2024年9月27日

地酒の伝統と技術を大切に

山路、冨田、佐藤 酒蔵代表3者思い語る

 長浜市内3つの蔵元の代表が地酒の魅力について語るシンポジウム「長浜酒蔵談義」が26日、長浜まちづくりセンター(さざなみタウン内)で開かれた。

 蔵元がどのような思いを込めて酒造りに取り組んでいるのか、酒類販売店や飲食店などに知ってもらおうと、長浜小売酒販組合(竹中一浩理事長)が企画した。

 1532年創業で「桑酒」が人気を呼んでいる山路酒造(木之本町木之本)、1534年創業で「七本槍」の銘柄で知られる冨田酒造(木之本町木之本)、「湖濱」などで知られる2010年創業の佐藤酒造(榎木町)の代表らが地酒への思いやこだわりを語り、販売店や飲食店関係者、一般消費者ら約30人が聞き入った。

冨田酒造 地酒で「土地を表現」

 冨田酒造の冨田泰伸さんは「地酒の『地』の部分を大切にしている」と酒米へのこだわりを語った。以前、ワイン関連の仕事でフランス・ブルゴーニュ地方を訪れた際、ワインを作る農家がその土地に誇りを持ってワインを通して土地を表現していたことに衝撃を受けた、と語った。一方、日本酒の原料となる酒米は保存がきくことから全国から「良い米」を調達できるが、冨田さんは米の仕入れ先を見直して現在は県内の農家と契約を結んで県産米での酒造りに取り組んでいることを説明した。

 また、昔ながらの木桶を使って、天然乳酸菌の働きを利用した伝統製法「生酛(きもと)造り」にも挑戦していることを取り上げ、「米と水からつくり上げるこの技術を昔のものにしてしまうのはもったいない」と語り、「海外でも日本酒の生産が始まっている。大本山の日本が持つ技術や歴史に目を向けて大切にしないと、コスパで逆転される時代が来るかもしれない」などと訴えていた。

山路酒造 「みりん粕」活用を

 山路酒造の山路祐子さんはみりんの製法で作ったリキュール「桑酒」が創業当初から愛され、島崎藤村の注文書も残っていると語った。近年は桑酒を炭酸で割ってミントやレモンを添える「モヒート」を提案したところ、人気を集めるようになったという。

 桑酒を搾ったときにできる「みりん粕」について「昔は奈良漬けに使ったが、今はみりん粕の存在が忘れ去られようとしている」と憂い、レシピ冊子を作って発信に努めているとした。

 奈良漬け以外にも桑酒を使った菓子の開発にも取り組み、「お酒以外でも、お酒を飲めない方にも、楽しんでもらえる商品を考えている」と語った。

佐藤酒造 地元の魅力を発信

 佐藤酒造の佐藤硬史さんは「地酒を通して地元の魅力を発信できる、新しい価値を作ることを理念にしている」と語った。「長浜曳山まつり」をラベルにするなど、「お酒を1本持っていくだけで地元の魅力を伝えられる商品を作ってきた」と話した。

 また、新しい挑戦として県内産のハチミツを使った「ミード」の開発に長浜バイオ大と連携して取り組み、「今年12月には何とか商品化できそう」と報告した。

 近年、日本酒の製造技術をベースにした新趣向の酒「クラフトサケ」が脚光を浴びており、佐藤さんは「地酒メーカーとして地に足を着けたお酒造りと、柔軟な発想での美味しいお酒造りに取り組んでいきたい」と語った。

◇   ◇

 3人は地酒に合う料理として鯖のなれずし、鮎の塩焼き、小鮎の佃煮などを挙げていた。出席者からは地酒での乾杯を推奨する条例を滋賀県が制定していることを見習って、長浜市内でも乾杯条例制定の機運を盛り上げてはどうかとの意見が出ていた。

2024年9月25日

エコキャップ回収129万個 再資源化とワクチン寄付

SDGs活動「幼児期の人格形成の礎に」

 世界の持続的な発展のため、2030年を目標に取り組みが進む「SDGs」(持続可能な開発目標)。「貧困をなくそう」「ジェンダー平等を実現しよう」「働きがいも経済成長も」「気候変動に具体的な対策を」「平和と公正をすべての人に」など17のゴール(目標)が設定され、企業、自治体、市民団体など幅広い組織がそれぞれ取り組んでいる。

