2019年11月15日

学校でプロが生演奏、コンサートを前に

クラシックの楽しさ、感じて

 浅井文化ホールで23日開かれるコンサートを前に、プロの奏者が地元の小学校を巡り、クラシック音楽の楽しさを伝えている。

 ホールを運営するロハス長浜では子どもたちの豊かな感性を育もうと、5年前から、小学校で音楽の出前授業をしている。

 今年は朝日、びわ南、湯田、浅井、永原の5校にコンサートの出演者で大阪交響楽団に所属する吉岡克典さん(バイオリン)、吉岡麻梨さん(ピアノ)、大谷雄一さん(チェロ)が出向き、生演奏をしている。

 湯田小学校では14日、5年生86人が講師の大谷さん、吉岡さんから弦楽器について説明を受けたり、コンサートの演奏曲などに耳を傾けた。

 大谷さんはバイオリンやビオラなど弓で4本の弦を擦る楽器を「擦弦楽器」と呼び、サイズが大きくほど低い音を発することやこれらの楽器の中には「魂柱」と呼ぶ共鳴する棒が入っていることなどを紹介した。

 また、チェロの独奏やピアノとのハーモニーで「愛のあいさつ」「白鳥」「赤とんぼ」などを披露。児童たちは心地よい音楽に聞き入っていた。

 清水獅門君は「手の細かい動きに驚いた。テレビとは違い、生の演奏はすごい」と話していた。

 

キラキラコンサート、23日浅井文化ホール

 長浜市民芸術文化創造会議は23日午後2時から浅井文化ホールでキラキラコンサートを開く。

 クラシック音楽をより身近に感じてもらう企画で、吉岡克典さん(バイオリン)、吉岡麻梨さん(ピアノ)、大谷雄一さん(チェロ)のほか、長浜市出身のソプラノ歌手・脇阪法子さん、湖北オーケストラが参加する。

 プログラムはブラームス「ハンガリー舞曲6番」、メンデルスゾーン「ピアノトリオ第1番ニ短調」、ディズニーソングなど。入場料500円。3歳以下は膝上で無料。チケットは浅井文化ホール、長浜文芸会館、アルプラザ長浜、臨湖などで発売中。と合わせは同ホール℡(74)4000へ。

2019年11月13日

草野さん、時遊館で50年の回顧展

「頑張ればできるという、ひとつの姿を」

 三川町、虎姫時遊館で元中学美術教諭・草野貞夫さん(76)=北之郷町=が、この50年間に描いた作品を集めた回顧展が開かれている。

 草野さんは滋賀大学在学中、絵画研究室に入り、卒業後は虎姫中を皮切りに、びわ、浅井、湖北中などで美術を教え、富永小学校の校長を最後に38年間の教職員生活に終止符を打った。

 引退後も油絵を描いていたが、2015年、脳梗塞を発病。色の塗り重ねができなくなり、創作活動を断念した。しかし、4年後、一念発起し、絵画サークル「パレット」「100絵会」で活動を再開。今では題材探しをしたり、大作の制作に挑んでいる。

 モチーフにしているのは長浜の祭りや子どもたちの躍動する姿、生活感のにじみ出た風景など。中には自治会長の時、自治会館建設を計画したが、土地と金銭的な課題が生じ、その決断時の総会の様を描いた「凍結」や自宅の改築時に家族8人と猫2匹が仲良く過ごしている風景を表現した「報恩」など、その時々の情景を表した作品も。大作30点のほか、小品を多数並べている。

 回顧展は最初の教え子4人の発案。草野さんは「教え子たちのおかげで回顧展を開くことができた。頑張ればできるという、ひとつの姿を見てほしい」と話している。午前9時から午後4時半、22日まで。18日休館。無料。

2019年11月8日

南郷里幼稚園付近、クッションドラムに啓発横断幕

「お散歩道ゆっくり走って」、園児死傷事故から半年

 大津市で5月、散歩中の園児らの列に車が突っ込み、16人が死傷した事故から半年。南郷里幼稚園近くの県道南小足町北交差点に8日、ドライバーへ安全運転を呼びかけるクッションドラム(衝突衝撃緩衝具)がお目見えした。

 県や市教委の「散歩コース」点検により、通行量や事故の多さ、園からの要望を受け、長浜地区安全運転管理者協会が安全対策を考察。県が設置しているクッションドラムに「園児お散歩道ゆっくり走って」と書いた縦55㌢、横約2㍍のビニール製横断幕を巻きつけ、道行くドライバーらに安全運転を呼びかける。

 この日は南郷里幼稚園の園児計8人が長浜署交通課の西口しお里巡査部長のアドバイスで、交差点内に置いてあるクッションドラム2個に横断幕を巻いた。

 この後、5歳児32人がクッションドラムを囲み「運転手さん、ゆっくり走ってください」と大きな声で呼びかけていた。

 同園の上崎順子園長は「半年前の事故のこともあり、環境を整えてもらったことはありがたい」と話していた。ここの押しボタン信号機付き交差点では過去5年間で3件の事故が発生。長浜署では効果が見られれば、他の危険カ所にも設置する考え。

