2021年6月29日

長浜のセイキン醤油 海を越え

ベルギーで評判  3回目の出荷

 創業179年の清金(せいきん)醤油店(八幡東町)の醤油が昨年11月以降、ベルギーに輸出され、日本の調味料として評判を呼んでいる。現地のスーパーでは在庫切れの状態で、きのう28日には3回目となる出荷を行った。

 清金醤油店は天保13年の創業で、地元では「セイキンさん」として親しまれている。店内には代々使用してきた木桶が並び、昔ながらの「セイキン醤油」をはじめ、長浜産の大豆と小麦で仕込んだ「湖北のめぐみ」などを作っている。家庭料理を作る機会の減少、減塩志向、調味料の多様化などを受けて、国内の醤油消費量が減少する中、伝統の味を守ってきた。

 そんな長浜産の醤油がなぜ、遠く離れたベルギーの地へ輸出されることになったのか。縁となったのが6代目・清水金幸さん(61)の長男・金洋さん(31)。金洋さんが以前勤めていた自動車部品メーカーで同僚だったベルギー人のマース・アナベルさん(36)がベルギーに帰国後、人口1万人ほどの地方の街ミューレベーケで日本の茶と調味料を扱うWEBショップ「kaori」を創業。それを知った金洋さんが、実家が醤油店であることを伝えたところ、「清金の醤油が欲しい」と話が進んだ。

 創業以来、海外への輸出は初めて。金幸さんは「何も分からないので、ジェトロ(日本貿易機構)に相談したりした。一番、困ったのは言葉。ベルギーでは、オランダ語とフランス語を使っていますが、どちらもまったく分かりません」と振り返る。

 ベルギー国内で受け入れられやすいように容器のデザインを変更し、醤油瓶は陶器をイメージした白いガラス瓶に。「セイキン醤油」などの日本語をそのままに、オランダ語とフランス語で商品名を併記した。

 昨年11月に1㍑入りと150㍉㍑入りの計500本を試験的に輸出したところ好評で、今年2月には倍となる1000本余りを出荷した。ベルギーでは寿司などの日本食文化が定着し、醤油は日本食だけでなく家庭料理の味付けにも浸透しつつあるという。

 また、今年1月、アナベルさんのWEBショップが高品質の日本食材を仕入れているとして、現地の新聞で取り上げられ、その時、アナベルさんが手に持って写真に写ったのも、セイキン醤油だった。現地のスーパーではセイキン醤油が品切れとなり入荷の催促を受けている状態で、きのう28日には1700本余りを出荷した。

 金幸さんは「国内消費が頭打ちする中、醤油業界は輸出に力を入れる方向にある。しかし、うちのような小さな醤油店は輸出のノウハウがなく二の足を踏んでいる。今回、ご縁があって輸出できた。今後も海外に目を向ける必要があるかもしれない」と語っている。

 ベルギー輸出のきっかけを作った金洋さんは兵庫県内で醤油づくりの修業に励んだ後、今年から店を手伝っている。「ベルギーへの輸出をきっかけに、他の国にも醤油が広がれば」と希望を膨らませている。

2021年6月29日

やぶ医者大賞に松井医師

へき地医療に尽力、浅井東診療所

 へき地医療に尽力する医師を顕彰する「第8回やぶ医者大賞」に、浅井東診療所所長・松井善典医師(40)が選ばれた。

 松井医師は地域唯一の診療所で、院外での看取りを望む声に応えるため、介護施設と連携。容体が急変した際に昼夜を問わずかけつける体制を整え、住み慣れた場所で最期を迎えられる環境づくりに尽力。また、市民目線で課題解決に取り組む姿勢も評価された。

 同賞は兵庫県養父市が2014年に創設。下手な医師を意味する「やぶ医者」の語源が、本来は養父にいた名医であるとの説にちなむ。へき地の病院や診療所で5年以上勤務している50歳以下の若手医師が対象。今回は県外から6人の応募があり、北海道松前町の町立松前病院の八木田一雄院長(50)も選ばれている。

