2021年11月29日

城下町遺産 みんなで選んで!

今年10カ所選定 市民投票呼びかけ

 長浜市街地に残る歴史的風景などを「長浜城下町遺産」として選定する取り組みが始まった。長浜城下町まちづくり勉強会(渡辺浩之会長)が企画したもので、さざなみタウンで遺産候補のパネル展を開いて、市民の投票を呼びかけている。

 勉強会は近世城下町ふるさとまつりで「城下町トークライブ」や「城下町サミット」を開催している運営委員会交流会部会のメンバーが城下町についてより知見を深めようと2018年に結成し、会員10人が長浜城の築城以来450年の町の歴史について調査。その成果として長浜城下町の「日本遺産」認定を目指してきた。日本遺産認定が叶わなかったことから、市民自らが町の遺産を選定して保存活用を進めようと、「長浜城下町遺産」を新設した。

 毎年10カ所、5年間で計50カ所程度の選定を目指し、市内外に情報発信することで新しいまちづくりに生かしたい考え。初選定となる今年は▽秀吉遺産▽町屋遺産▽景観遺産▽産業・近代化遺産の4つのジャンルから候補25件をノミネートし、市民に投票を呼びかけている。最終的には市民の投票結果を参考に、勉強会、市、長浜観光協会、長浜地区地域づくり連合会、黒壁などで組織する選定委員会で10件を選び出す。

 27日からはさざなみタウンで候補25件のパネル展が始まり、写真とその歴史を紹介している。「長浜タワー」「長濱浪漫ビールと米川」など広く知られている観光スポットから、「慶雲館の力士像」「下郷共済会のガス灯」「朱印地境界石柱」「浄国寺の竜宮門」などややマニアックな場所まで幅広い。投票は展示会場に掲示のボードにシールを貼るか、城下町遺産のホームページ(https://nagahama.net/jyoukamachi/)にアクセスして投じる。展示は来月9日まで。ホームページでの投票は選定委員会の開催日(12月13日)の前日まで受け付ける。なお、12月7日に候補25カ所を巡る街歩きを催す。午後1時半にさざなみタウンに集合。申し込み不要。問い合わせは市歴史遺産課℡(65)6510へ。

2021年11月25日

伝統の「こだかみ茶」復活へ

長浜農高、無農薬「玄米茶」開発に挑戦

 木之本町古橋の名産「こだかみ茶」の復活を目指し、長浜農業高校の生徒たちが自家栽培の有機米を使った「ほうじ玄米茶」の開発をしている。

 こだかみ茶は国内流通量がわずか3%しかない在来種の一種。ほんのりとした香りとすっきりしたのどごしが楽しめる。無農薬・有機栽培にも取り組んでいるため、「昔ながらの味がする」と好評で、長浜市の第3セクター会社「ふるさと夢公社きのもと」は2016年11月、市民ボランティアの力を借り、茶所として有名だった己高山(こだかみやま)の一帯で亀山茶畑を再生。3年前から「こだかみ茶」を販売している。

 同校食糧生産分野の生徒たちは研究課題の一環として、伝統茶葉こだかみ茶の復活と普及に向けた活動を今年度から実施。校内では農薬・科学肥料を使わない「環境こだわり米」を栽培しており、この米をブレンドした玄米茶の開発を目指している。

 2、3年の生徒たちは現在、亀山茶畑の除草や茶木の剪定などに取り組んでおり、今後、玄米の煎り方や茶葉との配合具合を試しながら、来年3月までの完成、販売を目指している。

 担当の小森恒夫教諭は「茶、米とも無農薬栽培なのが特徴。シンプルな味に仕上げたい」と話している。

2021年11月24日

車いすバドでアジア大会へ

長浜北星高・河瀬さん「メダル目指す」

 長浜北星高校2年の河瀬優花さん(17)が車いすバドミントンの日本代表選出として12月2日から中東バーレーンで開かれるアジアユースパラに出場する。

 河瀬さんは両足に先天性の障害を抱える。母親のすすめで5歳ごろから水泳を始め、中学時代には水泳競技で全国大会にも出場。中学3年のとき、一時、打ち込んでいた車いすバドミントンを再開し、長浜北星高でもバドミントン部に所属して健常者と一緒にプレー。また、月1〜2回、草津市内で車いすバドミントンの練習に参加している。

