2022年6月20日

全国優勝の先輩が指導

中嶋さん 長浜西中女子ソフト部を訪問

 長浜西中女子ソフトボール部が1991年の全国大会で優勝した時のメンバーの一人で、現在も仙台市のチームで活躍している中嶋理恵さん(45)=旧姓・一居=が19日、五輪出場経験のある仲間を連れて母校の長浜西中を訪れ、後輩の練習に参加。30年前を思い出しながら「夢中に、真剣に取り組むとその時の仲間は一生の宝物になる」などと思いを語った。

 中嶌さんは中学3年生の時、全国大会で優勝。卒業後は愛知淑徳高校を経て実業団チームの日立製作所で内野手として活躍。現在は仙台市の「ファイナル仙台」で活動している。実業団所属時には五輪選考会にもノミネートされた。

 この日は子どもがソフトボール部に所属している同級生からの依頼を受けて、遠く仙台から駆け付けた。五輪3大会に出場しシドニーで銀、アテネで銅を獲得した高山樹里さん(投手)、シドニー銀の山田美葉さん(捕手)ら仲間を誘って、計9人で同校を訪れた。

 西中の部員11人と一緒に汗を流し、「声を出していこう」「相手の顔を見て」などと声を張り上げて部員を鼓舞し、チームプレーに欠かせないコミュニケーションの大切さを呼びかけていた。また、部員が少なくゲーム形式の練習が不足していることに気付き、対戦チームのランナー役として参加するなどして実戦を想定した練習を作り上げていた。

 キャプテンの佃真唯子さん(14)=3年=は「ロングティー(バッティング)の打ち方を教えてもらったら、打球の伸びがぜんぜん違うようになった」と語り、「今日は貴重な経験となった。一つでも多くのことを吸収し、夏の大会に向けて頑張りたい」と話していた。

 30年ぶりに母校のグラウンドに立った中嶋さん。「毎日休みなく、ここで頑張っていたことを思い出す。厳しくも楽しい練習で、それが私の素地、基本となった」と振り返った。この日は当時、一緒に白球を追いかけた仲間ともグラウンドで再会し、「子どもたちには目標に向かって真剣に、夢中に、練習して欲しい。そうすれば一緒に汗を流した仲間も一生続く」と話していた。

2022年6月16日

植物工場で葉物野菜栽培

長浜農高  初収穫で手応え

 長浜農業高校が今年度から校内に設けた植物工場で野菜の栽培に挑戦し、このほど初収穫を迎えた。快適な空間で農業に従事でき、収量もまずまずとあって、生徒は手応えを感じているようすだった。

 国のスマート農業推進政策の一環で、今年4月、農業技術センターの一室に広さ15平方㍍の植物工場を整備。密閉された室内での植物工場の導入は県内の農業高校では初の試みで、園芸科の3年生が栽培用と実験用の棚計3台で小松菜、リーフレタスなど葉物野菜の栽培に取り組んでいる。

 植物工場では野菜の生育に必要な温湿度、光の照射時間、CO2濃度、液体肥料の分量といった栽培環境をタッチパネルなどで制御する。1日15時間、電球で照らすことでハウス栽培に比べ2割程度、栽培期間の短縮につながり、密閉空間のため病害虫の被害も抑制できた。

 今月上旬に小松菜とリーフレタスの収穫を迎えた。小松菜は大きさが不揃いで課題を残したが、リーフレタスはハウス栽培に比べ大きく成長し、市内のスーパーに出荷した。

 収穫作業にあたった千田柊哉さん(3年)は「屋外での栽培よりも育てやすく、収穫量も多い気がする。短期間に大きく成長したので驚いた」、宮元士央哉さん(3年)は「快適な環境で栽培でき、成長スピードを速く感じた。収穫のタイミングが同じだったので、短期間の収穫となり、その点では大変でした」と語っていた。このほかにも「露地栽培よりも、人も植物も快適な環境で栽培できるので植物工場は良いなと感じた。また、密閉された環境なので、虫に食べられることもなく、おいしい野菜が作れる」との感想が出ていた。

