「通訳官」目指す千田巡査に署長表彰

木之本署、着任初日に英語で交通事故処理

 警察学校を卒業し木之本署に着任したその日に、外国人観光客の交通事故処理にあたって特技の英会話で的確に事情聴取をしたとして、3日、地域課の千田将吾巡査(25)に署長感謝状が贈られた。千田巡査は英語を駆使して捜査などにあたる通訳官を志しており、「通訳官を目指す気持ちがより強くなった」と話している。

 千田巡査は9月27日に県警察学校での卒業式を終えた後、木之本署地域課に赴任。橋本登署長から辞令を受けて事務処理を行っていたところ、外国人観光客が起こした交通事故現場への出動を指示された。

 事故は木之本町大音の県道で発生。スウェーデン、オランダ、スロベニアからの観光客3人がサイクリング中、1人がスリップして転倒し救急車で搬送された。現場で事故処理にあたった署員から「言葉が通じない」との連絡を受け、英会話を特技とする千田巡査の出番となった。

 現場では残された2人から事故状況などを英語で聞き取るなどして現場の署員に伝えた。2人の母国語は英語でなかったが、身振り手振りも含めてコミュニケーションをとった。「警察学校で交通事故の処理について学んでいたが、まさか初日から現場に行くとは。緊張しました」と振り返る。英語を話せる警察官が到着したことで、外国人観光客は安心したようすだったといい、別れ際には「Take careBike safely!」(気を付けて、安全運転で!)と声を掛け、2人を見送った。

 千田巡査は米原高校の在籍時のイベントで外国人とうまくコミュニケーションを取れなかったのを機に英会話に興味を持ち、進学先の県立大では国際コミュニケーション学科で英語などを学んだ。在学中には米ミシガン州の大学へ9カ月間留学した。卒業後はいったん民間企業に就職したが、警察官の父の背中を追って今年4月に警察学校に入学した。

 橋本署長から感謝状を受け取った千田巡査は「困っている人を助けられて嬉しい。地域のことを少しでも早く覚え、役に立てる警察官になりたい」と張り切っている。

掲載日: 2023年10月03日