 東京パラリンピックから正式競技に採用されたバドミントン。障害の重さによって6クラスに分類され、河瀬さんは車いすの「WH2クラス」が舞台となる。昨年12月に草津市内で開かれた日本選手権では同クラスで3位に入賞。今年4月には一般社団法人日本障がい者バドミントン連盟のアカデミー選手に選出され、将来有望な選手としてアジアユースパラの日本代表に選ばれた。

 アジアユースパラはアジアの23歳以下を対象に、バドミントンや卓球、陸上など9競技が行われ、各国を代表する800人が参加する見込み。河瀬さんはシングルスと男女混合のミックスダブルスの2種目に出場することが確定し、女子ダブルスにも出場する可能性があるという。「できるだけ緊張せずにプレーし、メダルを目指す」と抱負を語っている。

 また、今夏の東京パラリンピックの車いすバドミントンで金メダルを獲得した梶原大暉選手を目標とし、「自分も同じプレーができるようになり、パラリンピックでメダルを取りたい」と夢を膨らませている。

2021年11月22日

目指せロス五輪 フラッグフットボール体験会に25人

来年1月クラブチーム発足へ

 アメリカンフットボールを手軽にしたニュースポーツ「フラッグフットボール」の体験会が20日、長浜西中体育館で開かれ、小学生25人が親しんだ。主催の長浜フラッグフットボール協会は来年1月にも小学生のクラブチームを立ち上げ、長浜でのアメフト文化の再興を目指す。

 フラッグフットは5対5で行い、アメフトと同様に攻撃側と守備側に入れ替わり、パスを回して相手陣地のゴールゾーンまでボールを運ぶ競技。腰につけた布(フラッグ)を奪うとタックル成功とみなして相手の攻撃を阻止できる。どのような戦略で相手陣営を攻めるのかが試合運びを決める。判断力、コミュニケーション能力、体力を育むことができるとして、文科省の学習指導要領にも盛り込まれている。

 この日の体験会では子どもたちがパスやキャッチの練習で楕円形ボールに親しんだ後、試合形式で攻撃と守備に挑戦した。攻撃役は「すぐ振り向いてパス作戦」「すぐ中に入ってパス作戦」など、事前に戦略を話し合って5人それぞれが役割を確認。相手選手の背後に回り込んでパスを受けたり、守備をかわしながらボールを持って走ったりと、戦略性のあるゲームに汗を流していた。長浜小5年の太田聖丈君(10)は「初めてやったけど、走ったり、ボールをキャッチしたりするのが楽しい」と話していた。

 同協会は30〜40代のアメフト経験者7人で今年7月に結成。日本のアメフト発祥の地でありながら競技人口が減少しつつある長浜で再びアメフト文化の興隆を目指すとともに、子どもたちがスポーツを楽しめる環境づくりなどを目標にしている。会長の伊藤和真さん(42)は「2028年のロサンゼルス五輪ではフラッグフットが正式競技になる。アメフト発祥の地の長浜から五輪選手を送り出したい」と語り、クラブチーム発足後はアメリカへの遠征なども夢見ている。

 同協会に関する情報はホームページ(https://www.nagahama-flag.com/)で確認できる。

2021年11月18日

遊休施設で賑わいを創出

余呉まちづくり研究会  日向ぼっこプロジェクト始動

 地域を愛する人たちが集まった「余呉まちづくり研究会」は、賑わいを創出する「日向(ひなた)ぼっこプロジェクト」を展開。市の遊休施設を活用した拠点づくりを始めた。

 研究会は余呉を住みやすいまちにするため、2018年、余呉地域づくり協議会の下部組織として発足。地域への愛着と情熱を持つ人たちが中心となり活動している。

 目標実現に向け▽ふるさと絵屏風▽森林活用▽歴史遺産の保存活用など7つのプロジェクトを掲げており、うち「日向ぼっこプロジェクト」は余呉支所近くの遊休施設「生きがい農園(旧緑化センター)」の有効活用を模索している。

