2024年9月18日

「竹伊」の竹馬でビワイチ挑戦

大阪の大学生、1日10㌔コツコツと

 大阪の大学生が竹馬で琵琶湖一周にチャレンジしている。道中、竹馬を購入した長浜市元浜町の竹材工芸店「竹伊」に寄り、店主らから「気を付けて行ってきてね」と背中を押され、元気に長浜を発った。

 琵琶湖一周しているのは大阪公立大2年生の豊野陽向(ひなた)さん(21)。今月6日にJR大津駅近くの湖岸を出発し、反時計回りで琵琶湖をぐるりと一周中。リュックを背負って1日10㌔ほどのペースで進み、草津、守山、近江八幡、彦根、米原、長浜などを通過し、17日は高島市に到着した。夜は湖岸でテント泊をしている。

 竹馬での琵琶湖一周を計画したのは昨年12月。毎日のラジオ体操や日記など、休みなくコツコツと何かを積み重ねることが好きな性分といい、竹馬で一歩一歩を着実に歩んで琵琶湖を一周することが「コツコツと取り組んだことの証しになるのでは」と考えた。

 インターネットで竹馬を探し乗り心地などを確認した上で琵琶湖一周の相棒に選んだのが竹伊の商品だった。「滋賀の店に行き着いたことに、何かしらの運命的なものを感じた」という。

 取り寄せた竹馬を使って事前に大阪市内で練習。竹馬の足底をゴムで補強し、反射材を取り付けるなど、琵琶湖1周に向けて改良した。

 14日に竹伊を訪れ、土田修司社長(78)と妻の博子さん(77)の歓迎を受けた。「温かく出迎えてもらい、竹馬が壊れることがあったら修理すると言ってもらえた。励みになる」と振り返り、博子さんは「いくつもの竹馬の中から『一番しっかりしている』と、うちの商品を選んでくれたのが嬉しい。体調に気を付けて琵琶湖一周を達成してもらいたい」と話している。

 たった1人の琵琶湖一周。「孤独なのであらためて家族や友人の大切さに気付き、テントで宿泊していると普段の生活のありがたみを感じる」と豊野さん。写真交流サイト「インスタグラム」で「竹馬ニキ」(https://www.instagram.com/takeuma.niki.jp/)のアカウントで旅行のようすを発信しながら、25日ごろの大津へのゴールを目指している。

2024年9月17日

ながはま歌舞伎、12月公演

三役修業塾生ら出演 公開稽古で成果披露

 「ながはま歌舞伎」の発表会に向け、16日、曳山博物館伝承スタジオで公開稽古が行われた。

 ながはま歌舞伎は長浜曳山まつりの子ども歌舞伎の普及と三役(振付、太夫、三味線)の育成を目的に、長浜曳山まつり推進会議(野坂浩司会長)が企画した。

 発表会は12月1日、長浜文芸会館であり、午前10時半と午後2時から2部ある。今年と昨年の曳山まつりで三番叟役者を務めた家倉壮和さん(長浜小5年)と吉田櫂さん(神照小6年)が「寿二人三番叟」を披露し、三役修業塾で振付などを学ぶ塾生らが歌舞伎「新版歌祭文 野崎村」の「久作住家の場」と「土手の場」を演じる。

 公開稽古では観光客や市民が見学する中、子ども歌舞伎の振付を担当している岩井小紫さんの指導で、役者が所作や台詞、立ち位置などを確認していた。

 「野崎村」は若い男と2人の娘の悲恋を描いた物語。許嫁と丁稚奉公先の娘の心中覚悟の恋に、自ら尼となって身を引く「お光」を演じるのは岩井紫をりさん(33)=本名・山本桂緒莉さん。かつて商店街の店主らが手作りで公演していた「長浜ゆう歌舞伎」の役者に誘われたのを機に、高校生の頃から歌舞伎に魅了されてきた。現在は三役修業塾で振付の勉強に励み、今度の発表会では師匠からもらったばかりの芸名で出演する。

