2020年12月8日

放置自転車を無料撤去

元競輪選手の会社がエコ、社会貢献

 米原市梅ケ原のリサイクル業「紙eco」はグループ会社3社と、社会問題となっている放置自転車の無料撤去を開始。環境美化と資源の有効活用に一役買っている。

 同社は2011年、元競輪選手の土田仁志さん(40)が立ち上げた。古紙回収を専門にしていたが、2年前から海外需要が減少、主要輸出先の中国の受け入れ制限も始まり、苦境に立たされた。この状況はリサイクル関連の企業も同じだった。

 ちょうど、その頃、公共施設や集合住宅に放置されたままの自転車が社会問題となっていた。国土交通省によると、2018年、全国の主な自治体の駅などで放置されていた自転車は6万台以上。撤去、保管に関する費用は税金で賄われ、年間150億円以上とされ、アパートやマンション、商業施設の放置自転車はその数十倍に膨れ上がっていた。その主な理由は廃棄処分料の高騰とみられる。

 また、新型コロナウイルスにより、公共交通を避けた通勤や在宅ワーク、体力の維持や健康増進のため、自転車を利用する人が増加。また、安価で購入できることもあり、パンクなど簡単な修理で乗れる自転車を安易に乗り捨てる人が増えている。

 同社はこの問題を解消しようと、県内のスクラップ業、リサイクルショップ、貿易輸出業の会社と総合サービス業「放置自転車撤去ドットコム」を発足。本格始動して間もないが、集合住宅のオーナーや管理会社からの問い合わせが絶えない状況となっている。

 回収できる自転車は持ち主が所有権を放棄し、盗難品でないこと。同社は県全域をエリアとしており、古紙回収の「道すがら」行っているため、少数の場合は要相談。集めた自転車は再販、シェアサイクル、輸出、部品取り、鉄くずとしてリサイクル・リユースし、資源の有効活用に貢献している。土田さんは「元競輪選手として、またリサイクル業者として不要な自転車をいろんな形で使える事になる事は嬉しい。これからも自転車と関わって、『売り手よし、買い手よし、世間よし、地球環境によし』という、みんなに良いことをこれからもやっていきたい」と話している。

 問い合わせは放置自転車撤去ドットコム℡0749(47)3187へ。

2020年12月3日

さざなみタウン1周年

市民活動の拠点 月間3万人超が利用

 図書館やまちづくりセンター、市民協働センター、商工会議所などの機能を持つ産業文化交流拠点施設「さざなみタウン」(高田町)が12月で開設1周年を迎えた。新型コロナウイルスの影響で臨時休館するなど逆風にさらされてのスタートとなったが、最近は当初目標としていた月間3万人の入館者を達成し、市民活動の拠点としての存在感を示している。

 さざなみタウンは旧市役所跡地9187平方㍍に約30億7000万円をかけて整備され、昨年12月1日にオープンした。

 月平均3万人、年間36万人の利用を目指し、開館当初の昨年12月と今年1、2月は3万人を超える入館者があったが、新型コロナの感染拡大に伴う施設の利用制限やイベントの中止、約1カ月の臨時休館により4月は約9000人に落ち込んだ。

 市民の間で「3密」回避やマスク着用、手指消毒などの対策が浸透し、サークルなども徐々に活動を再開したことで人出が戻り、10月には3万人を超える入館者があった。図書館の利用者が多く、学生には学習室が人気となっている。

 なお、昨年12月から今年10月までの施設利用者の内訳は、図書館の貸出人数7万7430人、貸出冊数34万8987冊、まちづくりセンター3万3275人、学習室1万4522人、地域福祉センター9365人となっている。

5日から記念祭 催し多彩に

 開設1周年を迎えたさざなみタウンで5日から26日まで1周年記念祭が催される。施設を利用する50団体以上が参加し、新型コロナ対策を施しながら元気を発信する多彩な催しを企画している。

