2023年2月28日

ドジョウ捕まえにっこり

辻さん、さざなみタウンで安来節教室

 絣(かすり)の衣服に、手拭いのほっかむり。鼻に一文銭、腰にはビク。あたりを見回してドジョウを探し、足を使ってザルへと追い込み、巧みにすくい上げれば満面の笑み—。「どじょうすくい踊り」で知られる島根県安来市の伝統芸能「安来節」の師範として、高月町井口の辻政雄さん(81)がさざなみタウンを拠点に踊りの普及に乗り出している。

 踊りは民謡「安来節」のリズムに合わせてドジョウをすくう時の動作を真似て手振り身振りで面白おかしく踊る大衆演芸で、酒席などで親しまれてきた。その伝統を受け継ぐ安来節保存会は同市を拠点に全国55支部(うち島根県23支部)あり、会員2100人が公演などを通じて、その魅力を発信している。

 15年程前に安来節に出会った辻さんは、県立文産会館で開かれていた講座に通って技能を身に付け、2年前に保存会から師範の免状を受けた。コロナ禍で思うように活動できなかったが、今年から本格的に普及に乗り出した。妻のつやさん(77)と一緒にさざなみタウンで教室を開き、参加者を募っている。

 コロナ禍前は老人会や子ども会に呼ばれ、拍手喝さいを浴びた。コロナ後の出番増加を見据え、一緒に踊る仲間の輪を広げたい考えだ。辻さんは「人を笑顔にするのがどじょうすくいの魅力。踊っているこちらもウキウキとした気分になる。一緒にお客さんを腹の底から笑わせて、笑顔になりませんか」と呼びかけている。

 練習は月2回程度。3月は10日、24日、4月は20日、29日に開く。時間はいずれも午後1時から3時まで。問い合わせは辻さん℡(85)4339へ。

2023年2月20日

三田町に「おむすびパーク」

県立大生が木製遊具を設置

 県立大学の環境建築デザイン学科と生活デザイン学科の学生でつくる「多賀木匠塾」が長浜産のスギで屋外用の遊具を作り、19日、三田町の空き地に設置した。

 多賀木匠塾は多賀町産の木材を利用した環境教育と地域貢献活動の一環で2003年に活動が始まり、地域からの要望に応えるかたちで遊具などを手作りしている。県立大非常勤講師で多賀町の建築士・中西茂行さんが指導し、現在、1〜3年生の107人が所属している。

 三田町自治会では公会堂近くに設置していた遊具を老朽化のために撤去したのを機に、多賀木匠塾に遊具の制作を依頼。学生が9グループに分かれて遊具のアイデアを出し合い、1月25日にオンラインで実施したデザインコンペで、自治会役員や子どもたちが「おむすびパーク」と題したデザイン案を選んだ。

 19日は学生89人があらかじめ制作したパーツをトラックに積んで三田町を訪れ、公会堂の隣にある空き地で組み立てた。4時間ほどの作業で、三角形のおむすび型の遊具2基が設置され、さっそく地域の子どもたちが登って遊んだり、ブランコに揺られたりして、木が香る遊具を満喫していた。

 多賀木匠塾のリーダーの折野このかさん(20)=2年=は「安全性を確保しながら、地域のモニュメントとなるようなデザインとしている。ベンチもあるので、小さな子どもから大人まで幅広い年代の方に使ってもらえる。世代間交流ができる場になれば嬉しい」と話し、草野真弘自治会長(69)は「三田町は米作りを大切にしている。おむすび型の遊具としてもらったことに、繋がりを感じる。ありがたいことです」と喜んだ。

 今後も学生が定期的に三田町を訪れて遊具をメンテナンスするほか、公会堂を活用した合宿も計画されており、三田町と県立大学の交流が生まれる機会となった。

2023年2月20日

調理短期大学校 閉校へ

入学者減少で24年度の募集停止

 県調理短期大学校(分木町)が2024年度の生徒募集を取り止め、同年度末に閉校する見通しとなった。入学者の減少に伴って経営の厳しさが増しているためで、学校を運営する職業訓練法人・県調理技能協会が16日の臨時総会で生徒募集の中止を決めた。