 祝言が決まった喜び、許嫁を追ってきた娘への嫉妬、2人のために身を引く悔しさと悲しさなど、お光の複雑な心情を表現する舞台となる。「恋をする10代の娘の仕草で、『可愛い』と思ってもらえる演技を大切にしたい。一つ一つの所作や体の向きなど、最後まで気を抜けない。名前をもらっているので、その名に恥じないような演技をしたい」と語っている。

 2人で三番叟を披露する家倉さんと吉田さんは「演技がバラバラにならないよう2人で息を合わせ、見る人に感動してもらえるようなぴったり合った舞をしっかり踊りたい」と話している。

 観劇にはチケット(協賛金2000円)が必要。チケットはteket(https://teket.jp/11643/40113)で販売中。曳山博物館でも今月22日から販売する。

2024年9月11日

跨線橋越えて子ども歌舞伎を

米原曳山まつり、警備費などCFで支援求める

 米原曳山祭保存会は来月開催する米原曳山まつりで、2018年以来6年ぶりに米原駅西口でも子ども歌舞伎を披露する。東側にある曳山を跨線橋を越えて西口へと巡行する必要があるため、警備費用などをクラウドファンディング(CF)で募っている。

 米原曳山まつりは湯谷神社で約250年前から行われている伝統行事。鉄道敷設によって、氏子たちが暮らすエリアは東西に分断されたが、1970年に跨線橋が開通して以降は曳山を引いて西側でも子ども歌舞伎を披露してきた。

 保存会によると、79年から駅西口で上演を始め2018年まで続けてきたが、19年以降は台風接近やコロナ禍、跨線橋工事などで曳山が跨線橋を渡ることがなかった。

 今年の米原曳山まつりの執行山は松翁山(しょうおうざん)組。10月12日に宵宮、13日に本楽、14日に後宴がある。跨線橋を渡って駅西口での子ども歌舞伎上演は12日午後1時45分からと同3時20分から。

 跨線橋を渡るのは公演前の12日の正午からと公演後の午後6時半からのそれぞれ1時間。地元の子どもたちを先頭に、氏子ら約30人が曳山を引っ張りながら運んでいく。

 今年は徹底した安全対策のため、跨線橋を渡る際は車両を全面通行止めとすることから、例年以上に警備費用がかかる見込み。

 警備員約15人の人件費や予告看板の設置費は計約100万円。保存会ではその費用をCFサイト「READYFOR」(https://readyfor.jp/projects/146916)で募集している。目標額は50万円。返礼品は湯谷神社の限定御朱印、ポストカード、手ぬぐい、神前奉納狂言の特別観覧券、楽屋訪問、特設舞台での子ども役者との記念撮影など。10月5日まで

 松翁山組筆頭総代の伴由明さん(60)は「西口の氏子や市民の皆さんにも地元で子ども歌舞伎を楽しんでほしい。その実現に向けての支援をお願いします」と呼びかけている。問い合わせは伴さん℡090(8828)2921。

2024年9月10日

深夜の湖岸道路で高齢女性保護

長浜署、北高出身の同級生3人に感謝状

 深夜の湖岸道路を徘徊していた80代の高齢女性を保護したとして、長浜署は9日、市内の女性3人に署長感謝状を贈呈した。

 高齢女性を保護したのは県立看護専門学校に通う山瀬七佳さん(20)と西嶋未優さん(19)、京都橘大学の南雲陽華さん(19)の3人で、長浜北高出身の同級生。

 3人は7月26日午前2時ごろ鐘紡町の湖岸道路を車で通行中、車道の脇でシルバーカーを押す高齢者を目撃。すぐ横を大型トラックが走行する危険な状態だったことから、すぐさま車をUターンして女性に声を掛け、歩道に誘導した。

 女性は自宅を抜け出してJR長浜駅に向かっている途中だったという。3人が女性を保護した約10分後、通報を受けた警察が駆けつけて女性を家族のもとに届けた。女性にけがはなかった。

 この日、3人は一緒に温泉に行き、その帰り道に湖岸道路を走行していた。「湖岸道路は工事で片側1車線になっていて、車道にいる女性はとても危険に思えた」と3人。車をUターンさせ山瀬さんと西嶋さんが車を降りて女性を歩道に誘導。「何をされているのですか?」「家はどのあたりですか?」と女性に声をかけながら警察の到着を待ち、南雲さんは車をいったん近くのコンビニエンスストアの駐車場に停めた。

