2023年8月30日

曳山まつり題材、映画制作へ

谷口さんが10月撮影開始、来秋以降上映

 長浜ゆかりの映画監督・谷口未央さん(44)=コルミオ・フィルム代表=が10月下旬から長浜曳山まつりを題材にした劇場用長編映画「長浜(仮)」の撮影を開始する。

 谷口さんは2歳から小学6年生まで長浜市内に住んでいた。映画制作のため東京で活動していたが、長浜曳山まつりのユネスコ無形文化遺産登録を機に、2016年から曳山まつりの取材や記録撮影を始め、現在は長浜に拠点を移している。18年には曳山まつりをテーマにした短編映画「桑の実」を発表している。

 新しく撮影する長編映画は亡き父の故郷の長浜に初めて訪れた少年・伊吹と、成長と共に自身の性に異和を感じる少女・花との出会い、曳山まつりを通じた2人の成長などを描く。

 子ども歌舞伎の稽古から本番までをドキュメンタリーも交え撮影するため、長浜曳山まつりの山組の一つ「鳳凰山」が協力している。映画に登場する子ども歌舞伎の演目は「平家女護島  俊寛  鬼界ヶ島の場」(近松門左衛門作)。主人公の伊吹は女形・海女千鳥を演じる。

 今後、10、11月に撮影を行い、編集、仕上げ、海外映画祭エントリーなどを経て、2024年秋以降の劇場公開を目指している。

 谷口さんによると、今年3月に開催された香港国際映画祭の企画マーケット「香港アジア電影投資会」で世界各地から集結した全28本の映画企画のうち、唯一の日本作品としてすでに高い注目を集めているという。

 谷口さんは「映画を見た世界中の人たちが単に観光として消費するだけでなく、リスペクトの対象として曳山まつりを見に長浜を訪れるよう、私たちの故郷の祭りを世界中の人たちへ届けたい」と話している。

CFで資金募集

 コルミオ・フィルムは撮影開始を前に、撮影資金の一部をクラウドファンディング(CF)で募っている。CFサイト「モーションギャラリー」(https://motion-gallery.net/projects/nagahama)で11月10日まで実施。目標金額は370万円。返礼品は完成披露試写会招待、エンドロールへの個人名、企業名記載など。

2023年8月29日

石崎さん、教職員相撲優勝

長浜養護学校勤務、10月はサウジヘ

 長浜養護学校教員の石崎涼馬さん(23)=平方町=が20日に佐賀県で開催された第61回全国教職員相撲選手権大会で優勝。28日、浅見宣義市長を表敬訪問して優勝を報告した。

 石崎さんは大阪府四条畷市出身で小学3年から相撲を始め、明徳義塾高を経て日体大へ進学した。昨年にはアマチュア相撲大会最高峰の全日本相撲選手権大会で個人戦3位に入賞するなど活躍目覚ましい。身長は173㌢、体重は120㌔。兄は大相撲秋場所で新十両昇進が決まった朝紅龍(高砂部屋)。

 日体大OBで滋賀県相撲連盟事務局長、長浜養護学校教員の田中敦司さんの招きで今春から同校の教員となった。平日は勤務後に市内の土俵で、週末は日体大や近隣大学で稽古に励んでいる。

 教職員相撲選手権大会は日本相撲連盟主催で、同連盟に登録する全国の教員約60人が出場し、教員1年目の石崎さんが個人戦を制した。

 表敬訪問を受けた浅見市長は西黒田地域の金太郎伝説や大相撲宮城野部屋の合宿など、長浜と相撲のゆかりの深さを石崎さんに伝え、「これからの大会でも是非、活躍して長浜の名前を広げてほしい」と話していた。

 石崎さんは今後、10月13日からの鹿児島特別国体、同21日からサウジアラビアで開かれる格闘技祭典「ワールドコンバットゲームズ」に出場する。「サウジでの大会は重量級、無差別級の両方に出場する。日本代表として優勝を目指し、国体でも良い成績を残したい」と抱負を語っている。

2023年8月29日

長浜市美術展 入賞作決まる

滋賀夕刊賞は中村さんの写真

 第75回長浜市美術展覧会(長浜市、長浜文化スポーツ振興事業団主催)の審査が行われ、市展賞や特選など入賞・入選作品が決まった。滋賀夕刊新聞社賞(特選)には加納町の中村久和さん(62)の写真「窓辺」が選ばれた。

