シェリー酒に魅せられて

中川さん元浜町にバル開店  狩猟でジビエも

 スペイン・アンダルシア地方で作られる「シェリー酒」。辛口から極甘口まで幅広い味わいを楽しめるのが魅力だが、日本での知名度は決して高くない。そんなシェリー酒に魅せられた女性が5月、元浜町にスペインバルを開業。県内では出会うことのない品揃えに、シェリー酒ファンから密かな人気を集めている。

 大通寺門前通りの表参道とゆう壱番街の交差点角にオープンしたバル「パロミノ」。古民家を改装したレトロ感のある店内にはシェリー酒のボトルが並び、壁にはシカの毛皮。オーナー・シェフの中川弘美さん(47)=湖北町伊部=のこだわりが光る。

 シェリー酒はアンダルシア地方のヘレスで生産されるアルコール度数を高めた白ワイン。紹興酒を思わせる熟成感とコクのある味わいから、すっきりと爽やかな風味まで、幅広い味覚が特徴。

 中川さんは京都市内の大学在学中、ショットバーでアルバイトしたのをきっかけに飲食業に携わるように。その後のホテル勤務時代に先輩のアドバイスでシェリー酒について学び、特別な資格「ベネンシアドール」を取得した。

 「当初はシェリー酒の良さが分からないまま、資格を取ったんです」と中川さん。シェリー酒に魅了された転機は、アルバイト時代のつてで神戸市内でショットバーの開業に携わったこと。店長としてさまざまな酒類を仕入れる中、「せっかく資格があるのだから、シェリー酒も揃えよう」。試飲を重ねるうちに、その魅力の虜となり「私の味覚が成長したのか、とにかく『開眼』でした」と当時を振り返る。その後、そのショットバーはシェリー酒を楽しめる店として評判を集めた。

 2019年に湖北町に帰郷し、開業を準備してきた。店名「パロミノ」はシェリー酒に使用されるブドウの品種に由来する。

 店内では常時約30種類のシェリー酒を取り扱う。料理は気軽なスペインの小皿料理「タパス」が中心だが、シカ肉も見逃せない。中川さんは狩猟免許を取得し、自ら湖北の山で捕獲したシカを調理して提供している。「今はシカ肉しか出していませんが、シェリー酒はジビエに良く合う」と語る。野菜もスローフードの観点からできる限り地元産を使うようにしている。

 「シェリー酒にしてもジビエにしても少しハードルが高いかもしれないが、長浜にないジャンルの店。新しい味覚を見つけ、楽しんでほしい」と話している。

 営業時間は正午から午後9時まで。定休日は月・火曜。問い合わせは℡(53)4965へ。

掲載日: 2022年06月29日