調理短期大学校 閉校へ

入学者減少で24年度の募集停止

 県調理短期大学校(分木町)が2024年度の生徒募集を取り止め、同年度末に閉校する見通しとなった。入学者の減少に伴って経営の厳しさが増しているためで、学校を運営する職業訓練法人・県調理技能協会が16日の臨時総会で生徒募集の中止を決めた。

 同校は、調理業界の人材養成のため、県の施設を借りて1992年に開校。2年間をかけて日本料理、西洋料理、中国料理、寿司など各種料理や製菓、サービスなど食に関するさまざまな分野を学びながら、提携する飲食店で勤務して訓練を積むのが特徴となっている。卒業生は500人を超え、一昨年には創立30周年記念式典が開かれた。

 近年は入学者が定員(25人)を下回る年が連続し、入学者が10人を割り込む年もあった。現在は1年生15人、2年生19人とやや持ち直したが、今年4月の入学者は現段階で8人の見込み。総会では、このまま定員を割り続ければ経営がますます厳しくなるとして24年度の生徒募集の取り止めを決めたが、出席者からは学校の存続を求める意見も出た。

 入学者の減少の背景は、若者人口の減少や民間調理専門学校への進学、高校で調理師免許を取得できる彦根総合高校フードクリエイト科の誕生などが考えられるが、杉澤和雄校長は「訓練校なので生徒は事業所で働きながら授業を受ける。今の時代にそぐわなくなっているのかもしれない」とも指摘している。

 同校の在校生は人材不足に悩まされる地域の飲食店やホテルを支え、卒業生は調理現場の主力として活躍している。同校の閉校について「先人が築いてくれた人材確保の道が閉ざされるという不安感がある」と語るのは市内の飲食店の経営者。同店では生徒や卒業生を受け入れており、「定着率が高く、お店に貢献してくれているので、調短がなくなると将来的には人材確保の面で影響を受ける」と不安をもらしている。

 また、別の経営者も「調短がなくなれば、板場さんら人材の確保が難しくなる。京都や大阪の専門学校に進学した若者もすぐには地元に戻ってきてくれない」と危機感を募らせる。

存続に向けて動きも

 募集停止の決定を受け、地元有志が「県内で調理師を育てる必要ある」として、老朽化した学校施設の移転を含め、調理短期大学校を運営する新たな受け皿づくりを模索。県や市に支援を求める動きも急浮上している。このまま閉校に至るのか、存続に向け起死回生を図れるのか、今春の入学生が卒業するまでの2年間が正念場となりそう。

掲載日: 2023年02月20日