2024年3月28日

奥びわの魅力、学生目線で発信

滋賀文教短大生、取材、執筆で冊子を作成

 滋賀文教短期大学(松本秀章学長、田村町)の学生が長浜市北部地域の魅力を集めた冊子「おくびわぐらし」を作成した。A5判19ページで3000部を発行し、長浜観光協会などを通じて無料で配布する。

 冊子発行は市北部の魅力を学生目線で取材、撮影、執筆、編集したもの。江北図書館(木之本町木之本)、レイニー・デイ・コーヒー(高月町高月)、十割蕎麦坊主Bar一休(高月町落川)、渡岸寺観音堂(高月町渡岸寺)、ブックカフェ住暮楽(すくらむ)(木之本町木之本)、ビストロさくらyogo(余呉町下余呉)、cococafe心風流(しんぷる)(余呉町菅並)などを取り上げ、店主や住民の思い、暮らしぶりのほか、自然や町並みも紹介している。

 びわ湖東北部地域連携協議会の地域コミュニティ活性化事業として、コロナ禍で制限されてきたフィールドワークを再開し、学生と地域の交流を促す「仕掛け」として企画された。

 28日には学生4人が市役所を訪れ、浅見宣義市長に冊子の完成を報告した。リーダーで香港からの留学生・江之洋さん(28)は「人の温かさ、自然の豊かさに惹かれて取材した。奥びわ地域の魅力を多くの人に届けられれば」と話し、長浜出身の服部夕唯さん(19)は「余呉や木之本にはあまり足を運んだことはなかったが調査を通じて魅力を再発見した」と思いを語った。

 浅見市長は「長浜は自然も歴史もある。関係人口として、これからも長浜に関わってほしい」と話しかけていた。

2024年3月26日

江北図書館ゆかりの絵本とパン誕生

読んで食べて木之本散策楽しんで!

 「絵本の中に登場するパンが図書館で実際に食べられたらうれしい」「絵本を読んだ親子連れが絵本の中のパンを食べに木之本まで来てくれたら」—。そんな思いが詰まった絵本「パンやのポポさん」と、絵本に登場する「おうちパン」の販売が新館「Lib⁺」のオープンに合わせて始まる。

 絵本は財団法人の依頼を受けて市内在住の絵本作家・山田美津子さん(50)が制作し、能美舎(木之本町大音、堀江昌史代表)が発行した。パンのホウキで空を飛ぶハトの「ポポさん」が動物たちにパンを届けるほのぼのとした作品で、江北図書館のシンボルであるアーチ状の窓をモチーフにした形状のパンも登場する。絵本は全国の書店で販売され、山田さんは「この絵本を手に取ってもらって江北図書館と木之本を満喫してもらいたい」と話している。絵本はB5変判24ページ。1320円。

 

 

 「おうちパン」はつるやパンの人気商品「カステラサンド」をアレンジした商品でメープル味のカステラをバタークリームとともに菓子パン生地で挟んでいる。絵本に登場するパンをイメージした形状で、包装袋には「ポポさん」もデザインされている。同社の西村豊弘社長(45)は「カステラサンドは子どもに人気があり、コーヒーにも合う」と語り、新館の運営にあたり「駅前にあるので、高校生ら地元の子どもたちに利用してもらいたいのと、観光客らのまち歩きのスタート地点として活用してもらいたい」と話している。「おうちパン」は250円、コーヒー500円。

 

2024年3月26日

江北図書館の新館「Lib⁺」完成

市民・観光客の憩いの場に 31日オープン

 120年以上の歴史を持つ県内最古の私設図書館「江北図書館」(木之本町木之本)の南隣にカフェや閲覧室を設けた新館「Lib⁺(リブプラス)」が完成し、31日オープンする。

 江北図書館は1902年に設立された「杉野文庫」を前身とし、75年に現在の建物である旧伊香郡農会庁舎に移転した。建物は前面中央に千鳥破風、2階部分に4連の半円アーチの窓と5つのバットレス(主壁を補強する控え壁)を備えた近代建築物で国の登録有形文化財にもなっている。

 建物の老朽化が著しい上、トイレはくみ取り式しかないため、図書館を運営する公益財団法人江北図書館がクラウドファンディングなどで集めた寄付金2194万円を活用して、建物の応急修繕、水洗トイレを備えた新館の整備に取り組んできた。

