2024年1月30日

全国サッカー準V、近江高・前田監督、浅見市長と対談

地元に根ざしたチームづくりを

 旧虎姫町月ヶ瀬出身で、第102回全国高校サッカー選手権大会で準優勝に輝いた近江高校の前田高孝(たかのり)監督(38)が25日、長浜市役所で浅見宣義市長と対談。湖北のサッカー少年が目指したいと思えるようなチームづくりへの意欲を示し、長浜市へは人工芝グラウンドなどサッカー環境の整備を求めていた。

 国立競技場で行われた決勝戦で着用した黒いベンチコート姿で対談に臨んだ前田監督は全国大会について「選手が1試合ごとにものすごく成長した」と選手の頑張りを振り返り、「国立の決勝であれば観客5万5000人。その中で自信を持ってプレーできるかどうかは、日ごろから試合を意識した練習にある」と語った。

 近江高は京都サンガFC、ガンバ大阪ユース、セレッソ大阪U18などの強豪が集まる「関西プリンスリーグ」の1部と2部にAチーム、Bチームがそれぞれ参加。1年を通して強豪チームと試合を重ね、選手の成長を促している。また、Aチーム、Bチームの選手を入れ替え、その「切磋琢磨」がチームの成長につながっているとした。

 前田監督が近江高に就任したのは2015年。部員の数が足りないため最初の1年は部員募集に動き、2016年から本格始動した。

 どのような思いで近江高の監督に就任したのか。「私が中学3年の時、こちらで強い高校がなく、草津東高へ1時間半かけて行った。やはり、こちらの地域で子ども達が目指せるようなサッカーの強いチームをつくりたいとの思いがあった」と話した。

 前田監督によると、湖北出身のプロサッカー選手は自身のほか、柏レイソルなどで活躍した橋本和選手、近江高卒で琉球FCの山内舟征選手の計3人しかいない。「南の方は何十人とプロがいる」と比較し、県北部のサッカーの隆盛を目指している。

 浅見市長から「長浜では昨年、湖北キッカーズが初めて県で優勝した」と報告されると、「県大会で湖北のチームが優勝したのは嬉しいニュース」と語った。

 前田監督は「中学生は南のクラブチームに行く。そこから県外の高校を目指す。そこが課題」とし、子たちが目指したくなる魅力あるチームづくりに意欲を示した。

 浅見市長から湖北地域の子どもたちへの指導を提案されると「できることがあれば」と応じた上、「人工芝のサッカーグラウンドなどがあれば」とサッカー環境の整備を提案していた。

 また、浅見市長から日本一への意欲を問われた前田監督は、「日本一を目指すことだけが目的ではない」と語り、選手の人間的な成長も大切にしているとした。

 「(青森山田のような)全国区になるには大きな組織が必要になる。大きくすると試合に出られない子も出てくる」と語り、「こじんまりとした感じで地道にやっていきたい」とし、「田舎のうまい蕎麦屋」のような地元に根ざしたチームづくりを目指す決意を示した。

◇   ◇

 前田監督は草津東高校でフォワードとして活躍し、卒業後は清水エスパルスに入団するも、ひざのけがで2年目のシーズン終了後に戦力外通告を受けた。

 シンガポールやドイツなど海外でのプレーを経て、23歳で帰国し、後に関西学院大学へ進学した。在学中は、西宮サッカースクールジュニアユースで育成した中学生たちが市立西宮高校に進学し、全国大会で8強入り。前田監督のコーチング術が脚光を浴びるようになった。

 その後、関学サッカー部のヘッドコーチに招かれ、関西選手権優勝、全国大学サッカー選手権準優勝の成績を残した。そして「地元にサッカーの強豪を作りたい」との夢を果たすため、2015年4月に近江高へ赴任。当時、「滋賀で育ててもらった恩返し。近江高が強くなることで、県全体のレベルアップを目指したい」と語っていた。

 

 

2024年1月26日

長浜の魅力、浜ちりめんで発信

着物レンタル結い、CFで仕立て代募集

 長浜の伝統絹織物「浜ちりめん」で仕立てた着物を気軽に着てもらおうと、元浜町の「着物レンタル結い」(高山陽子代表)が仕立て代を募るクラウドファンディング(CF)を実施している。長浜を訪れる観光客らに浜ちりめんを通じて長浜の和装文化をはじめ、街の魅力や歴史を発信したい、としている。

 高山さんは着物を通じて長浜の和装文化を知ってもらおうと2022年にJR長浜駅近くで「着物レンタル結い」を立ち上げた。長浜を訪れた観光客が気軽に和装を楽しみ、外国人観光客もここで高山さんに着付けをしてもらい、黒壁スクエアなどの散策を楽しんでいる。

