2025年3月4日

清水達さん、ジュニア五輪へ

浅井小6年、スキー大回転で県優勝

 浅井小6年の清水達(ひろ)さんが1日にびわ湖バレイで開かれた県ユーススキー大会(第2戦)の大回転競技(小学5、6年生の部)で優勝。22日に長野県で開かれるJOCジュニアオリンピックカップ全国大会に滋賀代表として出場することになった。

 4歳からスキーに親しんでいる清水さんは小学2年から本格的に競技を始めた。夏場は浅井陸上クラブで脚力を鍛え、冬場は滋賀や岐阜のスキー場で練習に打ち込んでいる。

 1月19日に箱館山で開かれた大会(第1戦)では惜しくも準優勝となり、雪辱を誓っての第2戦で見事初優勝。翌2日に開かれた読売杯争奪箱館山ジュニアスキー選手権大会でも優勝した。

 全国大会は長野県上田市の菅平高原パインビークスキー場で開かれ、清水さんは「滋賀県代表として、自分の力をすべて発揮し、上位に入りたい」と決意を語っている。

 なお、弟の逞(たくま)さん(浅井小4年)も1日の県ユーススキー大会(第2戦)、2日の箱館山ジュニアスキー選手権で優勝し、妹の心咲(みさき)さん(浅井小1年)は両大会で準優勝(いずれも大回転)。きょうだい3人そろって入賞を果たしている。

2025年2月27日

微細藻類でカキを短期肥育

長浜地方卸売市場に実証設備完成

 長浜バイオ大学発のスタートアップ企業「ノベルジェン」(田村町)が微細藻類の培養技術を活用してカキを短期間で肥育し、海外向けに販路を拡大する実証事業に取り組んでいる。長浜地方卸売市場に実証設備が完成し、2月27日、関係者にお披露目された。

 同社は微細藻類の持つ特性などについて長年研究を行っている同大学アニマルバイオサイエンス学科の小倉淳教授が設立し、社長を務めている。小倉教授は赤潮の発生メカニズムに着想を得て微細藻類を人工的に急速に繁殖させる技術を開発しており、その技術で微細藻類を培養してカキに与えることで、短期間で肥育させることができるという。

 国内のカキ養殖場では近海の清浄化などに伴ってカキの身が小ぶりになっていることが課題で、同社は長浜バイオインキュベーションセンター内に設けた水槽で微細藻類によるカキの肥育を研究してきた。

 新しい実証設備は肥育システムを社会実装させる研究のため、市場の一角を借りて整備。広さ約80平方㍍の施設内に微細藻類を繁殖させる水槽と、カキを肥育する水槽を設置し、肥育に最適な微細藻類の種類や温度、光などを調べている。2025年度中にプロトタイプの肥育システムの販売を始め、全国のどこにいても新鮮で身入りが良いカキを食べられるようにしたい考え。最終的には日本産生カキの人気が高い東南アジアやヨーロッパ、北米などへの輸出拡大を目指す。

 微細藻類は光合成で大気中の二酸化炭素を吸収する上、カキは豊富なタンパク源となることから、肥育システムの社会実装は地球温暖化防止や食料自給率向上に貢献すると注目されている。このため、同社の「日本産冷凍生食用カキの品質向上と輸出量増大を目的とした、カキの短期肥育システムと流通DXプラットフォームの開発と実証」には農林水産省が助成金12億4700万円(限度額=2028年3月まで)の交付を決定し事業を後押ししている。

 この日のお披露目会では小倉教授が設備の概要や今後の展望などを関係者に説明した後、会場をびわこレストランROKUに移し、微細藻類で肥育したカキの試食会を行った。小倉教授は「微細藻類は地球上の40%以上の二酸化炭素を吸収する重要な生物群で、食物連鎖の基盤にも位置し、さまざまな生き物を支えている。社会実装で二酸化炭素の吸収や、食料生産プロセスに使うことで持続可能な新しい世界をつくることができる」とその可能性を披露していた。