 新館は木造平屋43平方㍍で、多目的フリースペース、厨房、トイレからなる。屋外にはベンチを設けた。地元の「つるやパン」が管理し、コーヒーやパンを提供するカフェも運営する。図書館の利用者や学生、地域住民、観光客の憩いの場として自由に活用してもらいたい考えで、「Lib⁺」は今までの図書館にいろんなものをプラスして新たに創造していくという思いを込めている。

 応急修繕は図書館本館の外壁のひび割れ補修、腐食した柱の取り替えなどを実施した。

 「多くの人の協力で新館整備と修繕が完了し、『感謝』のひと言です」と語るのは財団法人の岩根卓弘理事長(49)。「120年間守ってきた図書館は唯一無二の貴重な存在。今後も守り続けることによって地域愛の醸成につながる。子どもはもちろん、中高生、地域の老若男女に気軽に立ち寄っていただきコミュニケーションが生まれる場になれば」と話す。

 開館は午前10時から午後4時まで。火・水曜休み。

 応急修繕と新館のオープンは江北図書館の保存に向けたスタートで、目標は築86年の建物の大規模修繕と将来にわたる持続可能な運営。まとまった収益源を持たない財団法人が幅広い呼びかけで浄財を集め、国や自治体の補助金に頼らずに新館建設や応急修繕ができたことに関係者は手応えをつかんでいる。

 今後、財団法人では理事9人に各分野の専門家や地域住民らを加えた19人で図書館保存活用方法検討委員会を発足させ、持続可能な図書館の姿を探る。また、大規模修繕に向けた寄付も計画的に受け付ける。早ければ2026年から設計に着手したい考えで、新館整備と運営はそのための足がかりとなることが期待されている。

◇    ◇

 新館「Lib⁺」のオープンを記念したイベント「うれし!めでたし!本ざんまい」が31日開かれる。

 新館は地元の「つるやパン」のカフェを併設した多目的スペースで、午前10時10分から完成セレモニーがある。イベントは約20店舗が集まる一箱古本市「いろはにほん箱」、絵本「パンやのポポさん」読み聞かせ(午前11時、午後2時)、「すいーとほーんズ」によるホルンコンサート(正午)など。午前10時から午後4時まで。

 

2024年3月22日

祖母の店、孫が引き継ぐ

虎姫の喫茶「ほほえみ」、4月再開

 虎姫学園の西側にあり地域住民の憩いの場となっている喫茶店「ほほえみ」(五村)。創業時から店を切り盛りしてきた大橋和子さん(享年91)が倒れた昨年12月下旬から休業が続いているが、「おばあちゃんが大切にしてきた店を再開させたい」と孫の大橋綾乃さん(25)が一念発起。4月1日の再開に向け、和子さんの料理に挑戦するなど準備を進めている。

 喫茶店は和子さんと夫・八朗さんが1982年に開店させた。地域の働く人や住民の憩いの場として人気を呼び、八朗さんが病気で亡くなって以降は娘の岡田真理子さん(62)らが手伝って店をまわしてきた。

 和子さんは昨年12月23日、店の準備中に倒れ、今年1月11日に亡くなった。「お母さんが切り盛りしてきた店。1人ではできない。このまま閉めるのもしょうがないかな」と真理子さんが閉店も考えていたところ、綾乃さんが勤めている会社を辞めて跡を継ぐことを決意した。

 綾乃さんは「お客さんから開店を待ちわびているとの声を聞いた。不安はあるけど、おばあちゃんの笑顔を見に来てくれたお客さんのために、何とか店を続けたい」と話している。

 飲食店で働いた経験はなく、すべてが手探り。また、店で提供する料理のレシピを記録したノートなどはなく、味付けはすべて和子さんのさじ加減だった。綾乃さんは和子さんの料理を見守ってきた真理子さんの記憶と舌を頼りに少しずつ味を再現したい考え。

 当面はメニュー展開を人気の焼うどん、焼きそば、サンドウィッチなどに絞る。「大学時代、店で勉強していたら大好きな焼うどんとコーヒーを出してくれたりと思い出の詰まった喫茶店。みんなが安心して居られる場所にしていきたい」。そんな思いを語る綾乃さんを、遺影の和子さんが微笑みを浮かべて見守っている。