 同校は、調理業界の人材養成のため、県の施設を借りて1992年に開校。2年間をかけて日本料理、西洋料理、中国料理、寿司など各種料理や製菓、サービスなど食に関するさまざまな分野を学びながら、提携する飲食店で勤務して訓練を積むのが特徴となっている。卒業生は500人を超え、一昨年には創立30周年記念式典が開かれた。

 近年は入学者が定員(25人)を下回る年が連続し、入学者が10人を割り込む年もあった。現在は1年生15人、2年生19人とやや持ち直したが、今年4月の入学者は現段階で8人の見込み。総会では、このまま定員を割り続ければ経営がますます厳しくなるとして24年度の生徒募集の取り止めを決めたが、出席者からは学校の存続を求める意見も出た。

 入学者の減少の背景は、若者人口の減少や民間調理専門学校への進学、高校で調理師免許を取得できる彦根総合高校フードクリエイト科の誕生などが考えられるが、杉澤和雄校長は「訓練校なので生徒は事業所で働きながら授業を受ける。今の時代にそぐわなくなっているのかもしれない」とも指摘している。

 同校の在校生は人材不足に悩まされる地域の飲食店やホテルを支え、卒業生は調理現場の主力として活躍している。同校の閉校について「先人が築いてくれた人材確保の道が閉ざされるという不安感がある」と語るのは市内の飲食店の経営者。同店では生徒や卒業生を受け入れており、「定着率が高く、お店に貢献してくれているので、調短がなくなると将来的には人材確保の面で影響を受ける」と不安をもらしている。

 また、別の経営者も「調短がなくなれば、板場さんら人材の確保が難しくなる。京都や大阪の専門学校に進学した若者もすぐには地元に戻ってきてくれない」と危機感を募らせる。

存続に向けて動きも

 募集停止の決定を受け、地元有志が「県内で調理師を育てる必要ある」として、老朽化した学校施設の移転を含め、調理短期大学校を運営する新たな受け皿づくりを模索。県や市に支援を求める動きも急浮上している。このまま閉校に至るのか、存続に向け起死回生を図れるのか、今春の入学生が卒業するまでの2年間が正念場となりそう。

2023年2月14日

「音楽で感動や笑顔を」 ライブツアー開始

米原高出身4人バンド「アバランチ」新作リリース

 米原高校出身の同級生4人バンド「AVALANCHE(アバランチ)」が13日、新作CD「未来旅行」をリリースし、県内外でライブツアーをスタートさせた。ボーカルの松田翔汰さん(21)=米原市出身=は「音楽にど真剣に向き合ってたくさんの人に感動や笑顔を与える曲を作りたい」と語っている。

 松田さんは米原高入学後、米原中学時代からの同級生でドラム担当の樋口賛さん(21)=米原市出身=と文化祭での発表を計画し、ギターの高橋智紀さん(21)=彦根市出身=を加えた3人で演奏を披露。この発表に刺激を受けたベースの川崎佑斗さん(21)=近江八幡市出身=を入れた4人でAVALANCHEを結成した。

 AVALANCHEは日本語で雪崩の意味。「雪崩のように勢いのあるバンドになりたい。迫力あるライブがしたい」との思いを込めた。高校時代は彦根市内のライブハウスに出演するなど活動していたが、受験勉強や新型コロナウイルスの影響で活動できない状況となり、休止状態になった。

 大学1年の冬、知人の紹介で滋賀を中心に活動している「〜Lefa〜」の北川陽大さん主催のライブに出演したことをきっかけに「もう一度、真剣に音楽に向き合いたい」と思うようになったという。

 昨年3月に初めてのシングル「『陽』『さがしもの』」をリリース。5月には活動拠点を大阪に移しこれまでに15回ほどライブ活動を重ねてきた。

 「未来旅行」は終電を逃した主人公の前に現れた女性に心を奪われ、夢の中でタイムマシーンに乗ってその女性との未来を見に行ったが、振られてしまうという設定。恋はダメだったかもしれないが、一瞬だけでも楽しい思い出ができて幸せだったとの思いを歌にした。他2曲を収録している。