2025年2月18日

虎姫高校と伊香高校 高校生ビジネス・グランプリで入賞

 日本政策金融公庫が主催する第12回高校生ビジネスプラン・グランプリで虎姫高校のチームが県内公立高校としては初のセミファイナリスト賞(ベスト20)に輝いた。17日、ベスト100の伊香高校のチームとともに長浜市役所を表敬訪問し、浅見宣義市長に入賞を報告した。

 グランプリは創業マインド向上を目的に2013年度から始まり、今年度は全国536校から過去最多となる5151件のビジネスプランが提案された。県内では7校から44件の提案があり、虎姫がベスト20、伊香と立命館守山がベスト100に入賞した。

虎姫高校 有機化合物をカードゲームに

 虎姫は有機化合物の構造と性質を楽しく学べるオリジナルカードゲームを提案した。炭素数や分子量などが表示された「分子カード」と、分子カードを強化する化学反応や実験器具からなる「Laboカード」を使って数値(分子量や沸点の高さ)を競うもの。

 有機化合物はベンゼン、エタノール、酢酸など多種多様でその構造や反応を覚えることに苦手意識を持つ生徒が多いことから、このゲームを通じて化学に親しんでもらいたい考え。

 この日、宇野春菜さん(2年)ら7人が浅見市長らにプレゼンテーションを行い、虎姫高校の生徒の71%が「化学の勉強が好きではない」と回答したが、カードゲームを体験した後は79%が「有機化合物の授業を受けてみたい」と回答したことを紹介。今後の展望としてカードを1セット当たり1300円で販売し、販売5年目には共通テスト受験者の1割に普及させることで1200万円余りの利益を出せるとの見通しを掲げていた。

伊香高校 おみくじ付きドリンクで恋愛応援

 伊香は清水玲奈さん(2年)ら3人が江北図書館前の「つるやカフェ」とタッグを組んで開発・販売した「恋みくじドリンク」を提案した。アルコールを飛ばした山路酒造の桑酒を用いた「桑トニック」と、規格外の南浜ぶどうをジャムにして炭酸水で割った「シークレットドリンク」の2種類に、恋愛運を占うおみくじをつけた商品。「恋心を抱いた高校生たちの背中を押したい」との思いとともに、地元の食文化を商売につなげる「地産地商」を目指した。

 木之本地蔵大縁日で販売したが、縁日会場から離れていたことから販売目標には届かなかった。この日のプレゼンテーションではSNSなどでの宣伝戦略を課題として挙げ、「利益を上げることの難しさを知った」などと振り返った。

 両校の提案を聞いた浅見市長は「世の中や長浜を良くしたいという強い思いが嬉しい。この機会に学んだ企画力やプレゼンテーション能力を大事にしてほしい」と呼びかけていた。

2025年2月10日

長浜の2校、金賞・県代表に

中部日本重奏コンテスト、市内初の快挙

 第20回中部日本個人・重奏コンテスト滋賀県大会で長浜南中と浅井中が金賞に輝き、3月22日に石川県金沢市で開かれる本大会に滋賀代表として出場する。同コンテストで長浜市内の中学校が県代表に選ばれるのは初めてとなる快挙。

 県大会の中学生重奏の部は1月25日、ひこね市文化プラザで開かれ、50校の代表が出場した。審査の結果、金賞受賞校のうち長浜南(打楽器4重奏)、浅井(同)、立命館守山(金管8重奏)の3校が本大会への出場権を獲得した。

長浜南中、息のあった演奏 「完成度さらに高める」

 長浜南中の代表は箕浦彩葉さん(2年)、窪田琴音さん(1年)、藤井凛心さん(1年)、井上咲さん(1年)の4人。マリンバ、ティンパニー、シロフォン、ビブラフォン、グロッケンなど複数の打楽器を巧みに鳴らし、打楽器3部作「雪月花」の第3楽章「花回廊 風龍」を息の合った演奏で披露した。1人で8種類の楽器を担当するメンバーもおり、素早く正確な演奏が求められた。