 「学生のころは、通学路にある機織り工場の音を聞きながら通学した。年の暮れになると、浜ちりめんの美しい着物姿の大きなカレンダーが飾られ、浜ちりめんは身近な存在でした」と高山さん。しかし、和装産業の衰退で、今では「琵琶湖のちりめんじゃこ?」と勘違いする人も。大きな衝撃を受けた高山さんは、多くの人に浜ちりめんを知ってもらおうと、浜ちりめんの着物をレンタル商品のラインナップに加えることを計画。

 ただ、高級絹織物である浜ちりめんを着物に仕立てるには幅広い資金協力が不可欠で、CFに挑戦することになった。100万円を目標に募り、女性用の訪問着M、Lの各1着ずつ仕立てる。返礼品は、浜ちりめん着物のレンタル、中心市街地散策案内など。目標金額に達しない場合は仕立てを諦めて全額返金する「オール・オア・ナッシング」方式としている。

 高山さんは「着物レンタルを通して浜ちりめんの着物を実際に着てもらい、浜ちりめんの素晴らしさや着物の街である長浜市の魅力を世界中の人々に伝えたい」と協力を呼びかけている。

 詳細はCFサイト(http://tinyurl.com/ycx2jdwf)から。

2024年1月23日

野鳥が集う自然、パネル展で

愛好家ら計画、CFで資金募る

 野鳥愛好家らで組織する一般社団法人びわ湖野鳥の楽園プロジェクト(中西佳澄代表理事、13人)は数多くの野鳥が暮らす湖北の豊かな自然環境を地域住民にあらためて発信しようと写真パネル展を計画。20日からクラウドファンディング(CF)でパネル制作費などを募っている。

 同法人は野鳥愛好家、写真愛好家、農業者らで組織。田根地区に飛来する特別天然記念物コウノトリを見守るとともに、野鳥の魅力や豊かな自然を発信する情報誌を発行している。2021年には池奥町の棚田にコウノトリなどの野鳥が集うえさ場「コウノトリ食堂」を整備した。

 野鳥が多く生息する自然豊かな湖北の環境について、同法人は「決して当り前のことではない。いつ壊れてしまうか分からない」と、自然を守り次世代につなぐ意識づくりを目的に活動しており、その啓発手段として計画しているのが写真パネル展。72種類の野鳥を紹介する写真と、湖北の風物詩となっているコウノトリ、オオワシを撮影した写真愛好家の作品などパネル計90枚を並べる。

 展示会場は湖北地域の道の駅を予定し、4月から巡回展示する。クイズや物販なども同時に行う予定で、ゆくゆくはパネル展をパッケージ化して各地で開催できるようにする。

 CFで募っているのはパネル制作費などで目標金額は50万円。返礼品に絵はがきセット、コシヒカリなどを用意している。詳細はCFサイト(http://tinyurl.com/5d7pn8y6)から。

2024年1月17日

一緒にソフトボールしよう!

拠点は長浜、女子中学生チーム「滋賀SBC」発足

 中学生女子ソフトボールクラブ「滋賀SBC」が今月、長浜市を拠点に発足した。選手は長浜、草津の10人。少子化などの影響で中学校の部活動が立ち行かなくなる中で、ソフトボールに挑戦したい中学生の受け皿として誕生した。

 チームは草津市を拠点に活動していた「草津SBC」が前身。全日本中学生男女ソフトボール大会ベスト16など全国レベルの大会に出場してきた。しかし、選手の減少に伴って長浜市内の中学生と合同で練習し、今年1月から滋賀SBCへと衣替えした。

 練習は土日・祝日の午前9時から午後4時までと、平日の火・水・木曜の午後6時から8時まで。平日は自由参加となっている。活動場所は長浜小グラウンド、松の岩公園グラウンド(本庄町)。

 川嶋祥吾監督(56)は「日本のトップチームは世界で金メダルを取る活躍をしているが、底辺ではソフトボールができる環境がどんどん減り、県北部でソフトボールをできる環境は長浜しかない。ここから滋賀のソフトボールを盛り上げたい」と語る。

 新しく発足したものの、目下の課題は選手の確保。今春で3年生2人が引退すると選手は8人となる。14日、松の岩公園で行われた体験練習会には地元の小学生が参加し、クラブチームのプレーの感触を確かめていた。副キャプテンの近藤絆さん(長浜西中2年)は「みんな明るくて年齢関係なく仲が良いチームで、全国大会出場を目指している。一緒にソフトボールを楽しみましょう」と呼びかけている。

 次回の体験・見学会は27日、松の岩公園グラウンドで開催。クラブの活動の様子は公式インスタグラム(http://tinyurl.com/y4mp4tm3)で確認できる。