 西嶋さんは「深夜に車を降りて声をかけるのは怖かったけど、保護できてよかった」、山瀬さんは「直後に大型トラックが通っていて本当に危なかった。安全に自宅に帰れてよかった」、南雲さんは「またこういう場面に遭遇すれば、声をかけたい」と話した。

 3人に感謝状を手渡した井上和幸署長は「勇気ある行動で交通事故を防ぎ、人命救助につながった。温かい心に感謝します」と語りかけていた。

2024年9月9日

中高生、医師の仕事を体験

湖北医師会が企画 日赤で検査や手術など

 湖北医師会(森上直樹会長)主催の医師体験ワークショップが8日、長浜赤十字病院で開かれ、地元の中学・高校生21人が胃カメラ検査や血管縫合、腹腔鏡手術、問診など医師の仕事を体験した。

 医師の仕事を疑似体験してもらうことで、将来、湖北地域を支える医師を目指すきっかけにしてもらおうと企画。コロナ禍のため5年ぶり7回目の開催となった。定員の3倍を超える申し込みがあり、医療職への関心の高さをうかがわせていた。

 参加者は4グループに分かれ、手術、検査、診察、骨折治療などを順番に体験し、日ごろは触れることのない医療機器を操作し、同病院のほか、市立2病院(長浜、湖北)の医師、看護師ら約70人がサポートした。

 骨折治療の体験では先のとがった鋼線を骨に刺して折れたところをつなげて固定する治療方法に挑戦。骨がずれないようにドリル使って慎重に鋼線を刺し込んでいた。人工血管を縫合する体験では持針器でつかんだ針を巧みに操作して糸を通し、血管をつなぎ合わせていた。

 長浜赤十字病院が所有する手術支援ロボット「ダヴィンチ」の操作体験もあり、参加者がモニターを見ながらアームを動かしていた。指の動きにアームが連動する直感的な操作性のため、参加者は難なくアームを操ることができていた。

 体験後の質疑応答では参加者から「どんな性格の人がお医者さんに向いているのか」「医師になったきっかけは?」などの質問が出され、医師や看護師、研修医らが答えていた。

 

 

 

2024年9月3日

青年使節団、壮行会で抱負

姉妹都市・独アウグスブルク市へ  8日出発

 姉妹都市の独アウグスブルク市に派遣される長浜市青年使節団の壮行会が2日、市役所で開かれ、団員がそれぞれ抱負を語った。

 長浜市出身でヤンマー創業者の山岡孫吉氏がディーゼルエンジンを発明したルドルフ・ディーゼル博士の顕彰碑を発明地のアウグスブルク市に建立したのを縁に両市が姉妹都市提携を結び、長浜市は1980年から市民親善使節団を、2008年から青年使節団を派遣している。

 コロナ禍の影響で2018年以来6年ぶり7回目の派遣となる青年使節団は公募の市民5人と市職員2人の計7人で構成。今月8日から15日までの7泊8日の日程で、17世紀に建てられた市庁舎や世界最古の社会福祉施設「フッガーライ」、地元の大学、職業教育施設、博物館などを視察。市民団員は現地家庭にホームステイして交流を深める。

 壮行会では、団長を務める市文化観光課の森岡賢哉課長代理が「両市の架け橋としてさらに絆を深め、積極的に異文化に触れることで思いを通わせ、国際親善・理解の精神を養いたい」と抱負を述べた。

 公募で選ばれた市民団員は19歳から26歳の女性。副団長で長浜市地域おこし協力隊員として自伐型林業に取り組む土屋百栞(ももか)さん(26)は「ドイツの方は森林浴を楽しむなど、森との関わりが深いとされる。どのように関わっているのかを学び、長浜市での森の活動に生かしたい」と語った。地元の高校を卒業後、岡山大学で教育学を専攻する松田美里さん(19)は「将来は中学の英語教員を目指している。ドイツでは英語を日常的にしゃべれる人がほとんどなので、日本との教育面の違いを見つけ、将来に生かしたい」と話すとともに、「ドイツはジャガイモを食べるイメージだが、どのような食文化が継承されているのか学びたい」と語っていた。