 箕浦さんは「代表に選ばれて驚いた。練習を頑張ってやってきて良かった」と振り返り、「代表になったからには高みを目指して、完成度をさらに高めたい」と抱負を語っている。

 楽器を自宅に持ち帰るなど練習に打ち込んできた4人を、他の部員も楽器の運搬などでサポートした。顧問の三輪玲奈教諭(25)は「いろんな人の支えがあっての大会出場。感謝を胸にしながら、初めての舞台を思いっきり楽しんでほしい」とエールを送る。

浅井中、悔しさバネに 「目標は金賞!」

 浅井中の代表は東畑奈歩さん(2年)、津波留佳さん(1年)、橋本咲さん(1年)、橋本舞さん(1年)の4人。演奏曲は「獅子神楽〜4人の打楽器奏者のために」。コンテストでは、ティンパニーやマリンバのほか、和太鼓、鈴、鉦など和楽器を多用して神楽の楽しさを表現した。

 コンテストの1週間前に開かれた別の大会では目標としていた県代表を逃した4人。リベンジの思いを込め、わずか1週間でパフォーマンスを修正し、マレット(ヘッドのついたばち)も柔らかな音が出るものに交換して臨んだ。

 県代表に選出されて東畑さんは「1週間前の大会で悔しい思いをしていたので、泣きたいほど嬉しかった」と語り、他の3人も「目指していたところに行けて嬉しい」と語る。

 短い昼休みの時間も音楽室に集まって練習に励む4人。「目標は金賞。そのためにはもっと完成度を高めたい」と決意を込める。

2025年2月5日

味噌づくり 思い出話に花

米原市の福祉施設で利用者ら

 米原市顔戸のデイサービスセンター「やすらぎハウス」(社会福祉法人大樹会運営)で3日、味噌づくりがあり、施設を利用する高齢者が思い出話に花を咲かせながら大豆を潰したりする作業を楽しんだ。

 過去の記憶を思い出して語り合うことで認知症の進行を遅らせる「回想法」にちなんで、施設の冨田千代美さんが企画。近隣住民有志6人が協力し、昔ながらの製法で味噌づくりに取り組んだ。

 炊いた大豆を袋に入れて手で潰し、豆が均一に潰れると、麹と塩を合わせてだんご状に丸め、空気を抜くために叩きつけるようにして形を整えていた。作業を率先して手伝ったり、「大豆1升に塩は4合やで」とアドバイスしたり、女性利用者が中心となって味噌づくりが進んだ。

 「子どもの頃は味噌つきがあると親族が寄ってみんなで作りました。おくどさんで大豆を炊いて、臼(うす)と杵(きね)で潰した。大変な作業だったけどみんなが集まって楽しかった」と振り返るのは施設を利用する女性(87)。「きょうは昔のことを思い出して懐かしい気分です」と顔をほころばせていた。

 冨田さんは「地域の皆さんに参加、協力していただき、昔を思い出す機会となって良かった。1年後に味噌が完成すれば、施設でふるまいたい」と話していた。

2025年2月3日

「びわ湖材」建築物に積極利用を

県とシガウッド、脱炭素・林業振興で協定

 県と木材建築業「シガウッド」(長浜市大辰巳町)は建築物木材利用促進協定を締結した。同社は「建築物木材促進構想」を掲げて県産・国産木材の活用による脱炭素社会の実現や林業振興などを目指しており、県はその構想を後押しする。

 協定は建築物の木材利用を促進するため、2021年に施行された「都市(まち)の木造化推進法」に基づき創設された制度で、県内での締結は3件目。

 同社は2×4(ツーバイフォー)工法の部材の製造・施工を手掛けている。県産木材「びわ湖材」をはじめとする国産木材を積極的に活用することで、カーボンニュートラルの実現と、林業や地域の活性化に寄与する構想を掲げている。