 営業時間は午前8時から午後6時まで。定休日は土曜午後、日曜、祝日。問い合わせは同店℡(73)4159へ。

2024年3月21日

ダンス、歌、芝居、一緒に楽しもう

50歳以上のミュージカル劇団「発起塾」が長浜に教室

 大阪市を拠点にシニアミュージカルを展開しているNPO法人「発起塾」は4月4日、長浜市の田根まちづくりセンターと市民交流センターに新教室を開設する。

 発起塾は演出家の秋山シュン太郎さんが1999年に設立し、大阪、京都、神戸、名古屋で教室を展開。50歳以上の演劇初心者が参加し、月2回のダンス、歌、芝居のレッスンを経て、年1回の定期公演や出前公演などを楽しんでいる。過去には海外公演も実現している。

 長浜では木曜午前10時から田根まちづくりセンター、午後2時から市民交流センターで教室を開設。1年後の出前ミュージカル上演を目指す。

 秋山さんは「台詞を覚え、ダンスをするので老化防止につながる。新しい世界に挑戦することでアンチエイジングになる」と参加を呼びかけている。

 参加条件は50歳以上の演劇未経験者。料金は月額5500円(月2回)。なお、今月28日に無料体験会を催す。午前10時から田根まちづくりセンター、午後2時から市民交流センター。予約制だが、当日の飛び入り参加も可。問い合わせは発起塾℡0120(86)2615へ。

2024年3月18日

市民合唱団、歓喜の歌高らかに

ながはま第九コンサート、満席のホールから万雷の拍手

 市民合唱団とプロの声楽家が共演してベートーベンの交響曲第9番第4楽章を披露する「ながはま第九コンサート2024」(長浜市、市民芸術文化創造協議会主催)が17日、浅井文化ホールで開かれた。団員50人が歓喜の歌を高らかに響かせ、満席のホールから万雷の拍手が送られていた。

 第1部で合唱「日本の春のうたメドレー」など、第2部で交響曲第9番第4楽章「合唱付き」を披露し、数々の交響楽団でタクトを振る中村貴志さんが指揮した。ソリストに栗原未和さん(ソプラノ)、上木愛李さん(アルト)、蔦谷明夫さん(テノール)、岡田通利さん(バリトン)を迎え、それぞれの歌声披露のほか、長浜市少年少女合唱団「輝らりキッズ」の発表もあった。会場は480席が満席。合唱がホールいっぱいに響くと大きな拍手が送られていた。

 「ながはま第九コンサート」は、平成最後の大みそかに交響曲第9番を歌おうと市民有志が楽器を持ち寄り2018年12月31日の夜、えきまちテラス長浜のデッキで合唱したのが始まり。2022年からは合唱団の公募、ソリストの招へいで本格的なコンサートを開いている。

 今回は10〜80代の男女が応募し、昨年10月から鳥塚貴絵さんらの指導で練習を重ねてきた。企画・運営を担当したNPO法人はまかるの磯崎真一さんは「最初は有志で始まった合唱がこれほどレベルの高いところに到達し、皆さん感無量の気持ちだった。プロのソリストの歌声に引っ張り上げられ、市民合唱団として一段引き上げられた」と振り返り、「今度はプロのフルオーケストラとの共演を企画している。時期は未定だが、楽しみにしていてほしい」と話している。

2024年3月15日

家倉さんら小谷美濃山でハンノキ植樹

田んぼのあぜにハンノキを植えた家倉さん(中央)ら(吉田一郎さん撮影)

湖北の原風景を次世代に

 かつて湖北地域の水田のあぜに多く見られたハンノキ(畔(はん)の木)のある風景を取り戻そうと、湖北町丁野の農家・家倉敬和さん(43)が14日、小谷美濃山町の田んぼのあぜにハンノキの幼木を植えた。「湖北の原風景を次世代につなげてゆければ」と思いを込めている。

 ハンノキは収穫した稲を掛けて干すための「はさ木」の役割を担った。木に水平に取り付けた竹に刈り取ったばかりの稲を干す風景は、湖北の秋の風物詩だった。また、伐採した枝は貴重な燃料として生活を支えた。しかし、農業近代化に伴うほ場整備で伐採され、今では見ることはない。