 指導にあたった菱田実教諭は「ICT技術を使った植物工場の整備は、時代に即した農業教材となる」と意義を語り、「今後は光の色を変えることによって生育や栄養がどう変化するのか調べたい。ゆくゆくはイチゴやトマトの栽培に挑戦できれば」と話していた。

2022年6月13日

高番の米 ブランド化目指す

「おかるばあさんのコシヒカリ」地元の伝説にちなんで命名

 米原市高番の農事組合法人エコファーム高番が地元産米を「おかるばあさんのコシヒカリ」と命名し、ブランド化を目指している。

 エコファーム高番は組合員54人。高番地区の田んぼ約30㌶のうち約20㌶でコシヒカリを栽培している。同法人によると、伊吹山の雪解け水にはミネラルが豊富に含まれ、土壌も良質なため、おいしい米が育つという。一方で、米の作り手の後継者不在の課題があるため「高番のコシヒカリを後世にもつなげる必要がある」との思いからブランド化を企画した。

 商品名のおかるばあさんは大昔に高番に住んでいたという伝説の人物。蚕を荒らすネズミに困っていた村のために、おかるばあさんがお堂に祀られている神様に祈り、周囲の丸石を持ち帰って蚕のそばに置いたところ、ネズミが来なくなったという言い伝えが残る。現在、地元の千福神社の近くには「おかるばあさんの祠(ほこら)」が建っている。

 同法人は現在、米袋のデザインに取り組んでおり、8月に完成予定。10月に「おかるばあさんのコシヒカリ」の5㌔と10㌔を、インターネットを中心に販売する。

 同法人代表の畑中満さん(61)は「高番のコシヒカリは近江米の中でも高く評価されている。伊吹山の伏流水で育った自慢の米を多くの人に食べてほしい。ブランド化することで、私も作りたいと思う後継者が出てきてくれたらうれしい」と話していた。

 なお、同法人は米袋の製作に向け、デザイン費や印刷代などをクラウドファンディングで募っている。目標額30万円。8月5日まで。リターン品はおかるばあさんのコシヒカリ、稲刈り体験、ポストカード。詳細は「キャンプファイヤー」のサイトで(https://bit.ly/3NbBmIo)。

2022年6月9日

関節リウマチ 正しく知って!

湖北初 弥高町に専門クリニック

 関節に痛みや腫れが生じ、放っておくと関節変形などを引き起こす「関節リウマチ」。今年4月に弥高町に専門クリニック「リウマチ科みやもと」を開院した宮本茂輝さん(45)は「早期発見と早期治療が欠かせない」と訴え、市民にリウマチに対する正しい理解を呼びかけている。

 宮本さんは市立長浜病院や長浜赤十字病院など県内の病院・診療所4カ所のリウマチ科に長年勤務した後、今年4月に独立・開業した。リウマチ専門のクリニックは全国的にも珍しく、県内2例目、湖北地域では初となる。リウマチによる炎症を超音波で確認する「関節エコー」など専門の器具を備えている。

 リウマチは関節の内面を覆っている滑膜(かつまく)に炎症が起こる自己免疫疾患で、積極的に治療を行わないと関節が破壊され、変形などを引き起こす。国内で70〜100万人の患者がいるとされ、宮本さんは「決して珍しくない病気だが、正しく理解されていないことから治療が遅れる患者が少なくない」と指摘する。

 リウマチは中年以降の女性に多いとされるが、10代や男性も発症する。「初期症状は手の指や手首、足の指がこわばる。朝方に手がこわばっている場合は、リウマチを疑ったほうがよい」と説明する。

 関節痛などが発生した場合、まずは整形外科を受診するのが一般的だが、「明確にリウマチと診断するのが難しいケースもあり、十分な治療に繋がっているとはいえない」と指摘する。

 リウマチの治療薬については日々進歩しており、早期に発見すれば投薬で進行を抑制することが可能という。「現状では適切な治療を受けていない方も多い。早期発見につながるよう、初期症状を知ってもらいたい」とし、「複数カ所の関節に痛みや腫れがあるなら、リウマチを疑い専門家を頼ってほしい」と呼びかけている。