 協定に基づき、同社は設計・施工に携わる建築物の構造や内外装にびわ湖材を積極的に活用し、木材利用の意義やメリットについて情報発信する。県は同社が掲げる構想の達成に向けて、技術的助言や補助事業などの情報提供を行うとともに定期的な意見交換や木材利用に関する相談窓口・専門家の紹介などを行う。

 1月31日、大津市の県公館で行われた協定締結式で高橋文夫社長は「木材産業の活性化を通じて脱炭素社会、持続可能な社会の実現を掲げている。制度の趣旨に則って、これからもびわ湖材、国産材の利用拡大に向け、住宅、非住宅での導入に努めたい」などと語り、三日月大造知事は「国産材で建物を木質化することは、雇用や経済活動、地球温暖化対策、生物多様性の保全、水源涵養の面でも重要」と指摘し、協定について「大変嬉しく心強い。さらに連携を強めたい」と話した。

2025年1月29日

「スポまち!表彰」 長浜市が受賞

大会や合宿誘致、学校訪問など評価

 スポーツ庁がスポーツを活用して地方創生・まちづくりに積極的に取り組む自治体のアイデアを表彰する「スポーツ・健康まちづくり優良自治体表彰」(通称・スポまち!表彰)に長浜市が選ばれ、23日、東京都内で表彰式があった。

 長浜市は「国スポ開催を契機とした『スポーツのまちNAGAHAMAプロジェクト』」と銘打って、2025年開催の国スポ・障スポ大会を機に、大会や合宿の誘致、園や学校での競技体験などのスポーツ振興事業に取り組み、地域活性化につなげようとしている点が評価された。

 市はこれまでにソフトテニス・ヨネックス杯の誘致、天理大学柔道部の合宿の受け入れ、五輪出場選手らによるバレーボール指導、子どもたちの相撲体験など幅広い取り組みを実施。地元住民が合宿に参加する選手に食事を振る舞うなどの交流も生まれている。また、合宿が縁で天理大学柔道部の穴井隆将監督を市の「スポーツ大使」に委嘱し、今月23日には西浅井中で講演会が開かれた。

 スポまち!表彰は、スポーツを活用してまちづくりに取り組む自治体のアイデアを全国に発信するため2021年度から始まり、今年度は全国20自治体が選ばれた。滋賀からは長浜市が唯一。

 東京で行われた表彰式には米田裕治・市民協働部担当部長(国スポ・障スポ大会運営担当)が出席。ステージ上で特別ゲストの増田明美さん(スポーツジャーナリスト、大阪芸術大学教授)からインタビューを受け、今秋の県下での国スポ・障スポ開催をPRしていた。

 米田部長は「受賞は長浜市にとって大変名誉なこと。これからも官民一体となってスポーツ振興に取り組み、スポーツと長浜市の魅力を最大限に発信し、地域をスポーツの力で盛り上げたい」と話している。

2025年1月27日

本殿から出火!長浜八幡宮を守れ

文化財防火デーにあわせ、約50人が消防訓練

 「文化財防火デー」(26日)にあわせ、長浜八幡宮で同日、消防訓練があり、長浜消防署や消防団、地元自治会・自警団など約50人が参加した。

 訓練は電気配線のショートで本殿から出火し参集殿に燃え広がったと想定した。本殿から文化財に見立てた箱を持ち出した後、消火器を使って初期消火にあたった。その後は、長浜消防署、神前東町自治会の自警団、市消防団が放水。また、水幕ホースを敷いて延焼を防ぐ訓練もあった。