 浅見宣義市長は「帰国後はアウグスブルクの方とのご縁を大切に多くの方に良さを伝え、地域のリーダー、国際交流のリーダーとして多文化共生イベントなどに参加し、グローバルな視点や考え方を広げてほしい」などと語りかけていた。

2024年9月2日

地域が結束、8年ぶり青物神輿

速水・伊豆神社の「八朔大祭」で奉納

 湖北町速水の伊豆神社の例祭「八朔(はっさく)大祭」が1日行われ、野菜や乾物、草木など80種類で作った「青物神輿(あおものみこし)」が8年ぶりに奉納された。

 青物神輿・幡母衣(ばんばら)保存会のメンバーらが中心となって8月17日から神輿の各パーツを手作りし、1日朝に約3時間かけて組み立てて神輿を完成させた。

 神輿の屋根で羽根を広げる鳳凰は、顔をカボチャ、くちばしをオクラ、トサカをケイトウの花、羽根をハランの大きな葉、首を稲穂で作り上げた。神輿の各面にはもち米と黒ゴマで作った鳥居を据え、その背面に「一寸法師」「花咲かじいさん」「浦島太郎」「うさぎとかめ」の一場面を表現した。

 伊豆神社での神事と小学生の巫女による「浦安の舞」の奉納の後、神輿を約500㍍北にあるお旅所に遷座する「宮遷し」があり、地元の若い衆が神輿を担いで町内を巡行。神社やお旅所には8年ぶりに実現した青物神輿を見ようと、多くの地域住民が見物に訪れ写真を撮るなどして神輿の出来栄えを確かめていた。

 青物神輿は約5年に1度、奉納していたが、コロナ禍の影響で2016年以来の奉納となった。保存会会長の今井正彦さん(59)は「猛暑で青物神輿の材料がなかなか集まらず、台風の接近で実施も心配したが、これだけのことをできて良かった。初めて神輿を担いだ若者もいて、楽しんでくれた。近年は人と人とのつながりが希薄になってきているが、字(あざ)の中でつながりができた」と喜んだ。

 なお、伊豆神社の八朔大祭では青物神輿と並んで、幡母衣武者行列も名物となっている。鎧をまとった若者が背に24本に割った竹を付け、48個の提灯を吊るして町内を練り歩き、神社に参拝する行事。こちらは2008年に実施されたのが最後で、その再開も期待されている。

 

 

2024年8月27日

長浜市美術展 入賞作品決まる

滋賀夕刊新聞社賞は藤さんの日本画

 第76回長浜市美術展覧会の審査が行われ、市展賞や特選など入賞・入選作品が決まった。滋賀夕刊新聞社賞(特選)には勝町の藤陽子さん(27)の日本画「オオハシのいる楽園」が選ばれた。

 日本画、写真、工芸、洋画、書、彫刻の6部門に計256点の応募があり、市展賞6点、県芸術文化祭奨励賞1点、特選27点が選ばれた。

 30日から長浜文芸会館で始まる展覧会では入選以上233点を展示する。9月7日までは日本画と洋画を、13日から21日までは彫刻、工芸、書、写真を展示する。

 入選作品について解説・講評するギャラリートークは洋画が31日午後1時半、日本画が1日午後1時、写真と書が14日午前10時、彫刻・工芸が同日午後1時半から。

 市展賞、県芸術文化祭奨励賞、特選に輝いたのは次の皆さん。

 【日本画】▽市展賞=出雲滋子(鍛冶屋)▽特選=藤陽子(勝)、大野里美(平方)、山田あすか(神照)。

 【写真】▽市展賞=堀内久和(細江)▽特選=廣部修次(三ツ矢元)、櫻井廣治(大戌亥)、小松弘子(勝)、川﨑和夫(細江)、久保隆信(相撲)、中川明子(米原市磯)、伊藤晋(同市大野木)、中嶋ひろ子(公園)、大橋好子(米原市米原西)。

