2020年1月14日

長浜市内で成人式 1049人出席、新成人が誓い

「自分の行動に責任と自覚」

 長浜市の「新成人を祝うつどい」(成人式)が12日、市内2会場で開かれ、スーツや振袖に身を包んだ新成人1049人が晴れの門出に決意を新たにしていた。

 ホテル&リゾーツ長浜で開かれた式には旧長浜市、旧東浅井郡8中学校の出身者823人が出席。藤井勇治市長は「梅の花が咲き誇るように、これからの人生で素晴らしい花を咲かせていただきたい」「長浜市を継承し、さらに発展させるためには、皆さんの情熱にあふれた若い力と郷土を愛する心が必要。積極的にそれぞれの地域に関わり、ふるさとの自然、文化、福祉、歴史や産業など社会の動きに関心を持ってください」と呼びかけていた。

 新成人を代表して、西川葵さん(20)=長浜北中出身=と安達万結さん(19)=長浜西中出身=が「この長浜で学び育ったことは、今の私たちにとってかけがえのないものになっています。きょうまで支えてくださった皆様に恩返しできるよう、ここで培った経験から得たことを生かし、自分達の道を切り開いていきます」「今後は社会を担う一員として自分の行動に責任と自覚を持ち、地域社会に貢献します」などと誓いの言葉を述べた。

 式典の前には余興として、長浜北中出身の塩谷慎太郎さん、大橋陸さん、堤聡太さんの新成人3人がバンドを組んであいみょんの「マリーゴールド」を披露し、花を添えていた。

 式典後には新成人有志で組織する実行委員会が企画した「交歓のつどい」が開かれ、抽選会などがあった。

2020年1月8日

「ロウリュ」で温活いかが?

北近江リゾート、男性サウナで蒸気浴

 高月町唐川の温泉施設「北近江リゾート」は1月から男性サウナ限定で、蒸気浴「ロウリュ」のサービスを提供している。

 サウナの本場・フィンランド発祥のロウリュはサウナ室の中で、熱したサウナストーンに水をかけ、そこから立ち上る蒸気を浴びる入浴法。体感温度を上げて発汗作用を促進させる効果がある。

 北近江リゾートでは90度の高温サウナ室で午後1時、4時、7時からの1日3回、ロウリュのサービスを実施。立ち上った熱い蒸気を、スタッフの「熱波師」が大きなうちわであおぎ、客に熱波を送る。蒸気が体に当たることで体感温度が急上昇し、さらなる発汗を促す。また、ストーンにかける水にユーカリミントやラベンダーなどのアロマオイルを混ぜることで、アロマの効能も楽しめる。

 都市部ではサウナが流行し、サウナをテーマにしたドラマ「サ道」が人気を集める。ロウリュのサービスを取り入れる施設も各地で増えており、北近江リゾートでは「湖北地域でもロウリュを楽しめる場を」と2つある男性サウナのうち1つで、1月1日からロウリュを始めたところ、早くもリピーターが付き、「何時からやるのか」と問い合わせが入るなど話題を集めている。

 熱波師として自ら高温サウナで汗だくになってうちわをあおぐ管理者の田中和宏さん(39)は「冷えが気になるこの季節、『温活』のひとつとして活用してもらえれば」と利用を呼びかけている。入浴料はいい風呂会員600円(土休日800円)、大人900円(同1200円)、小人400円(同600円)。問い合わせは北近江リゾート☎(85)8888へ。

2020年1月7日

米原で「長栄座」新春公演

和楽器と歌でめぐる湖国滋賀

 米原市の文産会館は明治時代、長浜にあった芝居小屋「長栄座」を再現。日本の伝統芸能を紹介する新春公演「音楽巡礼〜和楽器と歌でめぐる湖国滋賀」を18、19の両日、上演する。

 初日は「日本の歌曲ともに」と題して、新春にふさわしいプログラムを選曲。特別ゲストに山田流筝曲演奏家の大家・萩岡松韻さんと息女の萩岡松柯さん・由子さんを迎える。

 また、邦楽界で人気作曲家の池上眞吾氏を軸にしたユニットが二十五絃筝の名手、日原暢子さん、高月町出身の声楽家・横山政美さん(ソプラノ)、びわ湖ホール4大テノールの二塚直紀さんとともに、1日限りのスペシャルコラボを展開。湖国の美しい映像とともに和楽器と声楽が織りなす和の世界が堪能できる。

