2025年1月16日
2024年、交通死亡事故ゼロ
長浜署は2024年の管内の交通死亡事故ゼロを達成した。1954年に統計を取り始めて以来、70年目での初めてゼロで、同署は15日、地元の交通安全協会と安全運転管理者協会の会長を招いて日ごろの啓発活動に対して感謝状を贈るとともに、死亡事故ゼロの継続に協力を求めた。
管内の交通事故の死者は統計を取り始めた54年が5人だった。マイカーの普及に伴って徐々に増加し、71、72年には最多となる19人に上った。全国でも1960年代後半からマイカーの普及に伴って死亡事故が多発。これを受けて70年に交通安全対策基本法が制定され、これに基づく対策強化により、以降は年々減少してきた。長浜署管内でも増減を繰り返しながらも徐々に減少し、2007年以降は死者数は1桁となっていた。
管内で最後に死亡事故が発生したのは23年5月17日。神前町の県道交差点で乗用車と原付バイクが出合頭に衝突し、バイクを運転していた61歳の男性が死亡した。以来、交通死亡事故ゼロを更新し続け、15日で609日目となっている。
24年の県内の交通死亡事故による死者は28人で、ゼロを達成したのは13署・隊のうち長浜署と高速隊のみ。
井上和幸署長は「両協会の献身的な活動によりゼロを達成した。また、安全運転に努めていただいた地域の住民の皆さんの一人一人にお礼を申し上げたい。引き続きゼロを目指して抑止に向けた活動に取り組みたい」と話している。
長浜地区交通安全協会は通学路での警戒、高齢者への反射材の配布、自転車安全利用啓発などに取り組み、昨年12月には長浜、木之本、米原、彦根署の合同飲酒運転防止啓発にも参加した。
366事業所で構成する長浜地区安全運転管理者協会は各事業所での啓発をはじめ、交通安全に関するフェスティバルやパレードに参加している。
この日、長浜署で行われた贈呈式では井上署長が交通安全協会の籔内猛会長(70)と安全運転管理者協会の押谷小助会長(65)に感謝状を手渡した。2人は「1年間を通じて死亡事故がゼロだったことに驚いたが、これまでゼロだった年がなかったことにも驚いた」と顔を見合わせた。
籔内会長は「感謝状は大変名誉なこと。死亡事故ゼロは、ボランティアで啓発していただいている方々のおかげであり、住民の方々が意識を持って安全運転を心がけていただいたおかげ。事故のないまちになるよう、私たちも努力し、ゼロが続くことを願う」と語った。
安全運転管理者協会は会員事業所が無事故無違反100日運動に取り組んでおり、押谷会長は「『職場からは一切、交通死亡事故は出さない』を合言葉にしている。何年もゼロが続くように活動したい」と決意を新たにした。
70年目にしての初の交通死亡事故ゼロ。井上署長や田村優典交通課長によると秋ごろからゼロ達成が頭をよぎるようになったが、意識しすぎることを避けるため口にすることはなかったという。ただ、12月になると赤色灯を付けてのパトロールを強化するなど初のゼロ達成へと意識を高めてきた。
今後、どこまでゼロを更新できるのか—。同署では新年も啓発や取り締まりを続けている。14日深夜には酒を飲んで自転車を運転し単独事故を起こした30代男性を検挙した。同署管内で自転車の飲酒運転の検挙は初めてで、田村課長は「事故抑止のため、さらに飲酒運転撲滅に取り組みたい」と話した。