 地元出身の松井医師は「故郷に戻って多くの出会いや縁を大切に地道に良質な医療の実践と医学教育に邁進してきた。共に生き、働いている皆さんの支援や連携のお陰と心から思っている。感謝を胸に、挑戦と貢献をこれからも続けていきたい」と受賞の喜びを語っている。

 表彰式と受賞者の講演会は11月13日、養父市内で行われる。なお、同賞の第3回(16年)には長浜市出身で東近江市の永源寺診療所所長・花戸貴司さんも選ばれている。

2021年6月28日

余呉小中学校が「そらめチャンネル」開設

故郷の良さユーチューブでPR

 余呉小中学校は動画投稿サイト「ユーチューブ」に生徒たちが作った公式チャンネル「そらめチャンネル」(https://bit.ly/3Ak3Udt)を開設。余呉の素晴らしさを広くアピールしている。

 長浜市教委ではICT(情報通信技術)教育を推進。今年度からタブレット端末を活用したネット検索や、紙媒体に代わるデータ配信による学習などを実施。各校で特色ある取り組みをしている。

 以前からインターネット環境が整備されている同校ではICT教育を積極的に取り入れており、小中一貫校の特色として、総合学習の一環で故郷の良さや課題に気づく「よごふるさと科」を設置。生徒たちが積極的に活動している。

 ユーチューブは特殊な設備やソフトがなくても、インターネットに接続していれば、撮影した動画を無料でアップロードでき、共有できる。同校ではこのユーチューブを活用し、地元の素晴らしさを広めようと考えた。

 生徒会長の堀江鷲太君を中心に生徒たちは昨年の夏休み、動画に必要な素材を集め、編集。9月に「そらめチャンネル」を開設した。「そらめ(天女)ちゃん」は同校のオリジナルキャラクターで、余呉湖の羽衣伝説を基に生徒が作成したもの。ユーチューブでは、そらめちゃんが「ウッディパル余呉」「余呉湖」の紹介や「白子皇子」「羽衣」伝説などを紹介している。

 また、個人情報やプライバシーを保護するため、生徒の顔写真などは一切、掲載していない。

 学習の合間に制作しているため、更新数が少なく、今のところ、チャンネル登録者数は120人ほど。1000人を超えると、スマホやタブレットでライブ配信ができるため、生徒達は登録者数を増やそうと、旬のネタを集めている。

 校外からの配信も技術的に可能なため、ニーズが多い中体連のライブ中継や試合後のインタビューなど、保護者向け限定配信も検討している。

 全国的にも珍しい取り組みで、ICT、地域連携担当職員の松田幸夫さんは「ユーチューブを始めたことで生徒達のスキルがアップした。1000人突破が当面の目標。ぜひ、登録を」と話している。

 

 

2021年6月23日

奥伊吹から、本場イタリアの味

J`s style dining 篠田さん「金曜日のトマトソース」発売

 米原市甲賀の古民家料理工房「ジェイズ スタイル ダイニング」は26日から、本場イタリアの味を彷彿させるトマトソースの予約販売を始める。

 オーナーの篠田仁美さん(53)は25年間、長浜市十里町に住み、8年前まで身近にある食材を使った料理の作り方やテーブルコーディネートを教えていた。

 夫の単身赴任により、3年前、実家に近い大津に移住。ここでも料理教室を開いていたが、本場の味を極めようと、ほどなくイタリア、フィレンツェへ留学。調理の基本やマンマ料理(おふくろの味)などを学んだ。

 帰国後、イタリアのノウハウを生かそうと、住み慣れた湖北で古民家を探し、空き家バンクに登録されていた奥伊吹の古民家に一目ぼれ。料理工房を開くことに。

 築90年の建物の外観はさわらず、内装をセルフリノベーション。昔ながらの雰囲気を残したまま、外国製の家具を置き、こだわりの器などを飾っている。調理場には機能的な厨房機器を揃え、ベストな状態で料理が提供できるようにした。

