2021年7月29日

山内さんの知恵、思い

寺田町出身の村山さん、自費出版

 寺田町出身のフリーライター・村山明子さん(東近江市)が新刊「山内さんの愛おしいもの・コト・昔語り」を自費出版。絶滅の危機に瀕していた伊吹大根を復活させた木之本町古橋の山内喜平さん(94)と妻・和子さん(93)の思い出話などをまとめている。

 村山さんは知人の紹介で2017年、山内夫妻と知り合い、2人から聞き取った地域の文化や風習などを18年1月から3年間、読売新聞に月1回、折り込みの情報紙「DADAジャーナル」に連載。1冊の本にまとめた。

 山内さんは県の農業普及員をしていた1977年、無くなりかけていた伊吹大根を唯一、育てていた米原市の女性を知り、種を分けてもらった。しかし、その種は交雑が進んでおり、苦労の末、約20年かけ、原種化した。

 村山さんは山内さん宅を訪問するうち、古橋の珍しい食文化や風習などを聞くようになり、メモを取った。地元には昔から栢(バイ)の実を食べる習慣があった。バイはピスタチオのようなアーモンド大の木の実。生のままでは食べられず、本ではバイの生態から収穫、処理の方法のほか、山から生活の糧を得ていた先人の暮らしぶりなどを紹介している。

 元教員の和子さんは地元の習わしに詳しく、野辺送りの際、女性が羽織った黒打掛などや葬儀の時の装束について解説。「(最近は)コロナ禍で家族葬も増え、弔いの形が急激に変わっている」と語っている。

 また、山内夫妻は伝統食にも精通しており、オコナイのメニューや山菜のゼンマイ、発酵食の小鮎のへしこや鮎寿司の成り立ち、レシピなどを紹介。先人の知恵や思いなどが温かみのある方言を通して、伝わってくる。

 村山さんは「山内夫妻はいろんなことに感謝し、昔のことを大事にしている。今の私達にはないことであり、自分が納得したことを伝えたかった」と話している。

 A5判、175ページ。あいたくて書房、己高庵、高月観音の里歴史民俗資料館、長浜みーな編集室、伊吹山文化資料館で販売。1650円。

2021年7月28日

どうなる?お産 ⑯-⑰

⑯世界共通の「ポジティブな出産」の定義とは?

 世界保健機関(WHO)は2018年、22年ぶりに正常出産ガイドラインを改定した。その翻訳版のタイトルは「WHO推奨 ポジティブな出産体験のための分娩期ケア」(医学書院)という。各紙の過去記事を検索してみたが、WHOがガイドラインを改訂したことを伝える報道は少なかった。そこで、今回はガイドラインをそのまま紹介してみたい。

 WHOが定義する「ポジティブな出産」とは、「女性がそれまで持っていた個人的・社会文化的信念や期待を満たしたり、あるいは超えたりするような体験。臨床的にも心理的にも安全な環境で、付き添い人と、思いやりがあって技術的に優れた臨床スタッフから、実際的で情緒的な支援を継続的に受けながら、健康な赤ちゃんを産むこと。これは、ほとんどの女性は生理的な出産を望んでおり、意思決定に参加して個人的な達成感やコントロール感を得たいものだ、という前提に基づく」。この定義は、20カ国における37件の研究を元に導き出されているという。

 ガイドラインの監訳を担った元WHO職員で国立国際医療研究センターの永井真理さんは「医療従事者が女性に正確な情報を十分に提供し、相談に乗り、それを基に女性自身が自らの価値観に基づいて判断する機会があり、その判断を医療従事者が尊重する。こうした一連の流れを通して、『できるだけ安全で、かつ、できるだけ喜ばしい』妊娠出産が実現される。妊娠・出産は長い人生からみると一瞬で過ぎてしまう通過点であるが、『色んな情報を基に、相談しながら、最後は自分が決める』ポジティブな体験は、女性にとっても非常に大切である。その経験は、『子どもをどう育てるか』『自分はどう生きるか』『産むか産まないか』など、パートナーや子どもや社会との関係性にも影響を与える。そして、その後の人生を精神的に自立して歩むことにつながるだろう」(6月7日、週刊医学界新聞)。