 【工芸】▽市展賞=吉田佐代子(米原市柏原)▽特選=山﨑美惠子(高月町東柳野)。

 【洋画】▽市展賞=中山徳雄(南高田)▽特選=小野淳(米原市柏原)、野村厚子(高月町落川)、森岡賢一(湖北町馬渡)、沓水和子(下八木)、小森愛子(高月町柏原)、原昌子(余呉町下余呉)、西橋佳代子(内保)。

 【書】▽市展賞=吉井久代(南高田)▽特選=中川あかり(平方)、音居玲子(米原市寺倉)、中川峰子(曽根)、山田雅代(南呉服)、小林純子(高田)、佐治真実子(宮司)、沢田浩臣(川道)。

 【彫刻】▽市展賞=林亜希子(木之本町千田)▽県芸術文化祭奨励賞=林亜希子。

 

藤陽子さんの作品「オオハシのいる楽園」

 

出雲滋子さんの作品「少女と猫」

 

堀内久和さんの作品「黎明」

 

吉田佐代子さんの作品「立山杉」

 

中山徳雄さんの作品「三島池からの伊吹」

 

吉井久代さんの作品「古今集仮名序 冒頭」

 

林亜希子さんの作品「昔話」

2024年8月26日

ヤマトサンショウウオを次世代へ

田村山に生息、保護池整備に協力を

 長浜市南部の田村山に生息する希少種ヤマトサンショウウオの保護活動に取り組んでいる田村山生き物ネットワーク(会長=齊藤修・長浜バイオ大アニマルバイオサイエンス学科教授)は産卵に欠かせない新たな保護池の整備に向け、資金150万円をクラウドファンディング(CF)で募っている。

 ヤマトサンショウウオは体長7〜15㌢の両生類で、近畿地方東部から中部地方南部に分布。水田や池、水たまりで繁殖・産卵するが、水環境の悪化により近年激減し、環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類、滋賀県レッドリストでは希少種に分類されている。

 田村山では2005年3月に齊藤教授が麓の側溝に卵の塊を見つけたことでその存在が明らかになった。当時の名称は「カスミサンショウウオ」だったが、後に分類の見直しが行われ、ヤマトサンショウウオとなった。その後の調査で、2月中旬に産卵し、水の中で成長した後、8月ごろに上陸することが分かっている。産卵場所が道路脇の側溝であることから、水枯れが懸念され、2009年には水枯れにより幼生5000匹ほどが全滅した。

 これを受け、齊藤教授が大学や地域に保護を呼びかけ賛同する有志らと2010年にネットワークを結成。2013年には山の麓に保護池を整備し、側溝に生んだ卵を池に移す作業を繰り返したところ、今では保護池での産卵が定着している。

 ただ、ヤマトサンショウウオが田村山から保護池に移動するには道路や側溝を横切る必要があり、池の手間にある側溝に足止めされるなどして産卵数は減少傾向にあるという。

 次世代にヤマトサンショウウオを残すには道路や側溝に邪魔されないより山に近い場所に保護池を移す必要があり、現在、地元の寺田町自治会が管理する空き地への移設を準備している。地面を掘削してクッション材と防水シートを敷き、地下水をくみ上げるポンプの設置や排水路の整備を行う計画。

 費用は約150万円にのぼる見込み。現在、CFサイト「レディーフォー」で資金を募っている(https://readyfor.jp/projects/yamatosansyouo-n-bio)。目標金額(150万円)に達しなければ不成立となる「オール・オア・ナッシング方式」のため、幅広い支援が欠かせない。

 齊藤教授は「ヤマトサンショウウオを次世代に末永く残していくためには、単に水場の池があれば良いだけではなく、山も健全に守って里山を維持することが重要。ヤマトサンショウウオがどんな生き物で、その保護のためにどのような活動が行われているのかを多くの人に知ってもらいたい」と協力を呼びかけている。

 

2024年8月21日

多彩なキャラ、色使い豊かな作品展

イラストレーター・りゅうりゅさん、虎姫駅で

 SNS「インスタグラム」で作品を発表し続けているイラストレーター・りゅうりゅさん(16)の初の作品展が19日、JR虎姫駅構内のカフェ「Ohana」で始まった。多彩なオリジナルキャラクターを交えた色使い豊かな表現が見る人を楽しませている。

