伊吹山の鬼伝説で縁結ぶ

迫力の広島神楽 長浜公演に大きな拍手

 「広島神楽 長浜特別公演~広島で受け継がれる伊吹山鬼伝説」が22日、長浜文芸会館で開かれ、日本武尊(やまとたけるのみこと)の鬼退治を描く「新編伊吹山」、素戔嗚尊(すさのおのみこと)が大蛇を退治する「八岐大蛇」などが披露された。ドライアイスによる幻想的な演出や、鬼が妖術で蜘蛛の糸を放つ場面、花火を使った攻防など、趣向を凝らした演出が満席の会場を沸かせた。

 広島県は古くから神楽が盛んな地域として知られ、約300の神楽団が活動している。伝統的な神事の要素を色濃く残しながら、演劇性や娯楽性を加えた独自の舞台芸術として高く評価されている。

 この日の公演には、広島県安芸高田市で活動する上河内神楽団が出演。「新編伊吹山」では、日本武尊が伊吹山に棲む大鬼神を討つ物語を披露し、鬼と激しく渡り合って舞う場面が見どころとなった。鬼が妖術で蜘蛛の糸を繰り出す場面などもあり、日本武尊が鬼の毒牙に倒れる最期まで舞い続ける姿に観客は引き込まれていた。

 「八岐大蛇」では、赤や青、緑など色鮮やかな大蛇が登場し、舞台いっぱいにうごめいた。頭を高くもたげ、とぐろを巻きながら素戔嗚尊と対峙。口から花火を吹く場面では会場からどよめきが起こった。終演後には客席から大きな拍手が送られていた。

 公演を主催した一般社団法人「NEXTひろしま神楽プロジェクト」は、コロナ禍で公演中止が相次いだことに危機感を抱いた現役団員らが立ち上げた団体。県外公演の開催やSNS、動画配信の活用など、神楽の魅力発信と次世代への継承に取り組んでいる。

 昨年、安芸高田市の前市長の石丸伸二氏が講演で長浜市を訪れた際、長浜商工会議所会頭(当時)の大塚敬一郎氏と意気投合。伝統芸能を抱える地域同士として継承の重要性を共有したことが、今回の公演実現につながった。前彦根市長の和田裕行氏が橋渡し役を務めた。

 この日は、一時期滋賀に住んでいた石丸氏も登壇し、出演団員を紹介するなどした。「この公演は滋賀に住んで、伊吹山に接したのが出発点。多くの方の力を借りてきょうを迎えた」と語り、伊吹山を望む長浜の地で、広島に伝わる伊吹山の鬼伝説を披露できた縁への思いを語っていた。

 公演は長浜曳山文化協会が共催し、曳山まつりの三番叟も披露された。

掲載日: 2026年02月25日