 私はこの取材を始めるまで、お産に「ポジティブ」や「ネガティブ」があると意識したことがなかった。だから、「ポジティブ」と言われてもピンとこなかった。研究では「女性は産婦を尊重したケアを求めている」ということが世界中で一貫していると分かったという。私の周産期はどうだったか。赤ちゃんが順調に成長しているか、何事もなく産めるかに夢中で、「自分が尊重されたケアがされているか」を考えたことがなかったかもしれない。

 

(7月19日掲載)

 

⑰望めば変わる 各地で継続ケア事業開始

 私はこれまで「お産は命がけだ。赤ちゃんが無事に生まれてくれるなら、私がどんな経験をするかは二の次だ」と思っていた。でも、取材を通して出会った女性たちに「それは違う」と諭された。「妊娠初期から産後を通して、お母さんが大切にしたいと思っていることを大切にされたと思えたら、お母さんは赤ちゃんを大切にできる」と言う。「自分が尊重された経験がなければ、人を尊重できない」と言われた言葉が胸に刺さった。

 話をしてくれたのは、すべての妊婦がポジティブな出産を経験することを目指す「出産ケア政策会議」の皆さん。共同代表を務める日隈ふみ子さん、古宇田千恵さん、ドーリング景子さんは、それぞれニュージーランドで同一の助産師による産前出産産後の継続ケア制度(LMC制度)について取材、調査研究した経験がある。3人は2016年、日本でもLMCの制度化に向けた検討を始めた。翌年には政策的な視点を持って具体的に活動する会員を全国に募り、助産師や母親ら計24人で同会議を発足した。会員は、今では約100人に増えた。 

 会議は、これまでに先行するモデル事業の発掘・紹介、一般向けウェブサイトやリーフレットの制作、国や地方議員、自治体首長へのロビイング、自民党若手議員の勉強会へ参加してきた。

 LMC制度を実現するためには、助産師のケアの質や経験値の底上げも課題の一つだ。日本で働く助産師の多くは病院や診療所に勤務し、継続ケアの経験が少ないという。会議では、助産師に継続ケアの経験を積む機会を提供したり、講座を実施するなど人材育成にも努めているが、構造的な改革の必要性を訴える。

 日本では教育においても、資格や働き方においても、看護師と助産師の役割の違いが明確になっていない。世界では助産師専門の教育機関を卒業し、「助産師」として働くのが一般的で、本来の業務に集中できる環境があるという。G7の中でそうでないのは日本だけだそうだ。同会議は「日本の助産師は看護も担当せねばならず、助産に集中できていない」と言う。

 現状では、妊産婦の99%が診療所か病院で出産し、残りの1%だけが開業助産師による継続ケアを受けている。会議が目指す変革はとても難しいことだ、と思う。でも、実際に彼女たちが働きかけた結果、兵庫県の2市町では一部の妊産婦を、大阪府寝屋川市では全妊産婦を対象にした、助産師による産前産後の部分的な継続ケア事業が始まった。自民党では「こども庁」創設案に参考とすべき仕組みの一つとして、LMC制度が示された。社会は少しずつ、変わり始めている。

 私もそうしたいと望み、動けば、社会を変えていけるのかもしれない。まずは地元の仲間たちとどんな産前出産産後ケアを受けたいと思うのか、自分事として語り合ってみたいと思う。

 

堀江昌史

(7月28日掲載)

 

2021年7月28日

アルプホルンを自作、演奏

内保町の笹尾さん、岐阜まで通い

 内保町の笹尾朗さん(57)はアルプホルンに魅了され、岐阜県美濃加茂市の愛好家団体に入り、楽器の自作、演奏を楽しんでいる。

 オーケストラなどでホルンを担当していた笹尾さんは動画投稿サイト・ユーチューブでアルプホルンの「素朴な音」に惚れ、楽器を自作している演奏団体があることを知り、2013年、「みのかもアルプホルンクラブ」(渡辺寿一会長)に入会した。