 りゅうりゅさんは県内在住の高校2年生。小学生の頃から絵を描くのが好きで、時間を見つけては自由帳に絵を描いた。中学からはタブレットの描画アプリを使って作品を描き、インスタグラムで発表するように。

 「なめなめ妖怪」「ふんどし半魚人」「すしざえもん」など空想力と想像力を膨らませた多彩なキャラクターが画面いっぱいに活躍する。オリジナルキャラクターが日本各地を旅行に訪れる珍道中シリーズや恐竜時代にタイムスリップするシリーズなど、どれを見ても楽しい作品ばかり。

 インスタグラム(https://qr.paps.jp/i1hPO)のフォロワーは1000人に迫り、最近はリクエストに応えて作品を描くことも。セレクト雑貨店から商品パッケージのオファーが舞い込んだり、公募展で入賞し商品のデザインに採用されたりと、その作風がじわりと注目を集めている。

 虎姫での作品展は母親の実家が近所にあることが縁で実現した。インスタグラム未発表作品を含め約320点がずらりと並ぶ。初めてのリアル展示に、りゅうりゅさんは「子どもにも見てもらえるので嬉しい。これからも楽しく、カッコいい絵を描きたい」と話している。

 午前9時から午後4時半、29日まで。25日は休館。

2024年8月19日

女流プロに挑戦「うまく指せた」

長浜で小学生3人が将棋対局

 長浜、彦根の小学生3人が15日、市民交流センターで開かれた長浜市長杯将棋大会で佐々木女海法(みのり)流初段(19)と記念対局を行い、駒落ちのハンデ戦ながら互角の戦いを繰り広げた。

 記念対局は将棋大会を主催した日本将棋連盟長浜支部が企画。挑戦者は同支部がセンターで開いている将棋教室に通っている子どもたち。

 教室に通って約2カ月の杉本瑛太さんと中関晴登さん(いずれもびわ南小4年)は6枚落ち(飛車、角、桂馬、香車を取り除いた状態)のハンデをもらって挑戦。端から攻めて相手玉の背後に回り込むなどして佐々木女流初段に勝利を収めた。それぞれ終盤では自身の駒を捨てて相手玉を追い込むなど初心者とは思えない戦いぶりで、佐々木女流初段は「2カ月でこれだけしっかり指せるのは素晴らしい。終盤の詰みもしっかりしていて、詰将棋をしっかり勉強してきたのかな」と話しかけていた。2人は「うまく指せ、楽しめた」と笑顔を見せていた。

 また、彦根市立城北小5年の山中一華さんは4枚落ちの佐々木女流初段に挑戦した。相手玉をあと一歩まで追い込んだが、「詰み」を読みきれず、最後は逆転された。

 山中さんは昨年1月から将棋を始め、プロを目指しているという。対局後の感想戦では、佐々木女流初段から角の使い方などのアドバイスを受け、「思い通りに指せていたが、最後にミスをした。盤面を広く見られていなかった」と振り返り、「詰将棋を中心に練習したい」と話していた。

2024年8月19日

長浜ドームで国スポ・相撲リハ大会

特設土俵で白熱の試合、子ども向け体験会も

 来年、滋賀で開かれる「国スポ・障スポ」を前に、リハーサルを兼ねた相撲競技の大会が18日、長浜バイオ大学ドームで開かれ、特設の土俵上で白熱の試合が展開された。大会後には子ども向けの相撲体験会もあった。

 大会は全国教職員相撲選手権で、16都府県から約60人が出場。団体戦と個人戦が行われ、滋賀県勢は個人、団体ともにベスト8だった。

 体験会は六荘地区地域づくり協議会、県相撲連盟などが主催し、3歳から小学生までの50人が参加した。子どもたちはまわしを付けてすり足を体験した後、長浜相撲クラブに所属する中学・高校生との取組を楽しんだ。