 問い合わせはリウマチ科みやもと℡(53)3887へ。木・日・祝と第2・4土曜は休診。詳細はHP(https://rheumatoid-arthritis-miyamoto.jp/)。

2022年6月8日

キャンプ道具で漆の魅力発信

塗師の中川さん  仲間4人で制作集団立ち上げ 日本の伝統技術 長浜から全国へ

 曽根町の老舗「カネイ中川仏壇」5代目で、漆ガレージブランド「GNU(ヌー)」を立ち上げキャンプ道具の漆塗りなどを手掛けている中川喜裕さん(32)。仲間4人でクリエイター集団「HikU(ハイク)」を結成し、えきまちテラス長浜に事務所兼ギャラリーをオープンさせた。キャンパー垂涎の道具を次々と生み出し、オープンの5日には早朝から開店を待つ行列ができるなど、注目の高さをうかがわせている。

 メンバーは中川さんのほか、レザークラフトを生かしたキャンプ道具を制作し全国のキャンパーが注目する中村友洋さん(43)、写真家・ツジタシンヤさん(32)、デザイナー・前川有季さん(28)。兵庫県猪名川町在住の中村さん以外は、長浜を拠点に活動している。

 仏壇需要の低迷で漆塗りなどの伝統技術を受け継ぐ職人の高齢化と後継者不在を危惧する中川さんは、仏壇の「お洗濯」や長浜曳山まつりの曳山修理に携わる中で、技術継承の大切さを痛感。漆塗りの魅力を世に再認識してもらうため、キャンプ道具に無料で漆を塗るプロジェクトや、漆塗り体験ワークショップに取り組んでいる。昨年は新事業としてGNUを立ち上げ、漆塗りのキャンプ道具を作り上げてきた。

 SNSを通じて中川さんの取り組みを知った中村さん。日ごろから「日本には伝統工芸の素晴らしい技術があるのに、なぜ海外製品ばかりに目を奪われるのか。大事な技術がどんどん失われてしまう」と危機感を抱いており、中川さんについて「こういう若者を盛り上げていかなければならない」と、HikUの立ち上げに繋がった。

 ツジタさんは写真や動画の撮影でHikUの取り組みを発信し、前川さんはオリジナルキャラクターの制作、ステッカーやTシャツなどの製品化を担当している。

 HikUはこれまでに、木目の美しいトチに漆を塗った保冷缶カバー、縁を薄さ1㍉に仕上げた木製ウイスキーカップ、柄に漆を塗った刃物など、職人技術の粋を集めたキャンプ道具を生み出している。輪島の曲げわっぱ職人が作った弁当箱に自身で漆塗りを施す「アウトドア漆キットtamate—bako」は、漆塗りの魅力を直に体験できる商品として注目を集めている。

 事務所兼ギャラリーがオープンした5日は早朝から行列ができ、遠くは九州や東北地方からの来場者もあった。中村さんの知名度の高さによるが、漆技術を応用したキャンプ道具への関心の高さをうかがわせた。

 「日本の伝統工芸である漆塗りの価値を、新しい形で世に広めて欲しい」と期待する中村さん。中川さんは「漆文化を広めるのはもちろんだが、オープン日に多くの方が長浜を訪れていただいたように、長浜を盛り上げ、地方創生にもつながる活動をしたい」と決意を込める。

 HikUではキャンプ道具の製作・販売のみならず、定期的に体験イベントを開いて伝統工芸に市民が触れる機会を増やす。

 HikUは「The  story  of  hiking  with  you」(あなたと一緒に高みを目指して登ってゆく物語)との思いを込めている。事務所兼ギャラリーは主に土日にオープン。開店日などの詳細は代表℡080(5535)2758へ。

 

2022年6月6日

47年ぶり 滋賀で全国植樹祭

森林を育み 次の世代へ

 第72回全国植樹祭が5日、甲賀市の「鹿深夢の森」を主会場に県内10カ所で開かれた。「木を植えよう びわ湖も緑のしずくから」をテーマに国土緑化推進機構と県が主催し、滋賀での開催は47年ぶりとなった。