2019年11月6日

紅花で「まち」咲かせます

丸子船ゆかりの西浅井で地域おこし

 江戸時代、琵琶湖で活躍した丸子船の港があった西浅井で、輸送されていた紅花を使ったまちおこしが始まった。

 大浦、塩津から大津まで運行されていた丸子船は、米のほか、最上紅花や漆器、魚介類や反物が主な運搬品だった。最上紅花は山形県が産地で、西陣織の染料や化粧用の紅、血行を良くする生薬として利用でき、質の良さから高価な商品として扱われていた。

 酒田港から敦賀を経由し、京都、大阪まで大量に運ばれていたが安価な染料の輸入や化学染料の台頭により、生産量が激減。山形県では日本遺産として、保存・継承が進められている。

 一般社団法人「日本紅全国紅花協議会」の事務局・深川正達さんが昨秋、紅花輸送ルートをたどり、「北淡海・丸子船の館」を訪れた際、山形県出身の同館スタッフ・近持眞奈美さんに作品作りや食材など、さまざまな用途に活用できる紅花による、まちおこしを提案した。

 西浅井まちづくり地区地域づくり協議会の委員でもある近持さんは、メンバーたちに紅花の歴史や魅力を紹介。山形から譲り受けた最上紅花の種を利用し、まちおこしを図ることになった。

 休耕田約5㌃に種を撒き、試験栽培。収穫した花を用い、今夏、「お花畑大作戦」と銘打ち、住民らに紅花の活用法などを紹介。今月10日には「水の駅まつり」で紅花のハーバリウム、リース作り体験を行う。

 今後、栽培面積を拡大する予定で、新たな活用法を模索中。近持さんは「あまり知られていない紅花の魅力を知ってもらえれば」と話している。

 なお、水の駅まつり体験教室の問い合わせは西浅井総合サービス℡(89)0281へ。

2019年11月2日

「長浜きものの集い」に約370人

和菓子・革細工など、多彩な講座

 着物姿で多彩なカルチャー講座を楽しむ「長浜きものの集い」が2日、長浜市街地一帯で開かれた。

 集いは10月の「長浜きもの大園遊会」と並ぶ和装イベントで、今年で22回目を迎える。振袖姿の若い女性を対象とした大園遊会に対し、年齢や性別を問わずに参加できることと、商店主らが企画する趣向を凝らしたカルチャー講座が人気で、年々、参加者が増やしている。今年は県内を中心に約370人が受講し、遠くは埼玉や神奈川からの参加者もいた。

 商店や古民家などを会場に和菓子作り、革細工、漆工芸など33種類の講座が開かれた。湖北観光情報センター四居家で開かれた和菓子作り講座では、「清湖堂」の大橋清太郎さんが工芸菓子の「はさみ菊」の作り方を指導した。丸めたに糸切りハサミで切り込みを入れて菊の花に見立てる技法で、参加者は大橋さんの指導を受けながら丁寧に花びらの1枚1枚を作り出していた。

 長浜大手門通りの皮細工店「手作りブラン・クチュール村」では水上潤一さんの手ほどきでレザークラフトに挑戦。革を縫い合わせてコインケースを手作りした。曳山博物館では「クチートとみおか」の冨岡尚子さんの指導で浜縮緬の布などを使った日傘作りがあり、参加者は三角形に裁断した布をミシンで縫い合わせるなどして自分だけのオリジナルの傘に仕上げていた。

2019年10月31日

塩津港遺跡の実像に迫る企画展

長浜城歴史博物館で、出土品展示

 琵琶湖の北端に位置し、かつて湖上交通の重要な拠点として栄えていた塩津港の遺跡を紹介する企画展「塩津—はこぶ・まつる・にぎわうのみなと」が長浜城歴史博物館で開かれている。

 塩津港が古来、北陸と近畿を結ぶ琵琶湖の湖上交通の重要な拠点であることは文献により知られていたが、具体的な証拠がなく、謎が多い場所だったとされる。2006年からの発掘調査により、港や神社の様子がうかがえる平安時代の遺構や遺物が多数見つかり、塩津港の姿が徐々に明らかになっている。

 神社の遺構からは起請文が書かれた木札400点以上が出土(写真)。任務完遂を神に誓う契約書のような役割を持っていたとされ、出土した中でも最古の起請文木札には「請け負った荷物の魚を1巻でも取り流すことがあれば近くは3日、遠くても7日のうちに8万4千の毛穴から神罰を受ける」との誓いが記されていた。また、神仏習合の影響を受けて平安時代に盛んにつくられた神像5躯も出土している。

