2024年4月23日

ドローンで3Dモデル作成

法面工事の「大翔」、国交省のDX優秀賞に

 木之本町木之本の建設業「大翔」が優れたデジタル技術の活用事例を表彰する国土交通省の「インフラDX大賞」優秀賞に輝いた。23日、吉田隆義社長(63)ら3人が浅見宣義市長を表敬訪問し、受賞を報告した。

 同賞はインフラ分野において、デジタル技術を活用してプロセスの高度化、効率化などの改革につながる優れた実績をあげた取り組みを表彰するもので、2023年度は全国24社・団体が受賞した。

 土砂崩れを防止する法面保護工事を専門とする大翔は、ドローンを活用した高度な3次元測量技術を用いることで工事対象斜面を3Dモデル化し、デジタル空間で設計や施工をシミュレーションできるようにした。これにより、平面図では見えなかった土中での構造物同士の干渉などの「見える化」を実現している。

 この日は吉田社長、吉田翔太専務(33)、ICT事業部の荒上美夢部長(31)が浅見市長に同社の取り組みを説明。これまで職人が行っていた測量などの作業をドローンによる空撮で3Dモデル化することで設計、施工、管理の品質や安全性の向上、省力化による職人の施工現場への集中などが可能になったとした。ドローンで赤外線やレーザーを照射することで、木々に隠れた地表もち密に測量できるという。

 吉田専務は7年前に長浜市内で開かれた環境産業見本市「びわ湖環境ビジネスメッセ」でドローン技術に出会ったのを機に導入した。現在は荒上部長ら女性4人がDX部門を担当し、男性職人が多い業界にあって設計や管理を主導している。

 吉田社長は「以前は斜面を登って測量して数日かかっていた作業がドローンなら10分。3Dモデル化で職人しか理解できなかったことが、一目で分かるようになり、品質も安全も高まった」と語った。

 浅見市長は「男性の世界で、女性がドローンを飛ばして活躍しているのは素晴らしい。受賞は長浜市にとって誇りになる」などと賞賛していた。

2024年4月23日

今川町に子育て支援センター「のんびりぴよっこ」

家庭のような雰囲気で安心感を 5月開所、0〜3歳の未就園児向け

 ひよこ乳児保育園(小堀町)が今川町内で整備していた子育て支援センター「のんびりぴよっこ」が完成し、5月1日オープンする。0〜3歳の未就園児と保護者を対象にし、子育てに悩む保護者の支援を主眼に置いているのが特徴。

 センターは木造2階建て延べ194平方㍍。保育室、託児室、相談室、調理室、会議室などを設けている。定員は親子10組ほど。公立センターに比べると規模が小さく、家庭的な雰囲気とスタッフとの距離の近さが売り。「何でも話せる安心感や気安さをお子さんや保護者に感じてもらえれば」と話す。

 「育児に不安を感じている保護者が増えているのに、気軽に相談できる場所が少ない」と指摘するのはひよこ乳児保育園の狩野典子園長。「保育所を利用する保護者は、保育所が日々の育児の不安を吐き出す場、安心を得る場になっているが、地域では子どもと2人で閉塞的な環境で子育てする過酷な状態にある方も多くいる」とし、センターでは未就園の子どもを持つ保護者が落ち着き、安心できる場を目指す。

 保育園の保育士、看護師、栄養士を招いておもちゃ作り、離乳食作り、身体計測、ベビーマッサージなどの体験イベントの開催、カウンセラーによる個別子育て相談も計画している。開館日は平日の午前9時から正午、午後1時から4時まで。利用は無料。問い合わせはひよこ乳児保育園℡(63)8892へ。

寄付続々723万円 資材高騰で建設費1.5倍に

 センターの建設にあたっては資材などの高騰に伴って建設費が当初想定していた金額の約1.5倍となる6200万円に膨らみ、資金計画の見直しを余儀なくされた。このため、450万円を目標にクラウドファンディング(昨年11月20日〜今年1月31日実施)で協力を呼びかけたところ、130人から313万円の寄付があった。また、直接の寄付も410万円にのぼり、総額723万2000円の浄財が寄せられた。

