2023年10月31日

ブロンズさん市長表敬訪問

米出身、ロータリー交換留学で虎高へ

 ロータリークラブの交換留学プログラムで長浜市内にホームステイしながら虎姫高校に通うアメリカ人のブロンズ・エド・アーロンさん(17)が30日、ホストクラブの長浜ロータリークラブ(國友隆房会長)のメンバー5人とともに浅見宣義市長を表敬訪問した。

 ブロンズさんはコロラド州カーボンデール出身で、今年8月から来年7月まで虎姫高校に留学している。アメリカで柔術に打ち込む格闘技好きで、留学中は武徳殿(朝日町)で柔道、HARVEST(米原市醒井)でグラップリングなどの総合格闘技に取り組んでいる。

 5カ月前から日本語の勉強を始め、この日の表敬訪問では簡単な日本語で受け答え。格闘技好きと聞かされた浅見市長は「日本の文化を知るために是非、相撲にチャレンジしてほしい」などと話しかけた。

 ブロンズさんは浅見市長に「市長として長浜で何をしたいですか」などと質問。人口減少対策として「長浜にはブラジル人やペルー人が多い。もっと外国人を増やしてはどうですか」と提案し、「賛否があり、難しい問題」と浅見市長をタジタジさせる場面もあった。

 これまでにイスラエル、ケニア、コスタリカ、メキシコを訪れたことがあるブロンズさん。日本では語学や格闘技に打ち込むとともに、東京や広島など各地を訪れたいと話している。

 浅見市長は「長浜は勉強になる街。長浜を楽しんで、良いところを吸収してアメリカに持ち帰ってほしい」と話しかけていた。

2023年10月26日

脂乗り十分!ビワトロマス

バイオ大開発の餌で養殖、市場で出荷

 長浜バイオ大学の研究室が開発した餌で育てた養殖ビワマスが24日、長浜地方卸売市場で出荷された。酒かすやおから、商品化できない養殖アユなどを混合、醗酵させて餌の栄養価を高めたことで脂乗りは十分。バイオ大は「ビワトロマス」のブランド名で流通させたい考えで、養殖に協力した「びわ鮎センター」の川瀬利弥社長(67)は「『ビワトロマス』として胸を張って出せる」と太鼓判を押している。

 「琵琶湖の宝石」とも呼ばれるビワマスはマグロのトロに匹敵する脂が魅力の一つ。ただ、天然モノは漁獲量が安定しない上、脂乗りも季節や個体によって差がある。安定した出荷を目指して県内では10年程前から養殖が本格化しているが、餌代などのコストが課題となり、養殖業から撤退した業者もいる。

 長浜バイオ大アニマルバイオサイエンス学科の河内浩行教授の食品分子機能学研究室は2011年ごろから低コスト、高栄養価の餌の開発に取り組んでいる。目標はブランド名「ビワトロマス」に見合う脂乗り。過去にはブラックバスのミンチを混ぜた餌を開発して話題を呼んだが、ブラックバスの安定した調達がネックとなっていた。

 今回、びわ鮎センターの養殖池を4区画に分け、研究室が開発した3種類の餌と既存の餌1種類を与えた。研究室の学生が餌を手作りして毎日餌やりを行い、ビワマスの喰い付き、生育状態などを比較、分析してきた。7月には学内で食味試験を行った。

 そこで採用したのは食品残渣の酒かすやおからに商品化できないアユ、ビワマスのアラを加えて醗酵させた餌。廃棄されるものを再利用したことで、餌代も従来の半額から3分の1程度に収まったという。

 24日朝、バイオ大の学生らが市場に魚を買い付けに来た飲食店経営者らにビワマスの刺身を試食してもらった。日本料理店「塩梅」を経営する中嶋利直さんは「臭みがなく美味しい。身も分厚い。バイオ大の学生が餌を開発したというストーリー性もあり、お客さんに紹介しやすい」と話していた。

 河内教授は「大学での食味試験でも反応が良かった。安い餌を開発したことで、養殖業から撤退した業者を呼び戻すことができれば」と期待している。

 川瀬社長は「バイオ大は10年以上、餌の研究を続けているが、今回の醗酵させた餌はこれまでの研究の集大成と感じている。脂乗りが良く『ビワトロマス』とPRできることを進言した」と評価し、「我々養殖業者が直面しているのは餌の高騰。コストダウンが図れているのは大きな魅力。課題は餌を手作りする労力がどの程度のコストになるか」と話していた。

