2023年4月20日

彦根城の酵母でビール

「彦根麦酒」バイオ大教授の協力で開発

 長浜バイオ大の向由起夫教授の協力で、クラフトビール醸造会社「彦根麦酒」が彦根城内で採取された酵母を使ってビールを醸造した。

 同社は彦根産の大麦麦芽、ホップ、水、酵母を使ったビール醸造を目指しているが、酵母の発見が難航。このため、酵母の研究を行っている長浜バイオ大の向教授に協力を依頼し、2020年からビール醸造に適した酵母を彦根市内で探してきた。

 21年からは県立河瀬中学高校の科学部とも連携し、生徒が彦根城の西の丸広場に生えていたキノコを採取。そのキノコからビール発酵に適したサッカロミセスという酵母が見つかり、「彦根麦酒酵母K21」と名付け、試験醸造を重ねて今年3月下旬に製品化に成功した。

 向教授によると、サッカロミセスは一般的に花や実などの糖分から採取される酵母だといい、偶然、キノコに付着していたとみられる。キノコを採取した河瀬高3年生の宮尾悠生さん(17)も「好奇心のみで採取したキノコから酵母が見つかり、驚きしかない。その酵母からビールができてよかった」と話した。

 商品名は「志成」。河瀬中学高校の科学部が同校の校訓にちなんで命名した。ほのかに甘くフルーティーな味わいが特徴だという。330㍉㍑、税込み880円。40本限定。5月2日から彦根麦酒荒神山醸造所(同市石寺町)で限定販売する。

2023年4月17日

凛々しく華やかに子ども歌舞伎

名演「よくできました!」 4万人を魅了

 長浜曳山まつりは17日朝の「御幣返しの儀」で祭典を終えた。曳山全13基が出場した本日(ほんび)の15日は時折小雨の降る天候だったが、子ども役者が歌舞伎を凛々しく披露し、観客を魅了していた。

 長浜市によると15日の人出は約4万人。ユネスコ無形文化遺産登録を記念して全基出場した2017年の7万人と比べると3万人少なかった。

 15日は曳山まつりの起源とされる長刀組の太刀渡りがあり、鎧姿の子ども武者が2㍍余りの大きな太刀を腰に下げ八幡宮境内へと練り歩いた。

 

 一番山の常磐山の舞台では吉田櫂さん(10)が扇と鈴を手に三番叟を優雅に舞い、歌舞伎奉納の幕開けを告げた。常磐山は「鬼一法眼三略巻 今出川菊畑の場」を上演。兵法の秘伝書「虎の巻」を盗み出すため平家方の屋敷に身分を偽って潜入する牛若丸を描いた物語で、川村旭弘さん(9)演じる牛若丸が見得を切ると、観客から大きな拍手が沸いていた。

 各山は八幡宮で歌舞伎を奉納した後、お旅所へと巡行し、道中の大手門通りなどでも歌舞伎を上演していた。

 お旅所には歌舞伎を奉納しない「暇番山」を含め、夕刻に全13基が勢揃い。あいにくの天候のため曳山にはビニールシートが被せられたが、提灯の明かりに照らされた幻想的な舞台で子ども役者が迫力のある演技を見せていた。

 

 

 

2023年4月14日

演技はつらつと「十三日番」

長浜曳山まつり、子ども歌舞伎を上演

 長浜曳山まつりは13日の夕刻から夜にかけて出番山の地元で初めての歌舞伎披露となる「十三日番」があった。提灯の明かりに照らされた曳山の舞台で、子ども役者がはつらつとした演技を見せ、稽古を見守ってきた若衆や沿道の市民、観光客から「よくできました!」などと喝采があがった。

 「十三日番」は舞台衣装に身を包み化粧を施して初めて曳山の舞台で臨む公演。子ども役者は緊張したようすもなく、堂々とした演技を披露していた。

 「鬼一法眼三略巻 今出川菊畑の場」を演じた一番山の常磐山では子ども役者が息のあった演技を披露。川村旭弘さん(9)の演じる牛若丸と、想いを寄せる皆鶴姫役の大澤到将さん(10)との掛け合いシーンは提灯の明かりに照らされて艶っぽく見え、観客を魅了していた。

