やっぱり見付屋は「田楽」

原点にかえり、定食を開始

 新型コロナウイルスの影響で大きなダメージを受けた飲食業界。会席料理・仕出しの「見付屋」(五村)は伝統の味、豆腐田楽をメインにした定食を開始。原点回帰が功を奏し、好評を得ている。

 同店は100年以上前、豆腐屋として創業。「千茂登」で修業した3代目の馬場利幸さん(77)は店を1973年、宴会や会席料理が楽しめ、仕出しや出前なども可能な料理店にした。

 近くに五村別院があり、夏中法要、法恩講に参拝する人や法事用に豆腐田楽を提供していたところ、評判となり、看板メニューに。作り方は地元の木綿豆腐1丁を24等分。長めの竹串に刺し、水気をしっかり切った後、ネギや木の芽、砂糖を調合した甘めの味噌を塗る。両面を二度焼きすることで、風味を増している。決まったレシピは無いが、今は4代目の馬場吉弘さん(52)が昔ながらの味を引き継いでいる。

 吉弘さんは京都の名店「下賀茂茶寮」や東京、大津などで計15年間、京料理を修業。腕には自信があったが、帰郷し家業を継いでみると「やっぱり勝てない」と田楽の存在を改めて感じた。

 新型コロナウイルスの影響で3月以降、メインの法事会席や仕出しの予約が相次いでキャンセルとなった。起死回生をかけ、新たなメニューの開発やテイクアウトも考えたものの「見付屋はやっぱり、田楽」「お客様に足を運んでいただくことが一番」と原点回帰。豆腐田楽を中心としたメニューで挑むことにした。

 「ザ・田楽定食」(税込み1000円)のほか、豆腐田楽が付く月替わりの定食もスタート。吉弘さんは「先代たちが残してくれた財産。コロナ禍で心の中で原点をかみ締める時間ができた。皆さんに思い出の味を食べてもらい、笑顔で帰っていただければ」と話している。

 定食は当日の午前10時までの電話予約でOK。ランチタイムは午前11時〜午後2時。問い合わせは見付屋℡(73)3351へ。

掲載日: 2020年10月08日