自然環境の実態と保護伝える

故・村上さん「やさしいネイチャーウォッチング」発刊

 長年、自然環境保護活動に取り組んだ村上宣雄さん(享年77)が地域情報誌「長浜み〜な」に連載した原稿を再編集した「やさしいネイチャーウォッチング—自然を守り育てる仲間づくり」がサンライズ出版から発行された。

 村上さんは中学校の理科教員を38年間務めた。生涯を通じて数多くの自然観察会を企画して自然保護の大切さを訴え続けた。山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会、滋賀自然環境研究会、滋賀環境教育研究グループ、滋賀ビオトープ研究会、滋賀のオオサンショウウオを守る会、奥びわ湖観光ボランティアガイド協会などで活発に活動した。

 「長浜み〜な」では21年間にわたって「やさしいネイチャーウォッチング」を連載。学校や地域での自然観察会や生き物を守る活動、ビオトープづくりなどをレポートした。

 同書では連載約80本を再編集し、「微生物のすごさ」「生きものを増やす」「生きものを守る」「生きものが危ない」「余呉湖」「食べる楽しみ」「鳥と私たちの関係」「ビオトープ」「核のごみを考える」をテーマとした9章の構成となっている。

 山門水源の森の里山再生活動の成果、びわ中学校による琵琶湖のヨシを増やす活動、木之本町古橋のオオサンショウウオの保護、イヌワシやクマタカが直面する危機的な実態などを、データ分析しながら解説し、読者が少しでも自然に関心を持つようにしている。

 また、旧余呉町で2006年に浮上した高レベル放射性廃棄物処分場の誘致問題を取り上げ、過疎地に犠牲を強いる手法として批判。核ごみに関する国民的論議の必要性と、原子力に頼らないエネルギー政策転換を訴えている。

 同書は2019年、村上さんの闘病中に編集作業が進められ、1回目の校閲を終えたのは翌20年2月29日に亡くなる1週間前だった。妻の尚子さん、長男・悟さんも編集に協力した。

 A5判216ページ・2400円(税別)。県内主要書店を中心に販売している。問い合わせはサンライズ出版℡0749(22)0627へ。

掲載日: 2022年03月10日