2022年4月11日

長い髪を小児患者に

女子高生が医療用ウィッグに寄付

 小児がんの治療の副作用などで脱毛に悩む子どもたちに医療用ウィッグ(かつら)を贈る「ヘアドネーション活動」に協力するため、長浜北星高校3年生の野々口ゆうめさん(17)が9日、市内の美容室で背中まで伸びた長い髪を切った。髪はヘアドネーションを呼びかけている大阪市のNPO法人に送る。

 野々口さんは、がん検診を呼びかける講演活動に取り組んでいる元がん患者の藤井登さん(64)が経営する学習塾に通っている。藤井さんから「ヘアドネーションという形で、がん患者を支援することができる」と聞かされ、協力することに。ちょうど新学期のスタートに合わせ新しい髪型にするつもりだった。

 この日、八幡東町の美容室「hana×hair」を訪れ、ヘアドネーション用のカットを依頼。美容師が毛を13本の束に分けてゴムでくくり、1束目は野々口さん自身がはさみを入れた。

 ヘアドネーションの協力を呼びかけているNPO法人「JHD&C」(大阪市)によると、ヘアドネーションには31㌢以上の長さが必要。協力者から送付された髪は計測、仕分したうえ、トリートメント処理を行い、製造工場でウィッグとなる。毛束の中には短い毛も多く含まれることから、子ども1人のウィッグを作るのに約30〜50人の協力が必要という。

 この日のカットでスーパーロングからボブへと変身し、33㌢の髪の毛を送ることになった野々口さん。カットした毛束を手に「いつもよりヘアケアを心がけてきた。ヘアドネーションについて1人でも多くの人に知ってもらい、脱毛に悩む子どもたちの助けになれば」と笑顔を見せた。

 美容室でカットを見守った藤井さんは「塾で生徒にヘアドネーションの話をしていた。がんに対する理解を深め、協力してくれたことを嬉しく思う」と語った。

 同美容室では年4回ほどヘアドネーション用のカットを依頼されるという。同美容室など長浜市内で10店舗を運営する「カミングエンタープライズ」(曽根町)の中川豊己社長(53)は「崇高な気持ちで、がん患者の不安を取り除く、大きな役割を担って下さった。今後も、ヘアドネーションの要望があれば協力したい」と話している。

2022年4月5日

古民家で仕事と余暇両立

野瀬と余呉にワーケーション施設

 余暇を楽しみながら働く「ワーケーション」の施設が1日、野瀬町と余呉町上丹生にオープンした。コロナ禍を機にしたリモートワークの普及でネット環境さえあれば場所を選ばない仕事スタイルがじわりと広がりつつあり、施設整備を後押しした長浜市は「地域との交流が生まれ、ゆくゆくは移住につながれば」と期待している。

 野瀬町にオープンした「ASOVIVAはなれ」はBPO事業や地方創生・地域活性化事業に取り組むヒトノエ(東京都足立区)が整備。空き家の古民家を和モダンに改修し、WEB会議に対応した個室などを設けている。近くではニジマス釣り、サイクリング、トレッキングなど自然を楽しめる。同社は「ワーケーションを通じて都市部と地方の架け橋になりたい」としている。利用料金は日帰り2200円、宿泊5500円。

 余呉町上丹生の「上丹生山根邸」は中西興産(大阪市)が整備。古い空き家を改修し畳の間を生かしている。近隣ではハイキング、スキー、魚釣りなどのレジャーを楽しめる。地域住民が手作りする郷土料理も提供する。「レジャーとテレワークを掛け合わせ、自分なりの新しい働き方と休み方を模索できます」とPRしている。利用料金は日帰り2000円、宿泊6000円。

 市では交流人口増加を目指して、国の地方創生テレワーク交付金を活用し、民間事業者によるワーケーション施設整備に補助金を出して支援。今回の2施設のほか、昨年11月には元浜町に江戸中期の町家を改修したコワーキングスペース「ビワコ・ピクニック・ベース」がオープンしている。

