地元果実の魅力発信、自社醸造へ大きな一歩
長浜大手門通り商店街にワインやシードルを気軽に楽しめる新店舗「長浜ワイナリー」がオープンした。代表の田中渉太さん(37)が、長浜産のブドウや和りんごを使ったワインとシードルの自社醸造に乗り出す拠点として整備したもので、観光地・黒壁スクエアにほど近い立地から地域の果実の魅力を発信する。
同店は、2022年11月に北国街道沿いで開業した「Wine&Cidre NAGAHAMA」を移転・拡張し、名称を改めたもの。店舗面積は従来の約4倍に広がった。コンセプトの核は「長浜の果樹の魅力を、より多くの人に知ってもらう」こと。観光客が気軽に立ち寄れる立地を生かし、地元産果実の価値を伝える拠点を目指す。
田中さんは西浅井町大浦出身。以前は長浜浪漫ビールに勤務していたが、「地域に密接に関われるお酒を造りたい」と独立。地元産果実を使ったワインやシードルの開発に取り組んできた。開業から3年余りを経て醸造スペースを設けた新店舗に移転し、「まだ本当のスタートラインにも立っていないが、自社ワイナリー設立という最初の目標に目処が立った」と語る。
この間で最も苦労したのは、浅井長政も食したとされる「小谷城和りんご」の農園継承と管理。農業経験はほとんどなく、手探りのスタートだった。現在は地域の協力を得ながら栽培技術を磨いている。
一方で、ワインやシードルを味わった客からの「美味しい」の一言が何よりの手応えだという。「厳しい意見を頂くこともあるが、それも参考と励みになっている。旅の素敵な思い出の一部になれたらうれしい」と笑顔を見せる。
新店舗では年間約1万〜1万3000本の仕込みが可能な小規模設備を導入予定。醸造タンクを眺めながらワインを楽しめるレイアウトとし、見学や体験にも対応する。県内では珍しいシードル醸造にも取り組む。
主力は、今荘ぶどう園のマスカットベーリーA、小谷城和りんご、彦根梨の3種。マスカットベーリーAは濃密な旨味と甘み、苺を思わせる香りが特徴。和りんごは酸味と渋みを生かした辛口シードルに、彦根梨は完熟の甘さを生かした味わいに仕上げる考えで、原料の個性を最大限に引き出す。
今後約1年半かけて醸造免許取得を目指し、2027年夏から秋ごろの自社醸造開始を見据える。和りんごの収穫期に合わせたスタートが目標だ。
田中さんは「これまで他社ワイナリーのタンクを借りていたが、全て自社で完結できるようになる。自由度が格段に上がり、どんなワインが生まれるか本当に楽しみ」と期待を込める。そして「観光しながら醸造現場が見学でき、その場で飲める。酒好きにとっては夢のような空間を実現するのが待ち遠しい」と目を輝かせている。
営業時間は午前10時から午後5時まで。火曜定休(祝日の場合は営業)。詳細はhttps://oumiwine.shop/。