 松田さんは「現在まだ新型コロナウイルスが猛威を振るっている中、悲しいニュースを耳にする機会も多いかもしれないが、前を向いて進むことで明るい未来はきっとやってくる、そう信じて生きていこうという思いを込めた」と説明する。

 CDは彦根市中央町のTied Musicやライブハウスで販売。「SPOTIFY」などの音楽配信アプリで聴ける。ミュージックビデオもユーチューブ(https://www.youtube.com/@avalanche.official)などで公開。

 リリースを記念したライブツアーは13日の大阪市を皮切りに、26日に浜大津B—FLAT、3月21日にえきまちテラス長浜、23日に再び大阪市内でライブを予定している。

 松田さんは「3年後には県立文産会館や(大阪の)なんばHatchなどキャパ1000人を超える場所でライブをしたい。そして有名になって、湖北を盛り上げたい」と夢を語っている。

2023年2月13日

黒壁でガラスの雛まつり

展示や体験など  3月3日まで

 3月3日の「桃の節句」を前に、黒壁スクエアで「春の訪れ 黒壁ガラスの雛まつり」が開かれている。

 黒壁ガラス館ではミニチュアのガラス製雛人形が並び、その可愛らしさが観光客から人気を集めている。黒壁ガラススタジオでは黒壁や全国の作家が手作りした繊細で格調高い人形が並び、プレゼント用などに喜ばれている。

 黒壁体験教室では愛らしい雛人形をガラスボールの中に飾る体験、黒壁オルゴール館ではオルゴールをミニチュアの雛人形などでデコレーションする体験を楽しめる。

 黒壁ガラスの雛まつりは3月3日まで。

市街地では雛めぐり 64店舗が自慢の人形陳列

 黒壁スクエアや中心市街地一帯では商店の店頭で雛人形を楽しめる「長浜のお雛さまめぐり」が開かれている。

 今年で14回目を迎える風物詩で、NPO法人まちづくり役場が市街地の回遊性を高めようと展示を呼びかけ、賛同した商店や観光施設など64店が店頭や店内に自慢のひな人形を陳列。江戸時代や大正時代から伝わる家宝の人形や、手作りのつるし雛、木目込み人形などが並んでいる。まちづくり役場では「市街地を巡って各商店の貴重な雛人形を楽しんでほしい」と話している。3月8日まで。

 

2023年2月9日

個性で勝負!鴨の里盆梅展

ライバルは長浜? 今年は金魚すくいも

 山東盆梅愛好会が育てた梅の鉢植えを展示する「鴨の里盆梅展」がグリーンパーク山東内のすぱーく山東で始まった。愛好会会長の鈴木喜義さん(80)は長浜市の慶雲館で開かれている「長浜盆梅展」にライバル心を燃やし、「盆梅の数と、個性豊かな表情は長浜を上回る」とPRしている。

 今年で40回目を迎える鴨の里盆梅展は梅の花の咲き具合に合わせて最大約150鉢を展示。愛好会のメンバー23人がそれぞれ自宅で育てており、推定樹齢300年の老木をはじめ、一刀両断されたかのように太い幹が左右に割れた「武蔵」、幹の中央に大きな穴が空いた「道行」など、その個性が見どころとなっている。

 幹の表皮だけを残し、木の棒に支えながらも花を付けている盆梅もあり、鈴木さんは「杖をついて花を咲かせるようすに、高齢の方が元気づけられている」と話す。

 「ライバル」の長浜盆梅展が3万人を超える観覧客でにぎわうのに対し、こちらは2000人を割り込む。このため、今年は会場内で「ミニ蘭展」を開催して色とりどりの洋ランを並べているほか、子どもたちも楽しめるように金魚すくいのコーナーも設けた(1回100円)。

 「今年の目標は1万人」と意気込む鈴木さん。「雪化粧の伊吹山と盆梅を一緒に楽しめ、バリアフリーなので車椅子でも入場できる。長浜にはない魅力がいっぱいです」と来場を呼びかけている。

 入場料は大学生以上400円、中高生200円、小学生以下無料。「探梅」「賞梅」「送梅」と何度も梅の花の表情を楽しめるフリーパスは1000円。午前9時半から午後4時半、3月12日まで。問い合わせはグリーンパーク山東℡(55)3751。

