2025年4月28日

希少種ホソバオグルマ守れ!

八島町で発見、三田町の耕作放棄地に移植

 県内ではほとんど群生が確認されていないキク科の希少種「ホソバオグルマ」(細葉小車)が八島町の国道365号線の脇で見つかった。「このままではなくなってしまうかもしれない」と、地元の浅井湯田地域づくり協議会などの手によって一部が三田町内の耕作放棄地に移された。

 ホソバオグルマは1年草で初秋に黄色い花を咲かせる。花びらが規則正しく円形に整って咲くさまから小車に例えられたとされる。県内では八島町のほか、甲賀市と多賀町でしか確認されていないという。

 湖北野鳥センターの植田潤所長によると、5年ほど前に米原市内の植物愛好家から八島町にホソバオグルマが咲いているのを知らされた。もともとは周辺の田んぼの畔に群生し、除草などの影響で国道沿いの歩道にだけ残ったとみられる。ただ、この歩道からいつ姿を消してもおかしくない状況で植田さんが「何とか残せないか」と地域づくり協議会に相談。協議会の橋渡しで、農地の保全活動などに取り組む「三田まるごと会」の協力を取り付け、姉川堤防近くの耕作放棄地に一部を移植することになった。

 27日、地域づくり協議会、八島町、三田町自治会関係者、三田まるごと会のメンバーが植田さんからホソバオグルマの特徴を教わりながら歩道に生えている株をスコップで掘り起こし、三田町内に移植した。

 植田さんは「どうなるかと心配していたが、こうしてみんなの協力で残すことができ嬉しい」と話している。移植されたホソバオグルマは今年、根を張り巡らせ、来年には黄色の花を咲かせる姿が見られそう。

2025年4月24日

地域活力プランナー24人に委嘱状

熱意、アイデア、経験を生かして!

 長浜市内の地域づくり協議会や連合自治会と連携して地域活動の中心的役割を担う「地域活力プランナー」の委嘱式が23日、市役所で行われた。

 プランナーは住民と話し合いながら地域課題を把握し、地域活性化や課題解決に住民と一緒になって取り組む。

 市は総務省の「集落支援員」制度を活用して2016年度から導入している。地域づくり協議会が人材を選考して市が委嘱しており、今年度は市内の地域づくり協議会24組織のうち、長浜、六荘、南郷里、神照、北郷里、西黒田、浅井湯田、下草野、虎姫、こほく、高月、高時、余呉、西浅井の14地域の25人が委嘱された。前年度からの更新22人、新規採用3人で、年齢層は30〜70代と幅広い。

 委嘱式では浅見宣義市長が出席者に委嘱状を手渡し「熱意、アイデア、経験をそれぞれの地域で存分に発揮してほしい。皆さんの活動が地域の希望となる」などとあいさつした。

 プランナーはそれぞれ自己紹介した上で「地域に誇りを持ってまちづくりを進めたい」「まちづくりセンターに来る人が限られる。今年からLINEを開設したので若い人にどんどん来てもらい地域を活性化したい」「昨年、学生や若者、地域の女性とつながりができた。今年は協力してもらって新たな取り組みを考えている」「子ども達が自慢できるふるさとづくりを柱としている」「他の地域のプランナーと情報交換して地域を盛り上げたい」「空き家対策や移住促進を重点的に取り組んでおり、今年度も移住したいまちを目指して取り組む」などと、それぞれ抱負を発表していた。

2025年4月16日

資金難で苦境、寄付呼びかけ

旧校舎活用の若者自立支援NPO「ここから」

 余呉町上丹生の旧小学校校舎を使って不登校や引きこもりの若者の自立支援に取り組むNPO法人「子ども自立の郷ウォームアップスクールここから」(唐子恵子理事長)が資金難で苦境に立たされている。「人も雇えず、施設の修繕もままならない」と窮状を訴え、15日から人件費や施設修繕費などの寄付を呼びかけるクラウドファンディング(CF)を始めた。

 スクールは長浜市内で幼稚園教諭などをしていた唐子さんが旧丹生小学校の校舎を借りて2006年に始めた。不登校の子どもや引きこもり状態が長引いたことであらゆる支援のネットワークから外れた若者たちを対象に、木曜から月曜の4泊5日の寄宿をメインに自立する力を養うサポートに取り組んでいる。

 掃除や洗濯、毎日の食事作りといった「日常の生活」、陶芸、木工、山登り、カヤック、サイクリングなどの「体験活動」、地域イベントへの参加などの「地域との交流」を3本柱に、若者がさまざまな活動に挑戦している。

 スクールは四季折々の美しい景色が広がる山間にあり、1949年築の木造校舎は小学校だったころの面影を色濃く残し、その懐かしさと温もりがスクールに通う若者の疲れた心と身体を自然と落ち着かせてくれるという。これまでに100人以上がスクールを巣立った。