 篠田さんはイタリアでの経験を基に、オリジナルのトマトソース「ソフリット」を考案。米原産のトマトをベースにセロリやニンジン、玉ねぎなどの香味野菜を煮詰めており、トマトの甘みや野菜のうまみが凝縮している。日本人好みの風味に仕上げており、パスタやパン、ピザなどにマッチする。

 週末、贅沢で優雅な時間を楽しんでほしいと「金曜日のトマトソース」(210㌘入り1836円)とネーミング。今後、1週間のラインナップを完成させる予定で、「月曜日の山椒オイルソース」(864円)も同時販売。

 9月から料理教室なども開く予定で、篠田さんは「ここに来て湖北の良さを再認識している。『楽しく作れ、楽しんで食べろ』の精神で食空間、集うことを大切にしてゆきたい」と話している。

 問い合わせは篠田さん℡090(9618)9330へ。

2021年6月22日

どうなる?お産 ⑫-⑬

⑫助産師の活躍 高いハードル

 助産師の継続的ケアを受けた妊産婦は産後うつや育児不安を抱える人が少ないという。産科医不足が深刻な今、産科不在の地域にこそ妊婦健診や分娩、産前産後ケアができる助産所が増えたらよいのでは。

 「そんなに単純じゃない。すごく難しいのよ」。分娩を取り扱うある助産師は苦言を呈した。

 第一に、分娩の異常時に連携する「嘱託医師及び医療機関」を見つけることの難しさがあるという。旧医療法は産科以外の合意でも許されたが、2017年に「産科医師・産科と小児科がある医療機関」に合意を得なければならないと改正された。集約化が進む現在、産科医師数も両科がある医療機関数も少なく、緊急時30分以内に搬送できる距離にあるとは限らない。あっても過酷な勤務をこなす医師や病院から合意をとるのは至難の技だ。

 嘱託医師・医療機関の合意を得ている助産師の一人は「病院の合意なしに、助産師たちは分娩を取り扱うことはできない。医療界には助産師の取り扱うお産に否定的な考えもあり、合意を受け入れてもらうためには医師や病院の理解が必要」。

 第二に、経済的なハードルも高い。日本助産師会が、分娩を取り扱う助産所に備えるべきとする機械や備品は20種類以上。すべて購入すれば300万円近くになるという。

 また、万が一の事態に備え、助産師たちは「助産所賠償責任保険」に加入する。お産を預かる妊婦や合意を得る医療機関と信頼関係を結ぶために必要な仕組みだ。掛け金はその年によって増減するが、1人年間約20万円。周産期全体に寄り添う助産師は年間に引き受けられるお産の数が限られている。高額な保険料は大きな負担だ。

 第三に、そもそも分娩取り扱いができる助産師の確保が困難だという。日本助産師会が産科医師や助産所開設者らに実施したアンケート調査によると、助産所開業に必要だと思う経験数の平均値は経験年数12年、分娩件数533件、妊婦健診814例。ある助産師は「経験年数を積んでいても医師主導のお産が主流になり、助産師主導のお産技術を学んできた人はほとんどいない」と話す。お産となれば24時間以上掛かることは珍しくなく、技術を持つ助産師が複数で対応する必要がある。

 確かにこれだけの条件を揃えるのは大変だ。そして助産師たち何より口にするのは「女性たちが求めてくれるかどうか」と言う。帝王切開経験者の私がもし第二子を授かったら「産前産後のケアは助産師に、出産は病院で」とお願いしたいが、出産に関する医療費は基本は自費診療。求めたいけど、経済的に求めにくい。

(6月16日掲載)

 