 湖北地域の移り行く姿を写真に収め続けている吉田一郎さん(82)=湖北アーカイブ研究所所長=の写真展「畔の木の詩」(昨年11月〜今年2月、長浜市内の複数カ所で開催)を通じて、ハンノキを知った家倉さん。その風景を復活させようと幼木の入手を吉田さんに相談し、吉田さんが写真展のトークショーで参加者にハンノキの情報提供を呼びかけたところ、鳥羽上町の北村與作さん(76)が横山のふもとの耕作放棄地に幼木があるのを見つけた。

 今月6日、家倉さん、北村さん、吉田さんらで高さ約3㍍の幼木12本を掘り起こした。14日の植樹はあぜの幅が十分に確保できる場所を探し、小谷美濃山町にたどり着いた。家倉さんは「ほ場整備では収量を最大にするため、あぜの幅は30〜40㌢ほどの狭さになっている。植えられる場所は限られている」と話す。

 4人で手分けして1時間半ほどで植え終え、吉田さんは時折、スコップからカメラに持ち替えて記録写真を撮っていた。

 農家の5代目として農業法人「お米の家倉」を設立し、稲刈りやはさ掛けなどの体験イベントで農業の魅力を発信している家倉さん。早ければ来年秋の収穫時にハンノキを使ったはさ掛け体験会を実現したい考えで、「ハンノキがある原風景を復活させたいと思っている人が近くにいてくれたおかげで、復活への一歩を踏み出せた。世代を越えて湖北の原風景を次世代につなげてゆきたい」と話している。

 吉田さんは「湖北の原風景を大事にしたいという農業者が出てきてくれたのは嬉しい。ハンノキの成長を2年後、5年後、10年後と、写真に記録し続けることが私の生きがいにもなります」と話していた。

2024年3月13日

ベルギー女性、伝統の醸造技術に感銘

輸入元の清金醤油店を視察

 日本茶や日本酒、醤油などの調味料を輸入してベルギー国内でレストランや小売店に販売しているマース・アナベルさん(38)が11日から1泊2日で長浜市を訪れた。醤油を仕入れている「清金(せいきん)醤油店」(八幡東町)の醤油造りを視察するためで、「思っていた通り、伝統的な手法で質の高いものをつくっていますね」と話していた。

 アナベルさんは仕事で約3年間、日本に住んだ際にその食文化に魅了され、帰国後、日本の食材をベルギー国内のレストランやホテルなどに販売する「Kaori Tea&Spices」を2018年に創業した。

 創業182年の清金醤油店6代目・清水金幸さん(64)の長男・金洋さん(34)とアナベルさんが以前一緒の職場に勤めていたのが縁で、同店の醤油を輸入するように。年3〜4回に分け船便で仕入れているが、人気商品のため在庫がなくなり慌てて空輸することも。「今はポン酢が一番人気です。魚、野菜、肉にも合いますから」と語る。

 アナベルさんは今月1日から16日まで日本に滞在し、東京で開かれた食品見本市「フーデックス」をはじめ8都県を精力的に訪ね、日本食を探索。有機栽培の七味唐辛子、玉露など新しい発見があったという。

 清金醤油店には12日午前に訪れ、木桶で醸造するようすを見学。大きな木桶の中を覗き込んで醸造工程の説明を受けたり醤油を搾る前のもろみを試食して味を確かめたりと伝統的製法に触れ、「歴史的な木桶を使って家族で代々醤油を造り続けるのはユニーク」と感銘を受けたようす。

 金幸さんは「これまではメールでのやり取りだったので、お会いするのは初めて。創業以来続けている昔ながらの木桶での醸造を見てもらえて嬉しい。この伝統をベルギーに伝えてもらえれば」と話していた。

2024年3月12日

自衛隊入隊、女性2人が決意

激励会の参加者。中央の女性2人が饗場さん(左)と松井さん。

長浜市役所で激励会

 長浜市内の自衛隊入隊予定者の激励会が11日、市役所で開かれた。入隊予定者4人のうち2人が家族と一緒に出席し国防を担う決意を新たにしていた。

 激励を受けたのは松井凜さん(22)=朝日大学4年=と、虎姫高校を卒業したばかりの饗場千尋さん(18)の2人。松井さんは大学生時代に予備自衛官の訓練に参加したのを機に国防に奮闘する隊員の姿に感銘を受け自衛隊を志した。饗場さんは東日本大震災での自衛隊の活動を知って興味を持ち自衛隊を進路に選んだ。