 記念祭は5日午後1時半から、「リーファ」のボーカル・北川陽大さんの歌とトークで開幕する。期間中は長浜まちづくりセンターで活動するサークルやボランティア団体によるステージ発表(6、12、13、20日)をはじめ、商店街の庭園や市街地の史跡を巡る「まちなかツアー」(5、19日)、故障したおもちゃを修理する「おもちゃ病院」(12日)、市民が講師となる「ながはまコミュニティカレッジ」(12日)などがある。

 なお、館内では1周年を祝うリースを飾り、記念イベントを紹介したパンフレットを配布。担当者は「コロナ禍の中でも対策を行いながら、いきいきと活動している団体がある。イベントを通じてその元気に触れてもらえれば」と話している。イベントの詳細はさざなみタウンのホームページ(http://www.sazanami-town.com/wp/)から確認できる。

2020年12月1日

奥琵琶湖の自然、自転車で満喫

初企画の「オータムライド」に県内外300人が参加

 自転車に乗って奥琵琶湖の自然を満喫するイベント「奥琵琶湖オータムライド」が11月の3連休に行われ、県外を中心に約300人が参加。余呉湖やマキノのメタセコイア並木を訪れたり、木之本宿でスイーツを楽しんだりと、近年注目の「ビワイチ」にはない、奥琵琶湖の魅力に浸っていた。

 企画したのは地元企業やサイクルショップの関係者らで組織する実行委員会(田中富三代表)。奥琵琶湖の自然を楽しんでもらおうと、環境省の国立・国定公園の誘客推進事業の補助金を活用して初めて実施した。

 北近江リゾート(高月町唐川)を発着点に、マキノのメタセコイア並木を目指す90㌔コース、メタセコイア並木に加え余呉湖から丹生川上流を目指す110㌔コース、木之本宿を訪れて古い街並みとスイーツを楽しむ25㌔の北国街道スイーツライドの計3コースを3日間(11月21〜23日)実施した。

 インターネットの公募サイトでエントリーを受け付けたところ1週間で定員オーバーとなる人気ぶり。参加者の約8割が県外からの参加で、コロナ禍でアウトドアへの関心が高まっていることをうかがわせていた。

 参加者は秋色に染まる山道や湖岸沿いの風景を満喫。「余呉湖の素晴らしい景色を堪能して気持ち良く走れた」などと感想を話していた。サイクリング後は北近江リゾートの温泉施設が無料で開放され、「ゴールしてから温泉に入れるのはありがたい。疲れも癒された」と好評だった。

 また、コースの途中では余呉町菅並のカフェ「心風流」のゆずプリン、道の駅「塩津海道あぢかまの里」の名物のジャンボニンニクを使った炊き込みおにぎりが振る舞われたり、「グルテンフリーの洋菓子・フォレット」(高月町唐川)の協力でアイシングクッキー作りに挑戦したりと、地元の飲食店もイベントに協力。奥琵琶湖の自然に加え、味覚でも地元の魅力を参加者に発信していた。

 実行委員会では「地域の魅力を伝えることを一番のポイントにした。今後もサイクリングを通じて奥琵琶湖の魅力を発信する取り組みを続けたい」と話している。

 近年、自転車で琵琶湖を1周する「ビワイチ」が人気だが、琵琶湖沿いから離れて内陸部へも足を伸ばし、自然や街並み、歴史・文化などを楽しむ「ビワイチ・プラス」もサイクリストの間で注目を集めている。今回の「奥琵琶湖オータムライド」は新しいサイクリングコースの提案と奥琵琶湖の観光資源を披露するきっかけとなった。

2020年11月27日

「おためしワークステイ」で人材確保

「売り手市場」の地域おこし協力隊

 売り手市場となっている「地域おこし協力隊」の隊員を確保しようと、長浜市は今年度から一定期間、現地に滞在しながら、地域活動を体験する「おためしワークステイ」を開始。県内初の試みに注目が集まっている。

 地域おこし協力隊は国が設けた制度で、都市から過疎地に移住し、まちおこしを図りながら、移住・定住を促す取り組み。市では2015年度からこの制度を導入し、これまで3期、計22人の隊員が着任。中でも市北部の振興を目的に着任した人たちはほぼ、長浜に定住している。