 企画展では「はこぶ」「まつる」「にぎわう」の3つの視点で起請文木札や神像など72件を展示し、平安時代の塩津港の実像に迫っている。11月2日午後1時半から展示説明会がある。

 入館料は大人410円、小中学生200円(湖北地域は無料)。午前9時から午後5時、12月15日まで。

2019年10月30日

北近江旅行業協会、CDアルバムをリリース

演歌・ポップス・バラードで、若者にも長浜をPR

 歌で長浜を広くPRしようと、北近江旅行業協会は3つのジャンルの曲を盛り込んだオリジナルCDアルバムを制作。26日から販売を開始した。

 長浜市の旅行会社とバス会社計11社でつくる同協会は地元への誘客を目指し、2年前にリリースした演歌「琵琶湖恋歌」をリメイク。若者にも長浜に親しんでもらおうと、アルバムには新たにポップス「湖岸道路」とバラードの「お江追憶 姉川の流れに」を加えた。

 3曲とも同協会代表理事の中川安之さん(74)が作詞。曲はいずれも長浜出身で「よさこい」などを手がける作曲家・坂本真一さん、パンクバンド「PINK LOOP」のYUKI(大橋勇城さん)らが担当した。

 こぶしがきいた「琵琶湖恋歌」は民謡歌手・塚田陵子さんが熱唱。尾上の宿などをイメージした軽快な曲「湖岸道路」は歯科医で演歌歌手の伊吹とし夫さん(彦根市)、姉川合戦、小谷城などを舞台にした「お江追憶」はバンドのボーカルとして活躍する南浮晴美さん(米原市)が歌う。CDジャケットは水彩や書など、さまざまなジャンルで活躍する大橋香代子さん(下之郷町)が担当した。

 中川さんは「地元でも楽しんでもらえる歌。評判も良く、広めたい」と話している。太陽ツーリストなどで販売。1枚1500円(税込み)。問い合わせは北近江旅行業協会☎(64)4008へ。

2019年10月29日

ガラスのまち魅力凝縮 、黒壁グラスアート展

切子展など、市街地15会場で。慶雲館にはガラス酒器。

 長浜市街地の黒壁スクエアや北国街道、慶雲館など15会場で黒壁主催のグラスアート展が開かれている。

 「ガラスのまち長浜」を多くの人に知ってもらおうと市街地全体を美術館として多彩な作品を展示し、ガラス文化を盛り上げる企画で、今年で4回目。

 見どころは黒壁ガラス館2階で開かれている「粋と極みの切子展」。切子はガラスを手作業で削って様々な模様を表現する伝統工芸品で、同館では江戸、薩摩、大阪の産地それぞれの切子作品を並べ、その技法や特徴などを紹介している。繊細な模様と鮮やかな色彩の器や皿など300点が並び、観光客らの目を楽しませている。

 慶雲館では全国のガラス作家から募った酒器を展示する「北近江サケグラス公募展」を開催。昨年初めて催し好評を集めた企画で、今年は北海道から沖縄まで計105人の作家が展示している。

 吹きガラス、切子、キルンワーク、パートドヴェールなど作家それぞれが得意の技法を駆使して制作し、琵琶湖の魚を切子で描いた「とと(魚)カルチョ」、杯を並べると金魚が泳ぐ「金魚舞う」、器を透かせて描かれる影も美しい「haru」、割り切れない数字7の魅力を作品に込めた「素数」、杯の底に桜の花を咲かせた「さくら・ら・ら」など、作品タイトルからも作者の工夫やこだわりが伝わる。なお、公募展は入館者の人気投票で入賞作品が決まる。

 グラスアート展は11月10日まで。このほか関連企画は次のとおり。

 【ドイツ現代ガラス展】黒壁が収集したガラス作品70点余りを展示。ドイツでの「スタジオグラス運動」の先駆者エルヴィン・アイッシュを中心に、ヨーロッパ各地のグラスアートを紹介している。慶雲館新館。

 【和ガラス小品展】明治から昭和初期に国内で製造された日常使いのガラスの器を展示。北国街道安藤家。

 【現代ガラス工芸7人展】大胆なカット技法で表現された作品を中心に、日常のガラス製品とは一味違うガラス工芸の奥深さを伝える。ギャラリーAMISU。

 【線のリズム】黒壁ガラススタジオによる新作コレクション展。レースガラスに着目し、今の時代にデザインしたテーブルウェアを届けている。黒壁ガラススタジオ。

 【サケグラスを作ろう】人気の吹きガラス体験教室に、ガラスのぐい呑みコースが期間限定で加わる。3700円(税別)。予約は黒壁体験教室℡(65)1221。

 【ガラスの器でフレンチ】長浜の味覚を堪能するランチフルコース(全9品)をガラスの器で楽しめる。4400円(税別)。ディナーもある。予約はびわこレストランROKU℡(62)6364へ。