2021年4月16日

どうなる?お産 ③-④

③医療政策を決めるのは県だった。自分の町だけ見ていちゃだめなんだ

 分娩中止を発表した市立長浜病院と長浜市。話を聞くと、両者とも「残念だがどうしようもない」と同じ回答だった。

 湖北の医療構想をまとめる長浜保健所に行くと、担当者が日本の医療政策のプロセスを丁寧に教えてくれた。

 日本の医療政策は中央と地方にまたがって構成されている。診療報酬額の決定、医師資格といった医療専門職の資格付与などは国が担う。

 一方、医療資源の配分や医療提供体制の調整は、多くの権限が都道府県に与えられている。都道府県は、人口や面積を勘案した上で2次医療圈(※図参照)を設定する。

 設定した医療圏ごとに、地理的条件や交通環境、高齢者が多い、働く世代が多いなど、住民ニーズの特性を反映した医療資源配分や財政措置を検討し「地域医療構想」を立てる。

 滋賀県では2次医療圏を保健所のある7つのブロック(大津、湖南、甲賀、東近江、湖東、湖北、湖西)に設定している。このブロックを基準に、医師の偏在を大学の医局と交渉したり、病院の再編計画を進めたりといった、医療資源の配分を進めている。

 市町村の主な役割は、予防接種や健康診断を呼びかけるといった医療サービスとなる。

 では、長浜病院の産婦人科の医師引き上げは、県や保健所の計画なのか。保健所の担当者は「医師の引き上げには関与していない。しかし、医師の働き方改革の実現に向けた動きとは言える」と言う。

 「医師の働き方改革」とは、長時間勤務が常態化している医師の労働衛生環境を整えようと厚生労働省を中心に検討が進んでいる国全体の政策で、2024年4月施行を目指している。それが地域医療に及ぼす影響は「2024年問題」とも言われ、現場で大きな話題になっていたらしい。

 恥ずかしながら、そんなことはこの身に及ぶまで実感がなかった。働き方改革は必要だ。確かに、これまでが恵まれすぎていたのかも…。それでも、医療体制の収縮を目の当たりにすると、不安がこみ上げた。   

(4月7日掲載)

④医師の過酷な勤務 頼りすぎを反省

 分娩中止が相次ぐ産婦人科事情を調べていたら、医師の働き方改革における「2024年問題」に行き着いた。

 医師の働き方改革とは?年問題が地域医療に及ぼす影響とはなんだろう。18年3月28日付の厚生労働省「医師の働き方改革検討部会」の資料を読んだ。

 「医療は、医師の自己犠牲的な長時間労働により支えられ」「『自殺や死を毎週又は毎日考える』医師の割合が3・6%との調査もある」「女性医師の割合が上昇し(中略)、育児等を行いながら就業を継続したり、復職したりできる環境を整え(中略)なければ、多様な人材の確保が困難となる」などとある。

 至極当然のことばかり。「医師の自己犠牲的な長時間労働により成り立っていた」という事実に申し訳ない気持ちになった。現状では多くの病院で年1860時間超勤務する医師がおり、中には年3千時間を超える時間外労働をこなす医師もいるという。

 働き方改革では、24年までに時間外労働を960時間、または1860時間以内(例外あり)とし、次の勤務まで9時間、当直後は18時間空けるという制限をつけ、医師の労働環境を守ろうという計画だ。

 実施されると、具体的にどんな影響があるのか。湖北地域の医療構想を管轄する長浜保健所の担当者が説明してくれた。「現在、勤務医の多くは午前9時までに出勤し、当直後は翌日夕方まで働いている。24年以降は、当直後は翌日昼までとなり、当直明け日勤の医師が不足する。医師1人の診療科なら、当直翌日は科を開けない」。

 分娩は朝夜を選ばない。急患もある。何人もの分娩を扱い、当直翌日の夕方まで外来に対応している産婦人科医の現状は、過酷すぎたのだとわかる。

 滋賀医科大が長浜病院に派遣していた産科医を引き上げる理由について、保健所の担当者はこう話した。「働き方改革に向けて医療資源の集約化が求められている。近くの長浜赤十字病院は、県の地域周産期母子医療センターに指定されている。滋賀医科大にすれば、湖北の産科医療は長浜赤十字に任せ、産婦人科医という限られた医療資源を、他に分配したいと考えたのかもしれない」。

 長浜保健所が管轄する湖北医療圏では、19年に「湖北圏域地域医療構想調整会議」がスタートしている。医療機関と市が県の方針に沿って医療構想の調整を図る会議で、機能分化と連携強化を話し合っている。どうやらこの会議が、今回の問題の核心のようだ。

(堀江昌史)

(4月16日掲載)