 「神霊矢口渡 頓兵衛住家の場」を演じた孔雀山の舞台では、強欲な父親の頓兵衛を演じる大澤凜太郎さん(11)の迫力ある演技と台詞が観客を圧倒。落人に一目ぼれし自らを犠牲にするお舟を、廣瀬理さん(9)が熱演し、沿道から大きな拍手が送られていた。

 14日は曳山が長浜八幡宮に向かう「登り山」、八幡宮から子ども役者の行列が地元に帰る「夕渡り」があり、本日(ほんび)の15日は八幡宮、お旅所、道中で歌舞伎が上演される。長浜開町450年を記念し、お旅所には歌舞伎を奉納しない「暇番山」も含め全13基が集合する。

 

 

奉納、一番山は常磐山 くじ取り式で、22年ぶり

 子ども歌舞伎の奉納順を決める「くじ取り式」が13日、長浜八幡宮であり、常磐山が22年ぶりとなる一番山を引き当てた。

 式には出番山の若衆から選ばれた「くじ取り人」が赤鉢巻を締めて整列。背後に立つ若衆が扇子を手に「ヨイサー、ヨイサー」と囃し立て、熱がこもるあまり他の山組のくじ取り人に詰め寄り、押し合いになるシーンも。

 くじ取り人は、丸めたくじが置かれた三方を神前から選び取り、總當番の合図で一斉にくじを開いた。

 一番山を引き当てた常磐山の田沢卓巳さん(22)は「まさか一番が来るとは思わず、嬉しい。子どもたちには楽しく悔いのないように演技してもらいたい」と話した。

 二番山は萬歳楼、三番山は翁山、四番山は孔雀山。

2023年4月6日

本格時代劇「アカツキ」の前日譚公開

ボイスドラマ、14日から

 長浜市内の若者が中心となって作り上げた戦国時代劇「アカツキ」が5月20、21日、長浜文芸会館で上演される。より舞台を楽しんでもらおうと、一足早くその世界観を楽しめるスピンオフのボイスドラマ3作品が完成し、今月14日から公開される。

 時代劇は長浜市と市民芸術文化創造協議会が昨年8月に制作を発表。湖北地域で活躍する俳優、演出家、舞台スタッフが中心となって「高品質なエンターテイメント作品」を制作することで、湖北地域の文化・芸術のレベルアップと新たなファンの開拓を目指した。

 「アカツキ」は戦国時代を舞台に、豊臣氏に滅ぼされた傭兵集団「六賀衆」に協力していた傭兵・暁月三郎を描く。殺陣、アクションを随所にちりばめたエンターテイメント作品で、作・演出は劇団プラネットカンパニー主宰の北澤あさこさん、制作総指揮はNPO法人はまかる代表の磯崎真一さん。殺陣の指導は国内外で忍者ショーを行っている「伊賀之忍者衆羅威堂」が担当している。出演者は高校生から60代までの16人で公募やオーディションなどで選考した。

 ボイスドラマは「皿合戦」(公開日14日)、「六賀衆の緊急軍議」(21日)、「柿の木」(28日)。いずれも「アカツキ」の世界を体験できる前日譚で、「アカツキ」のホームページ(https://hamacul.or.jp/akatsuki/)で午後7時に公開する。出演者はすべて公募し、声優の山口勝平さんの指導を受けた。磯崎さんは「ボイスドラマで奥行きのある世界観を楽しんでほしい」と話している。

 「アカツキ」上演は20日が午後2時、同6時から2回公演、21日が午後2時から。チケットは一般3000円、大学生以下1000円(当日券はいずれも500円増)。長浜文芸会館、浅井文化ホール、湖北文化ホール、木之本スティックホール、臨湖、チケットぴあ、ローソンチケットで発売中。