 主な演目は「春の海」「せきれい」「琵琶行」「近江八景」「近江の地酒スイーツ紀行」など。県邦楽専門集団「しゅはり」と養成講座受講生も出演する。萩岡松韻さんは「声楽とのコラボが楽しみ。楽しいハーモニーで日本伝統楽器に親しみを感じてもらえれば」と話している。午後2時から上演。入場料は一般2500円、青少年1500円。当日各500円増。

 2日目は古典芸能バラエティー「祝ふ令和 動物の芸能百花」。獅子、ウグイス、鶴、馬など多くの動物たちが令和の初春を祝う。

 能楽師・井上松次郎さん(和泉流)らの狂言「」は古典「猿婿」の劇中劇「嵐山」の場面から抜き出した。猿を偽人化しており、和尚と猿の話でコミカルで賑やかな作品。長唄舞踊「」はネコ2匹がじゃれあいながら、昼寝をする様を宮川町歌舞会が演じる。宮川町は1575年(天正3)、初興行。春の「京おどり」をはじめ「みずゑ会」「ゆかた会」などで有名。このほか、正絃社二代家元・野村祐子さんらの邦楽合奏「鳥獣戯画」、落語家・林家染二さんの落語「の犬」、人間国宝・富山清琴さんの地歌「」など。入場料は一般3000円、青少年2000円、当日各500円増。

 チケットはいずれも文産会館、長浜文芸会館、ルッチプラザ、プレイガイドで販売。

2020年1月4日

元三大師みくじで新年占う

「長浜城に初詣」に特設コーナー

 「今年は春から縁起が…」—長浜城歴史博物館に、おみくじのルーツとされる「元三大師」のコーナーがお目見えし、新年を占う観光客で賑わっている。

 コーナーは現在、開催中の特別陳列「長浜城に初詣」に合わせ設けたもので、江戸以降に出版された解説書「元三大師御籤本」を参考にして復元した。元三大師は平安時代に活躍した天台宗の僧侶で、玉泉寺(三川町)を開き、第18代天台座主に就任。「元三大師御籤」は現代のおみくじの起源とされ、第1番から100番まで五言四句の漢詩で吉凶や運勢を判断する。

 大吉、中吉、小吉など7種類あり、うち凶が約3割、大吉が2割を占める。「大吉」には「災難が退く」「待ち人来る」など、「凶」には「暗雲立ち込める」「失うもの多し」などと書かれている。同館は「あくまでも体験用。吉凶判断などは気にし過ぎないようにしてほしい」と話している。東京、浅草の寺では「元三大師御籤」が採用されているという。

 コーナーには解説書を基に作った「みくじ棒」(長さ6寸6分、幅3分)100本が入った「みくじ箱」(縦横4寸、高さ1尺)が置かれており、手順として如意輪観音を拝む際の呪文「おん ばらだ はんどめい うん」と心の中で3回唱えた後、両手でおみくじ箱を持って、振り出す。「みくじ棒」に書かれている番号の紙を持ち帰ることができる。

 岐阜県瑞穂市から家族4人で訪れた三鴨伸悟さん(42)たちは「大吉」。「子どもたちにいろんな体験をしてもらいたい、と長浜を訪れた。大吉なんて、正月から縁起がよい」と喜んでいた。

 おみくじは無料だが、入館料(大人410円)が必要。2月2日まで。

2020年1月1日

親の代理お見合い、ご縁届けて15年。良縁親の会

小谷丁野出身の脇坂章司さん設立

 親同士の代理お見合いを企画している一般社団法人「良縁親の会」(京都市)は2020年で設立から15周年を迎える。良縁親の会は、未婚率の上昇や少子化の進展に日本の行く末を案じた長浜市小谷丁野町出身の脇坂章司さん(86)=写真=が05年に設立し、代理お見合い「結婚支援フォーラム」を全国で開催してきた。昨年11月末までに累計442回開催し、延べ3万4000人が参加してきた。良縁親の会の設立背景から、これまでの取り組み、今後の展望などを脇坂さんに聞いた。

 

——良縁親の会を設立した経緯は?