 日本画、写真、工芸、洋画、書、彫刻の6部門に計288点の応募があり、市展賞6点、県芸術文化祭奨励賞1点、特選28点が選ばれた。

 9月1日から長浜文芸会館で始まる展覧会では入選以上258点を展示する。1日から9日まで彫刻、工芸、書、写真、15日から23日まで日本画、洋画を展示する。

 市展賞と特選に輝いたのは次の皆さん。

 【日本画】▽市展賞=大野里美(平方)▽特選=藤居喜美子(八木浜)、柴崎さと子(南小足)、高山由美子(南呉服)。

 【写真】▽市展賞=廣部修次(三ツ矢元)▽特選=古川博(南高田)、櫻井廣治(大戌亥)、中川明子(米原市磯)、田中康行(加納)、古川夏子(南高田)、中村久和(加納)、大比叡徹(高月町落川)、川崎四朗(細江)、藤川正喜(落合)。

 【工芸】▽市展賞=林美重子(八幡中山)▽特選=近藤善美(地福寺)、鈴木清見(米原市小田)。

 【洋画】▽市展賞=小野淳(米原市柏原)▽特選=前田優子(南田附)、森見由紀(米原市朝日)、原昌子(余呉町下余呉)、中山徳雄(南高田)、野坂かおる(公園)、中川ゆきえ(細江)。

 【書】▽市展賞=前川利江子(下坂中)▽県芸術文化祭奨励賞=音居玲子(米原市寺倉)▽特選=中川あかり(平方)、廣部志緒子(口分田)、中川峰子(曽根)、橋本幸子(余呉町下余呉)、木野典子(公園)、小林純子(高田)、前川善太郎(木之本町西山)。

 【彫刻】▽市展賞=臼井洋子(湖北高田)▽特選=林正矩(相撲)。

 

大野里美さんの作品「零れ桜」

廣部修次さんの作品「花姿」

林美重子さんの作品「インドの草木で染めたクリキュラのストール」

小野淳さんの作品「泳跡のある冬景色」

前川利江子さんの作品「吟詠」

臼井洋子さんの作品「颯爽」

 

中村久和さん作品「窓辺」

2023年8月23日

中学生、1億円事業を市長に提案

フリースクール、空き家活用

 「あなたは長浜市長です!1億円あったら何をする?」—。市の呼びかけで集った市内の中学生が予算1億円の事業をまとめ、22日、浅見宣義市長と織田恭淳教育長に提案した。

 子どもや若者の声を施策に反映させる事業で、市が市内中学校(義務教育学校含む)の生徒に呼びかけ、11校の生徒会長ら22人が参加。夏休みにグループワークを行い、提案をまとめてきた。

 この日は市長室を訪れて5班に分かれて提案を発表。JRの増便、不登校の児童・生徒が通えるフリースクールの整備、空き家をリフォームした教育施設やレジャー施設の整備など多彩なアイデアが出た。既存建物をショッピングモールに改修し映画館、ゲームセンター、カラオケ、ジム、マッサージなどの娯楽・健康施設を整備して全世代が楽しめる場をつくる夢のある提案もあった。

 織田教育長は「お年寄り、不登校の人など困っている人、マイノリティーの人のことを考えてくれている。これからもその気持ちを大切にしてほしい」、浅見市長は「1億円ではできない事業もあるが夢を大きく持つことが大切。地域のことに目を向けて具体的な提案をしてくれた」などと感想を話していた。

2023年8月23日

ミッチー「外国文化教える」

SEAからMGT就任で抱負

 スポーツ国際交流員(SEA)として米原市で今月19日まで活動してきたニュージーランド出身のミッチェル・ジェミー・ソーンさん(26)が市国際理解教育協力員(MGT)に就任することになり、22日に市役所で開かれたSEAの退任式で、改めて抱負を語った。

 ミッチェルさんはニュージーランドのホークベイ州出身。2018年8月にSEAに任用され、2020年度に誕生したホッケーチームのブルーステッィクス滋賀の選手にもなった。着任から5年間、ホッケーを専門種目として市内小中学校の体育や部活動、地域の総合型地域スポーツクラブなどの場で指導にあたってきた。「ミッチー」の愛称で子どもたちの人気者だったといい、全国で9人しかいないSEAを最も長く務め、リーダー的な存在だという。

 退任式で「伊吹山に何度も登り、神社や寺も回った。米原市の街はとてもきれいで、多くの人に住んでほしい」と感想を述べた。9月20日に就任するMGTでは子どもたちの英語のコミュニケーション能力の育成などにあたる。「子どもたちには楽しみながら英語を学んでほしい。外国の文化についても知ってほしい」と語った。