2024年1月16日

福岡産業に子育て応援表彰

従業員の8割が女性、柔軟で多様な働き方実現

 子育て世代が安心して働ける職場環境づくりに取り組む事業所を称える長浜市の子育て応援表彰の受賞者に神照町のワイヤーハーネス製造「福岡産業」(中川繁社長)が選ばれ、16日、同社で表彰式が行われた。

 同社は電気配線ケーブルの加工やワイヤーハーネス生産を行い、エレベーター、金融機器、防災・セキュリティ関連、デジタル放送設備など産業用機器製造企業に製品を提供している。長浜2カ所と東京に拠点を持ち、今月19日に創業50周年を迎える。

 従業員は約80人で8割が女性という。うち50人余りがパート勤務で、午前中勤務だったり週3日勤務だったりと、子どもの成長や家庭の状況に合わせてフルタイム、パートなどの雇用形態を選べる柔軟で多様な働き方を実践している。

 市の審査では仕事と子育ての両立に職場の理解が深く、休暇を取得しやすい風土などが評価されたほか、直接雇用だけでなく子育て世代が集まる「LOCO Living」(えきまちテラス長浜内)に軽作業を発注することで、就労が困難だったり再就職に不安を感じたりしている母親らに労働機会を提供していることも評価された。市未来子ども若者局は「枠にとらわれない取り組みで子育て世代の働きやすさを実現し、経営面から各種制度の充実が難しい中小企業にとってロールモデルになる好事例」としている。

 表彰式で浅見宣義市長は「仕事と子育ての両立には職場の理解が必要で、会社ぐるみで子育てを応援する企業が日本の未来を担う。この取り組みが日本中に広がってほしい」と声をかけ、表彰状と黒壁ガラス製の盾を中川社長に手渡した。

 中川社長は「光栄でありがたい。こうした会社づくりが市に認めていただいて大変嬉しく思う。小さい会社だが、この受賞を励みにこれからも従業員が福岡産業に入って良かったと思える会社づくりに取り組みたい」と決意を新たにしていた。

 なお、多胎児家族を支援する市民活動グループ「kasikasi(カシカシ)」も子育て応援表彰の受賞団体に選ばれ、後日、表彰式が行われる。

 子育て応援表彰は2015年度に始まり、今年度を含め計21事業所・団体が受賞している。

2024年1月11日

大谷選手のグローブ届いたよ!

浅井小でお披露目会、さっそくキャッチボール

 米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手が日本国内の小学校に3個ずつ寄贈したグローブが9日、長浜市教育委員会に届き、各学校に配られた。浅井小学校(岩田太校長、児童199人)では11日、お披露目会があり、児童がグローブを手にキャッチボールを楽しんだ。

 贈られたのは右利き用2つ、左利き用1つで、いずれも大谷選手のサインがプリントされている。お披露目会では6年生31人が見守る中、児童を代表して上野絆さん、奥井健斗さん、山崎陽奈さんの3人が箱からグローブを取り出すと、児童から歓声が上がっていた。

 「このグローブが私たちの次の世代に夢を与え、勇気づけるためのシンボルとなることを望んでいます」などと書かれた大谷選手の手紙が読み上げられた後、児童が交代でグローブを付けてキャッチボール。初めてグローブを使う児童もいたが、夢中になってボールを追いかけていた。

 上野さんは「世界で戦っている選手からのグローブ。大切に使っていきたい」、山崎さんは「きれいに使っていきたい。デザインが格好いい」、奥井さんは「サインも格好いい。野球は遊びでたまにする。さっそくキャッチボールをしたい」と話していた。

 同校ではグローブを職員室で管理し、希望する児童に貸し出す。また、キャッチボールできるスペースをグラウンドの一角に設ける予定。

2024年1月9日

「幸せな1年に」 笑顔でお出迎え

長浜十日戎、豊国神社で開幕

 毎年多くの参拝客で賑わう新春の風物詩「長浜十日戎」(長浜恵比須宮奉賛会主催)が9日、南呉服町の豊国神社で開幕した。

 今年で59回目を迎える伝統行事で、11日までの3日間は終日、福笹などの吉兆頒布を行い、献灯寄進者には祈祷する。

 この日は朝から参拝客が続々と訪れ、商売繁盛や景気回復などを願って福笹や熊手を求めていた。新木産業(高月町森本)の田中富三社長(67)は「新年から地震や旅客機事故などが発生し、一寸先は闇ということを思い知らされたが、今年は従業員の安全第一と健康を願い『笑顔で出社、笑顔で退社』という目標を立てた。みんなにとって明るい年になれば」と思いを込めた。