 長年、ブライダル関連の会社で婚礼衣裳の取り扱いをしていました。定年退職後、「パラサイト・シングル」などと独身者が注目されていたことから、何かしら結婚をお手伝いできないものかと考えていたところ、一人っ子政策が進んでいる中国で子どもの結婚相手を親が探しているニュース番組を見たのがきっかけでした。日本でも息子や娘の結婚相手を探している親が多いはずだと、親同士のお見合いを思いつきました。当時72歳でしたが、長年、婚礼に携わってきたので恩返しをしたいという気持ちも強かったです。

——一般的な結婚相談所は独身男女のお見合いをサポートしますが、なぜ親同士のお見合いとしたのですか?

 長年、ブライダル関係の仕事をしていて気づいたのですが、親同士の仲が良いカップルほど離婚する確率が低いような気がします。「離婚なき結婚」のためには親が絡まなければならないと思いました。それが親同士のお見合いの開催につながりました。

——15年間の歩みを振り返ってください。

 初めての開催は京都でしたが、その後、大阪、名古屋、神戸に広がりました。2010年には九州で、翌11年には関東で初めて開催し、12年には累計参加者数が1万人を超えました。近年は自治体も後援してくれて輪が広がっています。17年には親と子が一緒に参加できるアラフォー向けの婚活「芳縁の会」もスタートさせました。現在は宮城県と福岡県に支部があります。

 良縁親の会はメディアに取り上げられていることもありますが、参加した親御さんの口コミで参加者の輪が広がり、今では年間50回近くの結婚支援フォーラムを開いています。

 成婚報告は求めていませんが「結婚しました」とお礼の手紙が届くと、やっていて良かったと思います。一番嬉しい瞬間ですね。

——親同士のお見合いがうまくいく秘訣はあるのでしょうか?

 こればかりは双方のご縁と言うしかないですが、親のエゴや頑固さ、子のわがままがご縁を遠ざけている面はあります。親が子の結婚相手に求める条件が厳しすぎて身上書の交換にすらつながらないケースもあります。本人同士がお見合いしないことには前に進まないのですが、そこにすら至らないのは、もったいない話です。極端な例ではフォーラムに80回参加しても、結婚が決まらない方もいますが、これも条件を絞ることによってご縁を遠ざけているのだと思います。

——50歳まで一度も結婚をしたことがない人の割合を示す「生涯未婚率」は上昇を続け、2015年には男性23・4%、女性14・0%となっています。男性の4人に1人、女性の7人に1人が一生独身なわけですが、未婚率の上昇をどう考えますか?

 現代は勇気をなくしている男性が多いと思います。振られたら恥ずかしいと。ダメ元の心意気でアタックして欲しいものです。また、女性は収入が多くなり、バリバリ働いて独身生活を謳歌しています。女性の自立も未婚率上昇の背景でしょう。企業はもっと結婚を支援すべきでしょう。内部留保を増やすばかりでなく、結婚祝い金や子育て支援など、結婚を後押しすべきです。企業の経営者は日本の将来をもっと考えるべきではないでしょうか。

 

今年7月8日 多賀大社で開催

——最近は神社でも結婚支援フォーラムを積極的に開催しているそうですね。

 神社で開催するのは、神様の力を借りる「神頼み」の側面もありますが、日本人の心の拠り所である神社でご縁を紡いでほしいとの願いを込めています。

 2009年の神戸市の生田神社会館に始まり、全国の神社で積極的に開いています。昨年は西宮市の西宮神社、大阪市の住吉大社、名古屋市の熱田神宮など6カ所で開きました。今年2020年は7月8日に多賀大社でも開催することが決定しました。

——今後の展望は?

