本と客のご縁結ぶ「御書印」

書店巡り収集、長浜の文泉堂も参加

 社寺を参拝した証の「御朱印」や、城を訪ねた記念に押す「御城印」の収集がブームとなる中、全国の書店のオリジナルのスタンプを集める「御書印」がじわりと人気を呼んでいる。県内では大宮町の文泉堂が参加し、店構えをデザインした御書印を押している。

 御書印は小学館と小学館パブリッシング・サービスが事務局を務める「書店と人を結ぶ」御書印プロジェクトの呼びかけで昨年3月にスタート。徐々に参加書店を増やし、現在は全国234店舗に広がっている。

 参加店で「御書印をください」と依頼し、200円を支払うと、書店のオリジナル印を含む3つの印と、店員が選んだフレーズやメッセージを記入してもらえる。また、御書印帖も配布している。

 文泉堂は「電子書籍やインターネット通販で書店に足を運ぶ機会が減っているが、書店巡りを楽しみ、本と出会うきっかけになれば」と当初からプロジェクトに参加。スタンプの絵柄は1849年創業当初のたたずまいを残す店構えをデザイン。また、手作りの消しゴムはんこで「文泉堂」と押している。そのうえで「本は心の糧」とのメッセージを大きく記している。

 吉田健治社長(41)は「昨年3月の開始以来、幅広い世代が訪れ、ほとんどが県外の客。御書印を集める目的で店を訪れ、そのまま長浜観光をしたり、来店して初めて御書印を知って集め始めたり、いろいろですね」と語る。御書印を押す際には観光マップを手渡して長浜の魅力を紹介するなど客とのコミュニケーションに努めている。

 また、吉田豊店主(68)は「探している本はインターネットで検索すれば手に入る時代だが、本屋には客と本の出会いをサポートし、本を紹介する役割がある。御書印は本と客をつなぐきっかけになる」と話している。

 なお、文泉堂では初めて御書印を集める客には御書印帖をプレゼントしている(数に限りあり)。

掲載日: 2021年01月19日