2020年11月27日

「おためしワークステイ」で人材確保

「売り手市場」の地域おこし協力隊

 売り手市場となっている「地域おこし協力隊」の隊員を確保しようと、長浜市は今年度から一定期間、現地に滞在しながら、地域活動を体験する「おためしワークステイ」を開始。県内初の試みに注目が集まっている。

 地域おこし協力隊は国が設けた制度で、都市から過疎地に移住し、まちおこしを図りながら、移住・定住を促す取り組み。市では2015年度からこの制度を導入し、これまで3期、計22人の隊員が着任。中でも市北部の振興を目的に着任した人たちはほぼ、長浜に定住している。

 市では次年度、一部隊員が任期を終えることから、成り手確保と移住促進を兼ね、新規隊員の募集を計画。ところが応募者数は全国的にみて、ほぼ横ばいの一方で募集する市町村の数は右肩上がり。中には「応募ゼロ」の自治体もあり、危機感を抱いた長浜市では受け入れ地域や住民、協力活動の内容を知ってもらおうと「おためしワークステイ」を企画した。

 プログラムに関する費用は市が負担。期間中の飲食費や交通費、フリー時間の経費は自己負担という内容で今夏、募集をかけたところ、大阪の女性2人と名古屋の男性1人の応募があり、女性2人は10月に体験を終了。名古屋市の会社員・竹田展基さん(35)が今月21日から1週間の日程で、市内各地で体験をしている。

 竹田さんは市が用意した空き家に宿泊しながら、「余呉秋の収穫祭」のスタッフとして参加したり、森林伐採、赤カブ収穫の手伝い、移動販売車カエル号の体験などをしている。

 木之本町金居原生まれの竹田さんは高校卒業後、名古屋に移住。登山が好きでながはま森林マッチングセンターのトレッキングツアーに参加したことがきっかけで、地域おこし協力隊に興味を持った。「おためし」は有休を活用して参加しており「故郷だが、知らないところが多く魅力的。体験してみて1人でできないことも多くあり、地域を巻き込みながらしなくてはならないことも実感できた。募集があれば、応募してみたい」と話していた。

2020年11月19日

能登こだわりの冬の味

えきまちテラスに期間限定のカキ小屋

 えきまちテラス長浜1階に20日、能登産のカキなどを提供する「カキ小屋だるま長浜駅前店」がオープンする。

 カキ小屋は炭火を囲んでカキなどの新鮮な食材を網の上で焼いて食べるスタイルの店。カキの産地では冬の風物詩となっているが、長浜市では初めての出店となる。

 カキ小屋だるまを運営するのは「J・SOUL」(疋田匡社長、名古屋市)。新型コロナウイルス感染拡大に伴う飲食店の低迷やイベントの中止で、カキが売れずに困っている能登半島の養殖業者を支援するため、能登産の新鮮なカキを提供し、あわせて観光PRも行う。三陸カキとの食べ比べもある。

 「カキ三昧、カキ食べ比べコース」(2840円〜)、「カキ鍋コース」(2人前3480円)などがある。また、土日祝限定の焼きカキ食べ放題は60分3300円(いずれも税込み)。営業時間は月〜木曜が午後5時〜深夜0時、金曜が正午〜深夜0時、土曜が午前11時〜深夜0時、日曜が午前11時〜午後10時。

 疋田社長は「生産者こだわりのカキを楽しんで欲しい」と来店を呼びかけている。3カ月限定の出店。問い合わせはカキ小屋だるま℡070(6425)6001へ。

2020年11月17日

火災にめげず居酒屋再開

「家庭料理こころ」 八幡東町の新店舗で

 8月の放火事件により休業を余儀なくされていた八幡中山町の居酒屋「家族料理こころ」が常連客や友人の支援を受けて、今月、八幡東町に移転オープン。さっそく馴染み客が足を運び、営業再開を歓迎している。

 店を切り盛りするのは押谷さおりさん(50)。子どもの頃から飲食店の経営を夢見て、開店資金を貯めてオープンしたのは2016年5月。カウンター10席ほどの家庭的な店で、人気は「かしわ鍋」や「ポテトベーコンチーズ」。押谷さんの人柄もあり、連日、多くの客でにぎわっていた。

 4階建てのマンションの1階で営業していたが、8月4日、プロパンガスが爆発する火災が発生。後にマンションの元住民の男が放火犯として逮捕された。マンションの壁面や駐車中の車両が燃えた。店内に大きな被害はなかったものの水道や電気、ガスが復旧せず、休業を余儀なくされた。

