【私の視点】4500票差が示したもの

 8日に行われた長浜市長選は、現職の浅見宣義氏が再選を果たした。しかし、その結果は快勝とは程遠いものだった。高い知名度と、高支持率の高市政権下の自民党の組織力を背景に戦った現職が、知名度も後ろ盾となる大きな組織も持たない新人・松本長治氏に4500票差まで迫られた事実は、重く受け止める必要がある。

 松本氏の立候補は、従来型の選挙とは趣を異にしていた。市政運営の在り方に疑問や不満を抱く市民の声に背中を押される形での挑戦だった。いわば、市民の違和感が形を持った選挙だったと言える。

 そうした市民に向けられた浅見氏の選挙期間中の発言は、結果として溝を深めた面が否めない。現職市長による「気に食わない人たちがさんざん反対してきた」「長浜の人はそんなに愚かではない」「私の言ったことを理解している良識ある人はこちらに来ている」といった言葉は、支持・不支持の線引きを強め、不満を抱きながらも市を思う市民の心を傷つけた。市を二分する激戦となった背景には、政策論争だけでなく、そうした姿勢への反発もあったのではないか。

 当選会場での県議らの「苦言」は、決して偶然ではない。勝利の喜びの陰で、分断への危機感を抱いていることの表れだろう。

 市民は選挙を通じて、浅見市政2期目を選択した。それは白紙委任ではない。むしろ、「この結果をどう受け止め、どう変わるのか」を厳しく問う選択だったと見るべきだろう。

 浅見氏は「裁判官時代、人と人を和解させるのが得意だった」と語っている。真価が問われるのは、まさにこれからだ。市民や市職員の異なる意見、異論に耳を傾け、合意を探る姿勢が示されるかどうか。忍耐と粘り、他者を慮る市政運営ができるかどうかに、2期目の評価はかかっている。でなければ病院再編など実現しようがない。

 4500票差は、勝利の証であると同時に警鐘でもある。その意味をどう受け止めるのか。市民はこれからも、浅見市政を見つめ続ける。

(押谷洋司)

掲載日: 2026年02月10日