の採用・定着が期待できる。県内では71社がくるみん認定を受けているが、プラチナくるみんは同社で6社目。湖北地域では初めてとなった。

 同社の社員は75人。2017年4月から21年6月末までの行動計画で、主に男性社員を想定して子どものための看護休暇を3人以上、育児休業を1人以上取得することや、育児をする社員へのキャリア形成支援、年次有給休暇の取得推進などを目標に掲げた。

 取り組みの成果として男性社員1人が約2週間の育児休暇を取得したほか、14人が看護休暇(有給)を利用した。また、育児休業を取得し復職した社員にヒアリングを行い、その実体験をもとにした若手社員向けの研修を実施。このほか、子どもが親の仕事に触れる「子ども参観日」も実施し、「家での雰囲気とは違ってかっこよかった」「自分の親がどんな人と働いているか分かってよかった」などの反応があった。

 同社では子育て中の社員が気兼ねなく休暇を取り、男性も積極的に育児に参加できるように、2年目以降持ち越せない有給休暇を充当した「子育て推進休暇制度」を制定するなどし、長浜市からも「子育て応援表彰」を受賞している。

 これまでプラチナくるみんの認定を受けたのは滋賀銀行や日本電気硝子など比較的規模が大きな企業で、山久は認定6社の中で最小。滋賀労働局は「小規模の企業は社員が休むと業務がまわらないとして休暇を取りづらい傾向にあるが、山久は社内の業務体制や制度を整えることで仕事と子育ての両立を支援している」と評価している。

 同社は「子育て中の社員が働きやすい職場づくりを築いてきた。このような認定を頂き大変嬉しい。さらなる飛躍を目指し努力したい」とコメントしている。

2022年5月12日

リーファ 活動に区切り

15日の10周年ライブを最後に

 湖北地域を拠点に活動する2人組音楽ユニット「〜Lefa〜(リーファ)」が15日に米原市の県立文産会館で開くライブを最後に、2人での活動を区切ることになった。

 リーファはボーカルの北川陽大さん(43)とギター・ピアノの河野弘行さん(38)の2人で2010年に活動を始め、12年にコロムビアからメジャーデビューした。これまでに「君の笑顔見たいから/琵琶湖周航の歌」やプロ野球・楽天の則本昂大投手の入場曲・応援歌「魂〜ユメノミチ〜」などシングル5枚、アルバム2枚をリリースしている。

 今年1月、木之本スティックホールでデビュー10周年ライブを開いたが、新型コロナウイルスのオミクロン株流行を受けて予約客の3割余りがキャンセルとなったことから、あらためて「10周年リベンジ」と銘打ってライブを開くことになった。

 このライブを機に2人はリーファとしての自主的なライブを休止し、それぞれが個別活動に専念するが、「解散はしない」としている。北川さんは「デビューから10年間活動できたのは故郷の長浜を拠点にしたからこそ。ファンの皆さんの支えをはじめ、地域の方々に活動の場を提供していただいた」と語っている。

 ライブには米原高校出身の同級生4人で結成する若手バンド「AVALANCHE(アバランチ)」も出演する。リーファが推す次世代のアーティストで、北川さんは「地域の皆さんにも将来ある若い子を応援してもらえれば」と話している。

 ライブは午後2時開演。チケットは前売2500円、当日3000円。

2022年5月9日

宮川さん着物の装いコンテストで1位

母の振り袖で晴れの表彰台に

 米原市米原西の宮川佳奈さん(24)が「全日本きもの装いコンテスト」世界大会(4月24日、東京)に出場。祖母が母にプレゼントした振り袖を装い、世代を超えて着物文化を伝えることの大切さをアピールし、女王、準女王に次ぐ1位に輝いた。

 コンテストは全日本きものコンサルタント協会の主催。振り袖、留め袖、カジュアルなど6部門あり、鏡を見ずに一人でいかに美しく装えるかを競う。

 宮川さんは4年前から松田陽子さん(49)=米原市上多良=の指導で着付けを学び、子ども向けの着物教室を手伝ったり、米原中学校で浴衣の着付けを教えたりしている。

 1月に奈良県で開かれたコンテスト関西大会の振り袖の部で2位に入賞し、世界大会への出場権を獲得した。各地区の代表28人が出場した世界大会では、祖母が母親の成人式のために購入した着物で臨み、スピーチでは次の世代に着物を伝えることの大切さを訴えた。

 宮川さんは「初めて母の振り袖に袖を通し、母も祖母も喜んでくれた。母の着物で表彰台に上がれて、すごく嬉しかった」と話し、母の典子さん(54)は「指導をしてくださった松田先生のおかげ」、祖母の久保川操さん(85)=木之本町木之本=は「嬉しいとしか言いようがない。着物が娘、孫へと受け継がれたのは幸せです」と喜んでいる。