⑬お産先進国 ニュージーランド

 助産師への取材で、産前出産産後を通して同じ人の継続ケアを受けることが産後ウツや育児不安を予防すると知った。しかし、万が一の時には救急搬送となる助産院でのお産に不安を感じる人は多い。私のような帝王切開経験者も次の子は病院出産になるだろう。とはいえ、シフト制で働く病院の勤務助産師に産前産後に渡って継続ケアを受けることは難しい。過酷な勤務をこなす産科医に妊婦一人一人の心のケアは担えない。そこで「産前産後ケアは開業助産師に頼みたい。出産は病院で」と希望すれば、助産師のケアは自費診療になるので経済的に厳しい…。

 ところが、世界にはリスクや出産場所に関係なく継続ケアが無料で受けられる国があるという。ニュージーランド(NZ)だ。日本では多くの人が妊娠がわかればまず病院か診療所に行くが、NZではまず自分を担当してくれる専門家(LMC=Lead Maternity carer)を探すところから始まる。専門家とは開業産科医、産科を学んだ家庭医、開業助産師のいずれかで、妊娠初期から出産・産後6週間まで一貫したケアを提供する(開業産科医は有料)。帝王切開経験者や妊娠合併症など病院で産む可能性が高いハイリスク妊娠であっても、産科医と協同して継続ケアを提供する体制がとれているため、妊婦はLMCに助産師を選べる。NZ保健省によれば、9割以上の妊婦が助産師を選ぶという。2018年に出産したジャシンダ・アーダーン首相も助産師を選んだ。

(写真)アーダーンNZ首相は第一子出産の翌日、担当助産師への感謝の言葉をSNSに投稿した=首相のフェイスブックより

 

 出産する場所も経過に問題がなければ自宅、バースセンター(助産師主導の出産施設)、病院など自分が安心して出産に臨める場所を選べる。病院を選んでも「開放型病院(オープンシステム)」と呼ばれているシステムを利用して、LMC助産師の介助を受けたお産ができるという。それに、病院にはハイリスクの出産や緊急時の周産期医療に専念している常勤の産科医がいるので、万が一の時には医療的介入を任せることができる。例えば帝王切開でもLMC助産師は立ち会ってくれるそうだ。産後は入院施設か自宅に最低7回以上はLMCが訪問し、母親のサポートに当たってくれる。

 NZは、1995年「LMC制度」が導入された。NZ保健省によると、9割の女性がLMCのケアに満足しているという。日本でLMC制度を広げようと活動する「出産ケア政策会議」の調査によると、「同一助産師による継続ケアを受けたい」と答えた女性は85%。女性のニーズに答えるためにも、日本でももっと助産師の活躍が期待できるのではないだろうか。

堀江昌史

(6月22日掲載)

2021年6月21日

30年目で初、関西大会出場

虎姫サッカースポーツ少年団

 虎姫サッカースポーツ少年団(吉田智徳代表)は20日、第53回U—12サッカー選手権県大会で4位に入賞。創部30年目で関西大会に初出場する。

 県大会には県内のクラブチーム、スポ少の計32チームが参加。地区予選を戦い抜いた虎姫は県大会で強豪相手に3回戦まで勝ち上がったものの、20日の準決勝で優勝したDCMセントラルシガ(守山市)に1対6、3位決定戦で野洲ジュニアフットボールクラブに1対2で惜しくも敗れ、4位となった。

 上位4チームが9月4、5日、Jグリーン堺(大阪府)で開かれる関西大会への出場権を得られ、スポーツ少年団対象の近畿ブロック交流大会(11月27、28日)にも出場できることになった。

 同少年団は1991年、発足。現在、虎姫学区の児童を中心に31人が所属している。今年のチームはズバ抜けた選手はいないが、「足」を使ったサッカーが売り。

 キャプテンの松井祐真君は「みんなのチームワークが生きて、ベスト4になれた。関西大会では僕らのスタイルを見せつけて頑張りたい」と意気込み、澤田祐治コーチは「大会ではひとつでも多く結果を残したい」と抱負を述べている。

 なお、コロナ禍により、関西大会、近畿交流大会とも日程の変更、中止の場合がある。

2021年6月16日

長浜北高アメフト部 37年ぶり関西大会ベスト4進出!