2021年4月15日

子ども歌舞伎 華やかに

2年ぶり長浜曳山まつり  出番山が奉納

 長浜曳山まつりは15日、ハイライトの本日(ほんび)を迎え、出番山の青海山(北町組)、諫皷山(御堂前組)、春日山(本町組)が子ども歌舞伎を奉納した。

 一番山の青海山の舞台では、子ども歌舞伎の上演に先立ち、速水寛大君(10)が三番叟の舞を披露。扇を優雅に掲げ、鈴を振り鳴らして歌舞伎奉納の幕開けを告げた。

 青海山の演目は「伽羅先代萩 御殿の場」。西岡逢音君(11)と拓音君(8)の兄弟が幼き主君を守る母子を演じた。二番山の諫皷山は創作歌舞伎の「新竹取物語」を披露。月の掟を破ったため姿をウサギに変えられたかぐや姫を朝日岳君(12)が美しくも物悲し気に演じた。

 市民や観光客、写真愛好家らが観覧に訪れ、絢爛豪華な曳山の舞台で華やかな衣装をまとった子ども役者が堂々とした演技を見せるたびに大きな拍手を送っていた。

 新型コロナウイルス感染防止のため、曳山の前に間隔を空けてイスを並べて立ち見客が密集しないようにしたり、マスク着用を呼びかけるプラカードを掲げたりと、それぞれの山組が対策を講じていた。

 曳山まつりは昨年、新型コロナの影響で中止となり、2年ぶりの開催。曳山巡行を取り止めたことから、歌舞伎は長浜八幡宮境内ではなく、それぞれの山組の町内で演じられた。16日も終日、歌舞伎が上演される。

独自に「夕渡り」 母親も付き添い

 今年の長浜曳山まつりは長浜八幡宮への曳山巡行がなかった影響で、役者が八幡宮から町内へと列を組んで練り歩く「夕渡り」が中止となったが、出番山では独自に夕渡りを企画。14日夕方、商店街のアーケードなどを役者が練り歩いた。

 夕渡りは御幣使や役者が行列を組んで、若衆に守られながら町内へ帰る行事。休憩を挟みながら遅々と練り歩き、沿道からのリクエストに応えて子ども役者がを切るなどし、曳山まつりの名物のひとつとなっている。

 春日山の夕渡りでは御幣使、舞台方、役者の順に浜京極商店街を練り歩き、いつもは参加が認められていない母親が付き添った。「義経千本桜 吉野山道行の場」で佐藤忠信を演じる竹花慶人君(11)が威勢よく見得を切ると、沿道の若衆から「よくできました」「かっこいい」と声がかかっていた。

 長浜信用金庫本店前に据えられた曳山の前では若衆筆頭の磯崎真一さんの司会で役者インタビューもあり、静御前を演じる野坂陽君(11)が「コロナ禍の中で見に来て下さっている方のため、悔いのない演技を頑張りたい」と語ると、若衆から「ヨイサー」と声が上がっていた。

2021年4月14日

初の「女城主」 福井さん

長浜城歴史博物館の第14代館長

 長浜城歴史博物館の第14代館長に福井智英さん(48)が就任した。同館初の女性館長で「一国一城の主」となった福井新館長に抱負などを伺った。

—就任おめでとうございます。着任の感想は?

福井 まずは驚いた。重責を感じており、不安な面も多い。

—長浜城のイメージは?

福井 市民の寄付で建てられた博物館。長浜のシンボル。社会教育施設というだけでなく、観光面でも重要な役割を持っている。3階にはいつ来ても戦国時代にタイムスリップでき、秀吉に会えるような常設展。2階には湖北の歩みがわかる企画展を設けており、地域に根付いている。

—セールスポイントは?

福井 ○○周年(メモリアルイヤー)に注目した展示や市の重点施策と連携した企画、旬な話題を追っている。

—コロナ禍の影響は?

福井 団体客を中心に来館者が減っているので、SNSなどを活用した広報戦略を打ち出している。北近江歴史大学や湖北学講座など教育普及事業は回数や定員を減らし、事前予約制にした。

—8月から来年3月まで耐震工事のため、休館となるが?

福井 東京長浜観音堂の開設や市外での所蔵品の出張展示など、外に向けた活動を展開したい。

—地元の子どもたちへの思いは?

福井 是非、足を運んでもらい、教科書に掲載されている戦国時代の舞台であり、信長や秀吉が活躍した長浜に、自分たちが住んでいることに誇りを持ってもらえるようにしたい。自由研究コンクールH1グランプリで歴史に興味がある子が多いことに驚いた。昨年はコロナ禍でできなかったが、今年は実施できるよう学校にお願いしたい。

—今後の方針は?