 参拝客が参集殿に取り残され行方不明になっているとの想定で救助訓練も行われ、参加者は互いの連携を確認しながら真剣な表情で訓練に励んでいた。

 長浜消防署の松村正也署長は「昨年は能登の地震や水害など自然が猛威をふるった。湖北地域でも工場火災など大きな火災が発生した。いつ起こるか分からない火災、地震に普段からどう備えるのかが課題」とし、950年余りの歴史を持つ長浜八幡宮について「後世につなぎ、守るのが私たちの使命。訓練で終わらせることなく、万一の際には迅速な対応で八幡宮を守っていきましょう」と呼びかけた。

 文化財防火デーは1949年1月26日に現存する世界最古の木造建造物の法隆寺(奈良県斑鳩町)の金堂が炎上し壁画が焼損したことを教訓に設けられた。この日を前後して各地で訓練がある。

2025年1月24日

ラクダの毛刈りアート、世界へ発信

武市さんインド大会で優勝、次は中東・アフリカへ

 長浜市の武市萌美(めぐみ)さんが今月11日にインドのラジャスタン州ビカネールで開かれたキャメル・フェスティバルのラクダ毛刈り大会で、2019年以来となる2度目の優勝を果たした。今後、大会優勝の看板を引っ提げて、中東やアフリカに渡り、毛刈り文化を広めたい考えだ。 インドやパキスタンなどに古くから伝わるお祭りや祝い事ではラクダの毛をカットして絵のように着飾る文化があり、毛刈り大会はその出来栄えを競うもの。 武市さんは4回目の挑戦となった2019年に初優勝。その後はコロナ禍で中止となり、一昨年は3位、昨年は2位だった。「今回こそ再び優勝を」と意気込んだものの、ラクダ探しに苦労したという。気軽に「いいよ。使ってくれ」と話していたラクダの所有者がラクダを売ってしまったり、「働いているラクダだからお金がもっとほしい」と言われたりと、思うようにラクダを調達できず、出場を諦めかけたところで、困っていることを知った友人がラクダを所有する親族に掛け合って借りることができた。 キャンバスとなったのは8歳のオスの「カルー」。現地の言葉で「黒い」という意味だ。ダークブラウンの毛を持ち、濃淡での描画に最適という。いったんバリカンで体毛の長さを揃えた後、市販のハサミで刈り込んだ。 描いたのはビカネールの風物。マハラジャ時代の王様、ダンスしているラクダ、歴史的建造物などを25日間かけて緻密に描き出した。 日が経つと毛が伸びることから同じ箇所に何度もハサミを入れる。朝から夕方まで作業に没頭し、「カルーがすごく懐いてくれてとても刈りやすかった。相性が良かった」と振り返る。 「これまでで最高の出来栄えだった」という作品。大会で見事優勝したが、「この大会はこれが最後」と区切りをつける。 長年、ラクダが運搬や農耕を担ってきた地域ではその役割がトラクターなどにとって代わられ、ラクダを飼う人は減っているという。毛刈り大会の出場者も高齢者ばかり。ラクダの毛刈り文化の衰退を目の当たりにし、「この文化を他の国にも広めたい」と次なるステップを見据える。今年はインドを飛び出してUAE、サウジアラビア、モロッコへ渡航し、現地でラクダの毛刈りを披露する。 「ラクダレースを見たい」と20代半ばでオーストラリアに渡ってラクダ牧場に住み込み、その後、インドに渡って毛刈りに打ち込んできた武市さん。テレビ番組の「世界ふしぎ発見」や「クレイジージャーニー」にも出演し、ラクダの魅力を発信している。 「国が変われば人柄も変わる。世界に出ると価値観が変わる。日本で思い悩んでいたことが、世界ではちっぽけなものだったことにも気づかされる。いろんな人に出会って、いろんな価値観に触れたい」。 物怖じせずに世界に飛び出す武市さん。次なる地ではどんなラクダに出会い、どんな絵を描くのだろうか。

 