 バイオ大のビワマスは1週間かけ計300匹を出荷する。

2023年10月24日

「姉川クラゲ」食文化復活へ

龍谷大など、米原市小泉で試験栽培

 姉川上流で採取され、戦中・戦後は地域の食卓を飾っていた藻類の一種「姉川クラゲ」の食文化発信と特産品化を目指し、龍谷大など8者で結成する普及推進協議会が米原市小泉で試験栽培を始めた。

 姉川クラゲは一般的に「イシクラゲ」と呼ばれ、陸上に繁殖する藻類。ワカメのような見た目で、庭の片隅や駐車場、学校のグラウンドなどさまざまな場所で見かける。姉川上流では石灰成分を含む湧水で自生環境が整っており、戦中・戦後は酢の物や天ぷら、みそ汁の具などとして地域住民に食されていたという。

 その研究に打ち込んでいるのは龍谷大学農学部の玉井鉄宗講師(56)=植物栄養学。玉井講師によると、イシクラゲは高温や低温、真空、宇宙線など過酷な環境でも死ぬことがないうえ、大気中の窒素を取り込んで自ら栄養を作り出せるなど、驚きの生命力を持つ。例えば、乾燥状態では無代謝で休眠し、水を与えることで休眠から回復し活動を再開する。遠い未来のテラフォーミング(惑星地球化)構想でも最初に惑星に送り込んで土壌改良する候補に想定されているという。

 その「超環境ストレス耐性」を持つイシクラゲは、抗ガン、抗ウイルス、抗酸化、紫外線吸収などの機能性成分を多数含むことも明らかになっており、製薬会社などもサプリメントや医薬品、化粧品の原料などとして注目している。

 2018年から姉川クラゲを研究している玉井講師は研究室での栽培に成功している。食文化復活と地域振興を目指し、地元の小泉区や県、市、製薬会社などに呼びかけ、8者で姉川クラゲ普及推進協議会を結成して本格的な試験栽培に乗り出した。

 姉川クラゲを活用した地域活性化を応援する県は、国の農山漁村振興交付金を活用して事業費を捻出。3年間で最大3000万円活用する。

 栽培は小泉の姉川沿いの休耕田にビニルハウス1棟を建てて実施。湧水と紫外線のみで栽培し、肥料は用いない。散水、点灯は自動制御し、手間がかかることはないという。

 23日には研究室の学生や地域住民が人工芝の上にイシクラゲの断片を並べる作業を行った。試験栽培は3年かけて行い、玉井講師は「実験室レベルではうまく栽培できたが、屋外は初めて。うまくいけば貴重な姉川クラゲを使って栽培したい」と話している。いぶきファーム代表で同協議会の谷口隆一会長(67)は「小泉は石灰岩の湧水が無尽蔵にある。石灰を好む姉川クラゲを育てる環境に適している。3年間の試験で絶対に成功させたい」と話している。

2023年10月17日

無施錠自転車、すぐに盗むぞ!

県警公認「ドロボー仮面」、長浜農高で防犯啓発

 長浜署管内での自転車窃盗が前年の倍近く増えているとして、県警生活安全企画課の公認キャラクター「ドロボー仮面」が16日、初めて長浜署管内に入り、長浜農業高校の生徒と一緒に防犯啓発に取り組んだ。

 ドロボー仮面はマスクに唐草模様のマントを付けた姿。2019年に誕生し「ドロボー目線」での防犯活動に取り組んでいる。長浜署管内では初めての出番となった。

 この日は同校を訪れ生徒有志6人に県内の自転車窃盗の現状や闇バイトで若者が狙われている実態を説明した後、「自転車盗多発中」「NO!闇バイト」と題したチラシを下校中の生徒に配り、「鍵がかかっていない自転車はすぐに盗むぞ。だが、ツーロック(二重施錠)だと俺様は諦めるぞ」と話しかけていた。

 防犯啓発に参加した中嶋花凛さんと山口芽咲さん(いずれも1年)は「チラシを見てもらうことで、自転車盗難の被害が少なくなれば」「闇バイトは知り合いがツイッター(現・X)で『稼げる』と誘われ、巻き込まれたという話を聞いた。怖いので、無くなってほしい」と話していた。