福井 まず市民には愛され続ける博物館作りを目指したい。地域の誇り、愛着がある長浜城。どんどん、その魅力を発信したい。先輩たちから引き継いだものを大切にしながら、新体制により、少し違うカラーを出してゆきたい。単なる博物館としてだけでなく、城に来た感覚を演出できるようにしたい。また、観光サイドと連携を持って、より多くの人に足を運んでもらえるようにしたい。

 

 【福井智英さん】 奈良県生まれ。天理大学を卒業後、旧虎姫町の学芸員となり、文化財を担当。地元出身の元三大師について見識が深い。合併後は市文化財保護センターを経て、長浜城歴史博物館、一筋。企画やサポート団体、長浜城歴史博物館友の会事務局などを担当。現在は浅井歴史民俗資料館、高月観音の里歴史民俗資料館の館長も兼任している。

2021年4月9日

役者健康など祈願「羽織参り」

長浜曳山まつり  「裸参り」に代わり

 長浜曳山まつりの成功などを祈願する、出番山の「羽織参り」が9日、始まった。例年は上半身裸の若衆が弓張り提灯を手に隊列を組んで長浜八幡宮へ参拝する「裸参り」として行っているが、今年は新型コロナウイルス感染防止のため紋付き袴姿で少人数での参拝となった。

 青海山は負担人と若衆の計5人がこの日の午前、元浜町の詰め所から長浜大手門通り商店街などを経て長浜八幡宮へ参拝。拝殿で祈祷を受けた後、順番に玉串を奉納し、子ども役者の健康、本日(15日)の晴天、コロナ禍収束などを祈願した。

 子ども歌舞伎を奉納する順番を決める「籤取り式」(13日)に参加する会社員・石地順一さん(31)は赤い鉢巻で参拝し、「一番籤」を願った。

 裸参りは例年、出番山の若衆が長浜八幡宮などへ4夜連続で参拝する。手水舎に肩まで浸かって身を清めるシーンなどが知られ、若衆同士がまつりの成功を目指して結束を確認する場でもある。

 石地さんは「裸だろうが、羽織だろうが、願い事は変わらない。裸参りをできないのは少し寂しい思いもあるが、各地でまつりが中止になる中、まつりをさせてもらえるのはありがたい。拝殿での祈願も新鮮だった」と語った。

 羽織参りは12日まで続き、諫皷山、春日山は裸参り同様、夜に行う。

2021年4月7日

ムービーフェス 入賞6作品決まる

1分の短編動画 26作品応募

 長浜ムービーフェスティバル実行委員会(板山きよ美代表)は短編動画コンテスト「ナガハマムービーフェス2020」の優秀作品を発表した。

 コンテストは、長浜の多彩な魅力を動画で発信して地域活性化や観光振興につなげるとともに、クリエイターの発掘を目指すもので、2018年に初開催。3回目を迎える今回は「ちゅんちゅんアツく」をテーマに作品を公募し、26作品のエントリーがあった。

 大賞には、長浜市の「ケンタロー。」さんの1分の動画「長浜で」が選ばれた。幼児が市内の公園などで遊んでいる様子をスマートフォンで撮影しテンポ良く編集した作品で、最後は「長浜にハマる♡」と締めくくっている。審査員の映像作家・中塚智子さん(滋賀大非常勤講師)は「被写体が可愛くて魅力的で、構成がシンプルで分かりやすかった。フリップ芸を見ているよう」と講評した。

 このほか、長浜観光協会賞に「証城寺の狸囃子」(バイオ亭長浜&VOCE)、長浜商店街連盟賞に「Walk  in  Nagahama」(腹黒暉画)など5作品も入賞した。

 エントリー作品はムービーフェス(https://www.nagahama-mf.com/)のホームページで視聴できる。

2021年4月1日

おがくずで森林浴気分いかが?

発酵熱でぽかぽか  元浜町に温浴施設

 発酵させた針葉樹のおがくずに身体を埋める温浴施設「酵素温浴bios(ビオス)」が3月28日に、元浜町13番街区市街地再開発事業の商業施設「湖北くらしのスコーレ」にオープンした。木の香りが充満する浴室で身体の芯から温まり、リラクゼーション効果あるとして早くも話題を呼んでいる。

 地元の伊吹産のスギ、ヒノキのおがくずに、野菜や果物など50種類の植物から抽出した酵素原液を加えて自然発酵させ、その発酵熱で温まる仕組み。電気やガスなどの人工的な熱源を使用しないが、発酵熱は高いところで60〜70℃にのぼり、実際の体感温度は40℃前後になるという。

 浴槽は幅6㍍、奥行き2・2㍍、深さ1㍍で、発酵させたおがくず約2㌧が入っている。浴槽の底には防臭・脱臭・防カビのため余呉町産の炭を敷き詰めている。おがくずは毎週、全体の3分の1程度を入れ替え、古くなったおがくずは農作物の肥料に使用する。15分程の入浴で身体の発汗が促され、利用者からは「こんなに汗をかいたことがない。すっきりする」「夜、よく眠れるようになった」などと好評という。

