創業131年の井筒屋 元ホテルシェフこだわり
駅弁の製造・販売を手掛ける「井筒屋」(米原市下多良)はJR米原駅西口の立ち食いうどん・そば店を「カレーのお店」に衣替えし、9月30日から営業を開始。スパイスの香りに誘われて、さっそく駅利用者の人気を集めている。8月に本社の社屋内に新設したイートインコーナー「キッチン井筒屋」も口コミで話題を呼んでおり、新型コロナウイルス感染症に伴う旅行者の減少が売上を直撃する中、創業131年の老舗企業が浮揚策の模索を続けている。
同社は安政元年(1854)に長浜船着場前の「旅籠井筒屋」として創業。東海道線が開通した明治22年(1889)に駅弁屋を始め、現在は駅弁の製造・販売、バス・鉄道の団体旅行向けの弁当の積み込みなどを行っている。昭和62年(1987)にJR東海の「新幹線グルメ」として誕生した湖北産の食材を使った駅弁「湖北のおはなし」は米原駅の味覚として長年親しまれている。
しかし、新型コロナの影響で2月末から注文のキャンセルが相次ぐなどして売上が低迷。米原駅のホームと西口で営業していた立ち食いうどん・そば店の閉店を余儀なくされた。
「商売の基本は地元。地元の方に食べに来てもらえるような店を出したい」。6代目の宮川亜古社長はコロナ禍を機に、旅行者だけでなく地域住民にも支持される地域密着の企業をあらためて目指すことに。
カレーのお店は元彦根プリンスホテルのシェフ3人が手掛ける。ホテル時代のカレーを改良してさっぱりとしながらも辛さを強調し、宮川社長は「飽きのこない、また食べたいと思える味に仕上がっている」と話す。ビーフカレー(850円)やオムレツカレー(900円)など提供する。カウンターは6席。営業時間は水〜金曜、午前11時〜午後2時。
本社の社屋で駅弁、うどんなどのイートインも
キッチン井筒屋は駅西口にある本社の社屋の一角に開設。駅を降りても食事をするところがないとの声を聞き、従業員の休憩スペースなどとして使用していた部屋を転用。10席ほどの小さなスペースだが、本社内の工場で作りたての駅弁10種類をはじめ、うどん、そば、カレーなど計20種類を食べられる。持ち帰りにも対応する。大々的に宣伝していないものの、9月のシルバーウイークには満席となる盛況だった。こちらは午前9時半から午後3時まで。無休。
井筒屋の歴史を紹介した「プチ・ミュージアム」コーナーも設け、ホームで弁当を立ち売りする際に羽織ったはっぴ、茶を入れた汽車土瓶などを並べている。
駅弁・弁当の予約など問い合わせは井筒屋℡(52)0006へ。