「麒麟がくる」ゆかりの中津へ

細川忠興の文書、北村さんが発見

 長浜城歴史博物館の元学芸員・北村大輔さん(56)は、現在、放映中のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公・明智光秀の娘婿、細川忠興の書状を発見。新出史料で忠興が城主を務めた大分県中津市の歴史博物館に5日、貸し出された。

 忠興は戦国武将で、妻は光秀の三女・ガラシャ。本能寺の変で徳川光秀に誘われたが、羽柴秀吉に従い、関ヶ原の戦いでは徳川家康に属すなど、世渡り上手。その後、中津城の城主となり、晩年は文化人として千利休に学び、茶の湯などを極めるなどした。

 書状は寛永8年8月13日、長崎の唐人医師・少峰に宛てた返信。「将軍、徳川秀忠の見舞いに行こうと船を出そうとしたが、嵐で行けない」「最高級品の香木・伽羅が見つかったら、手元に置き、私に見せてほしい」などと書かれている。

 書いていたのは遭難も否めない船中とみられ、大名として将軍を気づかいながら、文化人として興味つきないことを示している。北村さんは1年ほど前、ネットオークションで偶然、書状を見つけ、落札。忠興ゆかりの中津市への貸与を申し出た。

 この日、同博物館の三谷紘平主査(38)ら3人が長浜を訪れ、書状を預かった。館では14日から来年1月9日まで展示する予定。三谷主査は「書いた年号が確実にわかり、書状の中に地元の『竹田津』という地名が入っており、興味深い。文化人としての側面も見られる」と述べていた。

 北村さんは「長浜に置いておくよりも、(忠興)ゆかりの地で見てもらう方が良いと思った。ゆくゆくは寄託など、活用の幅を持たせたい」と話していた。なお、書状は中津市に貸し出された後、京都の長岡京市でも展示される。

掲載日: 2020年11月05日