技術継承へ親子で作業

住茂登で鮒ずしの漬け込み

 創業130年の歴史を持ち、「鮒ずし」を看板料理にする郷土料理店「住茂登」(大宮町)で鮒ずしの漬け込みが行われた。親子が力を合わせての3日がかりの作業を通して、郷土料理の技術を継承している。

 住茂登は1893年(明治26)の創業。漁師でもあった初代の藤林元次郎さん直伝の漬け方を守ってきた。現在は3代目・茂さん(71)と4代目・空也さん(31)が中心になって、家族総出で漬け込み作業を行っている。

 今年は7月1日から3日までの3日間、店を閉めて作業に集中。漁師から仕入れた天然のニゴロブナ約600匹を塩洗いし、干して水分をある程度落とした後、木桶にご飯と一緒に漬けてゆく。ご飯は有機栽培のコシヒカリ。量は2俵(120㌔)になり、炊飯だけで8時間かけた。

 塩洗い、干し方、フナへのご飯の詰め方、塩加減などは、茂さんが中学生の頃から祖父の元次郎さんを手伝って教わった方法だ。「鮒ずしを漬けて50年になるが、まだまだ分からんことが多い」と語る茂さん。漬け込み作業の際は元次郎さんの遺影を飾って「これでええかな」と語りかける。

 3日がかりの作業を終え、茂さんは「1年に1度の本漬けが終わると、やっと終わったという気持ちになる。祖父から教わった技術をしっかり継承したい」と語る。空也さんは「店の看板商品なので、一つの大きな節目となる。今の段階では出来上がりが分からないが、漬け終わるとちょっと安心しますね」と話していた。

 住茂登の鮒ずしは来年2月ごろから食べごろを迎えるという。

掲載日: 2020年07月04日