 市ふるさと移住交流室は「都市部の人にも市民にもワーケーション施設を利用してもらい、仕事をフックに地域との交流が生まれ、ゆくゆくは移住につながれば」と話している。

2022年3月29日

県内初の血液内科 きとうクリニックが開院

コープ2階に エイズ、外国人患者にも対応

 内科・血液内科の「きとうクリニック」が4月1日、宮司町のコープながはま2階にオープンする。県内初の血液内科医院でエイズ、外国人患者にも対応できる。

 木藤克之院長(63)は長年、滋賀医科大学病院の教授として▽研究▽教育▽臨床を務め、長浜赤十字病院でも毎週木曜、血液内科医として診察・治療している。

 このほか、2010年から6年間、定期的にケニアを訪問し、エイズ研修などを通して国際交流に尽力。ライフワークとして国際医療に興味がある人たちが集う「びわ湖国際医療フォーラム」の代表として、国内外の外国人に関する医療研究などをしている。

 県内では外国人8000人前後が就労し、エイズ患者は約150人いるとされるが、日ごろの健康状態がチェックされておらず、受け入れ態勢も十分でない。

 クリニックではブラジル国籍の看護師が常勤し、在日外国人に対応。関西で4カ所目となるエイズ対応施設として認定されているため、エイズ患者の「かかりつけ医」としての役目も担う。

 このほか、女医やエイズカウンセラーを配し、プライバシーを保護するための個別待合室を設置。血液検査にも迅速に対応でき、待合時間の解消に努める。

 木藤院長は「血液の病気、エイズ、海外の患者本人と家族を含めた地域医療を目指し、最善のチーム医療を実践してゆきたい」と話している。

 診察は午前8時半から正午、午後4時から7時。木曜と土曜の午後、日祝日休診。なお、長浜赤十字病院の外来は継続する。問い合わせはきとうクリニック℡(65)5100へ。

2022年3月28日

人工温泉やプールなど新設

名越町のグランピング施設がバージョンアップ

 昨年オープンした名越町のグランピング施設「フューチャーリゾート」に人工温泉やサウナ、プールなどが新たに設けられ、運営するフューチャーラボ(橋本久司社長、西上坂町)は「バージョンアップした施設を楽しんで」と来場を呼びかけている。

 施設は横山森林公園のふもとにある旧サイクリングターミナル跡地に昨夏オープンした。広さ4500平方㍍に高級ヴィラやドームテント、小型ドームハウスなどがあり、バーベキューなどのアウトドアが楽しめる。

 コロナ禍で密を避けるためにキャンプを始める人が増えるなどアウトドア人気が高まる中、家族や友人同士での利用や、企業・団体で施設を丸ごと借り切っての利用など、幅広い楽しみ方が可能な施設として人気を呼んでいる。

 新しく整備したのは、人工温泉、ロウリュ(蒸気浴)を楽しめるサウナ、屋外プール、ドッグランなど。施設利用者の観光や買い出しなどをサポートするため東南アジアで見られる自動三輪車「トゥクトゥク」も導入した。また、市内で飲食店を経営する「クラブメゾン」とタイアップした料理も始める。

 同社の橋本社長は「癒しと観光振興をキーワードに施設をバージョンアップした。市民限定のサービスも考えているので、ホームページで確認して欲しい」と話している。今後も新しいヴィラの建設を計画している。詳細はフューチャーリゾートのWEBサイト(https://www.futureresort.net/)で確認できる。

2022年3月24日

ウクライナ平和願う鐘

長浜ユネスコ協会が大通寺で

 ロシア軍の侵攻を受けるウクライナの平和を願って鐘を鳴らす催しが23日、大通寺で行われた。

 長浜ユネスコ協会が緊急で催した「平和の鐘を鳴らそう〜ウクライナの平和を願って」。同協会の呼びかけに賛同した市民や観光客、国際ソロプチミストの会員ら約50人が参加。ウクライナの方角を向いて黙祷し犠牲者を悼んだ後、順番に鐘を鳴らして、ウクライナ平和と避難民支援の輪が広がることを願っていた。

