2025年5月30日

「使い続けたい」、声に応え

神前町の加藤家具「修理屋さん」始めて7年

 おじいちゃんから譲り受けた椅子、先代が使っていた和箪笥など、思い出の詰まった家具を使い続けたい—。そんな思いに応えて、壊れた家具に新しい生命を吹き込む「家具の修理屋さん」として加藤家具(神前町)の代表・加藤悦二さん(70)は日々、依頼者からの相談にのっている。

 レザー張りを鋲で留めたおしゃれで高級感のあるデザインのダイニングチェア。長年の使用で背もたれ部分が破損し、座面のクッション性能も低下した。それでも使い続けたいとのユーザーの依頼を受け、アイボリー色のレザーに張り替え、まったく新しいチェアへと生まれ変わった。

 2018年から「家具の修理屋さん」の看板を掲げている加藤家具には県内一円からさまざまな依頼が舞い込んでいる。昨年には慶雲館にある明治天皇皇后両陛下の玉座を長浜観光協会の依頼で修復している。

 加藤家具の前身は大正11年に加藤さんの祖父・辰次郎氏が大宮町の大手門通りで創業した「加藤洋家具」。彦根市の同名の家具店からの暖簾分けだった。西洋文化の流入で洋服を収納する洋箪笥の需要があり、従来の家具店と差別化するために「洋家具」にしたとされる。

 昭和期になって神前町に移転し、戦時下では財閥企業の下請けとなって船舶のフローリングなども手掛けた。戦後は学校の学習机の製作などに追われ、8人程の職人を使用していたという。その後は工務店の下請けなどでオーダーメイドの家具を作っていたが、「ただ作るだけでなく、古く良きものを生き返らせたい」と修理専門へと舵を切った。

 依頼者から家具に込められた思い出やどのように修理したいのかなど細かに聞き取り、修理方針や見積もりを出して依頼者の納得が得られれば修理に入る。

 「修理の依頼を受けたもののどうやって直したらいいものかと悩むことも多い。材料は何を使おう、塗装は何を塗れば、錆びた金具はどうしよう、と」。頼りにするのは自身が培った職人のネットワーク。加藤さん自身で修繕するものもあるが、その多くは家具職人や塗装、張り替えの専門家に発注し、金具類は鉄工所に依頼している。

 「あんじょうしてくれた。これでまた使えるわ」—。家具の引き渡しの際、依頼者から感謝の声をかけられることも多い。加藤さんは「この仕事をしていて、一番うれしい瞬間ですね」と話している。

 問い合わせは加藤家具℡(62)0729へ。

2025年5月28日

西明寺で「青もみじ祭り」

6月1日 トーク会や見学ツアー

 甲良町の西明寺で6月1日に「青もみじ祭り」が初めて開かれる。当日は入山料が無料になるほか、見学ツアーやトークショーなどのイベントも行われる。

 湖東地域への観光客の誘客を目的に、近江ツーリズムボードや彦根商工会議所などによる実行委員会が初めて企画した。西明寺には参道から本堂まで、推定樹齢300年以上を含め1000本以上のモミジが育っている。ほかにフダンザクラやサルスベリ、ボダイジュなどもあり、今月から6月中旬までの新緑と7月から8月下旬にかけての深緑が楽しめる。

 また、西明寺本堂の後陣(裏側)には国の重要文化財の釈迦如来立像や不動明王・二童子像を含め仏像50体以上がある。

 青もみじ祭りの開催時間は午前10時から午後4時まで。当日は午前11時に西明寺前の千成亭ぎゅ〜じあむで中野英幸副住職と仏像好きの観音ガール・對馬(つしま)佳菜子さんによるトークショー(無料)、正午から中野副住職がガイドを務める西明寺見学ツアー(特別ランチと後陣拝観料込み5000円)、千成亭ぎゅ〜じあむで午後1時からソーセージ作り体験(3000円)と同2時半から一休庵の豆腐作り体験(一組1000円)がある。

 ほかに、支院の観正坊でお茶体験(500円)、地元飲食店の料理や地酒の食ブース、賞金10万円や食事券などがプレゼントされるフォトコンテストもある。当日の入山無料だが、後陣を拝観する場合は1000円。フォトコンテストの募集締め切りは6月30日。

 中野英勝住職は「青もみじを見ながら、寺の歴史を知っていただく機会にもなる。西明寺で心を癒やし、食事で体を癒やしてもらいたい」と話した。実行委員会会長の上田健一郎さん(63)は「彦根城の世界遺産登録を目指す中で、西明寺を含めた広域での観光が重要になる。新緑の時期の魅力を知ってもらう機会にもなれば」と述べた。