 全国各地で酵素温浴施設の運営や監修を行っている北海道小樽市の「大高酵素」の協力で、湖北くらしのスコーレを運営する湖北ライフスタイル研究所(月ヶ瀬義雄社長)が開設した。山本茂樹専務は「ぜひ、爽やかな森林浴気分を味わってリラックスして欲しい」と呼びかけている。

 利用料は温浴衣、キャップ、バスタオル、酵素ドリンク付きで3300円。今月30日までは初回限定で1500円としている。午前10時から午後6時まで。火曜定休。予約は℡(53)4126へ。

2021年4月1日

豆乳アイス、準グランプリ

にっぽんの宝物プロジェクト全国大会

 余呉町今市の「ムーン・フード・ジャパン」の「ムーン豆乳アイス」が、地方に隠された逸品を選ぶ「にっぽんの宝物プロジェクト」ヘルシー&ビューティー部門で準グランプリを受賞した。

 オーナーの東野雄史さん(35)と妻のマーシュさん(34)は2017年、「安全で健康的、自然に優しく」をコンセプトに、ポーランドでの飲食店経営のノウハウを生かし、牛乳や卵、白砂糖などは使わず、湖北町産の無農薬大豆を加工した濃厚豆乳をベースに、きび砂糖などをブレンドしたオリジナルアイスを開発。ココナツバニラや滋賀の苺など8種を年間3万個以上生産し、ホテルや百貨店、スーパーなどに卸している。

 「にっぽんの宝物」はすぐれものながら、流通に乗りにくい商品を自治体や商工会と協力しながら、国内外に紹介、販売支援するプロジェクト。参加者は商品開発、販売促進のセミナーを受講後、地方大会に臨む。

 「豆乳アイス」は県商工会連合会が主催する県の宝物グランプリ「加工部門」で優勝。全国大会では「農産品加工」「肉・海鮮物」など8部門の中で「ヘルシー&ビューティー部門」にエントリー。46商品がノミネートした同大会では参加者がプレゼンテーション、動画で自己商品をPRした。

 東野さんは特殊な技法で濃厚な豆乳を搾り出し、ココナッツオイルをブレンドすることにより、なめらかな味わいを演出していることや添加物などを一切加えていないことをアピール。(東近江市)の「びわ湖の天然スッポン養生スープ」に次ぐ、準グランプリに輝いた。

 滋賀県からは7商品がエントリーし、湖北地域からは唯一の入賞。東野さんは「4年間のレシピ改良など苦労が実り、嬉しい。これからも努力して、さらに良いものを作りたい」と話している。

2021年3月30日

朝日町 春のコラボ祭り

つるや まるい食パン専門店5周年企画

 朝日町、つるやパンまるい食パン専門店(西村洋平店長)はオープン5周年を記念して4月、町内4店の人気商品とコラボしたサンドウイッチを販売する。

 コロナ禍の中、地元の人たちに喜んでもらえるような企画を、と西村店長が発案。町内に住む従業員の橋本衛さんのかけ橋により、「朝日町 春のコラボパン祭り」が実現した。

 「みたらし団子の抹茶ベイク」は和菓子製造「松翁堂 吉岡製菓」の団子をトッピング。店で販売している、みたらし団子は杵つきで、通常の団子よりひと回り大きく、あっさりとした甘だれが自慢。「がらたて」「グレープフルーツかん」と並ぶ人気商品。吉岡洋好さんは「つるやとコラボできて嬉しい」と話す。1日〜6日午前8時から販売。200円。

 「鳥宗コロッケサンド」は精肉業「鳥宗亭」のヒット商品、近江牛コロッケに照り焼きタルタルソースを塗って「あの味」をさらに引き立てている。河島大一郎さんは「コロナ禍で地域が苦しい時代。お互い手を取り合い、盛り上げたい」と語る。8日〜17日午前11時から販売。250円。

 「サーモンさらだサンド」は食品販売業「西川食品 二葉屋」の人気惣菜、鮭のサラダをスイートチリ&マヨネーズのオリジナルソースで見事にアレンジ。「もちもちした食パンに合う」と西川寛路さん。19日〜27日午前11時から販売。250円。

 いずれの商品も醤油製造業「鍋庄商店」のこいくち醤油、しょうゆ胡麻を使用しており、味を引き立てている。山本一貴さんは「後を継いだ同世代で、タッグを組み、朝日町を盛り上げたい。次のきっかけとなれば」と話している。

 西村店長は「お世話になっている地元への恩返し。ずっと温めていた企画。実現できて良かった」と語っている。いずれも数量限定。各店の定休日に合わせ、販売しない日もあるので注意。問い合わせはまるい食パン専門店℡(62)5926へ。