2023年2月6日

近江米食味コンクール 杉野の米が2年連続入賞

有機肥料ネットワークのメンバー

 木之本町杉野の住民有志でつくる有機肥料 杉野米ネットワークの木下國保さん(68)は「近江米食味コンクール」(近江米振興協会主催)で優秀賞を受賞。地元米のブランド化を目指している同グループからは2年連続の入賞で、喜びの声があがっている。

 杉野の田んぼは棚田で、除草や水管理が難しい上、サルや鹿による獣害もあり、収量が少ない。しかし、寒暖差があり、森のミネラルを豊富に含んだ谷川の水を使っているため、おいしい米がとれる。グループの代表・宮前英之さん(68)は10年前、化学肥料などを使わない稲作を開始。地元米のブランド化を図ろうと、木下さんや山根税さん(67)、佐々木與惣雄さん(71)とネットワークを立ち上げ、協力しながら栽培技術の向上を図っている。

 メンバーは「量より質」にこだわった米作りを目指し、牛糞による土作り、油カスの施肥などにこだわったところ、「黄金色の稲穂」「魚沼よりうまい」などと評判に。「谷水育ち杉野米」として販売すると飛ぶように売れた。

 令和3年度、同コンクール「環境こだわりコシヒカリ部門」で宮前さんが、同4年度は木下さんが110点の中から優秀賞を受賞。メンバーは「外部からの評価を得られた。自分たちがやってきたことは間違いない」と確信を持った。また、ブランド化による若者の就農、後継者の確保を目指す中、今年から木下清則さん(57)が加入し、目標に向け着実に前進している。

 4日、野洲市で表彰式があり、木下さんは「子や孫のために安心安全な米を作ろうと頑張ってきた。これからもこのグループで米作りをまい進したい」と語り、宮前さんは「入賞したことで、杉野米を皆さんに知ってもらう、きっかけとなった」と喜んでいた。

 なお、同コンクールでは湖北地域から、みずかがみ部門で大森憲一さん(落合町)、環境こだわりコシヒカリ部門でお米の家倉(小谷丁野町)、前田和宏さん(上八木町)が優秀賞を受賞している。

2023年2月6日

これからも笑顔いっぱいの学校に

神照小で150周年式典 新作演舞を披露

 今年で創立150周年を迎えた神照小学校で4日、記念式典が行われ、150周年記念事業のコンセプト「つながる歴史、照らす未来」を胸に、児童や地域住民らが節目を祝った。

 記念事業実行委員会の土田喜嗣会長は「150年を機に神小の長き歴史を振り返るとともに、その足跡から学び、良き伝統を未来につなげることが大切」とあいさつ。曽根昭信校長は150年前に学校を創設した先人の教育に対する熱意に敬意を表したうえ、「きょうから神照小学校の新しい良き伝統を築き上げていきましょう」と児童に呼びかけた。

 児童代表の國友日満里(ひまり)さん(6年)は「歴史や伝統がいっぱいある神照小学校で6年間学ぶことができたことを誇りに思う。これからも笑顔いっぱいの明るい神照小学校であってほしい」と語った。

 記念事業として約40年間使用してきた校旗が新調され、贈呈式では児童代表の吴靖磊(ごやすらい)さん(6年)が土田会長から新しい校旗を受け取った。

 また、150年を機に創作した演舞「天高く」が6年生によって披露された。「天高く羽ばたけ、神照の空のかなた♪」の歌にあわせ、両手を頭上に高く掲げるなど児童が息のあった踊りを見せていた。

 5月27日には創立150周年祭を開き、地域の歴史を振り返る写真展や絵画展、演舞披露、長浜北中ブラスバンド演奏、記念花火の打ち上げなどを予定している。

 神照小は明治6年(1873)に国友村の日吉神社境内に創立された「国友郁文学校」など複数の学校が母体となっている。地域には同7年創立の「将明学校」(南方村)、「弘徳学校」(相撲村)、同8年創立の「勉習学校」(口分田村)、同9年の「今村学校」(今村)と次々と学校が設立され、それらが統合して同19年に「尋常科国友小学校」、同22年の神照村誕生で「尋常科神照小学校」が成立した。