 同センターは旧余呉町時代の1998年に完成。敷地面積2567平方㍍の中にドーム状のガラス温室や作業所、栽培場などがあり、温室で栽培された草花は町民に配布され、作業所ではジェラートの販売、栽培場ではお年寄りの生きがいづくりとして、農作物が作られていた。

 利用者の高齢化や事業者の撤退などがあり、市町合併後、施設は市に移管されたものの、手入れが十分、行き届いておらず、市から協議会へ無償貸与されるまでの6年間はほぼ放置されたままだった。研究会ではこの遊休施設を住民や外部の人との交流ができる場所に活用しようと、現在、10人のメンバーが施設内外の整備・清掃をしている。

 28日午前11時半からは「余呉楽(よごたの)」と題して、施設のあり方を考えるイベントを企画。市民からアイデア、意見を募る寄せ書きコーナーのほか、珈琲焙煎体験、軽トラマルシェ、焼き鯖寿司、野菜、スイーツの販売などを予定している。

 代表の大澤剛人さんは「将来的には地域の情報を集めて発信できる町内外の人たちのコミュケーションの場にしたい」と話している。問い合わせは余呉地域づくり協議会℡(86)8126へ。

2021年11月16日

尾上菜を守り、特産品へ

産官学共同プロジェクト成果報告会

 産官学による長浜の伝統野菜「尾上菜」のブランド化プロジェクトの成果発表会が13日、小谷城スマートインターチェンジ栽培実験農場であり、研究を進めていた関係者が地元住民らに新品種の開発経過や栽培、利用法などを報告した。

 尾上菜は湖北町尾上で伝統的に栽培されてきたアブラナ科の野菜。漬物などで食されてきたが、他の植物と交配し、雑種化が進み、市場には出荷されていない。

 プロジェクトは長浜市、長浜バイオインキュベーションセンターら5者が連携し、交雑化していた尾上菜の系統を統一(F1ハイブリッド品種)し、種の安定供給と栽培技術を確立。レシピを提案することで市の特産品化を目標としている。

 この日の発表会ではバイオ大の蔡晃植学長(植物生理学)らが研究過程を説明した。バイオ大では採取した尾上菜の全DNAを解析した上、タイプの異なる6系統に分類。6年間かけ、後世に残すため、原種に近い種を確保した上、えぐみや葉に毛がない新種を開発。「おいしいから、しっかり供給すれば長浜の特産になる」と語った。

 バイオ大から供給された種を栽培していた長浜農高農業科の生徒たちは注意点として害虫対策をあげ、「長浜の代表的な伝統野菜になってほしい」と述べ、県調理短大の三上保彦校長は餃子の具材などに適していると説明。「尾上菜の歴史を加えることにより、さらに価値が高まる」と述べた。

 説明を受けた尾上の山本亨平さんは「安定的に供給されれば、幅広く応用でき、素晴らしいブランドになる」と話していた。

2021年11月12日

蔵を改修しアロマサロン

小谷丁野町に「マロウ」オープン

 小谷丁野町に蔵を改修したアロマサロン「Mallow(マロウ)」がオープン。落ち着いた雰囲気で癒される、と評判を呼んでいる。

 オーナーの木地美由(みゆき)さん(45)は以前、大津の薬膳料理店の店長やフェイシャルセラピストをしていたが、経験を生かして健康に関することに携わりたいと、4年前、アロマセラピスト、サロン開設資格を取得。小さなアパートの1室を借りて、営業していた。

 ところが、新型コロナウイルスが流行。利用者のほとんどが外出制限されていた介護士や看護師だったため、「3密」を避けられる新天地を求めた。昨年、「ながはま・こほく創業塾」の同期生、橋本慶昭さん(よし工務店)の紹介で、空き家の敷地内にある蔵を借りることに。