 取組では子どもたちが3人1組になって高校生らに挑戦。片手で軽々と体を持ち上げられながらも、力を合わせて押し出すと会場から拍手が起こっていた。塚本杏さん(春照小3年)、類さん(同2年)の姉弟は「少し怖かったけど、楽しかった。来て良かった」などと話していた。

 なお、大会では国スポ・障スポ長浜市実行委員会や県相撲連盟の担当者が、会場の設営、選手の受け入れ、試合の進行などの手順を確認した。県相撲連盟事務局長の田中敦司さんは「大会はスムーズに運営できた。きょうの進行を基本にシミュレーションを重ね、来年の国スポに臨みたい」と話していた。

2024年8月8日

犯人刺激せず対応を

JA伊吹支店で強盗を想定した訓練

 JAレーク伊吹の伊吹支店(米原市春照)で7日、強盗を想定した訓練が行われ、職員が犯人への対応や110番通報などを確認した。

 訓練では客を装って入店した犯人役の米原署員がカウンター越しに職員に刃物を突き付けて「金を出せ!」「動くな!ぶち殺すぞ」などと大声で威嚇。持参したバッグに現金を入れるよう脅した。

 職員は犯人を刺激しないよう抵抗せずに指示に従い、犯人がバッグを持って店外の駐車場に停めていた車で逃走を図ると、カラーボールを投げつけていた。

 支店からの110番通報で駆け付けた署員には杉江修支店長が対応。犯人の服装の特徴、凶器、奪われた金額、逃走した車の車種、ナンバーなどを伝えていた。

 訓練後、杉江支店長は「動くなと脅される中でもお客さまや職員の安全確保が必要。実際には動くと切りつけられる可能性もあり、対応の難しさを痛感したが、お客さまと職員への安全を第一にしたい」と話した。

 同署生活安全課の坂口哲平課長は「犯人を刺激しない対応ができ、110番通報、カラーボールの投てきもできていた」と評価した上で、「カラーボールは車に当てると割れない可能性もある。地面にたたきつけて塗料を飛び散らせてほしい」「犯人が通った場所の現場保存をお願いしたい」と指摘していた。

 また、日ごろの心がけとして、防犯カメラの動作や表示されている時刻を確認し、駐車場に長時間、車が停まっていれば躊躇なく声をかけるよう呼びかけていた。

 訓練はJAレーク伊吹の各支店の関係者も視察。「犯人を刺激しないでお客さんをどうやって避難させればいいのか」「犯人には何人で対応すればいいのか」「かばんを投げつけられたが、実際はいくら入れればよいのか」といった質問が出され、坂口課長は「ケース・バイ・ケース。犯人が見ていないすきにこっそり言うとか、指示するだけでもお客さんは安心する」「犯人には管理職が複数人で対応を」などとアドバイスし、金額については7月に奈良県で発生した郵便局強盗の被害額が150万円だったことを例に挙げていた。

2024年8月6日

今荘ぶどう園 真夏の味覚、たわわに

10日から直売、17日から狩り

 今荘ぶどう園(今荘町)でブドウの実がたわわに実り、10日から直売、17日からブドウ狩りが始まる。

 農家3軒でつくる今荘ぶどう生産組合(佐野勝組合長)では約3㌶で16品種を栽培し、毎年、8、9月に直売している。また、農園を開放してブドウ狩りを催している。

 今年は梅雨の豪雨と猛暑という不安定な天候で実が割れるなど生育が思わしくなく、例年に比べやや収量が減るという。ただ、粒は大きく、糖度も例年並みになる見込み。

 1年を通じた世話の中で最も大変なのが房の形を整える「摘粒」。6月中旬から約1カ月、園内のブドウを一房ずつ丁寧にチェックして、粒をハサミで切り落とす。組合員1人当たり2〜3万房を担当し、組合員の冨永さん(22)は「人手が限られるので大変な作業だが、これをしないと粒が大きくならない」と語る。

 主力は酸味と甘みのバランスが良いマスカットベリーAで、子どもにも食べやすい。直売は午前8時から午後5時まで。

 ブドウ狩りは農園の一角を開放。時間無制限で自身で収穫したブドウを好きなだけ食べられる。入園料は中学生以上1500円、小人1000円、3〜5歳500円。午前9時から午後5時まで(入園は午後4時まで)。9月上旬まで。冨永さんは「時間無制限で飲食物の持ち込みもOK。ピクニック気分でゆっくりブドウ狩りを楽しんでほしい」と話している。