 ひよこ乳児保育園は社会福祉法人ははのくに(立岡妙子理事長)が運営。40年前、預けられる保育園がなく困っている母親らのため立岡理事長が自宅で保育したのが始まりで、1984年に無認可の「ひよこ保育所」を設立し、後に法人化した。今回の寄付の呼びかけでは、過去に施設を利用していた保護者や子どもから温かなメッセージと共に浄財が次々と寄せられた。

 立岡理事長は20日に行われた開所式で「たくさんの方々からの支援のおかげで今日を迎えることができた。地域の子育てをされている皆さんのほっとできる場所になるよう、地域の方々の交流の場所としてここを活用していただけるよう、頑張っていきたい」などと話していた。

2024年4月22日

ヒキヤマン応援、よいさ!スーツとBGMを新調へCF

 長浜曳山まつりの魅力を発信しているご当地ヒーロー「ヒキヤマン」のスーツとヒーローショーに欠かせないBGMを新調するため、ヒキヤマンをプロデュースする竹中慎吾さん(36)=朝日町=がクラウドファンディング(CF)で資金を募っている。

 ヒキヤマンは曳山まつりの山組「萬歳楼」の若衆が企画した夜市の余興として2012年に誕生した。当初は全身タイツ姿だったが、翌年にテーマソング「よいさ!ヒキヤマン!」が誕生し、14年には現在のスーツが完成した。ショーはヒキヤマンが悪者と戦い、観客が「よいさ!よいさ!」の掛け声で応援する。地域イベントや校園の催しでヒーローショーを披露し、曳山まつりの楽しさを発信してきた。

 10年にわたる活動でスーツはボロボロ。また、ヒーローショーではアニメや特撮ヒーローの音源を使用しているため、著作権の面から動画をSNSで拡散することができないのが課題となっている。

 新しいスーツは現在のデザインをそのままに、より特撮ヒーローに近づけるため樹脂製へとグレードアップする。楽曲は「よいさ!ヒキヤマン!」を新たにレコーディングするほか、敵の登場や戦闘シーンなどのBGMを作成する。

 目標金額は300万円。返礼品には水墨画家・こうじょう雅之さんが描いたヒキヤマンをデザインしたTシャツ、ポストカード、タオル、CDなど。また、再録するヒキヤマンのテーマソング「よいさ!ヒキヤマン!」のレコーディングに「よいさ!」の掛け声で参加するプランも6人限定で用意している。詳細はCF(https://for-good.net/project/1000631)から。

 「人口減少が進む中で曳山まつりを続けてゆくには、まつりに関わりたいと思う人を増やす必要がある」と語る竹中さん。その「入り口」となりうるヒキヤマンはコロナ禍で出番が減った上、掛け声も自粛を余儀なくされてきたが、今年からは本格的な活動を再開させる。「クオリティを上げたショーを通じて、曳山まつりのファンを増やしたい」と話している。

2024年4月12日

長浜曳山まつり13日開幕

子ども歌舞伎、八幡宮に奉納へ

 ユネスコの無形文化遺産で、国の重要無形民俗文化財の長浜曳山まつりは13日未明の「起こし太鼓」で開幕を告げる。この日から16日にかけ子ども歌舞伎が披露される。

 八幡宮に子ども歌舞伎を奉納する今年の出番山は青海山、春日山、諫皷山、月宮殿。春休み返上で稽古を続けてきた子ども役者が曳山の舞台で熱演する。

 13日は朝から八幡宮で「御幣迎えの儀」があり、全13山組の御幣使らが御幣を受け取り、各山組の自町へ持ち帰る。御幣は曳山を動かす際に前柱に掲げる。午後1時から八幡宮で歌舞伎の奉納順を決める「籤取り式」がある。午後6時頃からは「十三日番」と呼ばれる子ども歌舞伎の上演があり、出番山の舞台で、化粧と衣装で飾った子ども役者が初めて歌舞伎を披露する。

 14日は午前中、地元で歌舞伎上演があり、午後からは曳山が八幡宮へ向かう「登り山」がある。午後7時から子ども役者の行列が八幡宮から各山組へ帰る「夕渡り」がある。沿道からの声に応えて役者がポーズを決め、見得を切ることも。近くで役者を撮影できるシャッターチャンスでもある。

 本日(ほんび)の15日は子ども役者の「朝渡り」、長刀組の「太刀渡り」の後、八幡宮境内で午前9時25分から三番叟と歌舞伎奉納が始まる。以降、大手門通りなどで歌舞伎公演があり、最後はお旅所に曳山が集う。道中を含め各山組が計4回、上演する。お旅所に曳山が揃う頃には日が暮れ、提灯の灯りの下で上演される歌舞伎は幻想的。