 目前に田園が広がる蔵は明治13年に建てられた約7坪。長年、使われていなかったため、床が抜け、薄暗かった。しかし、木地さんは一目見て「自分のやっていく場所」「やれる」「やってみたい」という意欲にあふれた。

 橋本さんのアイデアで随所に古材や古い建具を再利用。カウンセリングルームと施術室は無垢材や天窓の採用により、「非日常的な空間」に生まれ変わった。

 「自律神経を整えるアロマは若い人のためだけでなく、認知症や生活習慣病の予防にもなる」と話す木地さん。地域素材や人材を生かし、「長浜からアロマを発信したい」と意気込んでいる。主なメニューはアロマトリートメントフェイシャル(60分)5300円、よもぎハーブ蒸し(40分)3300円など。営業は午前9時半から午後8時。不定休。問い合わせはhttps://mallow-aroma.com/。

2021年11月11日

虎姫高校で100周年記念式典

質実剛健の精神、未来へ

 虎姫高校の創立100周年記念式典が7日、同校体育館で行われ、全校生徒や卒業生ら約700人が参加した。

 同校は1920年(大正9)に県立虎姫中学校として創設され、48年に虎姫高校に改称された。卒業生は2万人余りにのぼる。昨年、100周年を迎えたが、新型コロナウイルスの感染拡大により式典は1年延期となっていた。

 式典では同窓会組織「姉水(しすい)会」会長で記念事業実行委員長の大塚敬一郎氏が同校の国際バカロレア校認定を受けて奨学財団を立ち上げたことを紹介してグローバル人材の輩出に期待を寄せ、「(同校の校訓・校風である)質実剛健、独立自尊、方円自在は皆さんの今後の指針となる。それらを心に、この虎高を誇りに飛び立っていただきたい」と生徒に呼びかけた。

 梅本剛雄校長は、旧制中学校の校舎建築の際に台風で校舎が崩壊したことや戦後廃校の危機があった歴史を振り返り、「諸先輩や地域の方々はこうした困難を熱い思いで乗り越えてきた。皆さんもこうした事実を知ることであらためて諸先輩の尽力に感謝し、本校の伝統を大切に感じて欲しい」と述べた。

 式典は生徒主導で行われ、学校の魅力を漫才や映像で伝える企画などで会場を盛り上げた。生徒会長の齋藤甚聖さん(2年)は「100年という歴史と伝統に学び、これからの虎高の新しい道を探しつつ進んでいくことが我々在校生の進むべき道。先輩方のたどられた歴史に学び、方円自在、独立自尊の精神を引き継ぎ、虎高の質実剛健の校訓を大切に日々充実した学校生活を送っていきたい」と謝辞を述べた。

姉水会奨学財団を設立 未来担う人材育成、寄付募る

 「姉水会」は創立100周年を記念し、生徒の学びを支援する公益財団法人「姉水会奨学財団」を設立。国際バカロレア(IB)のプログラムを履修する生徒の海外留学費用や、経済的に困窮する生徒の修学資金を支給する給付型奨学金事業を始めた。

 公益財団法人を設置して奨学金事業を行うのは県内の県立高校として極めて先進的。

 奨学金事業は個人や法人からの寄付金を積み立てて運営する。奨学金は2種類あり、IB生を対象とした国際バカロレア奨学金は海外留学費用や資格取得試験の受験料、教材費などを支給する。修学奨学金は経済的理由で勉学の継続が困難な生徒に対して支給する。いずれも25万円を上限とする。年間で最大500万円規模を給付する。

 現在、姉水会では奨学金事業の原資5000万円に加え、記念式典や記念誌発行、セミナーハウスとして利用している姉水会館の建て替えに伴う設備充実の費用を合わせた計6000万円の寄付を募っている。これまでに法人、個人から2700万円余りが集まった。なお、公益財団法人への寄付金は税額控除の対象となる。問い合わせは虎姫高校内創立百周年記念事業受付窓口℡(73)3055へ。

