放置自転車を無料撤去

元競輪選手の会社がエコ、社会貢献

 米原市梅ケ原のリサイクル業「紙eco」はグループ会社3社と、社会問題となっている放置自転車の無料撤去を開始。環境美化と資源の有効活用に一役買っている。

 同社は2011年、元競輪選手の土田仁志さん(40)が立ち上げた。古紙回収を専門にしていたが、2年前から海外需要が減少、主要輸出先の中国の受け入れ制限も始まり、苦境に立たされた。この状況はリサイクル関連の企業も同じだった。

 ちょうど、その頃、公共施設や集合住宅に放置されたままの自転車が社会問題となっていた。国土交通省によると、2018年、全国の主な自治体の駅などで放置されていた自転車は6万台以上。撤去、保管に関する費用は税金で賄われ、年間150億円以上とされ、アパートやマンション、商業施設の放置自転車はその数十倍に膨れ上がっていた。その主な理由は廃棄処分料の高騰とみられる。

 また、新型コロナウイルスにより、公共交通を避けた通勤や在宅ワーク、体力の維持や健康増進のため、自転車を利用する人が増加。また、安価で購入できることもあり、パンクなど簡単な修理で乗れる自転車を安易に乗り捨てる人が増えている。

 同社はこの問題を解消しようと、県内のスクラップ業、リサイクルショップ、貿易輸出業の会社と総合サービス業「放置自転車撤去ドットコム」を発足。本格始動して間もないが、集合住宅のオーナーや管理会社からの問い合わせが絶えない状況となっている。

 回収できる自転車は持ち主が所有権を放棄し、盗難品でないこと。同社は県全域をエリアとしており、古紙回収の「道すがら」行っているため、少数の場合は要相談。集めた自転車は再販、シェアサイクル、輸出、部品取り、鉄くずとしてリサイクル・リユースし、資源の有効活用に貢献している。土田さんは「元競輪選手として、またリサイクル業者として不要な自転車をいろんな形で使える事になる事は嬉しい。これからも自転車と関わって、『売り手よし、買い手よし、世間よし、地球環境によし』という、みんなに良いことをこれからもやっていきたい」と話している。

 問い合わせは放置自転車撤去ドットコム℡0749(47)3187へ。

掲載日: 2020年12月08日