 福笹に縁起物を取り付けて参拝客と神様を橋渡しする巫女奉仕者。田中海さん(22)らは「参拝された皆さんの気持ちが明るくなるように、幸せな1年になるように、気持ちを込めて笑顔で出迎えたい」と話していた。

 10日は福娘を乗せた駕籠巡行があり、午後1時半に豊国神社を出発し、長浜八幡宮までを往復する。奉賛会の役員や巫女による福餅まきは10日が午前11時、午後2時、3時半、5時、11日が午前11時、午後2時、4時から。甘酒の接待や富くじもある。

餅つき神事でにぎわい祈願

 十日戎の開幕を前に8日、境内で餅つき神事があり、奉賛会役員や来賓が十日戎のにぎわいを祈願した。上野賢一郎衆院議員、浅見宣義市長、柴田清行県議、中川勇市議会議長らも参加。時折雪が舞う中、計30㌔の餅米を順番についた。丸栄製パン(八幡中山町)の辻井孝裕さんが返し手を担い、出来上がった餅を手際よく丸く整え、鏡餅に仕上げていた。

2024年1月9日

長浜市20歳のつどい、951人出席

責任ある行動、胸に誓い

 長浜市の「20歳のつどい」が7日、市内3会場で開かれ、今年度20歳を迎えた951人が晴れの門出を祝った。

 2022年4月の民法改正で成人年齢が18歳となったが、長浜市は従来通り20歳を対象として、名称を「新成人のつどい」から「20歳のつどい」へと改めた。

 長浜文芸会館で午前に行われた長浜西中、南中出身者の式典では、出席者を代表して上野魁さんと川地羽麗(うらら)さんが「誓いの言葉」を発表した。2人は「高校生活は新型コロナウイルスの影響を受け、当たり前だと思っていた青春の日々が当たり前ではなくなり、私たちの生活に大きな影響を与えた。高校の卒業式では在校生に見送られることなく、寂しい卒業式となったことを今でも覚えている」とコロナ禍を振り返った上、「このコロナ禍を通じてあらためて人と人との関わりの大切さを学ぶことができた」と述べた。

 20歳の節目を迎えたことに両親、友人、教師らに感謝の気持ちを伝え、「自分の歩む道に自信を持ち、責任ある行動を通じて一層前進する」と決意を語っていた。

 長浜文芸会館で午後に行われた北中と東中出身者の式典では田中嘉樹さんと林優寿萌さんがあいさつに立ち、コロナ禍などを念頭に「大きな変化、試練に見舞われることが大きかった」と振り返った上、オリンピックや将棋などでの若者の活躍に触れ「同世代の活躍を日々感じ、それに続いて自らの目標に進んでいくために私たちもより一層努力する」と語った。

 浅見宣義市長は式辞で、長浜市出身の堤茉央さん(早稲田大2年)がウエイトリフティングの世界大会で3位に入賞したことを紹介し、「皆さんが若い力を存分に発揮して、これからの未来に向け新たな光が差し込むことを期待している。皆さんは長浜、日本を担う光り輝く宝。一緒に明るい社会をつくっていこう」と語りかけていた。

 出席者はスーツや振り袖などの晴れ姿で友人との再会を喜び、記念写真を一緒に撮ったり、近況を報告し合ったりしていた。式典後には恩師のビデオレターの上映や抽選会もあった。

(木之本スティックホールで記念撮影に応じる出席者)

2024年1月5日

長浜商議所の賀詞交歓会 250人出席

「生産性向上で世界に追いつけ」

 長浜商工会議所主催の新春賀詞交歓会が5日、北ビワコホテルグラツィエで開かれ、湖北地域の経済、政治、行政関係者ら約250人が年始のあいさつを交わした。

 冒頭、あいさつに立った大塚敬一郎会頭は世界における日本経済について「国民1人当たりのGDPは世界35位。韓国、台湾、香港に抜かれている」「日本は止まったまま、世界から取り残されている」と指摘し、「今年はDXで生産性を上げて、世界に追いつこう」と語った。

 上野賢一郎衆院議員は欧米や中国の経済減速が想定される中、日本経済が「デフレ脱却の入り口まできた」と語り、引き続き中小・中堅企業支援に取り組むことを約束。辰年と巳年は高値を付ける意味を指す相場格言「辰巳天井」を紹介し、「経済の勢いが天井に届くように努力したい」と語った。

 川島隆二県議は能登半島地震を念頭に「被災をしていない人は過度な自粛を控え、日常生活を維持して経済を回すことが、北陸の復興にもつながる」と呼びかけていた。

 交歓会には小鑓隆史参院議員、有村治子参院議員、浅見宣義市長、柴田清行県議らも出席。中川勇市議会議長の音頭で乾杯し、出席者が年始のあいさつを交わしていた。