胃全摘から復活 マスターズ銅

75歳、片桐清司さん  教え子の活躍に感奮興起

 がんにより胃を全摘した高月町西阿閉の片桐清司さん(75)が22日に講道館(東京都)で開かれた日本ベテランズ国際柔道大会で銅メダルに輝いた。胃全摘に伴う体重低下と体力の衰えから当初は出場を諦めていたが、自身が指導する柔道塾の子どもたちの全国大会出場に刺激を受けて手術から1年2カ月を経て大舞台に戻った。「国民の2人に1人ががんになる。闘病している人に少しでも明るいニュースになれば」と話している。

 片桐さんは世界マスターズ柔道大会(現在のベテランズ国際柔道大会)で幾度も入賞を重ねる柔道家。地元では柔道塾「北桐館」で子どもたちを指導している。

 2021年秋に胃がんの手術を受け、転移する可能性があるとして胃を全摘出。「しばらくは試合も練習もできない。3、4年は無理かもしれない」とベテランズ大会への出場を諦めていた。しかし、昨年、教え子の伊藤彩藍さん(湯田小5年)らが全国大会出場を決めたのに刺激され、週4、5回の稽古を再開。体力がほぼ回復し思うように体を動かせるようになったことから大会へ出場した。

 これまでは81㌔級に出場していたが、胃摘出に伴う体重減少により2階級落として66㌔級に。6人が出場した75〜79歳の部門では、1回戦で寝技を得意とするベテラン選手を技ありの体落としから本袈裟固めで一本勝ち。準決勝では優勝選手に判定で惜しくも敗れ、銅メダルとなった。

 大会出場前に塾生からプレゼントされた寄せ書きが力になったと語る片桐さん。「思いっきり試合して」との言葉に励まされ、果敢に攻めた。その言葉を贈った伊藤さんは「昔からお世話になっている。1位になってほしかった。メダルを取ってくれて嬉しい」と喜ぶ。

 片桐さんは「子どもたちの活躍で感奮興起した。柔道も人生も引いたらあかん。前へ前へと積極的にチャレンジしたい。今度は金メダルを取る」と意気込み、同じ境遇で闘病する仲間には「少しでも明るいニュースになっただろうか。一緒に頑張りたい」と話している。

掲載日: 2023年01月24日