 当初は数日で営業再開できると見込んでいたが、復旧の見通しが立たないことから、移転を決意。常連客や友人らが物件を探したり、引っ越しを手伝ったりと、移転を後押しした。

 火災から3カ月での営業再開に常連客の大谷弘光さん(48)は「復活してもらえて嬉しくてしょうがない。火災からわずか3カ月での開店はすごいこと」と話す。

 「1人ではできませんでした。皆さんの助けがあったから」と語る押谷さん。「これからも皆さんが心温かく過ごせるような店にしたい」と心をあらたにしていた。

 場所は大津地方法務局長浜支局南側。営業時間は午後5時〜10時。水曜定休。

2020年11月16日

曳山まつりの伝統に触れ

長浜西中生 裸参り、くじ取り体験

 長浜西中の1年生156人が14日、市内2カ所で長浜曳山まつりの裸参りとくじ取り式を体験した。

 同校では地元の伝統文化を学ぶ「曳山文化教室」を通して曳山まつりに親しんでいる。この日の体験教室は長浜曳山まつり伝承委員会と若衆会の協力で実施。曳山博物館広場(元浜町)では曳山まつりの成功や子ども歌舞伎の役者の健康などを祈願して若衆が長浜八幡宮などに参拝する裸参りを体験した。生徒は弓張り提灯を掲げて曳山博物館広場から商店街を練り歩き、各山組から参加した若衆と一緒に「ヨイサー、ヨイサー」の勇ましい掛け声を響かせた。

 武徳殿(朝日町)では子ども歌舞伎の奉納順を決めるくじ取り式を体験。赤鉢巻きを締めた「くじ取り人」がくじを置いた三宝を選んで、合図に合わせて一斉に開いていた。

 望月あずみさん(12)は「裸参りを見たことがなかった。短い時間だったが曳山まつりのことを学べて楽しかった。深く関われた気がする」と話していた。

 伝承委員会の家森裕雄委員長は「行事の一つ一つがユネスコ無形文化遺産に登録されている。きょうの貴重な体験を通して曳山まつりに興味を持ってもらい、将来、まつりを支えてもらえれば」と生徒に話しかけていた。

2020年11月12日

マスク補助具で気分爽快

原馬化成が呼吸しやすく、化粧がつかない新商品を開発。

 新型コロナウイルス感染症対策のため、マスクの着用が日常化し、口元に空間を作って呼吸を楽にする「マスク補助具」が注目を集める中、西上坂町のプラスチック成形加工業「原馬化成」(原馬淳一社長)は「気分爽快マスククリップ」を開発した。

 Uの字型のクリップをマスク上部に引っ掛けるように装着することで口元に空間ができる。呼吸しやすいだけでなく会話も明瞭になり、女性からは「ファンデーションやリップがマスクにつきにくい」と好評。

 開発を主導したのは同社の原馬良典会長(69)。介護の職場に勤める女性から「1日中付けているとマスクがよれて口に張り付き、息苦しくなる」との声を聞いたのがきっかけ。持ち前のプラスチック成形技術を生かして、手軽に装着できる補助具の開発と改良、試用を重ね、約3カ月で製品化にこぎつけた。

 長時間のマスク着用が避けられない医療・介護業界から注目され、すでに大口の受注も入っている。原馬会長は「コロナは2、3年続き、マスクは手放せない。快適にマスクを装着できるように、その一助となれば」と話している。

 クリップは5個入りで580円(税別)、10個入りで980円(税別)。「はんがい」の長浜、浅井両店などのほか、ホームページ(https://kibunsoukaimasku.com/)からも購入できる。問い合わせは同社℡(63)8989へ。

2020年11月9日

長浜の名物土産はどれ?