 伝統楽器のアルプホルンはスイスなどで牛や羊を呼ぶために使われた。長い円すい形で先端が牛の角のように曲がっており、長さは3・4㍍もある。

 同クラブでは森林保全のため、地元、東濃地区のヒノキの間伐材を活用し、楽器を製作している。笹尾さんは週末、岐阜の工房まで通い、専用工具や手作業により約3カ月半かけ、アルプホルンを完成させた。

 楽器にはマウスピースが取り付けてあるだけで、指で押さえるボタンや穴がなく、吹き方により音階を調整する。笹尾さんは仲間12人と岐阜県を中心に演奏活動をしていたが、コロナ禍で活動を休止。23日の「伊吹山ユウスゲまつり」で1年半ぶりに演奏を披露した。

 笹尾さんは「長浜も周囲が森林に囲まれている。楽器の製作や演奏できる環境が整い、仲間ができれば嬉しい」とアルプホルンの普及を呼びかけていた。

2021年7月27日

滋賀シスターズJr 急成長で躍進 近畿準優勝

長浜の小学生で構成 今週末全国大会

 長浜市内の小学生で構成する女子ソフトボールチームの滋賀シスターズJrが24、25日に草津市で開かれた近畿大会で準優勝した。31日からは宮崎市での全国大会に出場する予定で、活躍が期待されている。

 滋賀シスターズJrは長浜小の児童による「長小シスターズ」として長年活動していたが、他校の児童の参加が増えたことから、チーム名を改めた。毎週末、長浜小グラウンドで練習している。

 11チームが出場した近畿大会はトーナメントで競い、初戦の福知山ブルーファイターズ(京都府)を22対2で下すなど順調に勝ち上がった。決勝の相手は県大会でも対戦した強豪の草津レインボーガールズで、0対18で敗れた。

 今年のチームは経験の浅い選手が多く、5月に行われた県大会(3チーム出場)では1勝もできなかった。それが近畿大会で決勝まで勝ち上がる快挙に、中川由紀夫監督は「県予選で一番弱かったチームが急成長し、ここまで頑張ってくれた。私自身びっくりしている」と振り返る。

 31日から8月3日まで開かれる全国大会には42チームが出場し、トーナメントで頂点を目指す。滋賀シスターズJrは31日の初戦で深谷ジュニアソフトボールクラブ(埼玉県)と戦う。中川監督は「地道に練習に打ち込んできた成果。全国大会でもそれぞれの力を発揮して欲しい」と語る。

 キャプテンの近藤絆さん(長浜小6年)は近畿大会準優勝に「皆で頑張った結果。これからも練習してもっと強くなりたい」と語る。現在、開催中の東京五輪の女子ソフトボール競技では日本代表が決勝戦に駒を進め、27日夜にアメリカ代表と対戦する。近藤さんは「私たちも五輪選手みたいに諦めず、全国大会を精一杯がんばりたい」と話している。近畿大会出場選手は次の皆さん。

 近藤絆(長浜6)、畑中紬希(同)、浅井玲香(同)、小谷美珠稀(同5)、板谷一花(虎姫5)、高筒莉乃(湯田5)、八田佳音(長浜北5)、松井百花(虎姫5)、瀧上咲萊(長浜南4)、川瀬智奈(長浜北4)、林百花(長浜南4)、岩崎ゆめ(長浜北3)、武井里咲(同)、渡辺陽葵(同)、縣茉歩(同)。

2021年7月26日

異種金属の接合技術を追究

大橋鉄工 「摩擦圧接」で脱下請け目指す

 ステンレスとアルミ、耐熱鋼とチタンなど、従来の溶接技術では難しい異種金属や非鉄金属の接合に、産業用機械部品メーカー「大橋鉄工」(三ツ矢町)が特殊な技術を用いて挑戦している。