2023年3月31日

海の生き物、目の前に

小谷児童館でスマートグラス体験

 拡張現実(AR)機能を備えた眼鏡型の情報端末「スマートグラス」の体験会が30日、小谷丁野町の小谷児童館(ニコニコハウス)で開かれ、子ども22人が室内にいながら目の前で海洋生物へのエサやりを楽しんだ。

 スマートグラスはサングラスのような形で、目の前の景色はそのままに文字や映像、ARなどを同時に見ることができ、産業分野やイベントなどで普及が進んでいる。

 体験会は北近江リゾート(高月町唐川)が子どもたちに最先端の技術に触れてもらおうと、スマートグラスを開発した取引企業の日本出版関西支社(大阪市)に協力を呼びかけて企画した。

 子どもたちが体験したのは簡単な操作で海の生き物と触れ合えるゲーム「海の生き物と遊ぼう!」。グラスをかけ、目の前に掲げた手をグーにするとクマノミやウミガメなどの生き物が泳いで現れ、パーにすると星形のエサが出現して魚たちが寄って来る。

 子どもたちは魚に近寄って上からのぞき込んだり下から見上げたりして、その泳ぎを観察。突然現れたサメに驚いて悲鳴を上げる子どもや、クマノミを捕まえようとする子どももいて、思い思いに拡張現実が作り出す海の世界を満喫していた。

 速水紗菜さん(小谷小3年)と佐藤根彩羽さん(速水小4年)は「ウミガメとかエイとか、いろんな魚を目の前で見られて、エサやりもでき、とても面白かった」と話していた。

 北近江リゾートの担当者は「子どもたちの喜ぶ反応が予想以上で、企画して良かった。ゴールデンウイークなどにも体験イベントを検討してみたい」と話していた。

2023年3月29日

イヌワシの子育て「ライブ配信」

生育環境の保護で、米原市サイトなどで

 伊吹山のイヌワシの子育てを多くの人に見守ってもらおうと、米原市は28日から市役所3階の市民交流エリアで、子育てのようすを撮影した動画のライブ配信を開始した。

 カメラマンのマナー違反などで生育環境が脅かされていることから、野生動物の調査研究会社の「イーグレット・オフィス」(米原市下板並)が設置したリモートカメラの映像をリアルタイムで公開することで、イヌワシの保護につなげたい考え。

 イーグレット・オフィスによると、県内の山岳地帯でのイヌワシのつがいは伊吹山の1ペアを含む4ペアしかいない。伊吹山ではふ化して巣立ったイヌワシは同社が調査している37年間で7羽しかいないという。現在、伊吹山のペアが卵2個を交代で温めている。

 イヌワシが減少している背景には開発による自然環境の悪化のほか、伊吹山では一部のカメラマンが巣に近づきすぎて親鳥が巣に戻れなかったり、シカの死がいで餌付けするなどの違法行為やマナー違反があるという。

 このため同社は巣の周辺の監視と多くの人が見ているという「見守り効果」を期待し、リモートカメラを設置。市も同社の趣旨に賛同し「イヌワシ子育て応援プロジェクト」と題して、市役所の市民交流エリアと伊吹山文化資料館でライブ映像の配信を開始。4月1日から市の公式ウェブサイトからも映像を見られるようにする。

 ふ化して巣立つ7月初め頃まで配信するが、市はこのプロジェクトを来年以降も継続させるため、クラウドファンディングを行う予定。またカメラマンが生息場所に立ち入らないための啓発看板の設置などを行う。

 同社CEOの須藤一成さん(62)は「普段はあまり見ることができないイヌワシとその子育てを見て、イヌワシが暮らしやすい自然環境に関心を持ってもらい、その保護につながればいい」と話している。

2023年3月27日

浅井三姉妹の郷にカフェ

旧商工会館を改修、地元スイーツなど提供

 内保町の道の駅「浅井三姉妹の郷」の隣に、長浜商工会の会員事業所のコーヒーやスイーツを提供するカフェ「Chaya」が25日オープンした。ドライバーや観光客の休憩に利用してもらうと同時に、地元スイーツなどの紹介と販路拡大、観光情報発信の拠点にしたい考え。