2025年1月22日

詐欺被害、水際で阻止

長浜署、信金新人職員らに感謝状

 詐欺被害を水際で阻止したとして、長浜署は22日、長浜信用金庫やわた中山支店の山岡和弘支店長(50)と福田匡真さん(23)に署長感謝状を贈った。

 昨年12月16日、同支店の窓口に70代の男性が訪れ「女性に勧められ、きょうから投資を始める」「投資先に30万円を振り込みたいが、振込先が分からない」と、スマートフォンのLINEの画面を福田さんに見せて相談。福田さんは詐欺を疑い、山岡支店長に報告した。2人で「間違いなく投資詐欺です」と男性を説得し、長浜署に通報した。

 男性はSNSで女性と知り合い、執拗に投資を勧められていたが、少し怪しんでいたという。

 感謝状贈呈式で井上和幸署長は「2人の連携で被害を防止し、支店が一体となった対応は賞賛に値する。引き続き特殊詐欺の防止に協力していただきたい」と話しかけた。

 入庫1年目の福田さんは詐欺の手口について職場内の研修などで学んでいた。「感謝状は身の引き締まる思い。あってはならないが、このような事案があれば、再び被害を防げるように業務に邁進したい」と話し、山岡支店長は「被害を防止できたこと、新人職員が詐欺と感じ取ったことが嬉しい。詐欺被害が起きないよう、これからもお客様の大切な預金を守っていきたい」と語った。

2025年1月17日

バイオ大 「湖北動物プロジェクト」開講10年

投網漁、化石採集…多彩なメニュー

 豊かな自然環境を生かして学生が地域に出向いて自然観察やボランティア活動に取り組む講義「湖北動物プロジェクト」が長浜バイオ大学で行われている。キャンパスを飛び出して週末に野外で開講するユニークさが学生に評判で、1、2年生が対象にもかかわらず、3、4年生や院生も自主参加することもある人気ぶりとなっている。

 アニマルバイオサイエンス学科の講義で、年間13回、多彩なテーマを教授や助教ら7人が受け持つ。例えば今年度は田村山に生息する希少種のヤマトサンショウウオの保護、大谷川でのオオサンショウウオ調査、米原市番場の千石谷のビオトープ調査、養殖ビワマスの餌作り・餌やり、県の「魚のゆりかご水田プロジェクト」の手伝い、天野川での投網漁・やな漁の体験、多賀町での化石調査などがあった。

 河内浩行教授によると、プロジェクトは週末にアパートに引きこもっている学生を外に連れ出そうと2014年度に故・野村慎太郎教授の発案でスタートした。講義は週末開講のため参加は自由だが、単位はつく。毎年20人ほどが受講しているという。

 湖北広域行政事務センターの最終処分場整備に伴って設けられた米原市番場のビオトープで11月に実施した生物調査では、希少種のヤマトサンショウウオ、ホトケドジョウ、メダカを含む27種類を確認した。処分場整備地は豊富な水生生物が集まる湿地だっただけに、ビオトープにどれくらいの生物が戻って来るのか引き続き調査を続ける方針だ。ヤマトサンショウウオは今回初の発見で、齊藤修教授は「是非、復活を見守りたい」としている。

 醒井養鱒場ではヤマメやアマゴ、イワナなどの採卵や受精を体験し、姉川のビワマス養殖池では餌づくりと餌やりに取り組んだ。

 ニゴロブナなどの琵琶湖の在来魚が産卵のために水田に遡上しやすいよう水路に魚道を設けた「魚のゆりかご水田」を学ぶ講義では、東近江市栗見出在家町の水田をフィールドに、5月は田植え、6月は魚類調査、9月は稲刈りに取り組んだ。住民によるご飯の炊き出しが学生に人気という。

 天野川での投網漁・やな漁の体験は上多良漁協の協力で実現。投網の投げ方の指導を受けてマゴイなどを捕獲したほか、漁協が設置したやなでコアユを網ですくい上げた。

 12月には多賀町で化石採集に取り組み、四射サンゴやフズリナの化石を見つけた。田邉瑠里子助手は「進化して現在の生物がある。化石を通じて進化について勉強できる。地域のことを学ぶには地質を学ぶことも必要」と意義を語っている。