 ただ、数年前から資金難で厳しい経営を余儀なくされる中、コロナ禍を経て利用者が減少。経営が一層深刻になり、現在は唐子さんとスタッフを含め4人が無給で勤務しているという。校舎の老朽化も著しく、雨漏りの水を受けるバケツがあちこちに置かれ、校舎裏の壁には大きな穴が開いたまま。

 CFでは運営資金と校舎の修繕費用など500万円を目標に寄付を募っている。指導員を雇って生徒を受け入れられる環境を整え、校舎の応急修繕を行いたい考え。

 唐子さんは「この地域で、この校舎で、『ここから』を必要とする人々と一緒に、この先もずっと『ここから』を運営していきたい」と語り、広く協力を呼びかけている。

 CFは「キャンプファイヤー」のサイト(https://camp-fire.jp/projects/827385/view)から。6月30日まで受け付ける。

 

 

2025年4月11日

子ども歌舞伎、13日から上演

長浜曳山まつり、八幡宮に奉納へ

 ユネスコの無形文化遺産で、国の重要無形民俗文化財の長浜曳山まつりは13日から子ども歌舞伎の上演が始まる。

 長浜八幡宮に子ども歌舞伎を奉納する今年の出番山は壽山、鳳凰山、猩々丸、高砂山。それぞれの山組では子ども役者が春休み返上の稽古を続けてきた。

 13日は朝から八幡宮で「御幣迎えの儀」があり、全13山組の御幣使らが御幣を受け取り、各山組の自町へ持ち帰る。午後1時から八幡宮で歌舞伎の奉納順を決める「籤取り式」がある。午後5時半頃からは「十三日番」と呼ばれる子ども歌舞伎の上演があり、出番山の地元で、化粧と衣装で飾った子ども役者が初めて曳山の舞台で歌舞伎を披露する。

 十三日番の歌舞伎上演は壽山が午後5時半、同7時半からの2回、鳳凰山が午後6時、同8時からの2回、猩々丸が午後7時から、高砂山が午後6時半からの予定。

 14日は午前9時半から地元で歌舞伎の上演があり、午後からは曳山が八幡宮へ向かう「登り山」がある。午後7時から子ども役者の行列が八幡宮から各山組へ帰る「夕渡り」がある。沿道からの声に応えて役者がポーズを決め、見得を切ることも。役者を近くで撮影できるシャッターチャンスで、毎年多くの市民や観光客が詰めかける。雨天時はアーケードで実施。

 なお、14日午前は地元の長浜西中2年生147人が市街地に繰り出し、観光客に対して曳山まつりや曳山の解説などのボランタリーガイドに挑戦する。1年生で実施した曳山文化教室の学びの集大成で、曳山まつりを通じた世代間交流、観光客のもてなしと、まつり文化の継承が狙い。

 本日(ほんび)の15日は子ども役者の「朝渡り」、長刀組の「太刀渡り」の後、八幡宮境内で午前9時25分から三番叟と歌舞伎奉納が始まる。以降、大手門通りなどで歌舞伎公演があり、最後はお旅所に曳山が集う。道中を含め各山組が計4回、上演する(雨天の場合は計3回の上演)。お旅所に曳山が揃う頃には日が暮れ、提灯の下で上演される歌舞伎は幻想的。

 16日は終日、地元公演を行うほか、午前10時45分から長浜文芸会館で観劇会を催す。17日の「御幣返しの儀」で今年の曳山まつりが終わる。

 

 

 

2025年4月1日

神田まちづくりセンター竣工

地域活動の拠点、住民ら完成祝う

 神田まちづくりセンターが完成し、3月30日、竣工式が行われた。センターは神田山と麓に広がる広場に面した開放的なテラス、旧講堂の意匠を引き継いだ多目的ホールが特徴。記念イベントも開かれ、地域住民や市の関係者が新しい地域活動拠点の完成を祝っていた。

 新しいセンターは1935年築の旧講堂と79年築の旧センターを解体して整備。鉄骨平屋建てで、会議室、調理実習室、和室、多目的ホールなどを設けている。このうち、多目的ホールには旧講堂で飾っていた腕木を取り付け、窓のデザインも引き継いだ。屋根にも旧講堂に取り付けられていた棟飾りを採用するなど、地域のシンボルだった旧講堂をイメージした造りになっている。総事業費は5億4319万円。

 竣工式で浅見宣義市長は「神田地域はスマートインターチェンジ整備などこれからの南長浜の振興の中心になる地域。活気あふれるまちづくりを進めてほしい」とあいさつ。設計・施工を担ったヤスザワ設計、大塚工務店、川一電機、岩崎工業所の代表者に感謝状を手渡した。

 大橋松行・建設委員会委員長はセンター改築に至る経緯を振り返った上で「地元だけでなく市内外の幅広い世代が気軽に快適に安心して活用でき、人に優しい施設となっている。豊かな自然に囲まれているので、四季折々の自然を五感で感じ取れる」などとあいさつしていた。

 竣工式の後には伊勢大神楽による獅子舞披露や隣接の長浜南認定こども園の園児による歌の発表があった。