 道の駅は365号線沿いの好立地にあり、ドライバーや観光客に愛用されているが、物販やレストランが中心で、カフェなどの休憩スペースがないことが課題だった。

 カフェの建物は旧東浅井商工会館として利用されていたが、市内商工会の合併に伴って事務所が湖北町速水に移って以降は空いたままで、その利活用が模索されていた。

 カフェは商工会が国の補助金などを活用して改修し、道の駅の経営会社「浅井三姉妹の郷」が運営する。会員事業所の自家焙煎コーヒーと、ヨーロッパ発祥の「コスタコーヒー」のテイクアウトを扱う。スイーツは会員事業所から公募して提供する。現在約20事業所から応募があり、当面は木元製菓舗の「どんべ金もなか」、菓子乃蔵角屋の「でっち羊羹」、TROIS(トロワ)3の焼き菓子などを提供する。

 広さは約200平方㍍。個人客がゆったりとくつろげるスペースと、団体客などに対応した部屋などを設けている。

 25日には押谷小助商工会長、上野賢一郎衆院議員、浅見宣義市長らが出席してオープニングセレモニーがあり、押谷会長は「地域の和菓子、洋菓子を持ち寄り、全国展開するきっかけになれば」とあいさつし、上野議員は「東京でも外国人観光客がどんどん増えている。コロナが落ち着き、国内でも海外でも人の移動が増えているので、うまく取り込んでほしい」と期待を込めた。

 営業時間は午前10時から午後4時まで。無休。

2023年3月23日

「忠太郎」の銅像 番場へ移設

除幕式で住民ら喜び「シンボルに」

 長浜市内で見つかった「番場の忠太郎」の銅像(高さ175㌢、幅70㌢、奥行き60㌢)が米原市番場の地に移設され、18日に除幕式が開かれた。かつては番場近くの国道21号線沿いに建っていたため、地元住民らは「忠太郎おかえり」と喜んでいた。

 番場の忠太郎の銅像は国道沿いにあった飲食店「忠太郎食堂」の近くに建っていたが、閉店と建物解体に伴い不動産会社を通じて長浜市内の民家に渡り、敷地内で保管されてきた。

 米原市番場の住民たちの間では銅像の行方がわからないまま、忘れられかけていたが、昨年3月に番場史跡顕彰会の泉峰一会長(73)が長浜市内の知人を通じて銅像の存在を知り、交渉の末で番場への移築で合意。クラウドファンディングなど100人以上からの支援で移設費用を集めた。

 移設場所は中山道沿いの市所有のポケットパーク内。除幕式には平尾道雄市長や上野賢一郎衆院議員らも出席し、泉会長は「番場の入り口に銅像を建てたことで、番場のシンボルになった」と喜んだ。

 番場の忠太郎は昭和5年作の戯曲「瞼(まぶた)の母」に登場する架空の人物で、米原市番場で生まれた忠太郎が5歳の頃に母親と離別し、30歳を超えた頃に江戸で再び母親と出会うストーリー。番場の蓮華寺には忠太郎の墓や地蔵尊があり、毎年7月24日には忠太郎地蔵まつりを開催。親子の縁の大切さと家庭円満を願いながら顕彰している。

 泉会長は「若い人たちに番場の忠太郎が生まれた歴史を知ってもらい、親子の絆の大切さを改めて認識してくれたらうれしい」と話していた。

2023年3月16日

湖北キッカーズ 県大会初優勝

25日から関西大会出場 表敬訪問で抱負

 高時川運動広場(湖北町速水)を拠点に活動するサッカースポーツ少年団「湖北キッカーズ」が2月のSFA第46回U11選手権大会で初優勝し、今月25日に大阪府堺市で開幕するフジパンカップ第29回関西小学生サッカー大会に出場する。県南部のクラブチームが幅を利かせる滋賀で湖北勢が県大会を制するのは初めての快挙。