 申し込みとフォトコンテストの応募はhttps://oh-mi.org/aomomiji/から。問い合わせは近江ツーリズムボード℡0749(22)5580。

(滋賀彦根新聞)

2025年5月27日

詐欺一味を断罪「一件落着」

七条素人劇団、笑い満載「遠山の金さん」披露

 七条町の住民有志でつくる「七条素人劇団」の公演が25日、南郷里まちづくりセンターで開かれ、アドリブやギャグ満載の愉快な芝居に、観客から盛んな拍手が送られていた。

 披露した芝居は「遠山の金さん〜投資詐欺撲滅編」。南郷里村を舞台に「金儲けの達人」をうたう一味が、越後屋に株への投資を勧めて1000両を詐取したり、新しい小判制度への移行に便乗して村民に旧小判の回収を呼びかけてだまし取ったりした。特殊詐欺の手口を時代劇に持ち込んだ内容で、最後はお白洲を舞台に「濡れ衣だ」と開き直る詐欺一味を、伊藤俊次さん(70)演じる金さんが桜吹雪を見せつけて断罪。「これにて一件落着」との決め台詞に会場から大きな拍手が沸いた。

 最近の米不足と高騰、大臣の失言、トランプ関税など随所に時事ネタを絡め、舞台転換の間には昨年の新紙幣発行に伴って発生した詐欺の手口を紹介していた。

 七条町は「イセキの能面」の発祥の地でもともと演芸が盛ん。同劇団では時代劇「必殺仕事人」「水戸黄門」「遠山の金さん」などをアレンジした作品を上演し、人気を博している。

 今回の作品も脚本、演出などすべて団員手作りで、昨年9月から稽古を重ねてきた。小学1年生の女の子から84歳の男性まで16人が出演し、会場は用意した80席が満席となる盛況ぶりだった。公演は南郷里地域づくり協議会の主催。

 詐欺グループの一味を演じた劇団座長の井関敏夫さん(78)は「たくさんのお客さんに来ていただき、うれしい。芝居を見た方からさっそく公演の依頼もいただいた。今後も続けていきたい」と話している。

 七条素人劇団の公演依頼は井関さん℡090(8145)4617へ。

2025年5月22日

ウクレレで届けます!笑顔と元気

小田キャンディーズ、ひっぱりだこ

 米原市小田(やないだ)の住民でつくるウクレレバンド「小田キャンディーズ」が結成2年を迎え、地域イベントやサロン、敬老会など市内外から引っ張りだこの人気を呼んでいる。

 バンドの代表・竹腰裕紀さん(70)の喫茶店兼ギャラリー「笑福(わらふく)」で開かれたウクレレ教室に、小田で地域サロン活動に取り組む住民が参加して演奏にチャレンジしたのがバンド結成につながった。2023年4月の結成以来、曲のレパートリーを増やしながら徐々に活動の幅を広げ、今では米原市外からも演奏依頼が舞い込むように。

 「メンバーのほとんどが楽器に触ったのは初めてだったけど、ウクレレは簡単でとっつきやすい」と竹腰さん。半年ほどで弾けるようになり、イベントで演奏すると「スター気分になれます」と笑顔を見せる。

 メンバーは男女のツインボーカルとウクレレ奏者5人からなる。年齢は60〜70代。21日には夫馬会館で開かれた敬老会のお楽しみ会に招かれ、地域のお年寄りら約25人を前に、揃いのベレー帽で着飾ってバンドのテーマ曲「大好き!小田キャンディーズ」をはじめ、今年3月に亡くなった歌手・いしだあゆみさんの名曲「ブルーライトヨコハマ」を披露したほか、「星降る街角」「二人の銀座」「サントワマミー」などを演奏。また、「高校三年生」「琵琶湖周航の歌」などを来場者と一緒に合唱した。

 地域サロンや敬老会、学童保育、学びあいステーションなど活動の場を広げ、今では月3回程度の出番があるという。「みんなで教え合いながら仲良く練習している。これからも笑顔と元気を届けたい」と張り切っている。