 激励会は自衛隊滋賀地方協力本部の主催で、2人のほか家族や浅見宣義市長らが出席した。

 浅見市長は「若さあふれるエネルギーを生かし、国土防衛、大規模災害の救助に頑張ってもらいたい」と激励。自衛隊滋賀地方協力本部の吉田修造本部長は「国家防衛という崇高な任務を選択していただき、感謝と敬意を表したい」と語った上、能登半島地震の被災者支援などでも女性隊員の活躍が求められているとして、2人の入隊を歓迎していた。

 入隊予定者を代表して松井さんが「震災での自衛隊の活躍を見て、自衛隊という大きな組織の一員となれることを光栄に思う。入隊後も自衛官であることの責任を自覚し、たくさんのことを学んだり挑戦して自らを誇れるように努力する」などと決意表明をしていた。

 松井さんは陸上自衛隊大津駐屯地、饗場さんは海上自衛隊舞鶴基地に赴任する。

2024年3月8日

「消防の日」 功労者3人を表彰

表彰状を手にする原耕一さん(前列中央)、坪井翔さん(左)、高橋直政さん(右)

 

 湖北地域消防本部は7日の「消防の日」に合わせ今年度の消防表彰式を行い、人命救助活動に貢献した男性に感謝状、消防機器を開発した消防職員2人に表彰状を贈った。

原さん、人命救助に貢献 小谷山で遭難の高齢女性を発見

 感謝状を贈呈したのは、昨年12月に小谷山で発生した山岳遭難事故で一時行方不明になった高齢女性(88)を山中で発見するなど救助活動に大きく貢献した静岡県袋井市の原耕一さん(61)。

 山岳遭難は12月6日に発生。小谷山の小谷城跡に息子と一緒に訪れた愛知県内の女性が山中で行方不明になり、午後4時半ごろに警察に通報があった。女性は翌朝に無事保護された。

 原さんはこの日、観光で小谷山を訪れ、午後4時半ごろ山頂付近で女性と出会っていた。「元気ですね」と声かけて一緒に山頂まで歩いた後、「一緒に下山しよう」と声をかけたが、女性が「この先で待ち合わせしている」と話したことから、別れて1人で下山。麓の駐車場に到着した時、女性が遭難していることを知った。

 「あの時、一緒に連れて下山していれば」—。責任を感じた原さんは翌7日の早朝、再び小谷山に登った。最後に女性と出会った場所から、遭難場所を特定できるのではという期待もあったという。山頂から女性が向かったと思われる方向へ谷筋を20分ほど下ったところで岩に腰掛ける女性を発見。警察に通報するとともに、予備のダウンジャケットを着せて菓子や水を提供し足をマッサージするなどして、捜索隊が到着するまで女性に寄り添った。

 原さんは「女性は軽装だったが、元気そうだったので安心した」と振り返り、「先日、息子さんから元気にやっていると手紙が届きました。遭難して病院に搬送された日も温泉に入ったそうです。元気でよかった」と話している。

 この日、湖北地域消防本部で清水正幸消防長から感謝状を受け取った原さんは「このような感謝状は一生に一度あるかないか、非常にありがたい。旅行と合わせて長浜に来た。1週間程、滋賀県内をめぐりたい」と話していた。

圧迫止血器具を考案 米原消防署の高橋さん、坪井さん

 消防機器「マルチ圧迫止血器具」の開発で表彰を受けたのは米原消防署消防士長の高橋直政さん(40)と坪井翔さん(36)。全国消防協会主催の「消防機器の改良及び開発並びに消防に関する論文」で東近畿支部代表として推薦され全国大会で審査された。入賞はならなかったものの、2人は「この経験を止血処置の住民啓発に生かしたい」と話している。

 2人が考案したのは、シューズなどに使用されている、紐を結ぶ代わりにダイヤルでフィッティングを行う「BOAシステム」と、ゴムボールを組み合わせた止血器具。出血している部位にガーゼを当て装着し、ダイヤルを回すことでゴムボールが加圧されて変形し面で傷口を圧迫することが可能になる。特殊な技術や知識が無い市民でも扱えるのが特徴。