20日に準決勝 兵庫・啓明学院と対戦

 長浜北高アメリカンフットボール部が第50回関西高校選手権大会でベスト4に進出。20日、強豪の啓明学院(兵庫県代表)と決勝戦への進出をかけて対戦する。関西大会でベスト4入りするのは1984年の旧長浜北高以来37年ぶりの快挙。

 同校は滋賀大会(4、5月)でライバルの立命館守山を破って優勝し、関西大会へ進出を決めた。

 関西大会は今月5日から26日にかけ神戸市内と吹田市内で開かれ、近畿4府県と広島県、東海の代表14校が出場。長浜北は6日の初戦で市立西宮(兵庫)を36対0のコールドで下した。13日の準々決勝では浪速(大阪)と7対7で引き分け。コロナ感染対策のため延長戦を行わず、抽選で勝者を決めることになり、長浜北が勝利を射止めた。

 長浜北が関西大会でベスト4に入るのは旧長浜北、旧長浜の時代をさかのぼって、37年ぶりとなる。

 準決勝は20日、神戸王子スタジアムであり、啓明学院と対戦。啓明学院は47回大会で優勝するなど強豪校で知られる。

 長浜北は昨年12月の新人戦で立命館守山に0対27で完敗。主将の酒井大輝選手(18)は「力の差が出ていた。負けたことで危機感を持った」と振り返り、冬の間、ウエイトトレーニングで体づくりに励んだ。また、今年4月には早稲田大や社会人チームのアサヒ飲料チャレンジャーズで選手として活躍した中谷優志さん(33)が同校に赴任。監督を務めたことで、戦術に磨きがかかった。

 酒井選手は「いろんな方が期待し、応援している。それにしっかり応え、全力プレーで優勝を目指したい」と意気込む。中谷監督は「これからの対戦相手は強豪や名門ばかり。簡単な相手ではない。自分達の力を100%出せるように、思い切ってプレーして欲しい」と選手を鼓舞し、顧問の武田圭太教諭(25)も「関西大会準決勝という最高の舞台で最高の相手と試合ができる喜びを噛みしめながら、最後まで全力で戦いたい」と話している。

2021年6月14日

名越町にグランピング施設

長浜市内初 ドームテントや高級ヴィラ 22日オープン

 手軽で新しいキャンプスタイルとして「グランピング」が話題となる中、名越町の旧サイクリングターミナル跡に22日、新たなグランピング施設「フューチャーリゾート」がオープンする。

 経営コンサルタントなどを手掛ける「フューチャーラボ」(橋本久司社長、西上坂町)が開設準備を進めてきた。ハイキングを楽しめる横山森林公園のふもとにあり、広さ4500平方㍍。プールを備えた高級ヴィラ1棟のほか、広々としたドームテント1棟、2人用の小型ドームハウス3棟、丸太ドーム1棟があり、好みに合わせた宿泊が可能。屋根付きのバーベキューブースもある。

 夜はイルミネーションでライトアップし、「インスタ映え」のスポットを設けるなど遊び心のある空間となっている。太陽光発電を併設して「エコなグランピング」を目指しているのも特徴。

 家族や友人同士での利用や、企業・団体で施設を丸ごと借り切っての利用など、幅広い楽しみ方が可能。橋本社長は「コロナ禍の時代、安全に楽しめる癒しの場を提供したかった。西黒田地域や長浜市の観光振興にもつながれば」と話している。

 宿泊は28日から。宿泊料金は、高級ヴィラが14万8000円〜、ドームハウスが1万9800円〜。詳細は宿泊予約サイトから。問い合わせはフューチャーリゾート℡(68)1000へ。

 

 