 16日は終日、地元公演を行うほか、午前10時45分から長浜文芸会館で観劇会を催す。17日の「御幣返しの儀」で今年の曳山まつりが終わる。

2024年4月11日

跳べ 瀬古選手!五輪挑戦をCFで応援

陸上仲間の森さん企画

 滋賀県スポーツ協会所属の瀬古優斗選手(26)=男子走高跳=が目指しているパリ五輪出場を応援するため、陸上仲間の森善哉さん(26)=長浜市細江町=が15日からクラウドファンディング(CF)を実施する。国内外の大会に出場するための渡航費などを支援するとともに、滋賀を挙げて出場を応援したい考え。

 瀬古選手は大津市出身で、草津東高、中京大学を経て、現在は同協会所属。国内外の大会で上位入賞を重ねている。自己ベストは227㌢。今年は2月にイラン・テヘランで開かれた第11回アジア室内陸上競技選手権大会で2位(記録219㌢)、ニュージーランド・クライストチャーチでのインターナショナル・トラック・ミーツ2024で3位(220㌢)に入賞している。

 8月のパリ五輪の男子走高跳の日本代表枠は3人で、現在、瀬古選手を含め5人の選手が代表の座をかけて熾烈な争いを展開している。世界陸連のパリ五輪出場ランキングでは瀬古選手は世界27位、日本3位につけており、五輪出場を射程圏内に収めている。今後も国内外の試合で上位入賞を狙い、6月の日本選手権での3位以内が五輪出場の決め手となる。

 今回、CFを企画した森さんは長浜市を拠点に小中一貫の陸上スクール「FAAS T&F」を主宰し、瀬古選手もコーチの一員。瀬古選手がスポンサー企業を持たず活動資金の確保に苦慮していることから、パリ五輪までの「最後の一歩」を後押しするためCFで協力を求めることになった。

 目標金額を300万円に設定し、海外・国内での活動費(交通費・宿泊費など)、練習場所の利用料、陸上競技の普及イベント費などに活用する。返礼品は限定Tシャツ、サイン色紙、瀬古選手のスポーツ講演会実施の権利など。

 瀬古選手は「国内では注目されにくい種目なのかもしれないが、人生をかけて取り組んでいる走高跳でパリ五輪出場・メダル獲得ができれば、もっと多くの方々に陸上競技・走高跳を知ってもらえるきっかけとなる」と協力を呼びかけ、森さんも「瀬古選手の情熱と努力に共感し、応援していただければ」と話している。

 CFはキャンプファイヤーのサイト(https://qr.paps.jp/Uh2TU)から。

2024年4月9日

危険予測をトレーニング!

タクシー運転手に交通安全教室

 春の全国交通安全運動にあわせ、タクシー運転手を対象にした交通安全教室が8日、虎姫まちづくりセンターで開かれた。滋賀中央交通(内保町)の高齢ドライバー8人が参加し、危険予測トレーニング機器「KYT」を活用して、安全運転に欠かせない危険予測力を高めた。

 教室は長浜署と県警本部高齢者交通安全推進室が実施し、同社の70代のドライバーが参加した。KYTは街中を運転する視点の映像を見ながら、参加者が危険だと思う箇所で手元のボタンを押す仕組み。停車中の車の陰から子どもが道路を横断したり、右折待ちのトラックに隠れたバイクが飛び出してきたりと、普段の運転中に遭遇する「ヒヤリ」としたシーンが再現されている。

 3分間の映像の中には10カ所、交通事故につながるポイントがあり、参加者それぞれが危険と思うタイミングでボタンを押した後、高齢者交通安全推進室の担当者の解説であらためて危険ポイントを振り返った。

 担当者は「優先道路であっても、優先意識を持ち過ぎないよう、『かもしれない運転』を心掛けてほしい」「前に大きな車がある時など前が見えない時ほど慎重に」などと呼びかけた。また小学校に入学したばかりの1年生はこの時期は大人の見守りなどで事故は多くないが、通学に慣れる6月ごろになると交通事故が増えるといい、「運転手の皆さんには特に注意をしてほしい」と話していた。