2021年3月30日

どうなる?お産 ①-②

① 県内で相次ぐ産婦人科の分娩休止 一体何が起きているの?芽生えた不安

 「分娩受け入れ  4月から休止  市立長浜病院」  1月9日、朝日新聞滋賀版に載った23行の記事を見て、私(35歳、2歳児の母)は恐ろしくなった。

 2020年には彦根市立病院と守山市の坂井産婦人科が分娩休止を発表し、その前年には大津市民病院、長浜市の佐藤クリニックも止めていた。県内の産婦人科が次々と分娩中止を発表している。私の町に、一体何が起きているんだろう。

 私が「佐藤クリニック」で長男を出産したのは18年8月。29時間の陣痛に耐えたが、子どもが産道を降りてこず、クリニック内で緊急の帝王切開となった。自然分娩を期待していたのでショックだったが、かけがえのない宝物を胸に抱いた喜びと安堵は言い尽くせない。

 私たち夫婦が、長浜市に移住したのは16年。婦人病を経験していた私は、不妊治療が必要になることも考えて、移住前には地域の産婦人科の情報も調べた。

 重視した条件は、不妊治療を相談できるか、自然なお産を助けてくれるか、産後のケアは十分か。当時、長浜市には、県地域周産期母子医療センターに指定される「長浜赤十字病院」、「市立長浜病院」、「佐藤クリニック」、「橋場クリニック」の計4施設が分娩を実施していた。人口約12万人の町に、4施設というのは充実しているという感覚だった。

 各施設にはそれぞれ特徴がある。例えば、新生児集中治療室(NICU)がありハイリスクの妊娠に対応している、産後個室で快適に過ごせる、無痛分娩に取り組んでいるなど。

 その中で、「佐藤クリニック」は「バースプラン」を採用し、「できる限り自然なお産」をサポートするとホームページに書いてあった。バースプランとは、陣痛促進剤の使用の有無、家族の立ち会い出産、分娩後のカンガルーケア、入院時の母子同室など、妊婦が出産に際しての希望を事前に医師や助産師に伝える取り組みだ。私も、いろんな本を参考に希望を伝えた。

 もしもの時には、長浜赤十字病院が連携して受け入れ先となることも頼もしく思えた。何度か婦人科に通い、院内通信を読むうちに、院長の温かい人柄にも引かれた。

 いろいろな施設の条件を比較し、一世一代の儀式に備える妊婦は私だけじゃない。分娩できる施設が減れば、その選択肢が減ってしまう。いてもたってもいられず、私は自分の暮らす町に何が起きているのかを調べてみることにした。

(3月23日掲載)

② 市民病院だけど、市にできること少ない?

 県内の産婦人科で相次ぐ分娩中止に危機感を覚えた私は、1月末、取材に向かった。

 まず、1月に分娩中止を発表した市立長浜病院に話を聞くと、担当者は「滋賀医科大からの産婦人科常勤医師4人の派遣がなくなるため」と説明した。今年度、病院では自治医大の1人を加え、5人で約160件の分娩を扱ったが、一旦全員3月末で退職する。

 新年度から、定年を迎える医師1人を嘱託医として雇用し直し、婦人科外来は継続させるが、分娩は休止せざるをえないという判断だった。滋賀医科大から、派遣中止の連絡が来たのは昨年11月。病院は継続を望んだが、叶わなかった。

 産婦人科病棟は、2020年に個室の割合を増やすなど、リニューアルしたばかり。4月以降に分娩を予定していた妊婦は約50人で、希望を聞きながら、他機関と調整を図っているという。

 「残念だがどうしようもない」と話す担当者の無念は感じ入るものがある。かつて病院は09〜15年、「院内助産所」が開設されていた。妊婦が求める「多様な産み方」に寄り添おうとした証しに思えた。

 しかし、15年に岐阜大から派遣されていた小児科医が「(岐阜)県内の医療体制の充実」を理由に引き揚げた。常勤医を失い、産後の乳児を診る体制が不足しているとして、院内助産所は中止に追い込まれた(18年から、長浜市は近畿大に寄付講座を設置し、小児科医1人の派遣を受けている)。

 今回の分娩中止も、大学医局の人事に翻弄された結果なのだろうか。とはいえ、市立病院の運営には、市民の税金も使われている。市は、今回の事態をどう捉えているのか。

 市地域医療課に話を聞いた。担当者の第一声は「我々としても残念としか言いようがない」。市は病院運営を市病院事業管理者に委ねている。予算の配分はするが、具体的な施策を提案するわけではない。医師の確保に各病院は努力するが、「医師確保計画」を立てるのは県の役割で医療資源の配分には手が出せないという。