 また、この日は協会の会員らが大通寺境内で募金を呼びかけ、ウクライナ抵抗のシンボルとなっているヒマワリの種を配り、4万2601円の支援金が集まった。

彦根市内に避難民2人

 県は22日、ロシア軍侵攻を受けて隣国で避難生活をしていたウクライナ女性2人を県内で受け入れたと発表した。

 避難してきたのは、彦根市内に住むウクライナ国籍の女性の50代の母親と80代の祖母。2人はウクライナのハリコフに住んでいたが、ロシア軍侵攻後にポーランドのワルシャワに避難していた。女性の日本人の夫から今月17日に相談を受けた県が2人の県内への避難手続きを進めていた。

 2人はオランダ、韓国を経由して、22日午後6時ごろに関西国際空港に到着。23日未明に彦根入りした。待機期間を経て30日から彦根市松原町のミシガン州立大学日本連合センターの宿舎で過ごす予定。

 国内には在日ウクライナ人が約1900人いる。その知人や親族は短期滞在ビザでの入国が認められており、申請があれば1年の「特定活動」の在留資格変更も可能となる。

 岸田文雄首相が避難民の受け入れを表明した今月2日以降、16日までに73人が来日。滋賀県内には4人のウクライナ人が住んでおり、今回の女性2人の避難が最初となる。

5カ所に募金箱

 県は23日、ウクライナからの避難民の生活支援のため、米原市の県立文産会館など県内5カ所に募金箱を設置した。設置場所は県庁2カ所、ピアザ淡海2カ所、県立文産会館1カ所(パスポートセンター米原出張所)。期間は5月31日まで。税制上の優遇措置の対象となる「しがウクライナ避難民応援支援金」の専用口座への振込もある。振込先は滋賀県国際協会。詳細は同協会のホームページ(https://www.s-i-a.or.jp/news/757)で確認できる。

2022年3月10日

自然環境の実態と保護伝える

故・村上さん「やさしいネイチャーウォッチング」発刊

 長年、自然環境保護活動に取り組んだ村上宣雄さん(享年77)が地域情報誌「長浜み〜な」に連載した原稿を再編集した「やさしいネイチャーウォッチング—自然を守り育てる仲間づくり」がサンライズ出版から発行された。

 村上さんは中学校の理科教員を38年間務めた。生涯を通じて数多くの自然観察会を企画して自然保護の大切さを訴え続けた。山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会、滋賀自然環境研究会、滋賀環境教育研究グループ、滋賀ビオトープ研究会、滋賀のオオサンショウウオを守る会、奥びわ湖観光ボランティアガイド協会などで活発に活動した。

 「長浜み〜な」では21年間にわたって「やさしいネイチャーウォッチング」を連載。学校や地域での自然観察会や生き物を守る活動、ビオトープづくりなどをレポートした。

 同書では連載約80本を再編集し、「微生物のすごさ」「生きものを増やす」「生きものを守る」「生きものが危ない」「余呉湖」「食べる楽しみ」「鳥と私たちの関係」「ビオトープ」「核のごみを考える」をテーマとした9章の構成となっている。

 山門水源の森の里山再生活動の成果、びわ中学校による琵琶湖のヨシを増やす活動、木之本町古橋のオオサンショウウオの保護、イヌワシやクマタカが直面する危機的な実態などを、データ分析しながら解説し、読者が少しでも自然に関心を持つようにしている。

 また、旧余呉町で2006年に浮上した高レベル放射性廃棄物処分場の誘致問題を取り上げ、過疎地に犠牲を強いる手法として批判。核ごみに関する国民的論議の必要性と、原子力に頼らないエネルギー政策転換を訴えている。