 市では次年度、一部隊員が任期を終えることから、成り手確保と移住促進を兼ね、新規隊員の募集を計画。ところが応募者数は全国的にみて、ほぼ横ばいの一方で募集する市町村の数は右肩上がり。中には「応募ゼロ」の自治体もあり、危機感を抱いた長浜市では受け入れ地域や住民、協力活動の内容を知ってもらおうと「おためしワークステイ」を企画した。

 プログラムに関する費用は市が負担。期間中の飲食費や交通費、フリー時間の経費は自己負担という内容で今夏、募集をかけたところ、大阪の女性2人と名古屋の男性1人の応募があり、女性2人は10月に体験を終了。名古屋市の会社員・竹田展基さん(35)が今月21日から1週間の日程で、市内各地で体験をしている。

 竹田さんは市が用意した空き家に宿泊しながら、「余呉秋の収穫祭」のスタッフとして参加したり、森林伐採、赤カブ収穫の手伝い、移動販売車カエル号の体験などをしている。

 木之本町金居原生まれの竹田さんは高校卒業後、名古屋に移住。登山が好きでながはま森林マッチングセンターのトレッキングツアーに参加したことがきっかけで、地域おこし協力隊に興味を持った。「おためし」は有休を活用して参加しており「故郷だが、知らないところが多く魅力的。体験してみて1人でできないことも多くあり、地域を巻き込みながらしなくてはならないことも実感できた。募集があれば、応募してみたい」と話していた。

2020年11月19日

能登こだわりの冬の味

えきまちテラスに期間限定のカキ小屋

 えきまちテラス長浜1階に20日、能登産のカキなどを提供する「カキ小屋だるま長浜駅前店」がオープンする。

 カキ小屋は炭火を囲んでカキなどの新鮮な食材を網の上で焼いて食べるスタイルの店。カキの産地では冬の風物詩となっているが、長浜市では初めての出店となる。

 カキ小屋だるまを運営するのは「J・SOUL」(疋田匡社長、名古屋市)。新型コロナウイルス感染拡大に伴う飲食店の低迷やイベントの中止で、カキが売れずに困っている能登半島の養殖業者を支援するため、能登産の新鮮なカキを提供し、あわせて観光PRも行う。三陸カキとの食べ比べもある。

 「カキ三昧、カキ食べ比べコース」(2840円〜)、「カキ鍋コース」(2人前3480円)などがある。また、土日祝限定の焼きカキ食べ放題は60分3300円(いずれも税込み)。営業時間は月〜木曜が午後5時〜深夜0時、金曜が正午〜深夜0時、土曜が午前11時〜深夜0時、日曜が午前11時〜午後10時。

 疋田社長は「生産者こだわりのカキを楽しんで欲しい」と来店を呼びかけている。3カ月限定の出店。問い合わせはカキ小屋だるま℡070(6425)6001へ。

2020年11月17日

火災にめげず居酒屋再開

「家庭料理こころ」 八幡東町の新店舗で

 8月の放火事件により休業を余儀なくされていた八幡中山町の居酒屋「家族料理こころ」が常連客や友人の支援を受けて、今月、八幡東町に移転オープン。さっそく馴染み客が足を運び、営業再開を歓迎している。

 店を切り盛りするのは押谷さおりさん(50)。子どもの頃から飲食店の経営を夢見て、開店資金を貯めてオープンしたのは2016年5月。カウンター10席ほどの家庭的な店で、人気は「かしわ鍋」や「ポテトベーコンチーズ」。押谷さんの人柄もあり、連日、多くの客でにぎわっていた。

 4階建てのマンションの1階で営業していたが、8月4日、プロパンガスが爆発する火災が発生。後にマンションの元住民の男が放火犯として逮捕された。マンションの壁面や駐車中の車両が燃えた。店内に大きな被害はなかったものの水道や電気、ガスが復旧せず、休業を余儀なくされた。

