2023年1月31日
「漁師旅館」で湖魚の魅力発信
湖北町尾上の料理店「舟倉」が湖魚専門の「漁師旅館」に改装され、3月1日にオープンする。代表の松田悠樹さん(37)は漁師みずからが湖魚料理の魅力を発信することで、湖魚の消費拡大、漁業再興につなげたい考え。
松田さんは舟倉の3代目。調理師専門学校を卒業後、京都の老舗懐石料理店や長浜のホテルなどで経験を積み、2018年に父親の跡を継いだ。
湖魚料理と琵琶湖の眺めを楽しめるとして地域に愛されてきた舟倉は法事や宴会などの団体利用が大部分を占めていたが、コロナ禍で利用が減少。今後も法事などの集まりの簡素化が続く可能性もあり、事業継続のため完全個室型の漁師直営旅館として事業再編することを決め、施設改修などを行ってきた。
琵琶湖の風景を望める宿泊用の2部屋を整備したほか、これまで通り日帰りでの料理も楽しめる。
提供する料理は天然のビワマスをはじめ、ホンモロコ、フナ、小鮎など季節の湖魚。調理法もなれずし、くん製、味噌漬け、佃煮など幅広い。「湖魚には泥臭いイメージを持っている人が多いが、実際は食べやすく感動する美味しさ」と松田さん。
食生活の多様化、安価な輸入魚介類の流通などで湖魚の消費低迷は深刻で、「舟倉が琵琶湖の湖魚のおいしさなどの魅力を発信することで湖魚の消費拡大につながれば」と期待する。また、漁業就業者の高齢化と減少も深刻化しており、漁師が旅館を経営するビジネスモデルとして成功させたいと考えている。
なお、舟倉では漁師旅館をPRするためクラウドファンディングに取り組んでいる。80万円を目標に募り、寄付金は運営資金に充てる。返礼品は湖魚料理や宿泊券など。
詳細は「キャンプファイヤー」(https://bit.ly/3jt66f6)から。
長浜市商工会 会員事業所の「挑戦したい」を後押し
長浜市商工会は会員事業所のクラウドファンディング(CF)への挑戦を支援する制度を設け、舟倉もこの制度を活用して取り組んでいる。
商工会では会員事業所の「MediArt」(植田淳平代表)がCFのサポート事業を展開していることに目を付け、今年度、新たに支援制度を設けた。
会員事業所が挑戦する新規事業などについて、商品やサービス、事業への熱意などを聞き取って企画のストーリーを作り、ページ作成、告知やPRなどの支援を行い、CF後の結果も分析する。
商工会の山田昌宏事務局長は「現在も会員事業所から『挑戦したい』と複数の相談がある。コロナ禍の収束がまだ見えない中、事業継続や新たな展開を支援していきたい。まずは舟倉の新しい挑戦の成果を期待したい」と話している。商工会によるCF支援は会員事業所が対象。詳細は商工会℡(78)2121へ。