 今後も地道にこつこつと、結婚支援フォーラムを全国で開催したいと思っています。まだまだ、私たちの取り組みを知らない方も多いです。2020年は設立15周年という節目の年となります。より多くの困っている方にご縁を届けたいと思います。

 

【良縁親の会】良縁親の会は全国で代理お見合いの会「結婚支援フォーラム」を開催している。フォーラムでは子の職業や年齢、身長、趣味、性格などのプロフィールを掲載した名簿をもとに、親が子のお見合い相手を探し、互いに条件が合えば、親同士で身上書を交換。お見合いにつなげる。成婚報告や報酬は不要で、気軽に参加できることから人気を集めている。

2019年12月27日

大玉のトマト、完熟!

脱サラの宮川さん、試練乗り越え

 下之郷町の宮川忠幸さん(44)は脱サラして、今シーズンからトマト栽培に挑戦。さまざまな試練を乗り越えながら、完熟の大玉トマトを出荷している。

 宮川さんは2年前、「思い切って農業を生業にしよう」と勤めていた会社を辞めた。実家は稲作中心の兼業農家だったが、新たなことを始めようと考えた。イチゴ栽培も視野に入れたが、湖北地域には競合する農家が多いことからトマト栽培に挑むことにした。

 8月に苗を植え、ビニールハウス内を暖房で温めて、トマトの流通が少ない冬の間、収穫できるようにしている。これまで375平方㍍のビニールハウス1棟を1人で世話してきた。

 ハウスでは大玉を中心に生産しており、水管理など初心者にとってトマト栽培は苦戦の連続だった。しかし、今では苦労が実り、中には400㌘以上のトマトもとれるように。一応のメドが立ち、ハウスを増築してトマト栽培に本腰を入れようとした矢先、父の忠治さん(享年70)が先月、急逝。父がしていた稲作など、農業全般をすべて自分が担うことになった。

 「トマトを続けるか否か」—宮川さんは「人とのつながりが増え、さまざまな人と出会えることが楽しく、励みになっている」と来年もトマト栽培にチャレンジする。「地方のものと違い、完熟した状態で出荷している。生産者の顔が見える真っ赤なトマト」と自慢げに話す宮川さん。今期の出荷は1月中旬まで続く。

 なお、大玉トマトは道の駅「浅井三姉妹の郷」、フレンドマートに卸している。一部は自宅でも1個200〜300円で販売。直売所は下之郷中町の南側。赤い幟が目印。31日と1月1日休み。

2019年12月26日

田中碧さん、ニッコール大賞に

ニコンのフォトコンテストで最優秀

 西浅井町大浦の田中碧さん(14)は第67回ニッコールフォトコンテスト(ニコン主催)トップアイ&キッズ部門で最優秀のニッコール大賞を受賞した。

 田中さんは叔父の影響で小学1年からカメラに興味を持つようになり、写真好きの父・伸征さん(50)とともに奥琵琶湖をフィールドに昆虫や動物が融和した風景写真を撮るようになった。

 県立河瀬中の写真部に入り、これまで数多くのコンテストに入選、入賞。今年も「キヤノンU—30部門」で佳作、「JPS(日本写真家協会)U—18部門」で優秀賞を受賞している。

 

 

 ニッコールフォトコンは一般を対象とした「モノクローム」「カラー」「ネイチャー」と18歳以下の「トップアイ&キッズ」の4部門あり、プロアマ問わず、参加できる。今回は4万1249点の応募があり、うち「トップアイ&キッズ」には1105点がエントリー。

 田中さんの作品「きらめきの向こう側へ」は琵琶湖岸の木に吊るされたブランコに乗る少女を写した作品。スローシャッターや偏光フィルターを使っており、鮮やかな光景の中、人物や木の幹だけが、ブレている。審査員からは「明日や未来を強く感じる作品。背景の山並みなどがブレておらず不思議な1枚」と高評価を得た。

 田中さんは「思いつきで撮れた写真。これまで動物を中心に撮影していたが、人物にも自信が持てるようになった。これからもどんどん撮ってゆきたい」と受賞の喜びを語っている。