 ドライバーの村方政夫さん(76)は「相手の行動を予測するのは難しいが、より慎重に安全運転に気をつけたい」、松塚龍一さん(70)は「自分なりに十分な予測をしていたつもりだが、受講して新たな気づきがあった。今後の運転業務に生かしたい」と気を引き締めた。

 同社の喜田朋子社長は「タクシー業界は人手不足の上にドライバーの高齢化が進んでいる。70歳以上の社員を対象に安全講習をすることで、市民の皆さんに安心して乗車いただけるタクシー会社であり続けたい」と話していた。

2024年4月1日

井上さん 高校柔道選手権初優勝

浅井小出身 徳島県・生光学園1年

 浅井小出身で徳島県の生光学園高校1年(新学期から2年)の井上愛翔(あいか)さん(16)が第46回全国高校柔道選手権大会(3月19日)の女子個人戦48㌔級で優勝した。31日には小学生時代に柔道に打ち込んだ浅井中の武道場「修徳館」を訪れ、恩師や後輩に優勝を報告した。

 4歳から柔道を始めた井上さんは浅井柔道スポーツ少年団で技を磨き、「もっと環境が整った場所で柔道に打ち込みたい」と浅井小卒業後は強豪として知られる生光学園中学に進学。寮生活を送りながら柔道と学業に専念する生活を送っている。

 2022年夏、中学3年生で初めて出場した全国中学校体育大会(全中)では女子個人44㌔級で優勝する快挙を達成している。

 生光学園高校への進学後、出場した昨夏のインターハイでは初戦で3年生に敗れた。「力も技術も中学生相手とは全然違った。組み手のバリエーションも多く、自分の足りないところが分かった」とさらに練習に打ち込んだ。

 選手権では県大会、四国大会を無敗で突破し、3月19日に日本武道館で行われた全国大会に臨んだ。全中制覇の実績から得意の背負い投げを警戒されていたため、井上さんは背負いに見せかけた組み手から小内刈りや大内刈りといった足技を繰り出し、トーナメントを勝ち上がった。決勝でも小内刈りで技ありを奪い、そのリードを守って判定勝ちした。

 優勝報告のため特別に帰省が許され、2泊3日で長浜へ帰った。31日に修徳館で開かれた祝勝会ではスポーツ少年団の子どもたちと決勝戦の試合をビデオ映像で振り返り、優勝を勝ち取った技を実演、一緒に稽古に励んでいた。南橋一葵さん(浅井中1年=新学期から2年)は「先輩が優勝してとても嬉しいし、格好いい。目標になります」と話していた。

 「選手権に出るためにチームのみんなが投げ込みや追い込みの練習に付き合ってくれた。みんなの協力に応えられて嬉しい」と語る井上さん。「選手権優勝で、少しは日の丸に近づいたかなと思う。将来は日本代表になって世界をとりたい」と語り、今夏のインターハイ優勝を次の目標に見据えている。

2024年3月28日

奥びわの魅力、学生目線で発信

滋賀文教短大生、取材、執筆で冊子を作成

 滋賀文教短期大学(松本秀章学長、田村町)の学生が長浜市北部地域の魅力を集めた冊子「おくびわぐらし」を作成した。A5判19ページで3000部を発行し、長浜観光協会などを通じて無料で配布する。

 冊子発行は市北部の魅力を学生目線で取材、撮影、執筆、編集したもの。江北図書館(木之本町木之本)、レイニー・デイ・コーヒー(高月町高月)、十割蕎麦坊主Bar一休(高月町落川)、渡岸寺観音堂(高月町渡岸寺)、ブックカフェ住暮楽(すくらむ)(木之本町木之本)、ビストロさくらyogo(余呉町下余呉)、cococafe心風流(しんぷる)(余呉町菅並)などを取り上げ、店主や住民の思い、暮らしぶりのほか、自然や町並みも紹介している。

 びわ湖東北部地域連携協議会の地域コミュニティ活性化事業として、コロナ禍で制限されてきたフィールドワークを再開し、学生と地域の交流を促す「仕掛け」として企画された。

 28日には学生4人が市役所を訪れ、浅見宣義市長に冊子の完成を報告した。リーダーで香港からの留学生・江之洋さん(28)は「人の温かさ、自然の豊かさに惹かれて取材した。奥びわ地域の魅力を多くの人に届けられれば」と話し、長浜出身の服部夕唯さん(19)は「余呉や木之本にはあまり足を運んだことはなかったが調査を通じて魅力を再発見した」と思いを語った。

 浅見市長は「長浜は自然も歴史もある。関係人口として、これからも長浜に関わってほしい」と話しかけていた。

2024年3月26日

江北図書館ゆかりの絵本とパン誕生

読んで食べて木之本散策楽しんで!