 同書は2019年、村上さんの闘病中に編集作業が進められ、1回目の校閲を終えたのは翌20年2月29日に亡くなる1週間前だった。妻の尚子さん、長男・悟さんも編集に協力した。

 A5判216ページ・2400円(税別)。県内主要書店を中心に販売している。問い合わせはサンライズ出版℡0749(22)0627へ。

2022年3月3日

規格外絹糸で肌スベスベ

浜ちりめん製造ヤブウチ 入浴剤開発

 長浜の特産絹織物「浜ちりめん」を製造・販売するヤブウチ(八幡中山町)が、製造工程で出る規格外の絹糸を使った入浴剤を開発。「絹糸の湯」と名付けて販売するプロジェクトを進めている。

 天然繊維である絹糸の製造では糸の凹凸を取り除く「フシ取り」などの過程で規格外の糸が発生する。これまでは廃棄処分していたが、SDGsの観点から何か有効利用できないかと社内で検討。絹糸に含まれるたんぱく質成分「セリシン」が保湿性や抗酸化作用などの機能を持つことに注目した。

 日常的に絹糸の加工を担う同社の職員の手は、寒い冬でもあかぎれなどの手荒れがなく、みずみずしいことから、入浴剤として使えないかと提案があり、開発を進めてきた。

 絹織物は製品化の前に「精練」と呼ばれる工程でセリシンや不純物を除去するが、入浴剤の開発にあたっては精練を浅くかけることによってセリシンをたっぷり含んだ状態を維持した。

 「絹糸の湯」はこのセリシンをたっぷり含んだ糸をオーガンジーの袋に包んでいる。浴槽に入れると水溶性のセリシンが湯に溶け出す。社員が使用したところ「お湯がやわらかくなった」「肌がすべすべ、しっとりする」と実感したという。絹糸は100%自然由来のため、同社では「肌が敏感な方、市販の入浴剤が合わない方に試してもらいたい」としている。

 籔内猛之社長(67)は「この入浴剤を通じて多くの人に絹の持つ魅力を伝え、そこから着物文化へ興味をもっていただければ」と話している。

 なお、同社では15日まで「絹糸の湯」をPRするクラウドファンディングを実施し、返礼品として提供する。詳細はキャンプファイヤーのサイト(https://bit.ly/34ysRa7)から。

 

2022年3月2日

滋賀夕刊賞に寺村君「馬車道新聞」

長浜城博物館  自由研究コンクール

 歴史系自由研究コンクール「長浜城H-1グランプリ」の優秀作品展が2日から長浜図書館2階で始まった。

 コンクールは長浜城歴史博物館と同館友の会が、子どもたちの思考力や創造力、表現力を養おうと開催し、今回で10回目。「ぼく・わたしが住んでいる地域の歴史や人物」をテーマに新聞スタイルの作品を募集し、市内の小中学生から93点の応募があった。

 金賞にびわ北小6年の藤田真緒さんの「石田三成新聞」、銀賞に長浜南中1年の岩崎貫汰さんの「五先賢新聞」、銅賞に湖北中1年の山内結貴さんの「観音の里新聞」、審査員特別賞に浅井中1年の本田顕心さんの「史上最強の天皇 後鳥羽上皇 長浜市の名越に2度潜幸伝説に迫る!」を選んだ。

 また、コンクール共催の滋賀夕刊賞には長浜小6年の寺村勇亮くんの「馬車道新聞」が選ばれ、同社が新聞スタイルに再構成した。八幡中山町などを通る「馬車道」の歴史を調べ、明治期に長浜—関ケ原間に鉄道が走り、廃線後に乗合馬車が運行されていたことなどをレポート。寺村くんは通り沿いにある池田屋(西上坂町)、柏屋老舗(分木町)にも取材し、柏屋老舗が馬車停車場の待合場所となっていたことを紹介している。

