2022年3月29日

県内初の血液内科 きとうクリニックが開院

コープ2階に エイズ、外国人患者にも対応

 内科・血液内科の「きとうクリニック」が4月1日、宮司町のコープながはま2階にオープンする。県内初の血液内科医院でエイズ、外国人患者にも対応できる。

 木藤克之院長(63)は長年、滋賀医科大学病院の教授として▽研究▽教育▽臨床を務め、長浜赤十字病院でも毎週木曜、血液内科医として診察・治療している。

 このほか、2010年から6年間、定期的にケニアを訪問し、エイズ研修などを通して国際交流に尽力。ライフワークとして国際医療に興味がある人たちが集う「びわ湖国際医療フォーラム」の代表として、国内外の外国人に関する医療研究などをしている。

 県内では外国人8000人前後が就労し、エイズ患者は約150人いるとされるが、日ごろの健康状態がチェックされておらず、受け入れ態勢も十分でない。

 クリニックではブラジル国籍の看護師が常勤し、在日外国人に対応。関西で4カ所目となるエイズ対応施設として認定されているため、エイズ患者の「かかりつけ医」としての役目も担う。

 このほか、女医やエイズカウンセラーを配し、プライバシーを保護するための個別待合室を設置。血液検査にも迅速に対応でき、待合時間の解消に努める。

 木藤院長は「血液の病気、エイズ、海外の患者本人と家族を含めた地域医療を目指し、最善のチーム医療を実践してゆきたい」と話している。

 診察は午前8時半から正午、午後4時から7時。木曜と土曜の午後、日祝日休診。なお、長浜赤十字病院の外来は継続する。問い合わせはきとうクリニック℡(65)5100へ。

2022年3月28日

人工温泉やプールなど新設

名越町のグランピング施設がバージョンアップ

 昨年オープンした名越町のグランピング施設「フューチャーリゾート」に人工温泉やサウナ、プールなどが新たに設けられ、運営するフューチャーラボ(橋本久司社長、西上坂町)は「バージョンアップした施設を楽しんで」と来場を呼びかけている。

 施設は横山森林公園のふもとにある旧サイクリングターミナル跡地に昨夏オープンした。広さ4500平方㍍に高級ヴィラやドームテント、小型ドームハウスなどがあり、バーベキューなどのアウトドアが楽しめる。

 コロナ禍で密を避けるためにキャンプを始める人が増えるなどアウトドア人気が高まる中、家族や友人同士での利用や、企業・団体で施設を丸ごと借り切っての利用など、幅広い楽しみ方が可能な施設として人気を呼んでいる。

 新しく整備したのは、人工温泉、ロウリュ(蒸気浴)を楽しめるサウナ、屋外プール、ドッグランなど。施設利用者の観光や買い出しなどをサポートするため東南アジアで見られる自動三輪車「トゥクトゥク」も導入した。また、市内で飲食店を経営する「クラブメゾン」とタイアップした料理も始める。

 同社の橋本社長は「癒しと観光振興をキーワードに施設をバージョンアップした。市民限定のサービスも考えているので、ホームページで確認して欲しい」と話している。今後も新しいヴィラの建設を計画している。詳細はフューチャーリゾートのWEBサイト(https://www.futureresort.net/)で確認できる。

2022年3月24日

ウクライナ平和願う鐘

長浜ユネスコ協会が大通寺で

 ロシア軍の侵攻を受けるウクライナの平和を願って鐘を鳴らす催しが23日、大通寺で行われた。

 長浜ユネスコ協会が緊急で催した「平和の鐘を鳴らそう〜ウクライナの平和を願って」。同協会の呼びかけに賛同した市民や観光客、国際ソロプチミストの会員ら約50人が参加。ウクライナの方角を向いて黙祷し犠牲者を悼んだ後、順番に鐘を鳴らして、ウクライナ平和と避難民支援の輪が広がることを願っていた。

 また、この日は協会の会員らが大通寺境内で募金を呼びかけ、ウクライナ抵抗のシンボルとなっているヒマワリの種を配り、4万2601円の支援金が集まった。

彦根市内に避難民2人

 県は22日、ロシア軍侵攻を受けて隣国で避難生活をしていたウクライナ女性2人を県内で受け入れたと発表した。

 避難してきたのは、彦根市内に住むウクライナ国籍の女性の50代の母親と80代の祖母。2人はウクライナのハリコフに住んでいたが、ロシア軍侵攻後にポーランドのワルシャワに避難していた。女性の日本人の夫から今月17日に相談を受けた県が2人の県内への避難手続きを進めていた。

 2人はオランダ、韓国を経由して、22日午後6時ごろに関西国際空港に到着。23日未明に彦根入りした。待機期間を経て30日から彦根市松原町のミシガン州立大学日本連合センターの宿舎で過ごす予定。

 国内には在日ウクライナ人が約1900人いる。その知人や親族は短期滞在ビザでの入国が認められており、申請があれば1年の「特定活動」の在留資格変更も可能となる。

 岸田文雄首相が避難民の受け入れを表明した今月2日以降、16日までに73人が来日。滋賀県内には4人のウクライナ人が住んでおり、今回の女性2人の避難が最初となる。

5カ所に募金箱

 県は23日、ウクライナからの避難民の生活支援のため、米原市の県立文産会館など県内5カ所に募金箱を設置した。設置場所は県庁2カ所、ピアザ淡海2カ所、県立文産会館1カ所(パスポートセンター米原出張所)。期間は5月31日まで。税制上の優遇措置の対象となる「しがウクライナ避難民応援支援金」の専用口座への振込もある。振込先は滋賀県国際協会。詳細は同協会のホームページ(https://www.s-i-a.or.jp/news/757)で確認できる。