 湖北キッカーズは昨年11、12月に行われた湖北ブロック予選を1位で通過し、今年2月に各ブロックの代表32チームが出場した県大会のトーナメント戦を全勝で制した。強豪のオールサウス石山との決勝戦では後半で0対2と追い詰められたところから、約5分間で3得点する劇的逆転で湖北勢初の栄冠をつかんだ。

 関西大会は25日から27日まで開かれ、近畿2府4県の代表24チームが出場する。湖北地域からは県大会で3位に入賞した浅井FCも出場を決めており、湖北勢の活躍に期待がかかる。

 15日には湖北キッカーズの選手11人が浅見宣義市長を表敬芳訪問し、県大会優勝と関西大会出場を報告した。佐野源治代表は「練習試合で強豪と対等に戦っていたので、優勝を狙っていた。湖北勢としては初の優勝で、子どもたちの頑張りを誇りに思う」と語った。

 キャプテンの山口隼人さんは「決勝戦のように最後まであきらめないで、11人全員で力を合わせて頑張り、精一杯プレーしたい」と抱負を語った。

 浅見市長は「滋賀1位の名に恥じない戦いをしてきてほしい。勝ち負けにかかわらず、上手な他の選手を見て学んでくることも大切」と話しかけていた。

 出場選手は次の皆さん(いずれも小学5年生)。

 杉本慎斗(朝日)、伊吹諒(小谷)、川上瑛大(同)、柴田怜音(朝日)、関谷龍斗(同)、和泉朋生(虎姫)、當間琉央(木之本)、畑野佑二郎(長浜北)、松井尚生(速水)、松山陸(同)、山口隼人(小谷)。

2023年3月14日

女性研究者の道、知って!

虎姫高で女子生徒にバイオ大助教ら講演 自身の歩みや支援制度を紹介

 科学の道を志す高校生に女性研究者が自身の歩みを通じて今後のキャリアについてアドバイスする講演会が13日、虎姫高校で開かれた。

 講演会は女性奉仕団体の国際ソロプチミスト長浜(松井喜久枝会長)が主催する「夢を拓く—高校生のためのキャリア・サポート」事業。長浜バイオ大助教の近藤真千子さん(39)と同大学院生の梅田知晴さん(26)を講師に迎え、女子生徒20人が話を聞いた。

 近藤さんは長浜バイオ大の1期生で、博士課程修了後、助手として勤務。出産・育児のため退職したが、その後復帰して、現在は2人の子どもを育てながら大学の実験実習や授業を行っている。

 講演では植物が独自の免疫反応で病原菌の感染から身を守っている仕組みについて研究していることを紹介したうえで、研究者の仕事を解説。実験実習や講義科目の授業のほか、研究資金の調達、論文の執筆・投稿が重要だとした。

 他国に比べ日本は女性研究者が少ない実態を伝え、例えば長浜バイオ大では教授53人中1人、准教授14人中1人、助教13人中2人しかいないとした。

 日本に女性研究者が少ない理由として「家庭との両立が困難」「無意識の偏見」「職場環境」「ロールモデルの少なさ」との新聞社調査の結果を紹介した。そのうえで、男女共同参画の視点から、女性研究者向けの研究費支援などのサポート制度が徐々に増えつつあると説明した。

 女性研究者のロールモデルとして、次期学長に選ばれている長浜バイオ大の伊藤正恵教授を挙げた。伊藤教授は農学部で大学院修士課程を修了し、一度民間企業に就職した後、博士課程に入学してウイルスの研究を始めた。近藤さんは「やりたいことや興味は少しずつ変化する。軌道修正はいつでも可能だから、今の気持ちを大切に」との伊藤教授のメッセージを伝え、自身も「今やりたいことを大切に、ちょっと先の未来を考え、欲張りに生きよう」とアドバイスしていた。

 梅田さんは大学院で酵母菌を使った老化のメカニズムを研究。「健康寿命を伸ばすために、将来、人に生きる研究につなげたい」と研究動機を説明した。将来は企業で研究を続けたい考えで、企業で活躍する女性研究者を紹介していた。

