西田天香・杉本哲郎を顕彰

クラファン実施中 長浜ゆかり「2人の業績知って」

 長浜ゆかりの思想家・西田天香の生誕150年と、宗教画家で哲学者の杉本哲郎の生誕123年を記念した顕彰事業が8月から12月にかけて市街地で開かれるのを前に、顕彰事業実行委員会(月ヶ瀬義雄会長)はクラウドファンディングを通じて事業のPRと資金調達に取り組んでいる。

 天香は1872年(明治5)に長浜市の商家に生まれ、青年期には財界の後押しで地元の農家を率いて北海道に渡り開拓事業に従事。現地で出資者と労働者の対立に苦悩して失意のなか帰郷し、以来、争いのない生き方を求めた。長浜八幡宮近くの愛染堂にて三日三晩の断食坐禅で悟りを開いた。「無所有・奉仕」の生活を送り、京都に奉仕団体「一燈園」を創設。生前は多くの文化人、実業家に影響を与え、その精神は今も脈々と受け継がれている。旧長浜市の名誉市民第1号になっている。

 杉本哲郎は父親が長浜出身。京都画壇の重鎮・山元春挙に学び、インド・アジャンター壁画の模写など、古典に学んだ仏画をはじめ、さまざまな宗教を題材にした絵画を残している。第2次世界大戦末期の1945年(昭和20)には長浜に疎開し、湖北に多くの作品が残っている。閉館中の琵琶湖文化館には巨大壁画「舎利供養」が残され、県が移設を決めている。

 顕彰事業は、天香の生涯や長浜のまちづくり、哲郎の画業を専門家が紹介する連続講座(8〜10月)▽天香と哲郎の足跡を辿るゆかりの地見学会(10〜11月予定)▽長浜城歴史博物館や曳山博物館での展覧会(10月29日〜12月11日)▽シンポジウム(11月予定)—などを計画。実行委員会では「長浜ゆかりの偉大な2人の業績を多くの人々に知ってもらい、イベントを通じて長浜のまちを活性化したい」としている。

 クラウドファンディングでは展覧会の資料輸送費(300万円)、図録作成費(100万円)など総額500万円を目標に、6月30日まで資金を募っている。詳細は「キャンプファイヤー」のサイト(https://bit.ly/3alBQh7)で。問い合わせは実行委員会事務局の長浜城歴史博物館℡(63)4611へ。

掲載日: 2022年05月30日