 長浜市内の民間の保育園やこども園13園で構成する長浜市民間保育協議会では子どもたちが幼い時から、自らの力で持続可能な社会づくりの担い手として成長するための感性を育めるようにと、2021年度からSDGsの取り組みを進めてきた。

 中でも力を入れてきたのがエコキャップ(ペットボトルキャップ)の回収活動。集めたキャップを回収業者の「ティーエム・エルデ」(本社・長浜市細江町)に買い取ってもらい、その売却益がNPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」(JCV)に寄付されるもの。JCVはユニセフと連携して購入したワクチンをアフリカに贈り、子どもたちに接種される。エコキャップ800個で子ども1人分のポリオワクチンになる。

 また、キャップはプラスチックのリサイクル資源としても生まれ変わる。

 「すべての人に健康と福祉を」「人や国の不平等をなくそう」「パートナーシップで目標を達成しよう」の3つのゴールにつながる取り組みだ。

 協議会では2021年から回収活動を始めた。これまでに回収したキャップは129万0781個にのぼり、1613人分のワクチン寄付につながった。子どもたちは各家庭で保護者と一緒になってキャップを回収し、園で個数を数えるなど楽しみながら回収活動に取り組んでいる。

 「SDGsの取り組みが幼児期の人格形成の礎となれば」と願いを込めるのは同協議会の妹尾康裕会長。「キャップを集めることで資源として再利用され、ポリオワクチンになって世界の子どもが元気なることを学び、子どもたちは真剣にキャップを一つずつ数えてくれている。SDGsについて意識することにつながっている」と説明する。

 エコキャップを回収してポリオワクチンを寄付するこの取り組みは、子どもたちにも分かりやすいSDGs活動となっており、「子どもたちは家庭で、『捨てたらあかんで』『園に持っていかなあかん』と言って、率先して回収に協力してくれている」と取り組みの効果を実感している。

 また、各園では従来の保育がSDGsとどのように関連しているのか、研修などを通じて学び合い、意識の向上に努めている。

 川遊びで水生生物やごみを見つける▽畑で野菜を収穫する▽廃材を利用しておもちゃを手作りする▽梅の実を収穫して梅干を作る▽食を通じて命に感謝する▽琵琶湖岸でごみ拾いをする▽餅つきや豆まき、太鼓演奏などで伝統文化を守る▽給食の食べ残しをなくす—など、園での取り組みの多くがSDGsに関連している。

 各園が取り組みをSDGsの観点からプレゼンする研修会も催し、妹尾会長は「日ごろの保育をSDGsという『窓』を通して見ることで、互いに学び合うきっかけとなった」と振り返っている。

 そして、協議会がSDGs活動の集大成として開催したのが「スイミー子育てフェスタ 音と絵本とオサカナと」(6月16日、さざなみタウン)。協議会を含む実行委員会が企画し、絵本「スイミー」の朗読に合わせたピアノとフルートの生演奏、メダカすくい、両生類などを紹介するミニ水族館、木製レンガの遊び、クッキングなど、子どもたちの感性を育む多彩なイベントが施設全体で開かれた。

 「長浜の子どもたちがスイミーのように力を合わせて協力し合う仲間として育ってほしい」との願いを込めたこのイベントには多くの家族連れが来場し、好評だった。

2024年9月20日

木之本宿でコーヒーフェス

10月5、6日、県内外20店が集結

 木之本の地下水で淹れたコーヒーの飲み比べを楽しめる「水のジャパンコーヒーフェスティバルin木之本」が10月5、6日、北国街道木之本宿一帯で開かれる。

 県内外の約20店が集結し、独自に焙煎したコーヒーを5種類の地下水で淹れる。地下水は「ダイコウ醤油」「江北図書館」「冨田酒造」「古町共同」「山路酒造」の5カ所から汲み上げられたもの。木之本では伊吹山系からのミネラル豊かな伏流水を利用して古くから酒や醤油を製造しており、その地下水の魅力を、コーヒーイベントを通じて発信する。

 コーヒーチケットは3枚で前売り1500円、当日1800円、WEB前売り1640円(別途システム利用料110円)。うどん、天然酵母パン、スイーツなど12店舗が並ぶフードコートもある。午前10時から午後6時まで(6日は同5時まで)。