2021年11月10日

どうなる?お産 ㉔-㉕

㉔地域医療[5] 楠井隆・長浜赤十字病院長に聞く2

 病院の産婦人科で分娩休止が相次ぐのは、女性医師の増加も一因と知った。働き盛りで出産・育児にさしかかるため、同僚に過度の負担がかかるという。

 2008年まで、女性は全国の産婦人科医の約3割だったが、20年に5割弱まで増えた。その半数近くは妊娠、育児中という。

 24時間365日対応の長浜赤十字病院にも、多くの女性医師がいる。

 楠井隆院長は言った。

 「医師の働き方改革の背景に女性医師の増加がある。時間外勤務削減や有給休暇取得率向上など数値目標にすり替えられることが多いが、根源はワーク・ライフ・バランスの話だ」

 現在、長浜日赤の女性医師は全体の3割弱。医師同士で家庭を持つケースも増えている。

 院長は、院内の働き方改革の一環として、「男性医師も家事を分担して」と職員に話している。

 たとえば、医師の早退。今は「学会活動」など公的な用事以外では認められない雰囲気があるが、今後は「家事があるから」も容認される文化を定着させたい、という。

 ただ、それは病院だけではだめで、社会全体に広がる必要がある。

 例えば医師が、ある患者の夫に「奥さんの診療方針の説明をしたい」と伝えたとする。ところが夫は「仕事があるので、午後5時以降でないと行けない」と言う。そのニーズに応じるためには、医師が残業しなければならなくなる。

 病院としては、夫の職場が「病院で説明を聞きたい」という家庭のニーズを受け入れ、夫を早く帰らせてほしい。

 「仕事が『公』で、家庭は『私』。今の社会では公が常に優先される。しかし、それでは社会全体の効率化は図れない」

 「共働きが当たり前の世の中で、男性も家事をする文化を作り、家庭のニーズは後回し、という既成概念を打破する必要がある。多様なニーズが平等に評価されることが働き方改革の本質だ」

 私は大きな感銘を受けた。父親が「熱が出た子を迎えに行きたい」と帰ることが容認される職場なら、母親だけが家の都合を優先させなくて済む。

 夜も子の世話を安心して任せることが出来る家庭なら、女性も適正な当直勤務をこなせるだろう。

 「育児中の女性は職場に負担がかかる」と捉えるのではなく、家庭の家事分担を進め「誰にも優先させたい『私』のニーズがある」ことを容認する職場環境を、社会全体が整えることが必要だと思った。

(10月15日掲載)

 

㉕地域医療[6] 長浜日赤・中島正敬産婦人科部長に聞く1 急な転院、受け入れに限界

 今年1月、市立長浜病院が4月以降の分娩中止を発表した。妊婦への説明も同じタイミングだった。

 「どこで産んだらいいですか」

 近くの長浜赤十字病院(長浜日赤)に、泣きながら電話をかけてくる妊婦がいたという。

 産婦人科の中島正敬部長は、「休止後に予定日を迎える妊婦については、もっと早く他施設へ紹介してほしかった。一番困るのは妊産婦だ」と話した。

 実は中島部長は2年前の2019年春、滋賀医大の村上節教授から「21年4月には市立長浜に派遣している医師を引き上げる」との方針を伝えられていた。

 長浜日赤はすぐ準備を始めた。市立長浜からあふれる妊婦を受け入れるため、産科病床の増設▽緊急帝王切開に対応できる分娩室の新設▽診療体制3診制から4診制に増やす、などを進めたという。

 ところが、市立長浜からはなかなか連絡が来なかった。正式に伝えられたのは、1年半もたった20年11月だった。

 「他病院に『いつ止めるのか』とは聞きづらく、本当に止めるのか分からないでいた。うちにも受け入れには限界がある。急に言われても対応できない」

 中島部長はそう話した。

 妊婦は、おおむね妊娠1カ月以内に最初に産科を受診する。予定日が4月以降なら、前年の6、7月には産科を訪れる。中島部長は「20年6、7月ごろに発表してほしかった」と言う。