 2人は救急隊員として現場に到着した際、傷病者の傷口がうまく止血できていないケースに何度も直面。「止血に不慣れだったり、出血量の多さに驚いたりと、一般の方にとって止血は不安がある。その不安を少しでも和らげる器具があれば」と開発に乗り出し、約半年かけて試作を繰り返した。

 完成した止血器具は滋賀県審査、東近畿支部の審査を通過して全国消防協会主催の全国審査へと推薦された。

 2人は「製品化されて一般に浸透すれば傷病者の苦痛軽減につながる」とした上で、「表彰を励みに、これからも一般住民に分かりやすい応急処置、止血処置を啓発していきたい」と話している。

2024年3月6日

主役は市民 響け「歓喜の歌」

17日浅井文化ホールでコンサート

 「歓喜の歌」で知られるベートーベンの交響曲第9番を公募市民の合唱団が歌い上げる「ながはま第九コンサート2024」が17日午後2時から浅井文化ホールで開かれる。

 ながはま第九コンサートは2018年12月31日に「平成最後の夜にみんなで第九を歌おう」と、市民有志が長浜駅とえきまちテラス長浜を結ぶペデストリアンデッキに集ったのが始まりで、今回で4回目を迎える。

 市と市民芸術文化創造協議会の主催で合唱団のメンバーを公募し、10〜80代の市民52人が昨年10月から週1回、鳥塚貴絵さんの指導で練習を重ねてきた。

 コンサートは数々の交響楽団でタクトを振る中村貴志さんを指揮者に迎え、栗原未和さん(ソプラノ)、上木愛李さん(アルト)、蔦谷明夫さん(テノール)、岡田通利さん(バリトン)らプロが出演。青山洋子さん、井手智佳子さんのピアノ演奏(連弾)に合わせ、合唱団とともにホールに歌声を響かせる。

 第1部は「日本の春のうたメドレー」、「ロメオとジュリエット」より「私は夢に生きたい」、「フィガロの結婚」より「もし踊りをなさりたければ」など。第2部は交響曲第9番第四楽章(合唱付き)。

 企画・運営を担当するNPO法人はまかるの磯崎真一代表理事は「えきまちテラス長浜から始まった演奏会は今年で4回目。合唱団として、ますますレベルアップしている。地元の皆さんでつくっている合唱団の歌声を、是非ホールで聴いてほしい」と来場を呼びかけている。

 チケットは全席自由で一般1000円、高校生以下500円。当日券は500円増。未就学児の膝上鑑賞は無料。長浜文芸会館、浅井文化ホール、木之本スティックホール、teketで発売中。

2024年3月4日

タップダンスで被災地支援

9日さざなみタウン、久保さん企画

 木之本を拠点に活動する世界的タップダンサー久保群青さん(42)が9日さざなみタウンで、能登半島地震の被災地支援のためのチャリティーライブを行う。被災地の石川県など全国で活動するダンサー13人が長浜に集い、思いを込めたステップを届ける。

 東日本大震災を東京で経験し、東北の被災地でがれき撤去やフリーペーパーの発行などの支援活動を10年にわたって行ってきた久保さん。被災地を盛り上げるダンスイベントにゲスト出演するなど被災者に寄り添った活動に取り組んできた。長浜でもチャリティーダンスイベントを聞いてその収益で軽トラックを購入し、被災地へ送った。

 今回、能登半島地震のニュースに衝撃を受け、「何もしないのか?」「ボランティアのプロではない自分に被災地のために何ができるのか」と自問する中、昨年12月の自身の単独公演を見に来たダンサーが珠洲市で被災し避難所生活を送っていることを知った。「正解、不正解は分からないが、できることをやろう」とチャリティーライブの開催を決めた。

 思いを共有する全国のダンサー仲間が趣旨に賛同し、総勢13人でステップを踏む。「イベントを通じて、来場者が被災地に思いを馳せる機会になれば」と話している。収益金は珠洲市に送る。

 チャリティーライブは午後3時、同5時からの2回公演。各回定員100人。料金は大人2000円、小学生以下1500円。チケット予約はメール(gunjotap@gmail.com)へ。

 当日はキッチンカーも10台以上が集まる。