 当初は数日で営業再開できると見込んでいたが、復旧の見通しが立たないことから、移転を決意。常連客や友人らが物件を探したり、引っ越しを手伝ったりと、移転を後押しした。

 火災から3カ月での営業再開に常連客の大谷弘光さん(48)は「復活してもらえて嬉しくてしょうがない。火災からわずか3カ月での開店はすごいこと」と話す。

 「1人ではできませんでした。皆さんの助けがあったから」と語る押谷さん。「これからも皆さんが心温かく過ごせるような店にしたい」と心をあらたにしていた。

 場所は大津地方法務局長浜支局南側。営業時間は午後5時〜10時。水曜定休。

2020年11月16日

曳山まつりの伝統に触れ

長浜西中生 裸参り、くじ取り体験

 長浜西中の1年生156人が14日、市内2カ所で長浜曳山まつりの裸参りとくじ取り式を体験した。

 同校では地元の伝統文化を学ぶ「曳山文化教室」を通して曳山まつりに親しんでいる。この日の体験教室は長浜曳山まつり伝承委員会と若衆会の協力で実施。曳山博物館広場(元浜町)では曳山まつりの成功や子ども歌舞伎の役者の健康などを祈願して若衆が長浜八幡宮などに参拝する裸参りを体験した。生徒は弓張り提灯を掲げて曳山博物館広場から商店街を練り歩き、各山組から参加した若衆と一緒に「ヨイサー、ヨイサー」の勇ましい掛け声を響かせた。

 武徳殿(朝日町)では子ども歌舞伎の奉納順を決めるくじ取り式を体験。赤鉢巻きを締めた「くじ取り人」がくじを置いた三宝を選んで、合図に合わせて一斉に開いていた。

 望月あずみさん(12)は「裸参りを見たことがなかった。短い時間だったが曳山まつりのことを学べて楽しかった。深く関われた気がする」と話していた。

 伝承委員会の家森裕雄委員長は「行事の一つ一つがユネスコ無形文化遺産に登録されている。きょうの貴重な体験を通して曳山まつりに興味を持ってもらい、将来、まつりを支えてもらえれば」と生徒に話しかけていた。

2020年11月12日

マスク補助具で気分爽快

原馬化成が呼吸しやすく、化粧がつかない新商品を開発。

 新型コロナウイルス感染症対策のため、マスクの着用が日常化し、口元に空間を作って呼吸を楽にする「マスク補助具」が注目を集める中、西上坂町のプラスチック成形加工業「原馬化成」(原馬淳一社長)は「気分爽快マスククリップ」を開発した。

 Uの字型のクリップをマスク上部に引っ掛けるように装着することで口元に空間ができる。呼吸しやすいだけでなく会話も明瞭になり、女性からは「ファンデーションやリップがマスクにつきにくい」と好評。

 開発を主導したのは同社の原馬良典会長(69)。介護の職場に勤める女性から「1日中付けているとマスクがよれて口に張り付き、息苦しくなる」との声を聞いたのがきっかけ。持ち前のプラスチック成形技術を生かして、手軽に装着できる補助具の開発と改良、試用を重ね、約3カ月で製品化にこぎつけた。

 長時間のマスク着用が避けられない医療・介護業界から注目され、すでに大口の受注も入っている。原馬会長は「コロナは2、3年続き、マスクは手放せない。快適にマスクを装着できるように、その一助となれば」と話している。

 クリップは5個入りで580円(税別)、10個入りで980円(税別)。「はんがい」の長浜、浅井両店などのほか、ホームページ(https://kibunsoukaimasku.com/)からも購入できる。問い合わせは同社℡(63)8989へ。

2020年11月9日

長浜の名物土産はどれ?