 市税を投じてリニューアルした直後に医師の引き上げにあったとしても、市にはなすすべがない。「医療行政は県の役割。市としてできることは少ない」とも。市民病院なのに「市にできることは少ない」なんて…。

 「保健所は県の出先機関。湖北の医療構想は長浜保健所が事務局だ」と教えてくれたので、保健所に向かうことにした。

(3月30日掲載)

 

プロフィール

堀江昌史(ほりえ・まさみ)

 1986年東京生まれ、埼玉育ち。朝日新聞記者として神戸、佐賀、滋賀に赴任し、婦人病を患ったことを機に2016年退職。木之本町で「丘峰喫茶店」、出版社「能美舎」を運営。春夏秋はギター職人の夫とともに喫茶店の営業や農作業、冬は本作りに没頭する2歳児の母。

 

 

2021年3月26日

黒壁ガラス館 改修完了

築121年、まちのシンボル  27日オープン

 開館以来初めてとなる大掛かりな改修工事が行われていた黒壁ガラス館のリニューアルオープン(27日)を前に、26日、竣工式と内覧会が行われた。

 黒壁ガラス館は1989年にオープンし、96年には国の登録有形文化財に登録された。開館以来、小さな改修工事は行ってきたが、老朽化が著しいため昨年11月24日から休館し、耐震補強、壁の塗り直し、屋根の葺き替え工事などを行ってきた。

 竣工式は関係者約30人が出席して行われ、進晴彦社長は「黒壁ガラス館は1900年築の建物で、121歳になる。新しく生まれ変わり、次の100年、このまちを支えるシンボルとなってゆく」「このまちに流れる歴史、お祭り、宗教、食の文化を黒壁らしく拾い集め、発信したい」とあいさつし、黒壁創設メンバーの1人で会長の高橋政之氏は「長浜のまちと黒壁スクエアを観光客に楽しんでいただけるよう関係者一同頑張っていきたい」と決意を語っていた。

 テープカットの後に行われた内覧会では、世界で初めて作られたガラスのバイオリンとチェロによる音楽会があり、「アメージング・グレース」や「琵琶湖の周航の歌」などが披露された。

 なお、リニューアルオープンのキャンペーンとして、4月25日までの土曜、日曜は入館者全員に、ガラス製品や特産品などが当たるおみくじ付きクッキーをプレゼントする。

 黒壁ガラス館は1900年(明治33)に第百三十国立銀行長浜支店として開設。土蔵造りの木造建築で黒漆喰の壁だったことから、市民から「黒壁銀行」の愛称で親しまれた。バブル期に売却・解体の危機にあったのを市民有志が保存・活用を目指して第3セクター「黒壁」を設立して建物を買い取り、黒壁ガラス館として1989年にオープンさせた。以来、市街地の中核施設として観光誘客を支え、昨年1月には黒壁スクエアへの「来街者」が5000万人を突破していた。コロナ禍に伴って市街地を訪れる観光客が減少していたことから、事業費約9000万円をかけ長年の課題だった耐震化工事に踏み切った。

2021年3月22日

新火葬場「こもれび苑」完成

木尾町で竣工式  4月運用開始

 湖北広域行政事務センターが木尾町に整備を進めていた新しい火葬場「こもれび苑」の竣工式が21日行われ、テープカットで新設の完成を祝った。4月1日から供用を開始する。

 新しいこもれび苑は、センターが木尾町への集約を計画する新施設整備の第1弾。1979年築で老朽化が進んでいる現在の「こもれび苑」(下山田町)に代わる新しい施設として整備した。

 鉄筋コンクリート造2階建て、延べ4298平方㍍。火葬炉8台を備え、1階に告別室、収骨室、2階に待合室を設けている。誰にでも使いやすい「ユニバーサルデザイン」で、2階にはキッズルームや授乳室がある。内装には地元産の木材を多用し、落ち着きと安らぎを感じられる空間にしている。また、専用ホームページから空き状況をリアルタイムで確認でき、24時間予約可能。空き状況を確認しながら葬儀などの計画を立てられる。

 整備にあたっては民間の資金とノウハウを活用し、建設から運営までを一括して委託するPFI方式を採用。不動産業「フージャースホールディングス」(東京都)を代表とする企業グループ「湖北斎場PFI」が事業を担い、今後2036年まで運営する。総事業費は15年間の運営費を含め約67億3000万円。

 式典には同センターの構成市の長浜、米原両市の関係者や国会議員、県議会議員ら80人が出席。センターの若林正道管理者は「市民に満足いただけるサービス提供に職員一丸となって努めてまいりたい」とあいさつした。また、施工を手掛けた湖北斎場PFIの小林寿史社長、造成工事を行った明豊建設の本庄浩二社長に若林管理者から感謝状が贈呈された。