 県警のまとめによると、1月から9月末までの県内の自転車盗は1038件、前年同期比で22%増加し、被害にあった自転車の7割が無施錠だった。

 長浜署管内では79件発生し、前年同期比88%増。増加率は県内12署で最も高かった。8割が無施錠だった。ドロボー仮面は「アパートやマンションは油断して無施錠の自転車が多い。若者もあまり鍵をかけない。俺様はいつでも狙っているぞ」と話していた。

2023年10月16日

和装で散策、秋の長浜満喫

市街地で着物園遊会、曳山巡行も

 和装で市街地の散策を楽しむ「長浜きもの大園遊会」が14日開かれ、着物姿の283人が商店街でショッピングや茶席の体験などを楽しんだ。

 長浜きもの大園遊会は、和装産業の振興と商店街の活性化を目的に1984年に始まり、今年で37回目を迎えた。大通寺では着物ファッションショーや滋賀出身のモデル高橋ユウさんのトークショーなどがあり、高級着物や宿泊券などが当たる抽選会もあった。

 安浄寺で表千家流の茶席を楽しんだ千田玲菜さん(20)=田川町=と伊賀並優羽さん(20)=大路町=は母親が着ていた振り袖で参加。「みんなが良い着物だと言ってくれて嬉しい。洋服の時と違って背筋が伸びる気がする」と話していた。

 市街地ではこの日、曳山博物館に収蔵する曳山を入れ替える「曳山交替式」もあり、若衆が息を合わせて曳山を引いていた。

◇      ◇

 長浜きもの大園遊会はかつて1000人もの若い女性が参加し「日本一の着物イベント」をうたっていたが、近年は少子化に伴って参加者が減少。このため、昨年からは参加対象者を「振袖の16歳以上の女性」から「着物で参加できる方」へと変更し、老若男女が参加できるイベントに改めていた。

 今年の参加者は昨年の624人の半分を割り込み、中でも振袖での参加者はわずか83人。1000人もの振袖女性で華やいだ時代と比べると隔世の感が出ていた。

 

2023年10月12日

駆除鹿の命、無駄なく余すことなく

永井さん、ペット用ジャーキーと革製品を開発

 駆除されたシカを地域資源として有効活用しようと、木之本町木之本の永井友恵さん(54)がペット用ジャーキーと革製品の開発、販売に挑戦。「シカの命を無駄にせず、余すことなく使いたい」と持続可能な事業化を目指している。

 農作物の獣害や森林荒廃の一因であるシカは駆除の対象となっている。ただ、駆除後に「ジビエ」などとして利用されているシカは一部に限られ、多くが廃棄されているのが実情。

 永井さんはシカを活用した商品開発で需要を増やせれば、駆除されたシカの廃棄が減り命を無駄にすることがないと、肉と皮の活用を模索した。

 シカ肉に注目したきっかけは家族として迎え入れている4頭の保護犬の存在がある。保護犬は飼い主に捨てられたり、虐待を受けたりした経験から心と身体に問題を抱えていることが多いという。永井さんが市販のシカ肉ジャーキーを与えたところ食いつきが良かったことから、知り合いの猟師から直接シカ肉を購入して食べさせるように。「今ではどの犬も見違えるように、元気に、愛らしく生まれ変わった」と話す。

 「高たんぱくで、鉄分、ビタミン、ミネラルを多く含み、脂肪は牛赤身肉の5分の1とも言われている。野山を駆け回り、その恵みを食べ生きてきたシカの肉は生命の力を秘めた天然の無添加食材」と絶賛する永井さん。「もっと多くの人に身近に感じられる商品として届けしたい」と、16年勤めた会社を辞め、今年2月シカ肉や革製品を開発、製造、販売する個人事業「MyGo」を立ち上げた。

 犬、猫などのペット用ジャーキーは福井県小浜市の猟師・大場明さんから買い付けたシカ肉に相性の良いベリーを合わせて作った。「愛犬の喜ぶ顔と健康を通して、シカ肉の良さを感じていただければ」と話す。

 革製品はバッグ、サコッシュ、コースターがあり、小浜市の革工芸作家・木崎亨さんに加工を依頼して製作したもの。軽くてしなやかで耐久性があるのが特徴という。

 永井さんは「狩猟は単に命を奪うだけでなく、自然との関係を深め、命の循環を感じる貴重な経験。ジャーキーや革製品からシカを身近に感じてもらえれば」と話している。

 なお、現在、獣害駆除されたシカの購入費や皮の加工費、フード乾燥機の導入費用などを募るクラウドファンディング(CF)を実施している。詳細はCFサイト「キャンプファイヤー」(https://tinyurl.com/yk36c3dn)から。