 一般的に金属を接合する場合は「機械的結合」(ボルト締めなど)、「材質的結合」(溶接など)、「化学的結合」(接着など)の3種類の方法に大別でき、同社が取り組むのは材質的結合。ただ、従来の溶接技術では異種金属や非鉄金属を強固に接合するのは困難で、そこで同社が目に付けたのが「摩擦圧接」と呼ばれる技術。金属を高速回転させることで発生する摩擦熱と強圧力を利用して金属同士を一体化させる。

 例えば鉄金属のニッケルと、非鉄金属のアルミを接合する場合は片方の金属を分速2500回の高速回転で約1・5秒間回して、接合面を摩擦熱で660度まで上昇させたうえ、そこに1平方㌢当たり70㌔という強圧力を加える。こうすることで、双方の金属を瞬時に接合できる。

 同社は2008年から摩擦圧接の研究に取り組んでいる。回転数、温度、圧力は接合する金属によって異なることから、試行を繰り返しては、強度の評価を龍谷大理工学部・森正和研究室に依頼している。

 同社は産業用エンジン部品や自動車部品の下請けメーカーとして70年余りの歴史を持つが、なぜ、ここにきて摩擦圧接を追究するのか。大橋正明社長(67)は「下請けだけでは、我々小さな製造業は生き残れない。独自性のある商品や技術が必要」と語る。

 異種金属を強固に接合するこの技術では、負荷のかかる部分には耐久性のある高価な金属を、それ以外の部分には安価で軽量な金属を用いることが可能となり、部品の耐久性、低コスト化、軽量化を図れることが大きなメリットという。例えばニッケルとアルミを接合すれば、軽量さと硬さを両立させた部品を実現できる。

 ただ、異種金属を接合するこの技術は広く知られていないため、マーケットの広がりは未知数。大橋社長は「今後は展示会などで技術を広め、顧客を開拓したい」と話し、摩擦圧接を研究する製造部の赤尾文彰さん(38)は「まだ実現していない金属同士の接合もあり、その技術を確立させたい」と話している。

2021年7月21日

イエモン・吉井さんと長濱蒸溜所が共作

ウイスキー2種 8月19日から数量限定販売

 長浜浪漫ビールが運営するウイスキー蒸溜所「長濱蒸溜所」は、日本を代表するロックミュージシャン・吉井和哉さんとの共作「YAZŪKA(ヤズーカ) World Whisky」2種類を商品化。8月19日から数量限定で販売する。

 THE YELLOW MONKEYのボーカルとしても知られる吉井さんは、レコーディングやライブでスコットランドを訪れた際、スコッチウイスキーの味に衝撃を受け、その魅力に傾倒。「いつか自身の人生を投影したウイスキーを作りたいという気持ちが強くなっていた」という。

 趣味の釣りで日ごろ訪れている琵琶湖の近くにウイスキー蒸留所があることを知ったのが、今回のウイスキー誕生の縁となった。吉井さんが味のテーマ設定に始まり、ブレンディング、テイスティング、樽選定にまで徹底的にこだわって仕上げ、長濱蒸溜所のオリジナルモルト原酒をベースに、海外産のモルト原酒やグレーンウイスキーをブレンドした。

 ウイスキーの名前は楽曲のタイトルから引用し、父親への思いを馳せた「Father」と、スコットランドでジャケット撮影を行った「BEAUTIFUL」の2種類。吉井さんは「どんな酒にもストーリーがあるはず。僕の曲を聴いてくださるように、このウイスキーを味わっていただけたら嬉しい」とコメントしている。

 各700㍉㍑、8800円。各6000本を販売。問い合わせは長浜浪漫ビール℡(63)4300へ。

2021年7月19日

神明浜に新ビーチリゾート

OUMI WAVE、22日オープン

 米原市宇賀野の神明浜に22日、今、話題の水上スポーツやテントサウナなどが楽しめるビーチリゾート「OUMI WAVE(オウミウェーブ)」がオープンする。

 グリーンパーク山東やグランスノー奥伊吹を運営する奥伊吹観光(草野丈太社長)が旧神明キャンプ場を改修し、若者向けにプロデュース。「遊ぶ、くつろぐ、食べる」をコンセプトに目前の琵琶湖と大自然を感じながら、非日常空間を体験できる。

