「文豪カフェ」夢京橋にオープン

名著5500冊、川端康成の別荘建材使用

 彦根市本町の夢京橋キャッスルロードの旧駄菓子店に18日、ノーベル文学賞作家・川端康成の軽井沢別荘で使われていた建材の一部を用いてリノベーションした店「文豪カフェ」がオープンした。2階建てのスペースに古書から新書まで計約5500冊の本が並び、ノスタルジックな空間で読書が楽しめる。

 運営会社は、バイオ医薬品開発や文化事業のGCAT社(岐阜県垂井町)。垂井町や米原市内に音楽ホールなども手がけている。同社会長で同店のオーナーを務める所源亮さん(77)の祖父・藤村耕一は、大正11年(1922年)から昭和25年(1950年)まで刊行された恋愛の小説や随筆、詩を収録した雑誌「令女界」の編集者。川端もその雑誌に寄稿していた。所さんが軽井沢で書店を経営していた2021年秋に、川端の別荘が解体され、京都大学建築学科の協力で保管されていた。

 キャッスルロードにオープンした店は、川端の別荘で使われていた窓サッシや柱、壁板などを使用しているのが特徴。表の1階スペースには川端をはじめ、夏目漱石、森鴎外、芥川龍之介、谷崎潤一郎、志賀直哉、太宰治、三島由紀夫、大江健三郎ら明治から昭和の戦後を代表する文豪たちの古書約150冊をそろえている。文豪たちの古書コーナーの一角には当時の「令女界」をはじめ、大正14年(1925年)創刊の雑誌「若草」なども並べている。

 2階では「世界の知にふれる」をテーマに、宇宙や神話、哲学、文明、経済の分野の名著、講談社の科学系新書シリーズ「ブルーバックス」や中公新書の本が読める。1・2階全体で約5500冊を陳列。2階を含め30席以上あり、トーク会や講演会、小規模な音楽会も開催できる。利用料はコーヒーと茶のパック付きで3時間2000円。

 1階の奥スペースは予約制だが、レコードが聞ける「音響の間」、高級家具と名画に囲まれた「応接の間」、和室の「瞑想の間」があり、中庭も整備されている。

 店内では、オリジナルのレターセット、ノート、ペン、ボールペン、鉛筆などを文具のほか、ブータンの冬虫夏草を使った茶やサプリメント、ブータンの冬虫夏草入り飼料を食べたニワトリの卵、恵那川上屋の栗あんぱんも販売している。

 文豪カフェの本店に隣接する支店のカフェは今月末にオープンし、ブータンの冬虫夏草の飲料やブルーマウンテンのコーヒー、恵那川上屋の特製ホットケーキなどを提供する。

 所さんは「川端康成が過ごした空間の一部が彦根の地によみがえった。一日中でも半日でもいいので、自分のための自由な時間をここで過ごしてほしい」と話している。同店の営業時間は午前10時〜午後5時。月火曜休み。問い合わせは同社℡0584(47)7111。

(滋賀彦根新聞)

 

 

 

掲載日: 2026年03月18日