 「絵本の中に登場するパンが図書館で実際に食べられたらうれしい」「絵本を読んだ親子連れが絵本の中のパンを食べに木之本まで来てくれたら」—。そんな思いが詰まった絵本「パンやのポポさん」と、絵本に登場する「おうちパン」の販売が新館「Lib⁺」のオープンに合わせて始まる。

 絵本は財団法人の依頼を受けて市内在住の絵本作家・山田美津子さん(50)が制作し、能美舎(木之本町大音、堀江昌史代表)が発行した。パンのホウキで空を飛ぶハトの「ポポさん」が動物たちにパンを届けるほのぼのとした作品で、江北図書館のシンボルであるアーチ状の窓をモチーフにした形状のパンも登場する。絵本は全国の書店で販売され、山田さんは「この絵本を手に取ってもらって江北図書館と木之本を満喫してもらいたい」と話している。絵本はB5変判24ページ。1320円。

 

 

 「おうちパン」はつるやパンの人気商品「カステラサンド」をアレンジした商品でメープル味のカステラをバタークリームとともに菓子パン生地で挟んでいる。絵本に登場するパンをイメージした形状で、包装袋には「ポポさん」もデザインされている。同社の西村豊弘社長(45)は「カステラサンドは子どもに人気があり、コーヒーにも合う」と語り、新館の運営にあたり「駅前にあるので、高校生ら地元の子どもたちに利用してもらいたいのと、観光客らのまち歩きのスタート地点として活用してもらいたい」と話している。「おうちパン」は250円、コーヒー500円。

 

2024年3月26日

江北図書館の新館「Lib⁺」完成

市民・観光客の憩いの場に 31日オープン

 120年以上の歴史を持つ県内最古の私設図書館「江北図書館」(木之本町木之本)の南隣にカフェや閲覧室を設けた新館「Lib⁺(リブプラス)」が完成し、31日オープンする。

 江北図書館は1902年に設立された「杉野文庫」を前身とし、75年に現在の建物である旧伊香郡農会庁舎に移転した。建物は前面中央に千鳥破風、2階部分に4連の半円アーチの窓と5つのバットレス(主壁を補強する控え壁)を備えた近代建築物で国の登録有形文化財にもなっている。

 建物の老朽化が著しい上、トイレはくみ取り式しかないため、図書館を運営する公益財団法人江北図書館がクラウドファンディングなどで集めた寄付金2194万円を活用して、建物の応急修繕、水洗トイレを備えた新館の整備に取り組んできた。

 新館は木造平屋43平方㍍で、多目的フリースペース、厨房、トイレからなる。屋外にはベンチを設けた。地元の「つるやパン」が管理し、コーヒーやパンを提供するカフェも運営する。図書館の利用者や学生、地域住民、観光客の憩いの場として自由に活用してもらいたい考えで、「Lib⁺」は今までの図書館にいろんなものをプラスして新たに創造していくという思いを込めている。

 応急修繕は図書館本館の外壁のひび割れ補修、腐食した柱の取り替えなどを実施した。

 「多くの人の協力で新館整備と修繕が完了し、『感謝』のひと言です」と語るのは財団法人の岩根卓弘理事長(49)。「120年間守ってきた図書館は唯一無二の貴重な存在。今後も守り続けることによって地域愛の醸成につながる。子どもはもちろん、中高生、地域の老若男女に気軽に立ち寄っていただきコミュニケーションが生まれる場になれば」と話す。

 開館は午前10時から午後4時まで。火・水曜休み。

 応急修繕と新館のオープンは江北図書館の保存に向けたスタートで、目標は築86年の建物の大規模修繕と将来にわたる持続可能な運営。まとまった収益源を持たない財団法人が幅広い呼びかけで浄財を集め、国や自治体の補助金に頼らずに新館建設や応急修繕ができたことに関係者は手応えをつかんでいる。