 この2日間は本陣薬局ギャラリーの特別公開もある。また、両日午前10時半からは江北図書館併設の「Lib+」で京大大学院と滋賀県立大の教授によるトークセッション「水の因果、森のはたらき」がある。

 イベントは実行委員会の主催で横山和司委員長(64)は「コーヒーフェスティバルを通じて、自然の恵みである地下水の素晴らしさを知ってもらい、歴史ある建物が残る街並みの散策を楽しんでほしい」と来場を呼びかけている。

2024年9月20日

21日から秋の全国交通安全運動

パリパラ出場の清水さん一日署長に

 「秋の全国交通安全運動」(21〜30日)を前に、長浜署は20日、市役所東側駐車場で出動式を行った。パリパラリンピックの車いすバスケットボールに出場した長浜市出身の清水千浪さんを一日署長に迎えた。

 出動式には長浜署、市、交通安全協会、安全運転管理者協会、県トラック協会などから約50人が参加。井上和幸署長は「これから年末に向けて日が短かくなり、夜間にかけての交通事故が増加する。決して油断できない」「管内では交差点の出合い頭事故が多いことから、交差点事故の防止に取り組みたい」「管内の事故を1件でも減らし、安全安心の長浜に向け一致団結して取り組んでほしい」とあいさつした。

 一日署長を務めた清水さんは、夕暮れ時の早めのライト点灯、ハイビームの有効活用、飲酒運転の根絶、「横断歩道利用者ファースト運動」の推進など、運動のポイントについて訓示し、「安全安心の長浜のまちをつくるため、微力ながら私も協力したい」とあいさつした。

 車いすバスケットのデモンストレーションもあり、清水さんがドリブルして浅見宣義市長、井上署長、籔内猛長浜地区交通安全協会長、押谷小助長浜地区安全運転管理者協会長にパスを回した後、特設ゴールに交通安全の願いを込めてシュートしていた。

 清水さんは大学で女子サッカーを始め、なでしこリーグ「アルビレックス新潟レディース」「京都バニーズ」でプレーした。病気により下肢に障害が残り、2015年から車いすバスケットボールを始めた。日本代表に選出され東京パラリンピックで6位、パリパラリンピックで7位入賞している。

2024年9月18日

「竹伊」の竹馬でビワイチ挑戦

大阪の大学生、1日10㌔コツコツと

 大阪の大学生が竹馬で琵琶湖一周にチャレンジしている。道中、竹馬を購入した長浜市元浜町の竹材工芸店「竹伊」に寄り、店主らから「気を付けて行ってきてね」と背中を押され、元気に長浜を発った。

 琵琶湖一周しているのは大阪公立大2年生の豊野陽向(ひなた)さん(21)。今月6日にJR大津駅近くの湖岸を出発し、反時計回りで琵琶湖をぐるりと一周中。リュックを背負って1日10㌔ほどのペースで進み、草津、守山、近江八幡、彦根、米原、長浜などを通過し、17日は高島市に到着した。夜は湖岸でテント泊をしている。

 竹馬での琵琶湖一周を計画したのは昨年12月。毎日のラジオ体操や日記など、休みなくコツコツと何かを積み重ねることが好きな性分といい、竹馬で一歩一歩を着実に歩んで琵琶湖を一周することが「コツコツと取り組んだことの証しになるのでは」と考えた。

 インターネットで竹馬を探し乗り心地などを確認した上で琵琶湖一周の相棒に選んだのが竹伊の商品だった。「滋賀の店に行き着いたことに、何かしらの運命的なものを感じた」という。

 取り寄せた竹馬を使って事前に大阪市内で練習。竹馬の足底をゴムで補強し、反射材を取り付けるなど、琵琶湖1周に向けて改良した。

 14日に竹伊を訪れ、土田修司社長(78)と妻の博子さん(77)の歓迎を受けた。「温かく出迎えてもらい、竹馬が壊れることがあったら修理すると言ってもらえた。励みになる」と振り返り、博子さんは「いくつもの竹馬の中から『一番しっかりしている』と、うちの商品を選んでくれたのが嬉しい。体調に気を付けて琵琶湖一周を達成してもらいたい」と話している。