2023年10月11日

近江学びあいステーションに「トゥクトゥク」

イベント告知に活用、運転体験も

 米原市顔戸の近江学びあいステーションに東南アジアで走っている三輪自動車「トゥクトゥク」がお目見えし、来館者の人気を集めている。市内で走らせて地域のイベント告知や企業の宣伝用に活用するほか、希望者は運転や乗車も体験できる。

 同館の山田裕美館長(68)が長浜市内の宿泊施設が走らせている光景を見て、「米原でも走らせたら子どもたちが喜ぶはず」と導入を決めた。同館を運営するNPO法人おうみ地域人権・文化・スポーツ振興会の村田輝男理事長(71)、副理事長の山田館長、鹿取宏美理事(59)の3人が地域への恩返しの思いを込めて購入、寄付した。

 同館に導入されたトゥクトゥクは4人乗り。車体が青色、前方上部が黄色で、周囲に紫色のイルミネーションが装着されている。最高速度は80㌔、普通免許があれば誰でも運転できる。

 同館で実施している放課後児童クラブの名称にちなんで「お家笑里号(おかえりごう)」と名付け、利用する子どもたちを乗せて楽しませている。公道も走行できるため、地域や市のイベント告知のポスターを車体に掲示して市内を走らせる計画だ。企業の宣伝の場合は有料となる。

 事前予約があれば、無料で乗車や運転体験ができる。山田館長は「親子で乗車でき、どこでも走行できる。これからも各所で走らせて、子どもたちが楽しんでくれたらうれしい」と笑顔を見せていた。問い合わせは同館℡(52)3483。

2023年10月10日

甲冑姿の秀吉座像、豊国神社に

長浜開町450年で設置 浄財広く募る

 羽柴秀吉が長浜城と城下町を整備して450年の節目を記念して、豊国神社の境内に甲冑姿の若き秀吉の座像が設置された。

 秀吉を神様として祀っている豊国神社に秀吉を顕彰する像がなかったことから、氏子らでつくる「長浜開町450年豊国神社実行委員会」(谷口正臣会長)が秀吉と長浜の町の軌跡を後世に語り継ごうと、そのシンボルとなる秀吉像を設置した。

 座像は高さ約1・2㍍のブロンズ製で台座を含めると約2・4㍍。秀吉が長浜を治めた37歳の頃をイメージし、真っすぐと前を見据えた凛々しい表情。秀吉は関白や太閤の姿は知られているが、甲冑姿は全国的にも珍しい。

 当時の肖像画は残っていないため、東大阪大短期大学部・平田敦司教授が名古屋市秀吉清正記念館の肖像画(1721年作)や秀吉遺品とされる甲冑を参考に原型を制作し、太田浩司さん(淡海歴史文化研究所所長)、豊国神社の湯本崇彦宮司が監修した。

 7日、関係者を交えて除幕式があり、ブロンズ像がお披露目された。湯本宮司は「秀吉公をたたえる湖北、長浜のシンボルができた。豊国神社を参拝して長浜の歴史を感じていただければ」と話している。

 秀吉像の設置は同実行委員会の企画する450年事業の一環で、このほかにも石碑の建立などを計画している。実行委は450年事業にあたって広く浄財を募っており、現在はクラウドファンディングも実施中。詳細はhttps://rescuex.jp/project/99857から。

2023年10月5日

タンスの着物、小粋なシャツに

「仕立屋と職人」が新サービス開始

 ライフスタイルの変化で着る機会が激減した着物を小粋なシャツに仕立て直すサービスを、小谷上山田町のデザイン・アパレル会社「仕立屋と職人」が始めた。

 同社は元地域おこし協力隊員のワタナベユカリさん(35)と石井挙之(たかゆき)さん(37)が立ち上げ、地域のものづくり文化や職人技術の発掘、継承、発信などに取り組んでいる。

 その活動の中で、かつて嫁入り道具として嫁ぎ先に持っていった着物が着る機会がないままタンスに眠り、買い取り業者に依頼しても値段が付かないものも多いという現状を知った。「タンスに眠ったまま行き先を失った着物たちは時間が過ぎていくのを待つだけ」と、デザインを加えて日常で楽しめるシャツに仕立て直すサービスを考案した。

