ボロになるまで、機能的に

企画展、3地域の野良着にスポット

 浅井歴史民俗資料館で明治から昭和にかけ、地元に暮していた人々が着ていた「仕事着」にスポットを当てた企画展が開かれている。モノが無かった時代、暮らしの知恵を生かし、ボロ布になるまで使い果したり、機能性をアップしていった「野良着」の特徴や進化を紹介している。

 仕事着は野良着とも呼ばれ、季節や生活環境、野良仕事などに応じて、動きやすいように各家の女性が手作りしていた。時代の変遷とともに生活様式は変わり、既製品や洋服を着るようになるが、手仕事が減った農家では古着を利活用し、作業しやすいよう袖や丈を加工するなど工夫を凝らした。

 企画展では西浅井、余呉、上草野地域に残っていた仕事着や道具など20点を並べ、その時代や各地域の特徴を見比べることができる。

 西浅井で明治時代に作られた野良着は農作業時に着用。普段着としても大正時代まで使われていた。鯉の口のような形をした細長い筒袖で、田植えの際、袖まくりがしやすいよう短くなっている。展示品は110年間、4代にわたり地元の農家で受け継がれ、大切に保存されていた女物。弱くなった生地には当て布や刺し子がしてあり、穴の開いた部分は繕ってある。

 余呉で夏、山に柴刈りにゆく時、着た上衣が「シャックリ」。「サヤックリ」とも呼ばれ、名前の由来は「裂織」。横糸には使い古しのボロ布を再利用している。生地に厚みがあったため、柴を担いでも背中が痛くなかった。

 資料館は「古い仕事着を保管している家庭は極めて少なく、実物に接する機会もない。何とか今日まで保存してくださった人たちがいたおかげで、企画展が開催することができた」と話している。

 午前9時から午後5時、2月28日まで。入館料は一般300円。月曜、2月12日、24日休館。

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 あざい歴史の会は24日午後1時半から、浅井図書館で歴史講座を開く。

 県立大学の横田尚美准教授(生活デザイン科)が「滋賀県の仕事着」をテーマに話す。受講料一般500円。申し込みは浅井歴史民俗資料館℡(74)0101。

掲載日: 2021年01月14日