 4月以降、市立長浜で出産予定だった妊婦は約50人。長浜日赤だけでは受け入れきれず、彦根市の施設などと調整して受け入れた。

 どうして、こうなってしまったのか。

 滋賀医大は19年、市立長浜に医師引き上げの方針を伝えた。働き方改革や病院の再編統合が主な理由で、長浜日赤に周産期医療を任せるということだった。

 が、市立長浜は産科を諦めなかった。19年には産科病棟の改修に着手。「市民病院として、分娩施設を手放すわけにはいかない」との意地があったという。

 ぎりぎりまで滋賀医大に再検討を求める一方で、京大などに打診するなど手を尽くしたがかなわず、1月の発表にいたった。

 一市民として、市立長浜の努力はありがたいと思う。でも、転院を強いられた妊婦の不安を思うと胸が苦しい。

 24年に向け、病院の集約化が進むという。路頭に迷う妊婦が出ないよう、県や病院は責任を持って調整して欲しい。

(11月10日掲載)

堀江昌史

2021年11月9日

北国街道にリモートワークの拠点

町家を改修「BIWAKO  PICNIC  BASE」誕生

 元浜町の北国街道沿いに江戸中期の町家を改修したリモートワーク拠点「BIWAKO PICNIC BASE」が8日オープンした。第3セクター「長浜まちづくり」が整備したもので、リモートワークやワーケーションの拠点などとして利用でき、大学のサテライトオフィスも設けることで、多彩な人材の交流を生み出したい考え。

 町家は木造2階建て延べ350平方㍍。江戸期には紙問屋を営んだ商家で、その後は個人宅として使用されていた。天井には中庭に向けた庇を支える天秤梁が3本通り、歴史の深みを感じさせる。

 1階には北国街道に面し中庭も見通せるフリーラウンジをはじめ、長浜バイオ大のサテライトオフィス、土蔵をそのまま活用した静寂性のあるミーティングスタジオがあり、キッチンも備えている。2階はオフィスルームなどがある。

 オフィスルームの利用料金は月10日まで利用できるライト会員(2拠点生活者、リフレッシュ利用向け)が月額5000円、年間を通じて利用できる個人会員(リモートワーカー向け)が月額1万6000円、法人会員が月額3万2000円から。

 長浜まちづくりは「地域住民や企業関係者、来街者、学生などさまざまな人がピクニックを楽しむように出会い、アイデアを交換し、新しいことにチャレンジするきっかけになるハブ(結節点)を目指したい」と話している。誰もが自由に利用できるフリーラウンジは午前8時半から午後6時まで。原則無休。問い合わせは同所℡(65)3935へ。

地場産業16社が集結 13、14日伝売日本市

 日本各地の地場産業の商品を集めた「伝売日本市」が13、14日、BIWAKO PICNIC BASEで開かれる。「日本各地の地場産業を、日本の隅々まで伝えたい」をコンセプトに、全国16事業者が出展する。織物、工芸雑貨、菓子、焼き物、地酒など幅広いジャンルの逸品が並ぶ。午前10時から午後4時まで(14日は同3時まで)。

2021年11月5日

職場体験 北ビワコホテルグラツィエが受け入れ

仏料理でテーブルマナー講習も

 新型コロナウイルス感染拡大に伴って各地の中学校で職場体験が中止されていることを受け、北ビワコホテルグラツィエではホテル内での複数の職種体験を提案している。4日には西浅井中2年生23人がテーブルマナー講習を受けた後、パティシエやバーテンダーの仕事を体験した。

 職場体験は中学2年生のキャリア教育の一環で、3〜5日間、地域の事業所で仕事を体験し、働く意義などを学ぶもの。コロナ禍で昨年度からほとんどの中学校で中止となっている。

 北ビワコホテルグラツィエではコロナ禍で各地の小中学校の修学旅行や校外学習が中止・延期となっていることから、長浜市内の観光や歴史学習にホテルでのテーブルマナー講習や職業体験を組み合わせたプログラムを作り、県内の学校に提案したところ、中学校から「職場体験の場として利用したい」とのリクエストがあった。