 サービスは着なくなった着物を引き取り、1着ずつ分解して異なる2〜3着の生地を縫い合わせて新たなシャツを仕立てるもの。同社のホームページにある「着物受継ぎ相談フォーム」で着物の譲渡を受け付け、対価として同社のECサイトで使えるクーポンを発行する。着物を分解して使うためシミや穴あきなど傷んでいる部分があっても引き取るが、着物の状態によっては査定がゼロとなる場合もある。

 ブランド名は「シャナリシャツ」。タンスの肥やしが生き返る、廻る着物の小粋なシャツ—とPRし、2人は「新しいより懐かしい。日本人としてルーツを辿るようなブランドをつくっていきたい」と思いを込めている。

 シャナリシャツは譲渡された着物を1着ずつ分解して組み立てているため1枚として同じデザインは存在しない。価格は2万2000円から。詳細は「仕立屋と職人」のホームページ(https://shitateya-to-shokunin.jp/)から。

2023年10月3日

「通訳官」目指す千田巡査に署長表彰

木之本署、着任初日に英語で交通事故処理

 警察学校を卒業し木之本署に着任したその日に、外国人観光客の交通事故処理にあたって特技の英会話で的確に事情聴取をしたとして、3日、地域課の千田将吾巡査(25)に署長感謝状が贈られた。千田巡査は英語を駆使して捜査などにあたる通訳官を志しており、「通訳官を目指す気持ちがより強くなった」と話している。

 千田巡査は9月27日に県警察学校での卒業式を終えた後、木之本署地域課に赴任。橋本登署長から辞令を受けて事務処理を行っていたところ、外国人観光客が起こした交通事故現場への出動を指示された。

 事故は木之本町大音の県道で発生。スウェーデン、オランダ、スロベニアからの観光客3人がサイクリング中、1人がスリップして転倒し救急車で搬送された。現場で事故処理にあたった署員から「言葉が通じない」との連絡を受け、英会話を特技とする千田巡査の出番となった。

 現場では残された2人から事故状況などを英語で聞き取るなどして現場の署員に伝えた。2人の母国語は英語でなかったが、身振り手振りも含めてコミュニケーションをとった。「警察学校で交通事故の処理について学んでいたが、まさか初日から現場に行くとは。緊張しました」と振り返る。英語を話せる警察官が到着したことで、外国人観光客は安心したようすだったといい、別れ際には「Take care’Bike safely!」(気を付けて、安全運転で!)と声を掛け、2人を見送った。

 千田巡査は米原高校の在籍時のイベントで外国人とうまくコミュニケーションを取れなかったのを機に英会話に興味を持ち、進学先の県立大では国際コミュニケーション学科で英語などを学んだ。在学中には米ミシガン州の大学へ9カ月間留学した。卒業後はいったん民間企業に就職したが、警察官の父の背中を追って今年4月に警察学校に入学した。

 橋本署長から感謝状を受け取った千田巡査は「困っている人を助けられて嬉しい。地域のことを少しでも早く覚え、役に立てる警察官になりたい」と張り切っている。

2023年10月2日

あなたが選ぶ城下町遺産

26候補から11件、投票受付中

 長浜市街地に残る歴史的風景などを「長浜城下町遺産」として選定している長浜城下町まちづくり勉強会(渡辺浩之会長)は今年度、新たに選定する遺産11件を選ぶため、市民に投票への協力を呼びかけている。

 城下町遺産は、同会が2017年から4年間にわたって文化庁の「日本遺産」認定を目指した取り組みを継承したもの。認定は叶わなかったものの、市民自らが遺産を選んで保存活用しようと5年間で計52件を選定する。過去2年で20件を選び、3年目となる今年度は26候補の中から11件を市民投票などで選ぶ。

 今年度の遺産候補にノミネートしているのは「君が代も わが世も共に長浜の 真砂の数の つきやらむまで」との和歌を刻んだ「長浜開町四百年記念碑」(南呉服町)、江戸末期建造の町家「嶋崎商店」(朝日町)、大手門通り商店街のお堂に安置されている「大手延寿地蔵尊」(元浜町)、かつては火の見櫓状の高い梯子の上にかかっていた「半鐘」(朝日町)など。秀吉遺産、町屋遺産、景観遺産、産業・近代化遺産の4つのジャンルに分類している。

 さざなみタウンで今月13日まで各候補を紹介するパネル展を開催中。投票は「長浜城下町遺産」のホームページ(https://nagahama.net/jyoukamachi/)で、11月25日まで受け付け、同月29日の選定委員会で投票結果を参考に今年度の城下町遺産を決定する。