 式典後はテープカットと炉への点火式で完成を祝い、内覧会が行われた。一般市民向けの内覧会は30、31日午前10時から午後3時まで。

 なお、新斎場の運用開始に伴い、現在のこもれび苑、余呉斎苑(余呉町中之郷)、西浅井斎苑(西浅井町山門)を3月末で閉鎖し、2024年3月に木之本斎苑(木之本町木之本)も閉鎖する予定。

2021年3月19日

学び舎に別れ 小学校で卒業式

コロナ対策で参列制限の学校も

 長浜市内の小学校で19日、卒業式が行われた。新型コロナウイルスの感染防止のため参列者を制限するなどの対策が取られる中、卒業生が新たな決意を胸に学び舎を後にした。

 長浜小では保護者の出席を2人までに制限し、在校生は5年生のみ出席した。式典では卒業生134人が保護者や在校生、教職員の拍手で迎えられて体育館に入場し、杉本義明校長から一人一人卒業証書を受け取った。

 杉本校長は式辞で、同校が今年で創立150周年を迎えることを紹介したうえで、100周年の際に当時の坂田道太文部大臣から贈られた額「和顔愛語」を取り上げ、「いつでも誰にでも笑顔で優しい言葉で仲良くすることを願ったメッセージ。これからも周りの人への笑顔と優しい言葉がけを忘れないでください」と卒業生に語りかけていた。

 卒業生は「別れの言葉」で、入学式や校外学習、フローティングスクール、修学旅行、運動会など小学校6年間の思い出を振り返ったうえ、保護者や教員に感謝の気持ちを伝え、「感謝と未来への希望を胸に新しい世界に旅立ちます」と力強く語っていた。

 また、卒業生が一斉に保護席へ行きそれぞれ感謝の手紙を読み上げるサプライズ演出もあり、心身ともに成長した子どもの姿に涙ぐむ保護者もいた。

2021年3月16日

「サウンド・オブ・ミュージック」公演

4月11日  長浜小合唱団の定期演奏会

 長浜小学校合唱団は4月11日午後2時半から長浜文芸会館で第9回定期演奏会を開く。コロナ禍で活動がたびたび休止し、発表の機会も失われるなど逆風の1年間だったが、団員や保護者が力を合わせ6年生最後の舞台へ向け、練習や準備に励んでいる。

 同合唱団はNHK全国学校音楽コンクールを目標に活動し、地域イベントなどで歌声を披露している。この1年間はコロナ禍の影響で練習が何度も中断し、コンクールやイベントの中止で発表の機会を失った。6年生最後の舞台となる定期演奏会も当初は2月14日に実施予定だったが、コロナ第3波が直撃。「延期か、中止か」で関係者が揺れる中、団員と保護者が舞台を心待ちにしていること、市民から「今年も楽しみにしている」「見に行きたい」との声が寄せられたことで、年度をまたいでの開催を決定した。

 定期演奏会では例年、コンクールで発表した合唱曲を披露しているが、今年は公演時間短縮のためミュージカルのみとする。演目は「サウンド・オブ・ミュージック」。第2次世界大戦直前、ナチス占領下のオーストリアを舞台に、家庭教師の修道女マリアとトラップ大佐一家の交流や亡命を名曲と共に描いた往年の名作で、2〜6年生の団員25人が感染症対策に注意を払いながら、歌や振付などの練習に励んでいる。保護者らも舞台装置や道具、衣装を手作りして公演に向けて準備を進めている。

 団長の麻生結衣さん(12)と副団長の北村和花奈さん(12)は「コロナで合唱を聴いてもらえる機会がなく悲しかったが、今度の演奏会ではみんなに笑顔を届けたい」と語り、ナチスへの抵抗を高らかに歌い上げたミュージカルに「人生や夢、目標、選んだ道をコロナで諦めることなく、一生懸命突き進んで欲しい」との気持ちを込めている。

 演奏会は入場無料。事前予約不要。

2021年3月15日

大技炸裂!コロナ撲滅マッチ

長浜プロレスが3試合  曳山まつりPRも

 ご当地プロレス団体「長浜プロレス」は14日、えきまちテラス長浜で「コロナ撲滅マッチ」など3試合を行い、会場に訪れた市民や観光客を沸かせた。

 コロナ禍で旗揚げ直後から活動を制限されていたが、昨秋から再始動。この日は今年初めての興行となった。初登場の「エル・鯖ソーメン」はサバの被り物をした地元タレント・もえりーぬさんの先導でリング入り。機敏な動きで対戦相手を翻弄し、必殺技の「鯖固め」で勝利した。