 小田キャンディーズの演奏依頼は笑福℡090(5004)8586へ。

2025年5月20日

ブラームスの名曲など披露

湖北オーケストラ、25日浅井で定期演奏会

 湖北地域の音楽愛好家で組織する湖北オーケストラ(北村雅明団長)は25日午後2時から浅井文化ホールで定期演奏会を開く。 「湖北にオーケストラを」との長浜音楽協会の呼びかけで2006年に結成され、団員約30人が週1回、長浜文芸会館など長浜市内の公共施設で練習に取り組んでいる。 7回目となる定期演奏会はブラームスの交響曲第2番ニ長調作品73をはじめ、エルガー行進曲「威風堂々」第1番、シューベルト劇付随音楽「キプロスの女王ロザムンデ」を披露する。ブラームス交響曲は、客演指揮者に天理シティーオーケストラ常任指揮者の安野英之さんを迎える。エルガー、シューベルトの楽曲は団員指揮者の益子進也さんがタクトを振る。 演奏会を2週間後に控えた11日には団員が長浜文芸会館に集まり、安野さんの指導の下、演奏に打ち込んだ。益子さんは「難しい楽曲もあるが、耳なじみのある曲もあり、皆さんに楽しんでいただける演奏会になる」と来場を呼びかけている。 チケット(前売りのみ)は全席自由で800円。浅井文化ホール、長浜文芸会館、木之本スティックホールで販売中。問い合わせは浅井文化ホール℡(74)4000へ。

2025年5月19日

赤・白・黄…庄堺公園のバラ見頃

136種1470本、キッチンカーも

 彦根市開出今町の庄堺公園内のバラが見頃を迎え、来園者が写真撮影をしたり、香りをかいたりして楽しむ光景が見られる。キッチンカーで飲食を販売する「バラカフェ」も開かれている。

 約2000平方㍍のバラ園には、ピンクのクイーンエリザベス、赤のクリスチャンディオール、白のパスカリ、朱のローラ、黄の天津乙女などが植えられている。イングリッシュローズのコーナーもある。

 バラの種類は、2018年4月から管理している指定管理者の高木・技研特別共同体が新種を入れたり、植えるエリアを広めたりして増え続けている。現在は136種類の計約1470本が育っている。

 今年は同公園管理事務所の作業員たちとボランティアの市民計21人が育て、一部が満開となっている。6月上旬まで見頃だという。娘と訪れていた女性は「とてもきれい。いろんな色が見られるのがいい」と話していた。10月上旬にも咲く予定。入園無料。

 バラカフェは園内の簡易の休憩所に3〜4台のキッチンカーが配置され、からあげ、たこ焼き、クレープ、ソフトクリーム、フルーツサンド、タピオカドリンク、雑貨などが販売される。午前10時から午後4時、今月25日まで。雨天時中止。

 

(滋賀彦根新聞)

2025年5月16日

彦根産ハーブで作った化粧水

芹町の美容室、フィリップさん栽培

 彦根市芹町の自然派美容室「Lusa Natural Hair&Beauty Studio」は、市内の畑で育てたハーブ製の保湿化粧水「Lusa Bоtanics オーガニックスキンケアローション」を発売。代表の岡川千尋さん(43)は「彦根産のハーブで作った商品を多くの人に使ってほしい」と話している。

 岡川さんは彦根市立城西小、西中の出身。大学卒業後、ホテルでウェディングプランナーや外資系化粧品会社での英文事務の仕事に就いた。この時に彦根市内の英会話スクールの講師をしていたフィリップ・クフーンさん(41)と出会い、08年にフィリップさんの母国のイギリスへ渡航。現地のヘアサロン2店舗で働き、12年に結婚。翌年に彦根へ夫婦で戻り、ヘアサロンの勤務を経て、18年10月に現在の店を開業した。

 ヘナやインディゴなど自然素材で髪を染め、ハーブで頭皮や肌の手入れをする美容室を経営。フィリップさんは21年から市内でハーブの栽培を始め、現在は約1000平方㍍の農園で25種類のハーブを無農薬で育てている。店での使用のほか、オリジナルブレンドのハーブティー5種を販売してきた。

 多くの種類のハーブをさらに活用したいとの思いから、オーガニック化粧水の開発にも乗り出し、ハーブを漬け込んで作った商品を完成させた。ローズマリーやカモミール、ヨモギなど13種類のハーブを使っており、敏感肌や乾燥肌、アンチエイジングを意識している女性らに適しているという。

 岡川さんは「すべての原材料が彦根産のハーブの商品。年齢肌に悩んでいる、または乾燥肌の方などに最適な化粧水だと思う」と利用を呼びかけている。価格は4900円。問い合わせは岡川さん℡090(7360)9057。

(滋賀彦根新聞)

