湖北の地酒「長農高育ち」

冨田酒造とのコラボ、ロングセラー

 長浜農業高校と冨田酒造(木之本町木之本)が14年前からコラボしている日本酒「長農高育ち」がロングセラーとなっている。

 同校食糧生産分野は酒米「吟吹雪」を栽培。名酒「七本槍」が人気の同社と提携し、2007年、「長農高育ち」を開発した。

 冨田泰伸社長によると、この酒はすっきりとした辛口で、米の味がしっかり出ており、キレがある。七本槍に比べ、力強く、素材の味を楽しむ刺身や焼き魚などに合うという。

 同校の小森恒夫教諭は「開発当時は高校生でも珍しい取り組みとして注目を浴びた。14年を経過した今でも『どこで購入できるのか』という問い合わせは絶えない。生徒たちが作った酒米を身近に感じてもらえれば」と話している。

 無濾過火入れ純米酒は720㍉㍑1500円、1升3000円(税別)。元浜町のかねなか酒店、さざなみ酒店と冨田酒造で計500本を販売。問い合わせは同酒造℡(82)2013へ。

熱意と技の結晶

 長浜農高の2、3年26人は今シーズン、吟吹雪を30㌃の水田で栽培。「環境こだわり農産物」として育て、水管理や肥料散布、除草などに気を配りながら、1等米180㌔を生産した。

 雨の日も学校が休みの日も田んぼで泥まみれになり、献身的に作業する生徒たち。「積極的に取り組んでいる姿を見て、びっくりした」(冨田社長)というほど。丹精込めて作られた酒米は大粒で米の芯(心白)が強い、酒造に適した素材となった。

 450年以上続く老舗の冨田酒造では長年の経験を生かし、普段、使用している酒米とは異なる吟吹雪の特徴を引き出し、今シーズンは2000㍑を醸造。すでに純米搾りたて生原酒は完売しており、今は純米酒のみとなっている。

 3年の笹木智徳君は「様々な品種の水稲栽培をしたが、その品種に応じた育て方をした。酒の評判は『まろやかで、くどくない』と聞いている。地域の方に僕らの作った酒を是非、飲んでほしい」と話している。

掲載日: 2021年01月25日