2022年3月10日

自然環境の実態と保護伝える

故・村上さん「やさしいネイチャーウォッチング」発刊

 長年、自然環境保護活動に取り組んだ村上宣雄さん(享年77)が地域情報誌「長浜み〜な」に連載した原稿を再編集した「やさしいネイチャーウォッチング—自然を守り育てる仲間づくり」がサンライズ出版から発行された。

 村上さんは中学校の理科教員を38年間務めた。生涯を通じて数多くの自然観察会を企画して自然保護の大切さを訴え続けた。山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会、滋賀自然環境研究会、滋賀環境教育研究グループ、滋賀ビオトープ研究会、滋賀のオオサンショウウオを守る会、奥びわ湖観光ボランティアガイド協会などで活発に活動した。

 「長浜み〜な」では21年間にわたって「やさしいネイチャーウォッチング」を連載。学校や地域での自然観察会や生き物を守る活動、ビオトープづくりなどをレポートした。

 同書では連載約80本を再編集し、「微生物のすごさ」「生きものを増やす」「生きものを守る」「生きものが危ない」「余呉湖」「食べる楽しみ」「鳥と私たちの関係」「ビオトープ」「核のごみを考える」をテーマとした9章の構成となっている。

 山門水源の森の里山再生活動の成果、びわ中学校による琵琶湖のヨシを増やす活動、木之本町古橋のオオサンショウウオの保護、イヌワシやクマタカが直面する危機的な実態などを、データ分析しながら解説し、読者が少しでも自然に関心を持つようにしている。

 また、旧余呉町で2006年に浮上した高レベル放射性廃棄物処分場の誘致問題を取り上げ、過疎地に犠牲を強いる手法として批判。核ごみに関する国民的論議の必要性と、原子力に頼らないエネルギー政策転換を訴えている。

 同書は2019年、村上さんの闘病中に編集作業が進められ、1回目の校閲を終えたのは翌20年2月29日に亡くなる1週間前だった。妻の尚子さん、長男・悟さんも編集に協力した。

 A5判216ページ・2400円(税別)。県内主要書店を中心に販売している。問い合わせはサンライズ出版℡0749(22)0627へ。

2022年3月3日

規格外絹糸で肌スベスベ

浜ちりめん製造ヤブウチ 入浴剤開発

 長浜の特産絹織物「浜ちりめん」を製造・販売するヤブウチ(八幡中山町)が、製造工程で出る規格外の絹糸を使った入浴剤を開発。「絹糸の湯」と名付けて販売するプロジェクトを進めている。

 天然繊維である絹糸の製造では糸の凹凸を取り除く「フシ取り」などの過程で規格外の糸が発生する。これまでは廃棄処分していたが、SDGsの観点から何か有効利用できないかと社内で検討。絹糸に含まれるたんぱく質成分「セリシン」が保湿性や抗酸化作用などの機能を持つことに注目した。

 日常的に絹糸の加工を担う同社の職員の手は、寒い冬でもあかぎれなどの手荒れがなく、みずみずしいことから、入浴剤として使えないかと提案があり、開発を進めてきた。

 絹織物は製品化の前に「精練」と呼ばれる工程でセリシンや不純物を除去するが、入浴剤の開発にあたっては精練を浅くかけることによってセリシンをたっぷり含んだ状態を維持した。

 「絹糸の湯」はこのセリシンをたっぷり含んだ糸をオーガンジーの袋に包んでいる。浴槽に入れると水溶性のセリシンが湯に溶け出す。社員が使用したところ「お湯がやわらかくなった」「肌がすべすべ、しっとりする」と実感したという。絹糸は100%自然由来のため、同社では「肌が敏感な方、市販の入浴剤が合わない方に試してもらいたい」としている。

 籔内猛之社長(67)は「この入浴剤を通じて多くの人に絹の持つ魅力を伝え、そこから着物文化へ興味をもっていただければ」と話している。

 なお、同社では15日まで「絹糸の湯」をPRするクラウドファンディングを実施し、返礼品として提供する。詳細はキャンプファイヤーのサイト(https://bit.ly/34ysRa7)から。

 

2022年3月2日

滋賀夕刊賞に寺村君「馬車道新聞」

長浜城博物館  自由研究コンクール

 歴史系自由研究コンクール「長浜城H-1グランプリ」の優秀作品展が2日から長浜図書館2階で始まった。

 コンクールは長浜城歴史博物館と同館友の会が、子どもたちの思考力や創造力、表現力を養おうと開催し、今回で10回目。「ぼく・わたしが住んでいる地域の歴史や人物」をテーマに新聞スタイルの作品を募集し、市内の小中学生から93点の応募があった。

 金賞にびわ北小6年の藤田真緒さんの「石田三成新聞」、銀賞に長浜南中1年の岩崎貫汰さんの「五先賢新聞」、銅賞に湖北中1年の山内結貴さんの「観音の里新聞」、審査員特別賞に浅井中1年の本田顕心さんの「史上最強の天皇 後鳥羽上皇 長浜市の名越に2度潜幸伝説に迫る!」を選んだ。

 また、コンクール共催の滋賀夕刊賞には長浜小6年の寺村勇亮くんの「馬車道新聞」が選ばれ、同社が新聞スタイルに再構成した。八幡中山町などを通る「馬車道」の歴史を調べ、明治期に長浜—関ケ原間に鉄道が走り、廃線後に乗合馬車が運行されていたことなどをレポート。寺村くんは通り沿いにある池田屋(西上坂町)、柏屋老舗(分木町)にも取材し、柏屋老舗が馬車停車場の待合場所となっていたことを紹介している。

 優秀作品展では入賞5点を展示している。16日まで。また、4月1日から5月8日までは長浜城歴史博物館でも展示する。