ベルギー女性、伝統の醸造技術に感銘

輸入元の清金醤油店を視察

 日本茶や日本酒、醤油などの調味料を輸入してベルギー国内でレストランや小売店に販売しているマース・アナベルさん(38)が11日から1泊2日で長浜市を訪れた。醤油を仕入れている「清金(せいきん)醤油店」(八幡東町)の醤油造りを視察するためで、「思っていた通り、伝統的な手法で質の高いものをつくっていますね」と話していた。

 アナベルさんは仕事で約3年間、日本に住んだ際にその食文化に魅了され、帰国後、日本の食材をベルギー国内のレストランやホテルなどに販売する「Kaori Tea&Spices」を2018年に創業した。

 創業182年の清金醤油店6代目・清水金幸さん(64)の長男・金洋さん(34)とアナベルさんが以前一緒の職場に勤めていたのが縁で、同店の醤油を輸入するように。年3〜4回に分け船便で仕入れているが、人気商品のため在庫がなくなり慌てて空輸することも。「今はポン酢が一番人気です。魚、野菜、肉にも合いますから」と語る。

 アナベルさんは今月1日から16日まで日本に滞在し、東京で開かれた食品見本市「フーデックス」をはじめ8都県を精力的に訪ね、日本食を探索。有機栽培の七味唐辛子、玉露など新しい発見があったという。

 清金醤油店には12日午前に訪れ、木桶で醸造するようすを見学。大きな木桶の中を覗き込んで醸造工程の説明を受けたり醤油を搾る前のもろみを試食して味を確かめたりと伝統的製法に触れ、「歴史的な木桶を使って家族で代々醤油を造り続けるのはユニーク」と感銘を受けたようす。

 金幸さんは「これまではメールでのやり取りだったので、お会いするのは初めて。創業以来続けている昔ながらの木桶での醸造を見てもらえて嬉しい。この伝統をベルギーに伝えてもらえれば」と話していた。

掲載日: 2024年03月13日