2025年5月14日

市民が創るミュージカル 「とりあえず!あんみつENCORE」

17、18日、長浜文芸会館で上演

 公募の市民がキャストやスタッフを務める「長浜浪漫ミュージカル!『とりあえずあんみつ!ENCORE(アンコール)』」の公演が17、18日、長浜文芸会館で開かれる。大正時代の田舎町を舞台に少女歌劇団に憧れる少女の挑戦とそれを見守る家族や仲間を描いた物語で、演出、脚本、音楽、振付などすべて長浜オリジナルとなっている。 ミュージカルは市と市民芸術文化創造協議会の主催、NPO法人はまかるの運営。舞台芸術作品を市民の手で創り上げようと、これまでもオペラ「しのぶときく」(2022年)、演劇「アカツキ」(2023年)を上演しており、その経験を踏まえた今回のミュージカルは「満を持して」の上演となる。 演出は磯崎真一さん、脚本は井口真帆さん、音楽は北澤あさこさん、振付は谷春華さん、歌唱指導・編曲は鳥塚貴絵さんが担当している。 上演まで1週間に迫った11日には長浜文芸会館の大ホールに組み上がった舞台上で終日、稽古に打ち込んだ。大正レトロの衣装に身を包んだキャストが歌唱シーンでの声の出し方、視線の向き、立ち位置など細部について確認。笑顔あふれるリラックスした雰囲気の中でも、舞台上で自身をどう見せるのか時折真剣な表情を見せていた。 「自分のしたいことに向かって挑戦し一生懸命になることの素晴らしさを伝えられる舞台にしたい」。少女歌劇団に憧れる14歳の少女タエ子を演じるのは長浜北高2年の澤居空南さん。小中学生時代は長浜市少年少女合唱団「輝らりキッズ」で活動し、高校では演劇部に所属している。タエ子と同じく将来は舞台に関わりたい考えで「自分の夢を追いかけ、家族や友人が応援してくれるのは、この舞台に通じるところがある」と話していた。 公演は17日が午後6時、18日が午後3時から。チケットは全席自由で前売り一般3000円、大学生以下1000円、小学生以下500円。割引が受けられるペア・ファミリーチケットもある。当日券は500円増。長浜文芸会館、浅井文化ホール、木之本スティックホール、チケットぴあ、ローソンチケットで。 詳細はインスタグラム(https://www.instagram.com/nagahamamusical/)で。

2025年5月2日

投資詐欺被害、水際で防止

長浜署、滋賀銀行虎姫支店の5人に感謝状

 詐欺被害を未然に防止したとして長浜署は1日、滋賀銀行虎姫支店(伊藤剛史支店長、田町)の行員5人に署長感謝状を贈った。

 同署によると4月10日、支店に90代の男性が来店し、窓口で「海外の証券会社の口座に振り込みたい」と30万円の振り込みを依頼。行員が振込先の口座をたずねたところ、スマートフォンの画面に表示されたLINEのメッセージを見せられ、その振り込み先が個人名義となっていたことから詐欺を直感。他の行員にも声をかけて対応し、「30分以内に振り込まないと」と焦る男性を応接室に招き入れて話を聞いている間に長浜署に通報した。

 男性は通報で駆け付けた署員に説得されたことで振り込みを断念した。直前には別の金融機関で現金50万円を詐欺犯に指定された口座に振り込んでだまし取られており、同支店の機転で被害の拡大を防げた。

 同支店で行われた感謝状贈呈式では、米森昌一署長が支店長代理の大橋典子さん(51)、行員の佐藤根静香さん(38)、岸本亜紀さん(40)、田中久惠さん(55)、清水充美さん(50)の5人を称え「見事なチームワークと連携プレーで詐欺を防止した。県内で多くの詐欺が発生し、我々も1件でも被害を減らそうとしている。今回、その詐欺を何とか止めていただいた。今後もおかしい振り込みに気付いた際には声を掛けていただきたい」と話した。

 大橋さんは「日ごろの研修や近隣で発生している詐欺の事例を行員で共有しており、詐欺が多く、巧みになっていることを感じる。お客様に叱られても大切な資金を守るために全員で取り組む必要があることをあらためて学んだ。これからもお客様の大事な資産を守れるような滋賀銀行でありたい」と話した。

 なお、今年県内で発生した特殊詐欺の認知件数は3月31日時点で67件、被害額1億7000万円、SNS型詐欺(ロマンス、投資)は64件、被害額4億8000万円に上っている。

 長浜署管内でもマネーロンダリング捜査協力の名目で無職男性(78)が2500万円をだまし取られたほか、会社員の男性(53)がマッチングアプリで知り合った女から仮想通貨への投資を持ち掛けられ1100万円の被害を受けるなど、巧妙・多彩な手口で老若男女を問わず詐欺被害が出ている。