「梅」の菓子テーマにコンテスト

 長浜観光協会は7日、えきまちテラスで、長浜を代表する名物土産を発掘するコンテスト「長浜お土産セレクション」を開催。「梅」をテーマに菓子を募ったところ、市内7事業者から12品の提案があり、観光客や市民が味や見た目などを審査した。

 「長浜の名物といえばこれ!」という商品がないという声を受けて、同協会の飲食物産部会(大澤剛人部会長)が中心となってコンテストを企画。第1弾として市の花や盆梅展にちなんで「梅」をテーマにした和洋菓子の開発を、市内の事業者に呼びかけていた。

 この日、えきまちテラス内のコンテスト会場には、完熟梅を使ってアレンジした木之本名産「でっち羊羹」、梅酒を使ったケーキや琥珀糖、ペースト状の木イチゴに梅肉を散らして焼き上げたラスク、梅干しを入れたおにぎり型のパンなど、それぞれの事業者が趣向を凝らした菓子を並べ、土産品として喜ばれそうな凝ったデザインのパッケージも添えた。

 訪れた観光客や市民ら約80人が試食し、商品の見た目、味、価格、パッケージなどを5段階で評価。「お土産として買って帰りたい」と思う3品を選んでいた。

 なお、観光協会では集計のうえ、来年1月8日の長浜盆梅展内覧会でグランプリを発表。キャンペーンでの販売や情報誌への掲載などでPRする。同協会では「試食は女性の方が多かったので、色彩がきれいな商品やかわいいパッケージの商品が人気を集めていた。第1弾は『梅しばり』だったが、次回は広くお土産を募りたい」と話していた。

2020年11月6日

除菌に効果 超音波噴霧器

地元10社がタッグ 開発・製造・販売

 湖北地域の企業がタッグを組んで、除菌やウイルス対策用に超音波噴霧器を開発し、6日、長浜ビジネスサポートセンター(さざなみタウン内)のフューチャールームでお披露目した。

 「ミストセイバー」と名付けた噴霧器は、除菌効果のある水溶液を約4〜5㍃㍍の超微粒子にして噴霧し、室内の隅々まで除菌できる。噴霧量を4段階に調整することで、会議室、食堂、劇場、体育館など多様な施設に使える。1500立方㍍のホールは約30分、200立方㍍の会議室は約8分で噴霧できるという。

 開発に携わったのは総カンパニー(内保町)、宮川商店(宮前町)、ナレッジ(末広町)など10社で、うち9社が湖北地域。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて今年5月から開発に取り組み、それぞれの企業が手分けして企画、設計、部品調達、製造、販売を手掛け、「メイドイン湖北」の製品を作り上げた。

 宮川商店の宮川裕道社長(60)は「机の上やドアノブ、手すりなどは拭き取ることで除菌できるが、床面、絨毯、カーペット、壁面のクロスには噴霧器が有効」と語っている。

 販売価格は54万7800円(税・送料込み)。リース(5年・60回払い)は月額1万0230円(税込み)。問い合わせは宮川商店℡(62)0424へ。

2020年11月5日

「麒麟がくる」ゆかりの中津へ

細川忠興の文書、北村さんが発見

 長浜城歴史博物館の元学芸員・北村大輔さん(56)は、現在、放映中のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公・明智光秀の娘婿、細川忠興の書状を発見。新出史料で忠興が城主を務めた大分県中津市の歴史博物館に5日、貸し出された。

 忠興は戦国武将で、妻は光秀の三女・ガラシャ。本能寺の変で徳川光秀に誘われたが、羽柴秀吉に従い、関ヶ原の戦いでは徳川家康に属すなど、世渡り上手。その後、中津城の城主となり、晩年は文化人として千利休に学び、茶の湯などを極めるなどした。

 書状は寛永8年8月13日、長崎の唐人医師・少峰に宛てた返信。「将軍、徳川秀忠の見舞いに行こうと船を出そうとしたが、嵐で行けない」「最高級品の香木・伽羅が見つかったら、手元に置き、私に見せてほしい」などと書かれている。

 書いていたのは遭難も否めない船中とみられ、大名として将軍を気づかいながら、文化人として興味つきないことを示している。北村さんは1年ほど前、ネットオークションで偶然、書状を見つけ、落札。忠興ゆかりの中津市への貸与を申し出た。