 たった1人の琵琶湖一周。「孤独なのであらためて家族や友人の大切さに気付き、テントで宿泊していると普段の生活のありがたみを感じる」と豊野さん。写真交流サイト「インスタグラム」で「竹馬ニキ」(https://www.instagram.com/takeuma.niki.jp/)のアカウントで旅行のようすを発信しながら、25日ごろの大津へのゴールを目指している。

2024年9月17日

ながはま歌舞伎、12月公演

三役修業塾生ら出演 公開稽古で成果披露

 「ながはま歌舞伎」の発表会に向け、16日、曳山博物館伝承スタジオで公開稽古が行われた。

 ながはま歌舞伎は長浜曳山まつりの子ども歌舞伎の普及と三役(振付、太夫、三味線)の育成を目的に、長浜曳山まつり推進会議(野坂浩司会長)が企画した。

 発表会は12月1日、長浜文芸会館であり、午前10時半と午後2時から2部ある。今年と昨年の曳山まつりで三番叟役者を務めた家倉壮和さん(長浜小5年)と吉田櫂さん(神照小6年)が「寿二人三番叟」を披露し、三役修業塾で振付などを学ぶ塾生らが歌舞伎「新版歌祭文 野崎村」の「久作住家の場」と「土手の場」を演じる。

 公開稽古では観光客や市民が見学する中、子ども歌舞伎の振付を担当している岩井小紫さんの指導で、役者が所作や台詞、立ち位置などを確認していた。

 「野崎村」は若い男と2人の娘の悲恋を描いた物語。許嫁と丁稚奉公先の娘の心中覚悟の恋に、自ら尼となって身を引く「お光」を演じるのは岩井紫をりさん(33)=本名・山本桂緒莉さん。かつて商店街の店主らが手作りで公演していた「長浜ゆう歌舞伎」の役者に誘われたのを機に、高校生の頃から歌舞伎に魅了されてきた。現在は三役修業塾で振付の勉強に励み、今度の発表会では師匠からもらったばかりの芸名で出演する。

 祝言が決まった喜び、許嫁を追ってきた娘への嫉妬、2人のために身を引く悔しさと悲しさなど、お光の複雑な心情を表現する舞台となる。「恋をする10代の娘の仕草で、『可愛い』と思ってもらえる演技を大切にしたい。一つ一つの所作や体の向きなど、最後まで気を抜けない。名前をもらっているので、その名に恥じないような演技をしたい」と語っている。

 2人で三番叟を披露する家倉さんと吉田さんは「演技がバラバラにならないよう2人で息を合わせ、見る人に感動してもらえるようなぴったり合った舞をしっかり踊りたい」と話している。

 観劇にはチケット(協賛金2000円)が必要。チケットはteket(https://teket.jp/11643/40113)で販売中。曳山博物館でも今月22日から販売する。

2024年9月11日

跨線橋越えて子ども歌舞伎を

米原曳山まつり、警備費などCFで支援求める

 米原曳山祭保存会は来月開催する米原曳山まつりで、2018年以来6年ぶりに米原駅西口でも子ども歌舞伎を披露する。東側にある曳山を跨線橋を越えて西口へと巡行する必要があるため、警備費用などをクラウドファンディング(CF)で募っている。

 米原曳山まつりは湯谷神社で約250年前から行われている伝統行事。鉄道敷設によって、氏子たちが暮らすエリアは東西に分断されたが、1970年に跨線橋が開通して以降は曳山を引いて西側でも子ども歌舞伎を披露してきた。

 保存会によると、79年から駅西口で上演を始め2018年まで続けてきたが、19年以降は台風接近やコロナ禍、跨線橋工事などで曳山が跨線橋を渡ることがなかった。

 今年の米原曳山まつりの執行山は松翁山(しょうおうざん)組。10月12日に宵宮、13日に本楽、14日に後宴がある。跨線橋を渡って駅西口での子ども歌舞伎上演は12日午後1時45分からと同3時20分から。

 跨線橋を渡るのは公演前の12日の正午からと公演後の午後6時半からのそれぞれ1時間。地元の子どもたちを先頭に、氏子ら約30人が曳山を引っ張りながら運んでいく。

 今年は徹底した安全対策のため、跨線橋を渡る際は車両を全面通行止めとすることから、例年以上に警備費用がかかる見込み。

 警備員約15人の人件費や予告看板の設置費は計約100万円。保存会ではその費用をCFサイト「READYFOR」(https://readyfor.jp/projects/146916)で募集している。目標額は50万円。返礼品は湯谷神社の限定御朱印、ポストカード、手ぬぐい、神前奉納狂言の特別観覧券、楽屋訪問、特設舞台での子ども役者との記念撮影など。10月5日まで