2021年6月9日

どうなる?お産 ⑩-⑪

⑩未来にも産む場所の多様な選択肢を

 「『よいお産』を語るなら、助産師たちのお産も取材してほしい」

 読者から、そんな声が寄せられた。

 そこで訪ねたのは、4月に開所した東近江市の「共同助産所お産子の家」。

 20〜30年以上のキャリアを持つ助産師6人が始めた。滋賀医大を連携医療機関に、院内出産、助産師が出張する自宅出産も請け負う。

 管理者は、斉藤智孝さん。1千人以上の赤ちゃんの誕生に立ち会ってきた。共同助産所の設立に当たって、27年間続けた「さいとう助産院」を閉じたという。

 その覚悟を、こう語る。

 「助産師免許を持っていても、医療介入なしにを介助できる助産師は絶滅危惧種。後輩養成が必要だと考えた」

 診療所医師の高齢化や病院の集約化により、産む場所が減り続けている。その危機感から、「産む場所の選択肢を、未来に残したい」と信頼する仲間たちと話し合いを重ね、運営を決めた。

 助産師主導のお産と医師主導のお産の大きな違いは「継続性のあるケア」だという。助産所では、妊婦1人につき1人の助産師が妊娠中から出産、産後まで一貫して担当する。

 妊婦健診、お産について学ぶ「お産塾」、健康的な身体づくりを促す「山登り」などを催しながら、妊婦との信頼関係を築いていく。

 産む場所は助産所でも自宅でもいい。いざお産が始まると助産師2人が介助し、産後は助産院で過ごすか帰宅するかを選べる。

 帰宅しても5日目まで担当助産師が自宅を訪問して体調をうかがい、その後も困りごとを気兼ねなく相談できる関係が続くという。

 確かに、医師は診察室の数分間と分娩時にしか顔を合わせない。その点、産前産後にわたり一貫して寄り添う担当助産師は、妊婦にとって心強い存在だ。

 「出産ケア政策会議」によるアンケートでは、出産直後に「また産みたい」と答えた人は、開業助産師のケアを受けた人が、病院でケアを受けた人の約2倍もいたという。

 

(6月3日掲載)

⑪お産の安全性 「点」ではなく「線」で見て

 東近江市の共同助産所「お産子の家」の助産師さんたちに話を聞きながら、「継続性のあるケア」が女性に安心を与えることを聞いた。

 そこで、働き方改革の影響で進む病院の集約化や、医師の高齢化により診療所の閉鎖が続いている現状で女性たちのケアは十分にできるかと尋ねた。開業助産師歴28年の三宅昌子さんは市民病院、診療所、助産院、独立後は自宅出産のサポートなどもする豊富な経験を持つ。三宅さんは「産科医の勤務は一般の人が想像する以上に過酷。医師に余裕がなければ、職場の雰囲気に伝わる。そんな状態は妊婦にとっても幸せじゃない。その悪循環が起きている」と語る。三宅さんはその点で、医療資源の集約化は仕方がないと受け止め「だからこそ、産む場所の選択肢のひとつとして、助産所が必要だ」と話す。

 共同助産所で出産を望む妊婦は妊娠20、28、36週の計3回、提携する滋賀医科大の妊婦健診を受ける。医師が「低リスク」と判断した妊婦だけが助産院や自宅での出産に臨むことができる。それでも緊急事態が起きた時には滋賀医大が救急搬送の受け入れ先となる。私は緊急帝王切開の経験者だ。万が一の事態を考えると、医師不在の出産には不安がよぎる。「安全性に不安はないか」と聞いてみた。

 三宅さんは「妊婦が不安だと思うなら病院を選べばいい。選べることが大切なのよ」。「でも堀江さん、お産の安全性ってなんだろう」と逆に問われた。「女性は産んで終わりじゃない。出産が終わればすぐに子育てが始まる。よいお産の体験が産後うつを防ぐという研究結果はいくつもある。周産期の死亡率1位は『自殺』。自殺を防ぐために女性たちが求めていることを社会はちゃんと聞いたことがあるか」。