 インドネシア人留学生のアイメ・パトリックさん(24)=4年生=は4年間を通じて講義を受講している。もちろん3、4年生は単位がもらえない自主参加。「室内の講義だけでは想像しにくいこともあり、現場で生態に触れられることが魅力。メダカの種分化の研究をしており、このプロジェクトで学んだ採集・測定技術などを今後の大学院での研究にも生かせる」と話している。

 「他の大学にはない、かなりユニークなオリジナル講義」と胸を張る教授陣。次年度は新しい取り組みとして長浜農業高校での牛の世話、地域イベントでのミニ水族館の出展を計画し、湖北地域をフィールドにした講義をさらに活発化させたい考え。

 

2025年1月16日

2024年、交通死亡事故ゼロ

長浜署管内、統計70年で初 井上署長「住民の一人一人にお礼」

 長浜署は2024年の管内の交通死亡事故ゼロを達成した。1954年に統計を取り始めて以来、70年目での初めてゼロで、同署は15日、地元の交通安全協会と安全運転管理者協会の会長を招いて日ごろの啓発活動に対して感謝状を贈るとともに、死亡事故ゼロの継続に協力を求めた。

 管内の交通事故の死者は統計を取り始めた54年が5人だった。マイカーの普及に伴って徐々に増加し、71、72年には最多となる19人に上った。全国でも1960年代後半からマイカーの普及に伴って死亡事故が多発。これを受けて70年に交通安全対策基本法が制定され、これに基づく対策強化により、以降は年々減少してきた。長浜署管内でも増減を繰り返しながらも徐々に減少し、2007年以降は死者数は1桁となっていた。

 管内で最後に死亡事故が発生したのは23年5月17日。神前町の県道交差点で乗用車と原付バイクが出合頭に衝突し、バイクを運転していた61歳の男性が死亡した。以来、交通死亡事故ゼロを更新し続け、15日で609日目となっている。

 24年の県内の交通死亡事故による死者は28人で、ゼロを達成したのは13署・隊のうち長浜署と高速隊のみ。

 井上和幸署長は「両協会の献身的な活動によりゼロを達成した。また、安全運転に努めていただいた地域の住民の皆さんの一人一人にお礼を申し上げたい。引き続きゼロを目指して抑止に向けた活動に取り組みたい」と話している。

 長浜地区交通安全協会は通学路での警戒、高齢者への反射材の配布、自転車安全利用啓発などに取り組み、昨年12月には長浜、木之本、米原、彦根署の合同飲酒運転防止啓発にも参加した。

 366事業所で構成する長浜地区安全運転管理者協会は各事業所での啓発をはじめ、交通安全に関するフェスティバルやパレードに参加している。

 この日、長浜署で行われた贈呈式では井上署長が交通安全協会の籔内猛会長(70)と安全運転管理者協会の押谷小助会長(65)に感謝状を手渡した。2人は「1年間を通じて死亡事故がゼロだったことに驚いたが、これまでゼロだった年がなかったことにも驚いた」と顔を見合わせた。

 籔内会長は「感謝状は大変名誉なこと。死亡事故ゼロは、ボランティアで啓発していただいている方々のおかげであり、住民の方々が意識を持って安全運転を心がけていただいたおかげ。事故のないまちになるよう、私たちも努力し、ゼロが続くことを願う」と語った。

 安全運転管理者協会は会員事業所が無事故無違反100日運動に取り組んでおり、押谷会長は「『職場からは一切、交通死亡事故は出さない』を合言葉にしている。何年もゼロが続くように活動したい」と決意を新たにした。

 70年目にしての初の交通死亡事故ゼロ。井上署長や田村優典交通課長によると秋ごろからゼロ達成が頭をよぎるようになったが、意識しすぎることを避けるため口にすることはなかったという。ただ、12月になると赤色灯を付けてのパトロールを強化するなど初のゼロ達成へと意識を高めてきた。