 今後、財団法人では理事9人に各分野の専門家や地域住民らを加えた19人で図書館保存活用方法検討委員会を発足させ、持続可能な図書館の姿を探る。また、大規模修繕に向けた寄付も計画的に受け付ける。早ければ2026年から設計に着手したい考えで、新館整備と運営はそのための足がかりとなることが期待されている。

◇    ◇

 新館「Lib⁺」のオープンを記念したイベント「うれし!めでたし!本ざんまい」が31日開かれる。

 新館は地元の「つるやパン」のカフェを併設した多目的スペースで、午前10時10分から完成セレモニーがある。イベントは約20店舗が集まる一箱古本市「いろはにほん箱」、絵本「パンやのポポさん」読み聞かせ(午前11時、午後2時)、「すいーとほーんズ」によるホルンコンサート(正午)など。午前10時から午後4時まで。

 

2024年3月22日

祖母の店、孫が引き継ぐ

虎姫の喫茶「ほほえみ」、4月再開

 虎姫学園の西側にあり地域住民の憩いの場となっている喫茶店「ほほえみ」(五村)。創業時から店を切り盛りしてきた大橋和子さん(享年91)が倒れた昨年12月下旬から休業が続いているが、「おばあちゃんが大切にしてきた店を再開させたい」と孫の大橋綾乃さん(25)が一念発起。4月1日の再開に向け、和子さんの料理に挑戦するなど準備を進めている。

 喫茶店は和子さんと夫・八朗さんが1982年に開店させた。地域の働く人や住民の憩いの場として人気を呼び、八朗さんが病気で亡くなって以降は娘の岡田真理子さん(62)らが手伝って店をまわしてきた。

 和子さんは昨年12月23日、店の準備中に倒れ、今年1月11日に亡くなった。「お母さんが切り盛りしてきた店。1人ではできない。このまま閉めるのもしょうがないかな」と真理子さんが閉店も考えていたところ、綾乃さんが勤めている会社を辞めて跡を継ぐことを決意した。

 綾乃さんは「お客さんから開店を待ちわびているとの声を聞いた。不安はあるけど、おばあちゃんの笑顔を見に来てくれたお客さんのために、何とか店を続けたい」と話している。

 飲食店で働いた経験はなく、すべてが手探り。また、店で提供する料理のレシピを記録したノートなどはなく、味付けはすべて和子さんのさじ加減だった。綾乃さんは和子さんの料理を見守ってきた真理子さんの記憶と舌を頼りに少しずつ味を再現したい考え。

 当面はメニュー展開を人気の焼うどん、焼きそば、サンドウィッチなどに絞る。「大学時代、店で勉強していたら大好きな焼うどんとコーヒーを出してくれたりと思い出の詰まった喫茶店。みんなが安心して居られる場所にしていきたい」。そんな思いを語る綾乃さんを、遺影の和子さんが微笑みを浮かべて見守っている。

 営業時間は午前8時から午後6時まで。定休日は土曜午後、日曜、祝日。問い合わせは同店℡(73)4159へ。

2024年3月21日

ダンス、歌、芝居、一緒に楽しもう

50歳以上のミュージカル劇団「発起塾」が長浜に教室

 大阪市を拠点にシニアミュージカルを展開しているNPO法人「発起塾」は4月4日、長浜市の田根まちづくりセンターと市民交流センターに新教室を開設する。

 発起塾は演出家の秋山シュン太郎さんが1999年に設立し、大阪、京都、神戸、名古屋で教室を展開。50歳以上の演劇初心者が参加し、月2回のダンス、歌、芝居のレッスンを経て、年1回の定期公演や出前公演などを楽しんでいる。過去には海外公演も実現している。

 長浜では木曜午前10時から田根まちづくりセンター、午後2時から市民交流センターで教室を開設。1年後の出前ミュージカル上演を目指す。

 秋山さんは「台詞を覚え、ダンスをするので老化防止につながる。新しい世界に挑戦することでアンチエイジングになる」と参加を呼びかけている。

 参加条件は50歳以上の演劇未経験者。料金は月額5500円(月2回)。なお、今月28日に無料体験会を催す。午前10時から田根まちづくりセンター、午後2時から市民交流センター。予約制だが、当日の飛び入り参加も可。問い合わせは発起塾℡0120(86)2615へ。