 松翁山組筆頭総代の伴由明さん(60)は「西口の氏子や市民の皆さんにも地元で子ども歌舞伎を楽しんでほしい。その実現に向けての支援をお願いします」と呼びかけている。問い合わせは伴さん℡090(8828)2921。

2024年9月10日

深夜の湖岸道路で高齢女性保護

長浜署、北高出身の同級生3人に感謝状

 深夜の湖岸道路を徘徊していた80代の高齢女性を保護したとして、長浜署は9日、市内の女性3人に署長感謝状を贈呈した。

 高齢女性を保護したのは県立看護専門学校に通う山瀬七佳さん(20)と西嶋未優さん(19)、京都橘大学の南雲陽華さん(19)の3人で、長浜北高出身の同級生。

 3人は7月26日午前2時ごろ鐘紡町の湖岸道路を車で通行中、車道の脇でシルバーカーを押す高齢者を目撃。すぐ横を大型トラックが走行する危険な状態だったことから、すぐさま車をUターンして女性に声を掛け、歩道に誘導した。

 女性は自宅を抜け出してJR長浜駅に向かっている途中だったという。3人が女性を保護した約10分後、通報を受けた警察が駆けつけて女性を家族のもとに届けた。女性にけがはなかった。

 この日、3人は一緒に温泉に行き、その帰り道に湖岸道路を走行していた。「湖岸道路は工事で片側1車線になっていて、車道にいる女性はとても危険に思えた」と3人。車をUターンさせ山瀬さんと西嶋さんが車を降りて女性を歩道に誘導。「何をされているのですか?」「家はどのあたりですか?」と女性に声をかけながら警察の到着を待ち、南雲さんは車をいったん近くのコンビニエンスストアの駐車場に停めた。

 西嶋さんは「深夜に車を降りて声をかけるのは怖かったけど、保護できてよかった」、山瀬さんは「直後に大型トラックが通っていて本当に危なかった。安全に自宅に帰れてよかった」、南雲さんは「またこういう場面に遭遇すれば、声をかけたい」と話した。

 3人に感謝状を手渡した井上和幸署長は「勇気ある行動で交通事故を防ぎ、人命救助につながった。温かい心に感謝します」と語りかけていた。

2024年9月9日

中高生、医師の仕事を体験

湖北医師会が企画 日赤で検査や手術など

 湖北医師会(森上直樹会長)主催の医師体験ワークショップが8日、長浜赤十字病院で開かれ、地元の中学・高校生21人が胃カメラ検査や血管縫合、腹腔鏡手術、問診など医師の仕事を体験した。

 医師の仕事を疑似体験してもらうことで、将来、湖北地域を支える医師を目指すきっかけにしてもらおうと企画。コロナ禍のため5年ぶり7回目の開催となった。定員の3倍を超える申し込みがあり、医療職への関心の高さをうかがわせていた。

 参加者は4グループに分かれ、手術、検査、診察、骨折治療などを順番に体験し、日ごろは触れることのない医療機器を操作し、同病院のほか、市立2病院(長浜、湖北)の医師、看護師ら約70人がサポートした。

 骨折治療の体験では先のとがった鋼線を骨に刺して折れたところをつなげて固定する治療方法に挑戦。骨がずれないようにドリル使って慎重に鋼線を刺し込んでいた。人工血管を縫合する体験では持針器でつかんだ針を巧みに操作して糸を通し、血管をつなぎ合わせていた。

 長浜赤十字病院が所有する手術支援ロボット「ダヴィンチ」の操作体験もあり、参加者がモニターを見ながらアームを動かしていた。指の動きにアームが連動する直感的な操作性のため、参加者は難なくアームを操ることができていた。

 体験後の質疑応答では参加者から「どんな性格の人がお医者さんに向いているのか」「医師になったきっかけは?」などの質問が出され、医師や看護師、研修医らが答えていた。

 

 

 