 優秀作品展では入賞5点を展示している。16日まで。また、4月1日から5月8日までは長浜城歴史博物館でも展示する。

2022年2月17日

一貫斎の飛行機模型 初公開

鈴木さんが制作、国友鉄砲ミュージアムで

 国友鉄砲研究会メンバーで模型飛行機マニアの鈴木健市さん(81)=八幡東町=は、江戸時代の発明家、国友一貫斎(1778〜1840年)が考案した飛行機絵図の縮尺模型を製作し、国友鉄砲ミュージアム(国友町)で展示している。

 絵図面は一貫斎が鳥に模した飛行機を描いた「阿鼻機流(あびきる)大鳥秘術」。寸法も書いており、文政13年(1830年)に江戸幕府に提出した飛行機構想の資料とみられる。

 鈴木さんは少年時代から模型飛行機、グライダーなどの製作が趣味で、一貫斎発明品の復元企画で鳥形飛行機の製作を担当。縮尺10分の1模型を木と紙を材料に1カ月半がかりで1月末ごろ完成させた。大きさは縦66㌢、横120㌢。

 実際には飛べない構造だが、鈴木さんは「図面には鳥のように飛びたい強い願いが現れている」といい、数々の発明品を生み出した実績から「あと5年も長生きすれば世界初の飛行機を完成させた可能性がある」と、その才能を惜しんでいる。さらに、一貫斎の自画像では、手にした掛け軸から鳥が飛び出す図が描かれており、この絵からも飛行機への関心の高さがうかがえるという。

 特別展「一貫斎への招待」で3月末まで展示される。期間中は無休。問い合わせは℡(62)1250へ。

2022年2月16日

夫婦の絆はどれだけ強い?

糊でくっつくフクラガエル 長浜バイオ大・倉林准教授が接着力研究

 長浜バイオ大アニマルバイオサイエンス学科の倉林敦准教授(50)が広島大学両生類研究センターと共同で南アフリカ原産のフクラガエルの糊(のり)粘膜の成分解明に取り組んでいる。

 フクラガエルは丸々とした愛らしい体型から、ペットとして飼育するファンが日本でも多い。メスに比べてオスが非常に小さいことから、交尾(正しくは抱接)の際にオスがメスを抱きかかえられず、このため、皮膚から糊を分泌して体を接着することでつがいを作るユニークな特徴を持っている。

 これまで糊を人工的に分泌させられず研究が進まなかったが、倉林准教授は電気刺激を与えることで糊の分泌を促し採取することに成功した。

 糊の調査では時間経過とともに接着力が強力になり、面ファスナー(マジックテープなど)と同程度の接着力を持つことが分かった。

 また、オスとメスが違う種類の糊を出し混ぜ合うことでより強い接着力が生じるという「エポキシ仮説」が有名だったが、研究ではオスとメスの糊に大きな違いがないことが明らかになり、双方の糊を混ぜた場合でも変化はなかった。また、オスは糊を出さない別の種類のメスに対しても接着することが確認された。

 「夫婦の絆の強さ」を連想させるフクラガエルの接着力の強さだが、今回、オスが別種のメスにも接着できる生態が分かったことで、その「浮気性」も明らかになった。

 倉林准教授は2003年に広島大学両生類研究センターに赴任したのを機に、ユニークな体位で交尾するフクラガエルの生態に興味を持ち、研究を始めた。2015年以降、計4回、南アフリカで現地調査し、十数種類のフクラガエルの粘液の採取に成功。「瞬間接着剤顔負け」の強力な糊を出す品種も発見している。フクラガエルは20種類が確認されているが、倉林准教授はまだ名前のない新種も発見している。

 なお、フクラガエルの糊はアレルギー反応の出にくい「生体接着剤」として皮膚や骨の接合など手術現場で応用できる可能性があり、倉林准教授は「糊物質の正体や、糊に関わる遺伝子について研究を進めたい」とコメントしている。

 研究成果は15日、国際科学雑誌「SALAMANDRA」に掲載され、フクラガエルの交尾のようすが雑誌の表紙を飾っている。

2022年2月10日

昆虫食が食料危機を救う!?