 この日、同博物館の三谷紘平主査(38)ら3人が長浜を訪れ、書状を預かった。館では14日から来年1月9日まで展示する予定。三谷主査は「書いた年号が確実にわかり、書状の中に地元の『竹田津』という地名が入っており、興味深い。文化人としての側面も見られる」と述べていた。

 北村さんは「長浜に置いておくよりも、(忠興)ゆかりの地で見てもらう方が良いと思った。ゆくゆくは寄託など、活用の幅を持たせたい」と話していた。なお、書状は中津市に貸し出された後、京都の長岡京市でも展示される。

2020年10月27日

梅酒の梅 持ち寄って!

盆梅展にちなみ、長浜浪漫ビールなどが醸造へ

 長浜浪漫ビール(朝日町)など3者がタッグを組み、来年で70回目を迎える長浜盆梅展にちなんだオリジナルビールの製造を計画。市民にもビール作りに参加してもらおうと、副原料に使用する梅酒の梅を各家庭から募っている。

 ビールの製造を計画しているのは、長浜浪漫ビールのほか、日野町でクラフトビールを作っている「HINO BREWING」(ヒノ・ブルーイング)、盆梅展を主催する長浜観光協会。長浜浪漫ビールの醸造技術と、「祭りビール」など次々と新しいビールを生み出しているHINO BREWINGの企画力を融合させる。オリジナルビールで話題を生み、盆梅展のさらなる周知と来場者増を目指すのが目的。

 各家庭で漬けている梅酒の梅をペースト状に加工して副原料として使用し、赤しそでほんのりピンク色に仕上げたい構想。長浜浪漫ビールの奥村太製造部長(36)は「梅を連想するビールを造るのをきっかけに、地元の方にあらためて盆梅展を知ってもらい、また、滋賀のビールを盛り上げたい」と話している。

 梅酒の梅は11月1日から30日まで長浜浪漫ビールで受け付ける。提供者にはビール1杯無料引換券と盆梅展招待券をプレゼントする。ビールは12月下旬に完成予定。約900㍑を製造する。問い合わせは長浜浪漫ビール℡(63)4300へ。

2020年10月27日

土田龍空選手が中日3位指名

プロ野球ドラフト会議

 プロ野球のドラフト会議が26日、東京都内で開かれ、近江高3年の土田龍空選手(17)が中日から3位指名された。

 土田選手は1年夏から遊撃手としてレギュラーに定着。夏の甲子園大会の連続出場を果し、3年ではキャプテンとしてチームをけん引した。ボールを捕球してからの素早いグラブさばき、スローイングは高校生離れしており、「世代屈指のショート」と呼ばれるほど。内外に打ち分けるバッティングも魅力。

 この日、学校で待機していた土田選手は午後6時14分ごろ、ネット中継で中日からの指名を知った。会見で「指名は素直に嬉しい。ホッとした」と第一声。「上位で(プロへ)行けるとは思わなかった」「走攻守とも自信がある。目標はみんなから応援される憧れの選手」と意気込みを語った。

 多賀章仁監督は「3巡目という高い評価を得られた。高校入学時から『プロを目指す』という高い意識を持っていた。プロでは基礎体力をつけ、長いシーズンをやり通せる体を作ってほしい」と語った。母の吏佐さん(45)は「中日の本拠地は名古屋で近い。『龍』と『ドラゴン』という名も偶然でピッタリ。プロは普通じゃなく、皆が凄い。頑張って活躍してほしい」とエールを送っていた。

 地元に対しては土田選手は「今まで応援してくださった皆さんありがとう。3、4年はしっかり下(2軍)で鍛えながら、1軍のチャンスをつかみたい」と語った。

 中学時代在籍した湖北ボーイズの後輩・前田悠伍君(高月中3)は「龍空先輩がプロに入団されることになり、僕もより一層、プロに入りたいという気持ちが強くなった。高校3年間、野球に打ち込み、龍空先輩の背中を追いたい」と話していた。