2024年9月3日

青年使節団、壮行会で抱負

姉妹都市・独アウグスブルク市へ  8日出発

 姉妹都市の独アウグスブルク市に派遣される長浜市青年使節団の壮行会が2日、市役所で開かれ、団員がそれぞれ抱負を語った。

 長浜市出身でヤンマー創業者の山岡孫吉氏がディーゼルエンジンを発明したルドルフ・ディーゼル博士の顕彰碑を発明地のアウグスブルク市に建立したのを縁に両市が姉妹都市提携を結び、長浜市は1980年から市民親善使節団を、2008年から青年使節団を派遣している。

 コロナ禍の影響で2018年以来6年ぶり7回目の派遣となる青年使節団は公募の市民5人と市職員2人の計7人で構成。今月8日から15日までの7泊8日の日程で、17世紀に建てられた市庁舎や世界最古の社会福祉施設「フッガーライ」、地元の大学、職業教育施設、博物館などを視察。市民団員は現地家庭にホームステイして交流を深める。

 壮行会では、団長を務める市文化観光課の森岡賢哉課長代理が「両市の架け橋としてさらに絆を深め、積極的に異文化に触れることで思いを通わせ、国際親善・理解の精神を養いたい」と抱負を述べた。

 公募で選ばれた市民団員は19歳から26歳の女性。副団長で長浜市地域おこし協力隊員として自伐型林業に取り組む土屋百栞(ももか)さん(26)は「ドイツの方は森林浴を楽しむなど、森との関わりが深いとされる。どのように関わっているのかを学び、長浜市での森の活動に生かしたい」と語った。地元の高校を卒業後、岡山大学で教育学を専攻する松田美里さん(19)は「将来は中学の英語教員を目指している。ドイツでは英語を日常的にしゃべれる人がほとんどなので、日本との教育面の違いを見つけ、将来に生かしたい」と話すとともに、「ドイツはジャガイモを食べるイメージだが、どのような食文化が継承されているのか学びたい」と語っていた。

 浅見宣義市長は「帰国後はアウグスブルクの方とのご縁を大切に多くの方に良さを伝え、地域のリーダー、国際交流のリーダーとして多文化共生イベントなどに参加し、グローバルな視点や考え方を広げてほしい」などと語りかけていた。

2024年9月2日

地域が結束、8年ぶり青物神輿

速水・伊豆神社の「八朔大祭」で奉納

 湖北町速水の伊豆神社の例祭「八朔(はっさく)大祭」が1日行われ、野菜や乾物、草木など80種類で作った「青物神輿(あおものみこし)」が8年ぶりに奉納された。

 青物神輿・幡母衣(ばんばら)保存会のメンバーらが中心となって8月17日から神輿の各パーツを手作りし、1日朝に約3時間かけて組み立てて神輿を完成させた。

 神輿の屋根で羽根を広げる鳳凰は、顔をカボチャ、くちばしをオクラ、トサカをケイトウの花、羽根をハランの大きな葉、首を稲穂で作り上げた。神輿の各面にはもち米と黒ゴマで作った鳥居を据え、その背面に「一寸法師」「花咲かじいさん」「浦島太郎」「うさぎとかめ」の一場面を表現した。

 伊豆神社での神事と小学生の巫女による「浦安の舞」の奉納の後、神輿を約500㍍北にあるお旅所に遷座する「宮遷し」があり、地元の若い衆が神輿を担いで町内を巡行。神社やお旅所には8年ぶりに実現した青物神輿を見ようと、多くの地域住民が見物に訪れ写真を撮るなどして神輿の出来栄えを確かめていた。

 青物神輿は約5年に1度、奉納していたが、コロナ禍の影響で2016年以来の奉納となった。保存会会長の今井正彦さん(59)は「猛暑で青物神輿の材料がなかなか集まらず、台風の接近で実施も心配したが、これだけのことをできて良かった。初めて神輿を担いだ若者もいて、楽しんでくれた。近年は人と人とのつながりが希薄になってきているが、字(あざ)の中でつながりができた」と喜んだ。

 なお、伊豆神社の八朔大祭では青物神輿と並んで、幡母衣武者行列も名物となっている。鎧をまとった若者が背に24本に割った竹を付け、48個の提灯を吊るして町内を練り歩き、神社に参拝する行事。こちらは2008年に実施されたのが最後で、その再開も期待されている。