長浜バイオ大学 コオロギ食用化を共同研究

 「地球規模の食料問題の解決と人類の宇宙進出に向けた昆虫が支える循環型食料システムの開発」—。長浜バイオ大学が壮大なテーマを掲げる内閣府主導のプロジェクトに参加し、将来の食料難を救う切り札として注目を集める「昆虫食」の具現化に向けて研究開発に取り組んでいる。

 世界の人口は現在の78億人から2050年には98億人へと増加し、食料生産が追い付かない状態になるとされ、国際連合食糧農業機関は2013年、その解決策として昆虫の活用を提案。これを受け、世界規模で昆虫食の研究が進んでいる。

 内閣府主導のプロジェクトには長浜バイオ大を含め10の大学と研究機関が参加。長浜バイオ大ではアニマルバイオサイエンス学科の小倉淳教授を先頭に、教員、学生が研究に取り組んでいる。

 食料危機の切り札がなぜ昆虫食なのか。小倉教授は「昆虫は温室効果ガスの排出量が極めて少ない利点がある。さらには牧場のように広大な飼育スペースを必要とせず、栄養価の面でも優秀。例えば、鶏のササミのタンパク質が重量当たり約25%だとすれば、コオロギは約80%。持続可能な次世代のタンパク質源として非常に有望」(大学広報誌めいこう46号)と説明している。つまり、昆虫食の研究は遠くない将来、人口増加でタンパク質の供給が追い付かなくなる「タンパク質クライシス」への備えというわけだ。

 長浜バイオ大では昆虫の食料化・飼料化に取り組み、「昆虫ゲノム育種」「昆虫由来水産飼料開発」「コオロギ由来食料開発」「社会実装」の4つの視点で研究を進める。先行する欧州ではヨーロッパイエコオロギの食用化が進んでいるが、比較的湿度が高い日本では生育に課題があることから、日本全国でコオロギを採取して飼育し、最新のゲノム解析技術を用いて、日本独自の低コストで生産性の高い品種を目指している。

「食材の優秀さ、知って」澤田さん  飼育環境など模索

 このうち、「昆虫ゲノム育種」と「社会実装」を担当する学生の一人が、メディカルバイオサイエンス学科3年生の澤田祐衣さん(21)。子どものころから昆虫が大好きで、特に蛾に魅力を感じ、自宅では蚕を飼育している。

 藻類の分泌する糖類が水中のマイクロプラスチックを絡めとって除去する研究を行っていたところ、昆虫好きを知っていた小倉教授から勧誘され、プロジェクトに参加。全国のコオロギの採取、飼育、観察を担当している。湿度や温度に注意しながら最も適した飼育環境を模索している。観察を重ねるうち体長5㍉程の小型のコオロギが、カビの生えた餌を食すなど劣悪な環境でも生存できることに気づいた。

 また、昆虫食を広める「社会実装」では、どのように情報発信すれば、昆虫食への理解を深められるのかを研究している。これまでの調査で、男性に比べ女性の方が昆虫食への関心が高く、「栄養価の高さや環境問題への意識の高さが背景にあるのかもしれない」と語る。コオロギを粉末状にした「コオロギパウダー」は高タンパクで、筋トレやダイエットに励む女性はあまり嫌悪感を抱かずにプロテインとして注目しているという。

 個人的にも昆虫食への探求心が強い。コオロギパウダーを使った料理を食したり、「タガメ酒」を自作したり、自宅で飼育する蚕をボイルして試食したりと、好奇心は尽きない。

 「昆虫のことを何も知らないままで嫌いになるのではなく、食材として優秀なことを知って欲しい」と澤田さん。今は昆虫食にエンターテイメント性を求める人が多いが、「スーパーに昆虫食が並ぶ将来になれば」と、昆虫食が食卓を飾る未来を夢見ている。