 全国植樹祭は森林や緑への理解を深めるため毎年開催している。天皇、皇后両陛下は昨年の島根県での開催に続いて、皇居・御所からオンラインで出席された。記念式典で天皇陛下は「健全な森林を育み、木々を木材として循環利用しながら、次の世代、またその次の世代へと引き継いでいくことは、私たちの果たすべき大切な使命」などと述べられた。その後の「お手植え」では、天皇陛下がスギやトチノキなど、皇后さまがヒノキやイロハモミジなどの苗木を木箱に植えられ、「お手播き」としてクロマツやウツクシマツなどの種子をまかれた。木箱は後日、鹿深夢の森に送られ、植え直される。

 緑化功労者の表彰や活動紹介、記念植樹などもあった。

林業体験や演奏会に7千人 サテライト会場のえきまちテラス

 サテライト会場のえきまちテラス長浜では大型モニターで式典のようすが生中継された。ノコギリを使った林業体験やアスレチック、まちなか森ツアーのほか、マルシェ、吹奏楽の演奏、SNSで人気を集めるユーチューバーのよみぃさんによるピアノ披露などがあり、家族連れなどが思い思いに楽しみながら、木に親しんでいた。

 この日はキャンプ道具などの製作・販売を手掛けるクリエイター集団のギャラリーがえきまちテラス長浜1階にオープン。全国からキャンプ愛好家が集ったこともあり、会場は約7000人の人出でにぎわった。

きゃんせの森 70本植樹

 1975年の全国植樹祭のお手播き会場となった米原市夫馬のきゃんせの森では市民が参加して記念植樹があり、ヤマザクラ、コナラ、クロマツ約70本を家族らが植えた。

 会場では県や市の職員、滋賀北部森林組合の組合員らが来場者を出迎え、植樹を手伝った。植樹は2018年に竜巻の直撃で多くの木々が被害を受けた森の一角0・5㌶で実施。同市朝日から家族や親族と参加した岸縄律君(7)はクロマツを植え「大きくなるのが楽しみ」、父の隆太さん(31)は「子どもが大きくなったら一緒に見に来たい」と話していた。

2022年6月3日

ササユリ 今年も咲き始める

山門水源の森でシカ食害対策実る

 希少植物が数多く群生している西浅井町山門の森林公園「山門水源の森」でササユリが咲き始めた。

 ササユリはかつてはどこの里山でも見られる一般的な植物だったが、シカの食害により各地で姿を消している。山門水源の森でもシカの食害で一時激減し、有志団体「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」の保護活動で徐々に数を増やしてきた。依然としてシカによる食害が続いているものの、西浅井中の生徒の種まき、地元の老人会による下草刈りなど地域上げての協力が実を結んでいる。

 まだ蕾のものも多いが、名前の由来となったササに似た葉を風に揺らしながら、淡いピンクや白の花を咲かせている。同会の村田良文副会長は「日ごろの活動の成果が実って今年も咲き、ホッとしています。凜とした上品さと優しい香りを楽しんでもらえれば」と話している。6月中旬にかけて次々と花を開く。今はコアジサイも咲きそろっている。

 森は約4万年の歴史がある山門湿原をはじめ、ブナ原生林や沢などがあり、希少植物が数多く群生。

 この時期は森林浴と多様な植物観察を楽しめる。1時間〜3時間半ほどで楽しめる散策3コースが設けられ、ササユリは「湿原往復コース」(約2・5㌔、約1時間)と「四季の森コース」(約3・5㌔、約3時間)で観察できる。

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 山門水源の森は1960年代までは炭の産地として地域住民の生活を支え、手入れが行き届いた里山だったが、近年は放置されていた。90年、一帯を開発するゴルフ場計画が具現化したことで、山門湿原の地質や植生、昆虫を調査していた研究グループが県や西浅井町に計画中止を要望。同時に湿原の多様な自然環境に注目が集まり、林野庁の「水源の森100選」に選ばれるなど、保全への機運が醸成されることとなった。ゴルフ場計画がバブル崩壊で中止となった後も保全が課題となり、2001年、県民有志で「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」が結成され、保全活動が今に続いている。