 今後、どこまでゼロを更新できるのか—。同署では新年も啓発や取り締まりを続けている。14日深夜には酒を飲んで自転車を運転し単独事故を起こした30代男性を検挙した。同署管内で自転車の飲酒運転の検挙は初めてで、田村課長は「事故抑止のため、さらに飲酒運転撲滅に取り組みたい」と話した。

2025年1月14日

20歳のつどい976人出席、決意を新たに

 長浜市の「20歳のつどい」が12日、長浜文芸会館、浅井文化ホール、木之本スティックホールで開かれ、スーツや振袖に身を包んだ976人が出席。旧友との再会を喜ぶとともに、節目の機会に決意を新たにしていた。 長浜文芸会館で午前中に行われた式典には長浜西中、南中の出身者238人が出席。浅見宣義市長は「失敗を恐れることなく前向きに物事に取り組んでほしい。失敗は成功の一歩。どんな困難に直面してもどうか恐れずに挑戦し続けてください。努力と情熱が未来を切り拓く力となる。時には困難が立ちはだかることもあるが、未来に向かって進む姿勢を大切にしてほしい」と呼びかけた。高山亨議長は「どんな未来がこちらを覗いているかな 君の強さと僕の弱さを分け合えばどんな凄いことが起きるかな」とシンガーソングライターあいみょんさんの「ハルノヒ」の歌詞を紹介するなどして、はなむけの言葉を贈っていた。 出席者を代表して大塚創史さん(20)=長浜西中出身=と、辻村世名さん(20)=長浜南中出身=が「はたちという人生の節目を迎え、新たな一歩を踏み出すこととなるが、この日まで支えて下さった方々への深い感謝の意を込め、恩返しの機会を大切にし、自分の歩む道に自信を持ち、責任ある行動を通じてより一層前進する。社会の一員としての自覚を持ち、社会に貢献していくことの決意をここに誓う」などとあいさつした。 式典後には実行委員会主催で恩師のビデオレターの上映、抽選会などがあった。

2025年1月10日

長浜盆梅展 慶雲館で開幕

90鉢を展示、「写心」とのコラボレーションも

 新春を彩る長浜盆梅展が10日、港町の慶雲館で開幕した。すでに満開の鉢もあり、雪化粧の日本庭園とともに湖北の冬の風物詩を楽しめる。

 今年で74回を迎える。長浜観光協会が管理する盆梅約300鉢の中から見ごろを迎えた約90鉢を展示している。「花咲お兄さん」として盆梅の世話をしている金子遼さん(33)=長浜観光協会主査=によると開花具合は昨年並みで、すでに数鉢が満開を迎えている。

 今年は新館で「写心」作家とのコラボレーション企画も行っており、金子さんは「本館では明治期の建物との調和を、新館では『写心』を借景とした盆梅を楽しんでほしい」と話している。

 入館料は大人800円、小中学生400円。午前9時から午後5時、3月10日まで。今月25日から2月24日までの土日・祝日は開館時間を午後7時半まで延長し、館内をライトアップする。

長浜市民無料招待

 長浜盆梅展は「市民無料デー」を設定し、10日から16日までと、ライトアップが行われる25、26日に長浜市民を無料招待する。住所が確認できる証明書を持参すれば、本人と同伴1人まで無料となる。小中学生以下の同伴者は提示不要。

ミニ盆梅づくり

 自分だけのオリジナル盆梅をつくる体験会が14、16、23、30日と2月4、6日に開かれる。

 体験では参加者が好みの盆梅と鉢を選び、剪定した後、植え替える。土や石、苔、赤土で装飾して完成させる。時間は午前11時、午後2時から。30日は午後のみ。料金は5500円。定員は各回5人。申し込みは長浜観光協会℡(53)2650へ。