 遠浅で松林に囲まれた湖岸約100㍍の砂浜をきれいに整備し、屋根付きのウッドデッキや木製ベンチ、バーベキュースペースなどがあるシェードテラスを設けた。

 ご当地グルメやB級グルメ、カフェメニューや本格バーガーなどが味わえるキッチンカーを配置。人気のテントサウナやパドルを漕いで湖面を進むボード「SUP(スタンドアップパドルボード)」、カヤックなどが楽しめる。

 同社は旧神明キャンプ場を管理していた地元老人会から「若者向けの施設を」という要望を受け、今までに無い新スタイルの水泳場を企画。地元との「共存共栄」を基本に掲げており、「ここまで若者向けに特化したビーチリゾートは県内ではないのでは」(同社)と話している。

 営業は午前10時から日没、9月26日(遊泳は8月31日)まで。入場料は大人500円、子ども300円。駐車料、施設利用料、各種持込料は別。問い合わせはグリーンパーク山東℡(55)3751へ。

 

 

2021年7月14日

カフェ&卓球&サロン

納屋改修し、地域交流の場「笑福」

 米原市小田に卓球などが楽しめるカフェ「テキナハウス」ができ、人々の交流の場として賑わっている。

 元市役所職員のオーナー・竹腰裕紀さん(66)は昨年、コロナ禍で運動不足となっている人たちのために空いていた築50年以上の農業倉庫を卓球場にしようと考えた。

 譲り受けた卓球台2台並べ、内外装をセルフリノベーションしたところ、子どもから大人までが利用するようになった。高齢者支援をより充実させようと、お茶の間サロンを開設。現役時代からの夢だったカフェにするため、厨房を設けた。

 伊吹山が目前に見える木造平屋のカフェは今年1月オープン。解体後の旧柏原小学校体育館の木組みを流用しており、落ちついた雰囲気。広い客間は自由にレイアウトができ、絵画などを展示できるギャラリーやライブハウスとしても活用できる。

 カフェ自慢のメニューは海外経験豊かな地元の料理人から教わったインド・パキスタン仕込みの本格カレー。スパイシーで後から来る辛さが病みつきになる、と評判だという。

 竹腰さんは「時にはカフェ、時にはピンポンハウス、時にはギャラリーと『〜的な』いろんなことがやりたかった。地域の人に支えられながら、地域の人に笑顔をプレゼントしたい」と話している。

鈴木さんの昆虫展 出雲さんのレジンも

 「笑福」で25日まで、地元の住職・鈴木清見さん(64)の昆虫展が開かれている。

 鈴木さんは子どもの頃から虫が好きで、高校時代には伊吹山の昆虫をレポートにまとめ、蝶や蛾を研究する「日本学会」に入会。1985年、学会の一員として18日間、南米ペルーに赴き、1000匹を採集した。

 昆虫展ではペルーの源流域で採集した色鮮やかな蝶や蛾をはじめ、子どもに人気のアルキデスヒラクワガタやアトラスオオカブトなど約1500点の標本を展示している。

 鈴木さんは「自分の身の周りにどれだけ命があるか、知ってほしい」と話している。このほか、レジン作家の出雲滋子さんの作品展も開催。昆虫をモチーフにしたレジン、プラバン約50点を展示販売している。

 営業時間は午前10時から午後4時、会期中は無休。問い合わせは笑福℡090(5004)8586へ。

2021年7月13日

メロンの出荷、販売開始!