 雷に打たれたようだった。私はお産の安全性を『点』で見ていた。分娩時の母子の低い死亡率は素晴らしいが、その数字でその後の自殺リスクは計れない。以前、私はお産に安全以外を求めることに恐縮したが、勉強不足だった。「よいお産の体験」や「産前産後のケア」は、女性のわがままを満たすために存在するサービスではない。産後うつによる自殺や育児不安による幼児虐待を防ぐために、社会的に必要な施策だ。

堀江昌史

(6月9日掲載)

2021年6月8日

手にした聖火トーチ、地元で巡回展

白血病から復帰の平川さん

 「私にとって聖火トーチは元気になった証。復帰の象徴」—白血病となり400日以上の入院生活を乗り越え、東京オリンピックの聖火ランナーに参加した高月町布施の平川健太さん(40)が手にした聖火トーチが町内の公共施設で巡回展示されている。

 平川さんは5年前、発熱の症状が治まらず、受診したところ、白血病と診断された。守山の病院に入院した平川さんは家族と離れたまま、闘病生活を送った。

 幼い子ども2人の子育てをしながら、車で片道2時間かかる病院まで妻のさきさん(40)は、ほぼ毎日通い、励ましてくれ、友人たちの応援も心の支えになった。また、長い抗がん治療も実らず、再発し、骨髄移植を受けることになり、弟の真也さん(37)に協力してもらった。

 「元気になれたのは家族や友人、みんなのおかげ。オリンピックで思い出を残したい」と聖火ランナーに応募。企業枠で当選し、5月28日、彦根城の堀周辺約200㍍を走った。

 ずっしり重たいトーチ。緊張の中、みんなへの感謝の気持ちを聖火に込めながら、完走できた。記憶の中では一瞬の出来事だったが、「この思いを地元の人にも伝えたい」と近くの七郷小や高月体育館などでトーチやユニフォームを展示することに。

 展示会場のひとつ、たかつき認定こども園では8日、平川さんが園を訪問。園児たちが聖火リレーの説明を受けながら、トーチにふれた。園児たちは「重たい」「つるつるしている」などと歓声を上げ、全員で「見せてくれて、ありがとう」とお礼を述べると、平川さんは「大きくなったら、オリンピックに出て下さい」とエールを送っていた。

2021年6月3日

将来の夢へ 期間限定の洋菓子店

木之本の高藤さん えきまちテラスにチャレンジ出店

 えきまちテラス長浜1階のチャレンジスペースに2日、洋菓子専門店「アンリトム」がオープンした。30日までの期間限定の出店で、出店者の高藤桃花さん(23)=木之本町黒田=は「お菓子に込めた思いやこだわりを伝えられれば」と話している。

 高藤さんは長浜高校を卒業後、パティシエを目指して京都市内の製菓専門学校で2年間学び、その後はホテルやカフェに勤務。昨年、フランスの菓子店で働きながら学ぶ「ワーキングホリデー」を計画していたが、コロナ禍で断念。このため、10月に木之本町廣瀬の民家を改修して工房を開設し、洋菓子を主にネット予約で注文を受け付け、直売してきた。

 12月のクリスマス前にえきまちテラスで開かれたマルシェに出店したところ、商品が完売。「ネット販売では味わえない、お客さんと接する喜びや幸福感が忘れられない」と実店舗販売への思いを募らせていた。

 洋菓子を楽しめるカフェ経営を目指している高藤さん。将来の参考にしたいと、えきまちテラス長浜が募集していたチャレンジスペースへの出店に手を挙げ、6月2日のオープンに至った。

 焼き菓子はフィナンシェやブラウニーなど7種類、生菓子はティラミスやクッキーシューなど5種類程度を扱っている。イートイン限定メニューとして、季節のフルーツを使ったオーストラリアの伝統デザート「パブロバ」を提供している。

 店舗名の「アンリトム」はフランス語で「ひとつのリズム」という意味。高藤さんは「アンリトムのお菓子が、食べた人の人生の一つのリズムを作るきっかけになれば」との思いを込めている。