 4日、同ホテルを訪れた西浅井中生はフランス料理のフルコースを食べながらナイフやフォーク、ナプキンの使い方などテーブルマナーを学んだ。この後、ベルボーイ、バーテンダー、パティシエの仕事のほか、花嫁のヘアセット、客室清掃などを体験した。

 バーテンダー体験ではカシスなど4種類のリキュールを使ってノンアルコールカクテル作りに挑戦。ホテルのスタッフからシェイカーの振り方などを教わって、自分好みのカクテルを作り上げていた。

 パティシエ体験ではショートケーキを作った。シェフの手ほどきで、回転台にスポンジを載せてパレットナイフで生クリームを塗り、フルーツを盛り付けていた。小畑結愛さん(13)は「フルーツをバランスよく盛り付けるのが難しかったけど、意外に綺麗にできた。分かりやすく優しく教えてもらえて良かった」と話していた。

 「コロナ禍で多くの方にホテルを支えていただいた。地域社会への貢献のためにも、恩返ししたい」と語る同ホテルの塩田秀樹支配人。「職場体験を行えずに学校が苦労していると聞いた。ホテルならではの提案ができ、子どもたちのキャリア教育の一助になったのであれば嬉しい。今後も要望があれば受け入れてゆきたい」と話している。

2021年11月4日

長浜に移住女性8人 雑誌創刊へ

理想と現実、日常の気付き綴る 来年3月「サバイブユートピア」出版

 長浜市内に移り住んだ女性8人が移住の理想と現実、日常生活で気付いたことなどを綴る雑誌の創刊を目指している。

 市が募集した地域おこし協力隊に応募したり、結婚を機に移り住んだりと、8人の移住のきっかけはいろいろ。今年7月に山路酒造(木之本町木之本)での奈良漬け体験に参加した際、意気投合し、移住に関する情報を発信するため、仲間に声をかけて雑誌の創刊を目指すことに。8人が伊香地域を拠点に活動していることから、グループを「イカハッチンプロダクション」と命名した。

 メンバーはいずれも20〜30代の女性で、松浦すみれさん(ルポ&イラストレーター)、渡邉ゆかりさん(職人文化を発信する「仕立屋と職人」代表取締役)、MUTSUMIさん(ヨガ講師)、堀江昌史さん(出版社能美舎・丘峰喫茶店経営)、對馬佳菜子さん(観音ガール)、浅井千穂さん(写真家)、荒井恵梨子さん(カフェ「コマイテイ」店主)、船崎桜さん(地域おこし協力隊・ライター)。東京、埼玉、栃木、兵庫、大阪、京都など出身地はさまざまだ。

 創刊を計画している雑誌のタイトルは「サバイブユートピア」。移住にあたって自然豊かな湖北地域を「理想郷」(ユートピア)と思い描いて移り住み、現実とのギャップを感じながらもこの地で生き抜こう(サバイブ)との思いを込めている。湖北の暮らしを彩るイラスト、滋賀の漬物文化、仏像への思い、女性の体のケア、高齢化が進む小さな集落の日常など、8人それぞれの視点と表現方法で綴る。堀江さんは「生まれ育ったことのない場所で住み続けることは苦労もある。苦労している点、楽しめる点など私たちの生き様をリアルに伝え、移住希望者に読んでもらいたい内容にしたい」と話している。来年3月に1000冊を出版し、全国の書店で販売する。

 なお、イカハッチンプロダクションでは出版費用25万円を募るためスポンサーを募集中。企業は1口1万円〜、個人は1口5000円〜。雑誌にスポンサーの名前を掲載する(希望者のみ)。なお、6日に木之本町木之本の江北図書館前駐車場で開かれる古本市「いろはにほん箱」でも協力金を募る。問い合わせはイカハッチンプロダクション(ikahacchin.production@gmail.com)へ。