 出席した生徒からは「出産や育児で休んだりすると、男性研究者が多い中では不利ではないか」との質問があり、近藤さんは「独身ならば好きなだけ研究できるが、私は時間になったら帰らないといけない。ただ、やりたいことをやれている状態なので、不利だとか考えてもしょうがない」と語り、梅田さんは「論文は1人だけで出すのではなく、チームで出す。男性に頼ってもいいし、男性と比較する必要はない」とアドバイスしていた。

 講演後、岸田紗季さん(2年)は「研究職には女性は不利だと漠然と思っていたが、サポート体制が整いつつあることを知った。生活の安定、ライフプランとかを考えると難しさを感じるが、女性が研究をやりやすくなっていて、私も研究職に挑戦したい」と話していた。

2023年3月13日

桐畑さんジュニア五輪へ

スキー大回転、インハイ出場の姉も応援

 余呉小中学校6年の桐畑莞爾さん(12)が4日にびわ湖バレイスキー場で行われた県ユーススキー大会第3戦の大回転(ジャイアントスラローム)で優勝し、ジュニアオリンピックに県代表として出場することが決まった。

 姉2人の影響で小学校就学前からスキーを始めた桐畑さん。西田スキースキールに所属し、冬は箱館山スキー場をホームグラウンドに練習し、夏場は筋トレなどに励んでいる。

 県大会では旗門を通過しながら標高差94㍍を一気に滑り降り、2本の合計タイムで優勝した。小学校生活最後の県大会で大舞台への出場を決め、「嬉しい。ジュニアオリンピックでは他県の代表に通用するような滑りを見せ、上位を目指したい」と張りきっている。

 姉の望さん(16)=高島高校1年=も県大会の大回転で準優勝し、2月にインターハイに出場した。出場者約190人中、133位となり「全国の舞台は初めてで、北海道など雪国の選手は速く、学ぶことが多かった」と振り返る。目標としていたインターハイに1年生で出場でき、「次回は上位を目指したい」と話す。

 ジュニアオリンピックに出場する弟には「全国レベルの大会で緊張すると思うが、普段の練習通りの滑りを見せて優勝してほしい」と期待を寄せている。

 ジュニアオリンピックは25日から29日まで長野県の菅平高原パインビークスキー場で開かれる。

2023年3月10日

湖北野鳥センターの写真コンテスト

金賞は「もらったぜ!!」

 湖北野鳥センターは8日、今年度の野鳥写真コンテストの入賞者を発表。金賞にはコイ科の魚を捕まえたミサゴと驚いたような表情のセグロカモメをとらえた「もらったぜ!!」(福井県越前市、奥野宏樹さん撮影)が選ばれた。

 コンテストは35回目。長浜市内で撮影した野鳥写真を募り132点の応募があった。長浜スタジオや湖北野鳥の会の関係者ら5人による審査で、入賞、入選9点を選んだ。いずれも自然や生き物の強さ、可愛らしさを表現しており、「図鑑のような写真が多かった時代も過去にあったが、カメラ性能の向上でより自由な鳥の写真が増えている」としている。

 金賞作品は尾上港で撮影したもので、「シャッターチャンスを見事にとらえている。2羽の鳥の表情が良く、しぶきを含めた構図も素晴らしい」との講評だった。

 銀賞は早崎ビオトープでキジのカップルを写した「歓喜の出会い」(大垣市、安田弘さん)、銅賞は姉川河口でダイサギが向かい合うようすをとらえた「語らい」(守山市、藤原厚士さん)が選ばれた。

 全作品を紹介する展示は、18日から4月16日まで湖北野鳥センター、5月8日から22日まで市役所1階ロビーで。

 ほかの入賞者は次の皆さん。

 ▽入選=上田喜好(竜王町)、風間一範(地福寺町)、桒原達夫(彦根市)、内藤又一郎(高月町西柳野)、古川博(南高田町)▽OM SYSTEM賞=安藤優樹(野洲市)。

 

金賞・奥野宏樹さん撮影「もらったぜ!!」

 

銀賞・安田弘さん撮影「歓喜の出会い」

 

銅賞・藤原厚士さん「語らい」