 営業時間は午前11時から午後5時まで。火曜定休。

2021年6月2日

新商品で地域をPR、活性化

長浜市商工会 3カ所の道の駅で夏と秋「食のマルシェ」

 新商品で湖北地域の魅力をPR—長浜市商工会は市内3カ所の道の駅で特産品を展示販売する「長浜・食のマルシェ」を企画。2日から会員らを対象に出品募集を始めた。

 集客力を持つ道の駅、浅井三姉妹の郷(内保町)、湖北みずどりステーション(湖北町今西)、塩津海道あぢかまの里(西浅井町塩津浜)を会場に、「夏の陣」(8月20日〜22日)、「秋の陣」(11月19日〜21日)でオリジナル商品をPR。魅力ある商品を地元の人や行楽客に見てもらい、個々の販路を拡大。地域の活性化につなげる。

 商品は地域の食材や産物を使った食品や民芸品など。新規開発の商品も歓迎。パッケージ、内容物の数量の変更なども新商品とみなす。開発については同商工会がバックアップし、デザイナーなど専門家のアドバイスを無料で受けることもできる。

 対象者は商工会会員、道の駅出品者。出品料は各回3000円(出品手数料は常温15%、冷蔵・冷凍20%)。商品は1店舗最大3種まで。展示ブースは商工会が用意する。締め切りは夏の陣が7月15日、秋の陣が10月15日。

 同商工会と長浜商工会議所が今年2月、市街地の空き店舗で開いた「食くらしマルシェ」では75品が出品され、当初計画を大きく上回る278%の売り上げを記録。一部商品は販路の拡大につながっているという。

 商工会は「コロナ禍の中でも前向きな商品開発で地元から全国に通ずるブランドを発信したい」と話している。問い合わせは長浜市商工会℡(78)2121へ。

2021年6月1日

長浜で手作りコンサートを

加藤さん、企画グループを発足

 「長浜を中心に手作りのコンサートを開きたい」—木之本町木之本の加藤哲さん(59)はコンサートを企画するグループ「エンモ・コンサーツ」を発足。8月の弦楽四重奏演奏会のサポートを皮切りに活動を始める。

 京都生まれの加藤さんは大阪芸大で音楽学を学び、卒業後、楽器屋に就職。その後、当時、音楽事業に熱心だった下着メーカー・ワコールに移り、営業や物流など約30年間、携わった。

 しかし、音楽への情熱は冷めず、会社の早期退職制度を活用し、2年前、指定管理者になったばかりの「ふるさと夢公社きのもと」が募集していた企画・運営担当者に応募した。

 大津に住んでいた加藤さんは木之本まで通いながら、ホール事業の企画、運営を任されてきたが、コロナ禍などでコンサートができなくなった。しかし、この2年間で手応えを感じる一方、開催されないことを残念がる声を聞き、「継続したい」という思いが日に日に強くなった。

 その思いを地元で演劇、音楽活動をしている人たちに打ち明けると、皆、共感してくれ、木之本に移住することを決意。長浜を本拠に活動してゆくことに。

 今後、加藤さんら13人はコンサートを開きたい音楽家をサポートし、非営利で会場の手配、広報、チケット販売などを展開。8月1日には長浜在住のバイオリニスト・藤村知史さんらの「スティックホール弦楽四重奏団」とのタイアップ演奏会(木之本スティックホール)。9月5日には同じく市内在住の横田麻友子さんら5人によるクラシックコンサート(同)を催す。

 グループ名「エンモ」は「人と人、音楽家と聞き手を音楽で縁結び」に由来。加藤さんは「コンサートはお金がかかる、というイメージが強いが、ハードルはそんなに高くない。月1回程度の催しを考えており、長浜で(コンサートができるまでの)サイクルを作りたい」と話している。問い合わせは加藤さん℡070(5575)1973。