作ったら売れる、小谷城メロン スマートIC農場は14日から収穫

 梅雨明け間近の長浜市内の農場で、メロンの出荷、販売が始まる。

 小谷城スマートインターチェンジ栽培実験農場で栽培している「(仮称)小谷城メロン」はあす14日から収穫を開始。市内の道の駅などで販売される。

 農場では今シーズン、ビニールハウス計3棟、約60㌃で、緑の果肉のアールスミラノ春Ⅱを1160本栽培。700〜800個の出荷を予定している。

 栽培法として発泡スチロールに土を入れ、水やりや液肥を自動的にする装置を導入。ミツバチによる自然交配などをしている。13日には近くの小谷小3年生12人が社会科の一環として、農場を訪問。湖国農産の脇坂良平農場長からメロンの育て方や流通などを学んだ。

 脇坂さんは高級マスクメロンを栽培する理由として「消費者ニーズが多く、作ったら確実に売れる」と説明。市農林政策課の星野美音さんは「メロンが終わった後もキャベツやミニトマト、キュウリなどを栽培するため、畑が空っぽにならない」と話した。

 この後、児童たちはメロンの葉や果実にふれ、試食。松橋花穏さんは「かなり甘い。買って食べてみたい」と話していた。

 なお、収穫されたメロンは市内の道の駅や産直施設、コープなどで販売される。

 

戦っている農家の結晶 たかつきメロン、16日から発売

 夏の味覚「たかつきメロン」の販売が16日から、高月町高月の農産物販売所「ゆめまる館」で始まる。

 販売する緑色の果肉、アールス系2種のメロンは上品でさっぱりとした甘みが特徴。今年は大きさ、甘さとも平年並み。

 栽培しているJA北びわこ高月施設園芸部会の部員は高齢化などで山口哲生さん(52)と横川雄一さん(47)の2人だけになってしまったが、昨年4軒の農家が栽培していた2000平方㍍、7棟のビニールハウスを維持。前年比106%、2540個の出荷を予定している。

 栽培歴7年の山口さんは三ツ矢町からの「通い農家」。経験と実績を頼りに、玉を大きくしたり、きれいな網目を出すため、高温のビニールハウスの中で連日、奮闘しており「メロンは戦っている農家の結晶」「手間ひまかけて、栽培しているから自信がある」と語っている。

 毎年、1週間ほどで完売する人気ぶり。今シーズンはより多くの人に味わってもらおうと、予約販売を中止。店内の混雑を避けながら、対面販売のみとする。

 1個入り2000円〜2200円、2個入り3800〜4100円。宅配可。午前9時半から午後4時まで。無休。なくなり次第終了。問い合わせはゆめまる館℡(85)6033へ。

2021年7月8日

どうなる?お産 ⑭-⑮

⑭NZお産体験「LMCは頼もしい存在」

 リスクや出産場所に関係なく、産前・出産・産後を通して同じ専門家からのケアを受けられるニュージーランド(NZ)のLMC制度。昨年、その制度を利用して出産した知人に体験談を聞いた。

 長浜市出身の愛さん(35)は、2017年4月にNZに移住。19年3月ごろに、かかりつけの家庭医で検査を受けて妊娠が確定した。その際、医師から「助産師を探してね」と言われ、自然に助産師を選ぶことになったという。

 愛さんは助産師を探すために「Find Your Midwife」というサイトを利用した。このサイトでは、自分の暮らす地域で活動する「midwife」(助産師)の経歴や言語、空いているスケジュール、選べる出産場所などを確認することができる。日本と同じように口コミや知人の紹介で選ぶ人が多いという。

 しかし、愛さんは出産予定日が年末に近かったため休暇を取る助産師が多く、担当助産師を見つけるのに大変苦労した。10人以上に連絡を取り、スケジュールの空いていた中国人の助産師に決めた。妊娠発覚から5、6週間が経ち、決まるまではとても心配したという。愛さんは「クリスマスやイースターホリデー付近は助産師を見つけるのが大変。選んだ後に相性が合わない場合担当を変更することはできるが、出産時期に近づくほど助産師を見つけるのは難しくなると思う」と話す。

 妊婦健診は妊娠中期までは月1回、36週以降は週1回、バースケア(助産師主導の出産施設)の健診スペースで受けた。内容は尿検査や体重、腹囲、胎児の心音のチェックなどで約30分。健診の度に気になることを話し、アドバイスを受けることができて安心した。また、愛さんはLMCに「自然なお産がしたい」とバースプランを事前に伝え、助産師からも「へその緒を夫に切ってもらうか」などいくつかのチェックリストを渡されて希望を確認しあったという。