 平尾道雄市長は「ミッチーのことは米原の100%の子どもが知っている。フレンドリーに接してきたからだと思う。9月からは違う形での活躍を期待している」と話した。ミッチェルさんのMGTの任期は5年間。

2023年8月17日

若き秀吉の銅像、建立へ

長浜開町450年記念、豊国神社に

 豊国神社で10月7日に開かれる長浜開町450年祭に合わせ、豊臣秀吉の銅像の制作が進められている。銅像は長浜の町を開いた当時の若き秀吉をイメージしており、全国的にも珍しいという。

 今年は豊国神社の祭神、秀吉が長浜の町を開いて450年目。氏子らでつくる「長浜開町四百五十年豊国神社実行委員会」(谷口正臣会長)は神社内に銅像がないことから、メモリアルイヤーに合わせて設置を計画し、準備を進めてきた。

 秀吉は長浜に城を築き、この地を出発点として天下人まで上り詰めた。像はこの地を治めた37歳の頃をイメージした甲冑姿の座像(高さ1・2㍍)。その当時の肖像画は残っていないため、東大阪短大・平田敦司教授の作品と名古屋市秀吉清正記念館の肖像画(享保6年)を参考に、太田浩司さん(淡海歴史研究所所長)、湯本崇彦宮司の監修により、十里町の工房で原型が作られた。

 秀吉の甲冑姿は珍しく、合戦に明け暮れた長浜城主時代を彷彿とさせている。甲冑は現存しており、「色々威(おどし)二枚胴具足」と呼ばれる。太田さんは「第一線で活躍していた頃のさわやかな姿をイメージした。他の秀吉像は関白以降の姿がほとんど。若い頃の銅像は存在しないのでは」と話している。

 現在、富山県高岡市の業者により鋳造されており、本殿前東側に設置される予定。湯本宮司は「ここから秀吉が作った長浜をアピールし、湖北のシンボルとしたい」と語っている。

 長浜開町450年豊国神社実行委員会は記念事業の協賛金を随時、募っている。事業は銅像の制作、記念式典、記念石碑、加藤清正像の補修、手水舎の葦替え、境内東側進入路の整備など。総事業費約1550万円。クラウドファンディングも予定している。

 問い合わせは豊国神社℡(50)4796。特設サイト(https://houkokujinja.com/450th/)でも確認できる。

2023年8月4日

米国学生ら5人、国際観光サポーターに

「長浜を宣伝して!」市が委嘱状を交付

 長浜市は3日、富田町に伝わる人形浄瑠璃「冨田人形」を学んでいた米国の学生ら5人を長浜国際観光サポーターに委嘱した。日本の伝統芸能に触れた学生らは7月30日の公演を無事に終え、間もなく帰国する。

 冨田人形は江戸時代に大雪で興行できなくなった阿波の人形一座が、旅費代わりに人形一式を置いてゆき、その人形を使って住民たちが浄瑠璃を始めたのが起源とされる。その伝統を継承している冨田人形共遊団は1994年から海外で公演し、米国で出会った学生が日本に研修に訪れたのを機に2002年から外国人学生が地元にホームステイしながら人形浄瑠璃を学ぶ「冨田人形サマープログラム」を行っている。

 今年はコロナ禍が明けて3年ぶりに学生を受け入れ、19〜34歳の男女5人がこの2カ月間、共遊団の指導で稽古に励み、7月30日の冨田人形会館での公演を成功させた。

 市は2014年からサマープログラムを受ける外国人学生を国際観光サポーターに委嘱して、長浜市の魅力を世界に発信しており、その縁で2019年の冨田人形ロシア公演が実現するなど、成果が出ている。今回の5人の委嘱でサポーターは計51人となった。

 この日、市役所で行われた委嘱状交付式では浅見宣義市長がすでに帰国した1人を除く4人に委嘱状を手渡し、「長期の研修で貴重な体験をされた。帰国後、『長浜大使』として日本、長浜の文化を宣伝してほしい」と語りかけた。

 ウィスコンシン大学ミルウォーキー校2年のザッカリー・コテキさん(19)は地元にホームステイし、湖北地域の豊かな自然や地域コミュニティの親密さが印象に残ったという。「山本山や琵琶湖、伊吹山などの自然がきれいだった。帰国したらその風景を伝えたい」と話していた。