祖母の店、孫が引き継ぐ

虎姫の喫茶「ほほえみ」、4月再開

 虎姫学園の西側にあり地域住民の憩いの場となっている喫茶店「ほほえみ」(五村)。創業時から店を切り盛りしてきた大橋和子さん(享年91)が倒れた昨年12月下旬から休業が続いているが、「おばあちゃんが大切にしてきた店を再開させたい」と孫の大橋綾乃さん(25)が一念発起。4月1日の再開に向け、和子さんの料理に挑戦するなど準備を進めている。

 喫茶店は和子さんと夫・八朗さんが1982年に開店させた。地域の働く人や住民の憩いの場として人気を呼び、八朗さんが病気で亡くなって以降は娘の岡田真理子さん(62)らが手伝って店をまわしてきた。

 和子さんは昨年12月23日、店の準備中に倒れ、今年1月11日に亡くなった。「お母さんが切り盛りしてきた店。1人ではできない。このまま閉めるのもしょうがないかな」と真理子さんが閉店も考えていたところ、綾乃さんが勤めている会社を辞めて跡を継ぐことを決意した。

 綾乃さんは「お客さんから開店を待ちわびているとの声を聞いた。不安はあるけど、おばあちゃんの笑顔を見に来てくれたお客さんのために、何とか店を続けたい」と話している。

 飲食店で働いた経験はなく、すべてが手探り。また、店で提供する料理のレシピを記録したノートなどはなく、味付けはすべて和子さんのさじ加減だった。綾乃さんは和子さんの料理を見守ってきた真理子さんの記憶と舌を頼りに少しずつ味を再現したい考え。

 当面はメニュー展開を人気の焼うどん、焼きそば、サンドウィッチなどに絞る。「大学時代、店で勉強していたら大好きな焼うどんとコーヒーを出してくれたりと思い出の詰まった喫茶店。みんなが安心して居られる場所にしていきたい」。そんな思いを語る綾乃さんを、遺影の和子さんが微笑みを浮かべて見守っている。

 営業時間は午前8時から午後6時まで。定休日は土曜午後、日曜、祝日。問い合わせは同店℡(73)4159へ。

掲載日: 2024年03月22日