 出産場所は、高齢初産が気になり病院を選んだ。陣痛が始まり入院するとLMCが駆けつけ、病院の産科医と勤務助産師も立ち合ってお産が始まった。陣痛の間は自由に動くことができ、産む体制も選べる。陣痛から26時間が経過し、病院の助産師が「このままでは帝王切開」と告げた際に、LMCが「あなたは帝王切開しなくても産めるはず!大丈夫!」と手を握って励まし続けてくれたという。

 結局、35時間かかって無事に経腟分娩が叶った。愛さんは「LMCの存在がなければ、病院側の帝王切開の進言を拒めなかった。LMCが間に入り、私の希望を尊重してくれたのは、それまで築いてきた信頼関係があったからこそだと感じた」。

 その後も1カ月間、LMCは愛さんの自宅を訪問し、親身に相談に乗ってくれた。愛さんにとってLMCは「医学的にも精神的にも支えてもらえる頼もしい存在。もし2人目が出来たらぜひ同じ助産師にお願いしたい」と語った。

愛さんと赤ちゃんの介助をしたLMC助産師=愛さん提供

(7月2日掲載)

  ⑮助産師主導のお産の 安全性のエビデンス

 産前出産産後を通して、同じ専門家から継続的なケアを受けられるLMC制度。その効果は、産後うつや育児不安の予防だけではないという。

 世界保健機関(WHO)は2018年2月、22年ぶりに正常出産ガイドラインを改定した。56項目のうち、分娩全体にわたって推奨される4項目のケアの一つとして「助産師主導の継続ケア」が挙げられている。日本語版翻訳に携わったドーリング景子さん(京都大大学院医学研究科助教、助産師)によれば、ガイドラインは世界の臨床研究を系統的にまとめる最新のコクランレビューが明らかにしたエビデンスなどに基づいて定められているという。

 そのうち、オーストラリア、カナダ、アイルランド、英国における1万7674人の女性を対象とした15件の研究をまとめたレビューによれば、助産師主導の継続ケアを受けた産婦は他のケアと比べて、流産が19%、出産前後の赤ちゃんの死亡が16%、早産が24%減少していたことが分かった。また、帝王切開の割合に有意な差は無く、むしろ会陰切開の割合、吸引分娩・鉗子分娩の割合が減り、自然な経腟分娩が増えることが示された。助産師主導のケアが、他のケアに劣るという結果は特になかった。また、他のケアに比べ費用効果が高いことを明らかにした研究もある。

 ドーリングさんは「すでに医療の発達している国においても、これだけの効果が出るということが分かった。助産師による継続ケアは母子の安全や命をこれまで以上に守ることができる」と説く。

 私はこのエビデンスを示されて、天地がひっくり返る思いだった。これまで正直、助産師主導のお産は「安全性が低く危ない」とどこかで思っていた。その根拠として良く見聞きしたひとつが「戦後、自宅分娩から施設分娩へと体制が変化したことで妊産婦、周産期死亡率が劇的に改善した」という定説だ。

 そこで、人口動態統計を記録に残る1899年からの妊産婦死亡率を表にしてみて、驚いた。死亡率は戦前のずっと前、明治時代から下がり続けていた。1868年に出産介助者を定めた「産婆取締規則」が交付され、全国各地に産婆学校が設けられたことが貢献しているという(2015=中山まきこ、同志社女子大)。また、死亡率の低下は施設化のみならず、社会におけるインフラの整備、栄養状態の向上、健康教育への取り組みなど環境因子の改善によるところが大きいという研究もある(2002=マースデン・ワーグナー、元WHO母子保健局長)。周産期死亡率の統計からも、病院出産と周産期死亡率の低下に相関関係は見られなかった(1995=松岡悦子、旭川医科大)。

 だが当然ながら、病院は絶対に必要だ。ハイリスクのケースに対処できるのは医師だけであり、すべての出産が助産師だけで可能なわけではない。リスクの見極めが的確にされ、病院と助産師の連携が取れる環境がしっかりと整うなら、助産師の継続ケアを受けた分娩も不安ではない、と私は思った。

