規格外絹糸で肌スベスベ

浜ちりめん製造ヤブウチ 入浴剤開発

 長浜の特産絹織物「浜ちりめん」を製造・販売するヤブウチ(八幡中山町)が、製造工程で出る規格外の絹糸を使った入浴剤を開発。「絹糸の湯」と名付けて販売するプロジェクトを進めている。

 天然繊維である絹糸の製造では糸の凹凸を取り除く「フシ取り」などの過程で規格外の糸が発生する。これまでは廃棄処分していたが、SDGsの観点から何か有効利用できないかと社内で検討。絹糸に含まれるたんぱく質成分「セリシン」が保湿性や抗酸化作用などの機能を持つことに注目した。

 日常的に絹糸の加工を担う同社の職員の手は、寒い冬でもあかぎれなどの手荒れがなく、みずみずしいことから、入浴剤として使えないかと提案があり、開発を進めてきた。

 絹織物は製品化の前に「精練」と呼ばれる工程でセリシンや不純物を除去するが、入浴剤の開発にあたっては精練を浅くかけることによってセリシンをたっぷり含んだ状態を維持した。

 「絹糸の湯」はこのセリシンをたっぷり含んだ糸をオーガンジーの袋に包んでいる。浴槽に入れると水溶性のセリシンが湯に溶け出す。社員が使用したところ「お湯がやわらかくなった」「肌がすべすべ、しっとりする」と実感したという。絹糸は100%自然由来のため、同社では「肌が敏感な方、市販の入浴剤が合わない方に試してもらいたい」としている。

 籔内猛之社長(67)は「この入浴剤を通じて多くの人に絹の持つ魅力を伝え、そこから着物文化へ興味をもっていただければ」と話している。

 なお、同社では15日まで「絹糸の湯」をPRするクラウドファンディングを実施し、返礼品として提供する。詳細はキャンプファイヤーのサイト(https://bit.ly/34ysRa7)から。

 

掲載日: 2022年03月03日