 メインイベントのコロナ撲滅マッチは同プロレスの中心レスラー、エル・ヒキヤマと新型コロナウイルスの化身「デスコロナマスク」が対戦。解説席のパイプ椅子で攻撃したり急所を狙ったりと反則技を繰り返すデスコロナマスクに対し、エル・ヒキヤマはロープからジャンプする空中技など多彩な技を繰り出して応戦。最後は必殺技「長浜クローバーホールド」でマットに沈め、「必ずコロナは撲滅する」と声を張り上げていた。

 試合の間には長浜曳山まつりの山組「青海山」若衆によるしゃぎり演奏やご当地ヒーロー「ヒキヤマン」のショーがあり、1カ月後に迫った曳山まつりをPRしていた。

2021年3月15日

刈安染「浜ちりめん袱紗」

長浜農高のオリジナル商品、発売

 伊吹山の染料作物として伝わる近江刈安(かりやす)(別名・伊吹刈安)の復活プロジェクトに取り組んでいる長浜農業高校の生徒たちがオリジナル工芸品「長浜浜ちりめん製袱紗(ふくさ)」を開発。インターネットでの注文販売を始めた。

 カリヤスはススキ科の多年草で、各地に自生。天平時代から染料として利用された。中でも伊吹山3合目付近のカリヤスは周りに木がなく、日がよく当り、成長が良く、良質な色素を持っており、発色が良いのが特徴だった。

 平安時代、黄色染料として朝廷にも納められたが、化学染料の普及などで、手間がかかる草木染めは減退し、近江刈安の栽培地や業者も無くなった。同校食糧生産分野の2年生は伝説の近江刈安を復活させようと、調査研究。試行錯誤しながら、きれいな「からし色」に染める方法を編み出した。

 新商品の袱紗(縦横45㌢)は長浜の特産「浜縮緬」を近江刈安で染め上げたもの。独特の風合いが気品あふれ、高級感を醸している。製作した長谷川莉玖君は「商品化できて嬉しい。縮緬は他の繊維と異なり、仕上がり具合が上品。近江刈安の素晴らしさを感じてもらえれば」と話している。

 新商品は米原市商工会のネットショップ「オリテ米原」、米原駅東口の特産品市場「コンセ」で注文できる。3850円(税込み)。

生徒たちが近江刈安の染め物講習

 近江刈安の素晴らしさを知ってもらおうと、同校の生徒たちが14日、米原市の伊吹山文化資料館で染め物講習会を開いた。

 桐畑育実さんら食糧生産分野の2年生7人はこの日、型染めハンカチの作り方をアドバイス。11人の参加者は45㌢四方の絹に貼った型紙の上に型抜きできる防染糊を塗布。洗い流した後、生徒たちが早朝から仕込んだ染料(カリヤス)で染めてもらうと、南天や牛など絵柄付きの黄色いシルクハンカチができあがった。

 桐畑さんは「皆さん、興味を持っておられ、教えがいがあった」と話し、長浜市公園町の藤田美都さんは「朝廷に献上されたほどの近江刈安を実際に見て、ふれることができ楽しかった。完成品は壁に飾りたい」と語っていた。

2021年3月12日

震災を風化させない

近江公民館で復興支援のカルタ大会

 東日本大震災から10年。米原市、近江公民館の放課後児童クラブ「お家笑里クラブ」は11日、福島第一原発事故で避難していた浪江町の浪江・津島小学校の児童たちを応援するカルタ取り大会を開いた。

 同館を運営するNPO法人「おうみ地域人権・文化・スポーツ振興会」(村田輝男理事長)は東日本大震災で被災し、福島県二本松市に避難している両校を支援。児童たちに義援金や新米、運動用具をプレゼントしていた。そのお礼として福島の児童たちから5年前、「なみえっ子カルタ」1組が贈られた。カルタには「笑顔がね たくさん咲くよ 浪江町」「きれいだな 紅白コスモス 町の花」など、祭りや自然、地元にまつわることをまとめている。

 返礼として米原の子どもたちも地元の奉納角力や花嫁行列などを題材にした「福島復興支援カルタ」を作成。3組を福島にプレゼントした。

 毎年、この時期、カルタ大会を開催していたが、昨年はコロナ禍により、中止。今年は震災から10年。風化しつつある震災を忘れないようにと、両方のカルタで遊んだ。

 大会前、職員の世一和加奈さんらが震災を知らない子どもたちに「命の大切さ、家族の大切さを感じ、震災に対する備えを」「まずは自分の命を守り、家族を助けて」などと、アドバイス。カルタ取りでは40人の子どもたちが学年ごとに分かれ、「絶品だ 浪江焼きそば ぜひ食べて」「伊吹山いつもどっしり構えてる」などの読み手の声に合わせ、元気良く札を取り合っていた。

 復興支援カルタを製作した三輪果凜さん(坂田小6)は「一生懸命作ったことを覚えている。震災は想像するだけで怖い」と話していた。なお、浪江町の両校は今年3月で児童がいなくなるため、廃校になる。