「梅」の菓子テーマにコンテスト

 長浜観光協会は7日、えきまちテラスで、長浜を代表する名物土産を発掘するコンテスト「長浜お土産セレクション」を開催。「梅」をテーマに菓子を募ったところ、市内7事業者から12品の提案があり、観光客や市民が味や見た目などを審査した。

 「長浜の名物といえばこれ!」という商品がないという声を受けて、同協会の飲食物産部会(大澤剛人部会長)が中心となってコンテストを企画。第1弾として市の花や盆梅展にちなんで「梅」をテーマにした和洋菓子の開発を、市内の事業者に呼びかけていた。

 この日、えきまちテラス内のコンテスト会場には、完熟梅を使ってアレンジした木之本名産「でっち羊羹」、梅酒を使ったケーキや琥珀糖、ペースト状の木イチゴに梅肉を散らして焼き上げたラスク、梅干しを入れたおにぎり型のパンなど、それぞれの事業者が趣向を凝らした菓子を並べ、土産品として喜ばれそうな凝ったデザインのパッケージも添えた。

 訪れた観光客や市民ら約80人が試食し、商品の見た目、味、価格、パッケージなどを5段階で評価。「お土産として買って帰りたい」と思う3品を選んでいた。

 なお、観光協会では集計のうえ、来年1月8日の長浜盆梅展内覧会でグランプリを発表。キャンペーンでの販売や情報誌への掲載などでPRする。同協会では「試食は女性の方が多かったので、色彩がきれいな商品やかわいいパッケージの商品が人気を集めていた。第1弾は『梅しばり』だったが、次回は広くお土産を募りたい」と話していた。

2020年11月6日

除菌に効果 超音波噴霧器

地元10社がタッグ 開発・製造・販売

 湖北地域の企業がタッグを組んで、除菌やウイルス対策用に超音波噴霧器を開発し、6日、長浜ビジネスサポートセンター(さざなみタウン内)のフューチャールームでお披露目した。

 「ミストセイバー」と名付けた噴霧器は、除菌効果のある水溶液を約4〜5㍃㍍の超微粒子にして噴霧し、室内の隅々まで除菌できる。噴霧量を4段階に調整することで、会議室、食堂、劇場、体育館など多様な施設に使える。1500立方㍍のホールは約30分、200立方㍍の会議室は約8分で噴霧できるという。

 開発に携わったのは総カンパニー(内保町)、宮川商店(宮前町)、ナレッジ(末広町)など10社で、うち9社が湖北地域。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて今年5月から開発に取り組み、それぞれの企業が手分けして企画、設計、部品調達、製造、販売を手掛け、「メイドイン湖北」の製品を作り上げた。

 宮川商店の宮川裕道社長(60)は「机の上やドアノブ、手すりなどは拭き取ることで除菌できるが、床面、絨毯、カーペット、壁面のクロスには噴霧器が有効」と語っている。

 販売価格は54万7800円(税・送料込み)。リース(5年・60回払い)は月額1万0230円(税込み)。問い合わせは宮川商店℡(62)0424へ。

2020年11月5日

「麒麟がくる」ゆかりの中津へ

細川忠興の文書、北村さんが発見

 長浜城歴史博物館の元学芸員・北村大輔さん(56)は、現在、放映中のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公・明智光秀の娘婿、細川忠興の書状を発見。新出史料で忠興が城主を務めた大分県中津市の歴史博物館に5日、貸し出された。

 忠興は戦国武将で、妻は光秀の三女・ガラシャ。本能寺の変で徳川光秀に誘われたが、羽柴秀吉に従い、関ヶ原の戦いでは徳川家康に属すなど、世渡り上手。その後、中津城の城主となり、晩年は文化人として千利休に学び、茶の湯などを極めるなどした。

 書状は寛永8年8月13日、長崎の唐人医師・少峰に宛てた返信。「将軍、徳川秀忠の見舞いに行こうと船を出そうとしたが、嵐で行けない」「最高級品の香木・伽羅が見つかったら、手元に置き、私に見せてほしい」などと書かれている。

 書いていたのは遭難も否めない船中とみられ、大名として将軍を気づかいながら、文化人として興味つきないことを示している。北村さんは1年ほど前、ネットオークションで偶然、書状を見つけ、落札。忠興ゆかりの中津市への貸与を申し出た。

 この日、同博物館の三谷紘平主査(38)ら3人が長浜を訪れ、書状を預かった。館では14日から来年1月9日まで展示する予定。三谷主査は「書いた年号が確実にわかり、書状の中に地元の『竹田津』という地名が入っており、興味深い。文化人としての側面も見られる」と述べていた。

 北村さんは「長浜に置いておくよりも、(忠興)ゆかりの地で見てもらう方が良いと思った。ゆくゆくは寄託など、活用の幅を持たせたい」と話していた。なお、書状は中津市に貸し出された後、京都の長岡京市でも展示される。