 問い合わせは今荘ぶどう生産組合℡(74)1322へ。

2024年8月1日

湖上水運の歴史伝える「丸子船の館」

実物を展示、子ども歓迎「自由研究にいかが?」

 昭和中期まで琵琶湖の水運を担った「丸子船」。現存する2隻のうち1隻を保管・展示している西浅井町大浦の北淡海・丸子船の館では7月31日からオリジナルの缶バッジをプレゼントする「夏休みキャンペーン」を開始。「自由研究のテーマにもぴったり」と子どもたちの来館を呼びかけている。

 丸子船は二つ割りにした丸太を胴の両側に取り付けた琵琶湖独特の船。古来、琵琶湖は水運が盛んで、京の都と各地を結ぶ物流の動脈として機能し、そこで活躍したのが丸子船だった。最盛期の江戸時代には1400隻が湖上を往来した。北陸と京を結ぶ拠点となった塩津浜は港町として繁栄し、100隻を超える船が停泊。北陸の米、四十物(あいもの、魚の干物など)、昆布などが塩津浜を通って各地へ送られた。

 同館で展示しているのは昭和30年代後半まで運航していた「神與丸」(昭和6年建造)。全長17㍍で、米俵250俵を積載できた。このほか、船体備品や航海・荷造作業備品、生活用具など往時の湖上交通の姿を伝える資料の数々を並べている。塩津港のにぎわいを伝えるジオラマもある。

 キャンペーンでは丸子船の塗り絵をオリジナル缶バッジにしてプレゼント。また、湖上水運を再現できる簡易な工作キットも希望者に配っている。

 琵琶湖水運の歴史、丸子船の造船技術、琵琶湖最大の港町として栄えた塩津浜の姿など、地域の歴史に触れる夏休みの自由研究のテーマとしても最適で、管理人の近持眞奈美さんは「丸子船は他では見られない地域の宝物。後世に大切に残してゆくためにも、まずは子どもたちに丸子船がどういうものかを知ってもらいたい」と話している。

 キャンペーンは8月31日まで。入館料は大人300円、小中学生150円(長浜、米原は無料)。開館は午前9時から午後5時まで。火曜休館。同館℡(89)1130。

2024年8月1日

長浜港で水難事故救助訓練

 琵琶湖での車両転落や船同士の衝突など、水難事故を想定した救助訓練が1日、長浜港で行われ、長浜、米原、木之本の各警察署、湖北地域消防本部、水上警察隊、民間事業者など約60人が参加。万一の事態に備え、連携体制を確認した。

 訓練は長浜港の岸壁からの車の転落、バスボートと漁船の衝突、水陸両用観光バスからの乗客の落水の3つの事故ケースを想定。県防災航空隊のヘリコプター、湖北地域消防本部の潜水隊(アクアラング隊)、水上警察隊の警備艇などが出動し、遭難者に見立てた人形などを救助していた。

 長浜港などで水陸両用の観光バスを運行するT&Tコーポレーションも訓練に参加。バスから琵琶湖に転落した乗客に浮き輪を投げ、救助作業を水上警察隊の船に引き継いだ。

 長浜署によると今年1月から今月28日までで、県内では船舶事故が20件、水難事故が6件発生している。長浜市内では1月に南浜町の琵琶湖でボートが転覆しビワマス釣りをしていた男性3人が死亡している。

 長浜署の井上和幸署長は訓練開始にあたり「本格的なレジャーシーズンが始まり、船舶事故、水難事故が懸念される。関係機関による迅速な救助活動が欠かない。連携を図って実のある訓練を行ってほしい」などとあいさつしていた。

 同署の松村直紀地域課長は「ボート遊びをする際は救命胴衣を正しく着用することが大切。7月の琵琶湖水上安全条例の改正で、酒気を帯びた状態で船舶を操船することが禁止され、罰則も設けられた。取り締まりと啓発を強化したい」と話した。