2021年11月2日

創立150周年 長浜小で記念式典

県内最古「歴史に誇りと自信を」

 創立150周年を迎えた長浜小学校(杉本義明校長、児童838人)で10月30日、記念式典が開かれた。記念事業では地元で400年以上受け継がれてきた長浜曳山まつりの子ども歌舞伎が披露され、児童、教員、保護者、地域住民が協力して150年の節目を祝う舞台をつくり上げた。

 同校は1871年(明治4)の創立で、県内で最初に開校した小学校。明治政府が学制を発布する前に、地元の実業家・浅見又蔵氏らが教育の必要性を説いていち早く創設し、これまでに2万人を超える卒業生を輩出している。

 体育館で行われた式典は新型コロナウイルス感染対策のため、6年生と来賓が出席し、1〜5年生は教室でライブ配信映像を通して参加した。

 杉本校長は「明治、大正、昭和、平成、令和と時代の変遷と共に歩んできた本校の教育は、激動する社会の流れに適応しながら幾多の苦難を乗り越えてきた」と語り、「この素晴らしい歴史のある長浜小学校で学べることに誇りと自信を持って下さい。校訓『開知』という言葉に込められた、地域の方々の願いに応え、社会に貢献できる人に成長して欲しい」と児童に呼びかけていた。

 この後、6年生153人全員が参加して子ども歌舞伎「ながしょう座」を上演。体育館の特設舞台で3つの演目を披露した。また、グラウンドでは全児童が参加して風船飛ばしがあり、それぞれが自身の将来の夢や、拾った人へのメッセージを記したカードを取り付け、一斉に青空に放っていた。夜にはグラウンドで花火の打ち上げがあり、この日の記念事業のフィナーレを飾った。

2021年10月26日

長浜のお庭文化を後世に

市民有志が書籍化へCFで資金募る

 長浜市内に残る個人宅の庭や名勝庭園などを調査しているグループ「ながはまのお庭プロジェクト」(山崎弘子代表)はこれまで発行した小冊子5冊を再編集し新たにインタビューなどを盛り込んだ書籍を販売することになり、クラウドファンディング(CF)で制作費用180万円を募っている。

 長浜市は茶人で造園家の小堀遠州(1579〜1647年)の出身地。遠州の手掛けた庭は市内にはないものの、遠州の作庭文化を受け継いだ辻宗範、勝元宗益(鈍穴)、布施宇吉(植吉)らが活躍した。長浜商人は豊かな経済力を背景に庭師を呼び寄せて競って庭を造らせ、今もその多くが当時の姿を変えず受け継がれている。

 2009年に京都大学の学生らが市街地で庭の調査を始めたのをきっかけに個人宅に古い庭が多く残ることが明らかになり、さらに調査を進めるため、大学教授や庭師、市民活動家、市職員ら有志でプロジェクトを結成。中心市街地に残る個人宅の庭の調査を進め、市町合併後は市全域を見て回り、約10年かけて約1000カ所を調べた。このうち、江戸、明治、大正時代に造られた庭を小冊子「ながはまのお庭」にまとめあげ、これまで5巻を発行した。また、庭を巡るツアーや講演会の開催などを通して、長浜に残る庭文化の発信、保存に取り組んできた。

 新しく書籍化を計画しているのは小冊子を再編集したもので、約100カ所の庭を紹介したうえで、所有者へのインタビュー、庭師による座談会のようすも収録する。タイトルは「市中の山居〜ながはまのお庭〜」(仮題)で、B5判98ページ。

 古い庭は今も隠れるように大切に受け継がれてきたものの、現代の住宅に似合わないとして取り壊されて駐車場になるなど少しずつ失われつつあり、同プロジェクトは「今、声を上げないと失われてしまう」と危機感を抱く。山崎代表は「埋もれていた長浜のお庭文化を調査・発見する機会をいただいた。住宅事情が変わり庭の存続が危ぶまれるが、世界に誇れる日本の庭文化が守られるきっかけとなれば」と話している。

 なお、CFでは寄付金額に応じて書籍や絵はがき、米、地酒などの返礼品を贈る。詳細はキャンプファイヤー(https://bit.ly/3mojy2m)へ。