堀江昌史

(7月8日掲載)

2021年7月7日

入場無料継続へ活動資金募る

長浜プロレスがクラウドファンディング 返礼品はレスラーの個人レッスンなど

 湖北地域を舞台に無料でプロレス興行を行っている団体「長浜プロレス」はクラウドファンディングで活動資金を募っている。今後も、入場無料の興行を続けるためで、寄付者には同団体を代表するレスラー、エル・ヒキヤマによる個人レッスンなどユニークな返礼品を用意している。

 長浜プロレスは、プロレスを通じて長浜の街と曳山まつりを盛り上げようと、2019年に市民有志が立ち上げたご当地プロレス団体。同年秋の旗揚げ大会を終え、20年からは興行を重ねて知名度アップを図る予定だったが、新型コロナの影響で予定されていた公演がすべて中止に。それでもメンバーは地道にトレーニングを続け、昨年11月に旗揚げ1周年興行を行って再始動ののろしを上げた。

 長浜プロレスの大会は多くの市民にプロレスの魅力を伝えようと入場料を無料とし、Tシャツなどのグッズ販売で活動資金をまかなっているが、リングの修繕費や大会運営費、米原市内に設けた道場の設備投資、レスラーのマスクやコスチュームなど費用の捻出が課題となっている。

 コロナ禍でイベントが次々と中止となり、「商店街や地域の施設に元気がまったくない。自分の大好きな長浜が変わってしまっているのを黙って見ていられない」と語るのはエル・ヒキヤマ。「今こそプロレスの精神で、『何度でも立ち上がる』を体現し、プロレスを通じて地域を再生する」と意気込み、市民に協力を呼びかけている。

 寄付金額の目標は150万円。金額に応じてステッカー、Tシャツ、マスクをプレゼントし、企業向けにはリングの鉄柱への広告掲載がある。また、エル・ヒキヤマから筋トレやプロレスの個人指導を受けられる権利もある。詳細はクラウドファンディングの「キャンプファイヤー」(https://bit.ly/36BdR8O)で。

2021年7月2日

古民家で地域の活性化は?

余呉で「お知恵拝借」意見交換会

 「古い空き家を改修したが、どうやって活用、展開してゆけば?」—古民家の有効活用を参加者に考えてもらうというユニークなセミナーが1日、余呉町上丹生の「城楽邸」で開かれ、参加者が古民家と地域資源を生かしたまちおこしについて意見交換した。

 会場となった「城楽邸」はオーナーの城楽直さん(64)の生家で、130年前に建てられた。10年前から空き家となり、4年前の台風で屋根が損壊したことを機に「地域の活性化に役立てたい」とリフォームを決意。典型的な余呉型古民家で、骨格部分の太い梁や土間など、昔の佇まいを残しながら、時代に合わせた内外装や水廻りに改修。農家民宿をしようと考えた。

 しかし、城楽さんは民泊経営のノウハウを持っておらず、地域特性化に取り組む「丹生の里暮らし協議会」に相談。地域の人たちや有識者の知恵を「拝借」することに。

 セミナーでは米原市大久保で田舎体験民宿「大門坂」、そば屋「久次郎」などを経営している谷口隆一さんから体験談を聞いた上、参加者22人が意見交換した。

 谷口さんは伊吹大根やヨモギなど地域素材を活用し、特産品を生産。インターネットやマスコミによる情報発信などにより、ファンを獲得していることを説明。「途中でやめることは失敗。自分が好きなことを始めたのだから、信念を貫き、地域に愛着を持って、継続することが大切」などとアドバイスした。

 参加者からは「余呉ではシソやショウガ、丹生ごぼう、アユ、茶わん祭りなどがあり、新たな工夫、仕掛けを作れば」「コロナ禍で田舎が見直されている。余呉の素晴らしさを再認識し、おもてなしができるようにすれば」「高齢化率0%の新集落を作れば、ニュースとなり、人を呼び込むことができる」などの意見が出ていた。