2019年12月24日

長浜農高生徒、草木染めに挑戦

伝統の近江刈安を継承

 長浜農業高校で24日、古くから染料として使われている近江(別名・伊吹刈安)の草木染め体験があり、生徒たちが布を鮮やかな「からし色」に染め上げた。

 「刈りやすい草」として名付けられた刈安はススキ科の多年草で、各地に自生。天平時代から染料として利用され、中でも伊吹山3合目付近の刈安は周りに木がなく、日がよく当たるため、良質な色素を持っている。発色が良く、平安時代、黄色染料として朝廷にも納められた。近代は化学染料の普及などで、手間がかかる草木染めは減少し、近江刈安の栽培地や業者も無くなっていった。

 同校食糧生産分野の2年生は10月から、近江刈安を復活させるプロジェクトを開始。これまで伊吹山や西浅井町の山門湿原などで刈安を採取し、調査研究をしてきた。

 この日は生徒12人が米原市春照で「工房いぶき野」を主宰する的場いつ子さん(75)から近江刈安による染色法を学んだ。生徒たちは乾燥させた刈安を湯で煮出し、染液を抽出。板や洗濯ばさみで絞ったハンカチを液に浸し、ミョウバン(媒染剤)で定着させると、きれいな絞り染めができあがった。

 的場さんは「地元で草木染めをしている所は少ない。生徒たちがきれいに染め上げてくれて嬉しい」と話し、児玉聖人君は「染液の温度調整など難しかったが、手間がかかる分、楽しみが多い」と話していた。

2019年12月23日

長浜赤十字病院、NICUに県内初の個室

新生児医療の充実へ

 地域周産期母子医療センターに指定されている長浜赤十字病院で、NICU(新生児特定集中治療室)と、併設のGCU(新生児治療回復室)の改修工事が完了し、23日、竣工式が行われた。県内初となる個室を設けて家族で過ごせる場を提供するなど、新生児にも家族にも優しいゾーンに生まれ変わった。

 同病院は湖北・湖東地域の周産期医療の中核を担っているが、スペースが手狭だったことから、今年5月から約4億円をかけて改修工事を行っていた。面積を従来から倍増させ、NICUとGCUを合わせて2床増の21床体制とし、家族で過ごせる個室も計3室を新設した。県内でNICUとGCUに個室を設けるのは初めてという。

 また、吊り下げ式作業ユニット、点滴調剤室、医師・看護師控室などを設け、天井には間接照明を取り入れて新生児が「母体内」に近い環境で居られるよう配慮している。

 

 

 竣工式は長浜保健所、滋賀医大、県、長浜、米原両市から来賓を招いて行われ、楠井隆院長は改修工事で新しい機能が充実したことに触れながら「県北部の小児医療の一端を担っていきたい」とあいさつ。テープカットで竣工を祝った。

 同病院新生児科の山本正仁部長は、家族が周りの目を気にせずに過ごせる個室を設けることによって「ファミリーセンタードケア」(家族中心の治療・看護)が実現できると話している。

2019年12月20日

早川鉄兵さん初作品集、 絵本「白鳥になった王子」

古事記題材に 伊吹山の動物達が登場

 米原市を拠点に活躍する切り絵作家・早川鉄兵さん(37)が初の作品集となる絵本「白鳥になった王子」を能美舎(木之本町大音)から発行する。

 古事記の「伊吹山の白猪」を題材に、早川さんがオリジナルのストーリーを創作した。ある国の王子が山の神に決闘を挑もうと山へ向かい、先々で出会う動物たちに思い留まるよう説得されるが、聞く耳を持たずに山の奥へと進んでゆく物語。シカやキツネ、クマなど伊吹山に生息する野生動物の生き生きとした姿を早川さんが17点の切り絵で表現している。

 古事記の「伊吹山の白猪」は荒神退治へと伊吹山に入った日本武尊が荒神の白猪が降らせた氷雨によって返り討ちに遭い、山麓の湧き水で正気を取り戻す物語。絵本では日本武尊を「王子」、伊吹山を「北の山」としている。また、古事記では山中の描写がないことから、早川さんが想像をめぐらせて、日ごろ出会う動物たちを登場させた。

 早川さんの切り絵に魅了された能美舎代表の堀江昌史さん(33)が早川さんに絵本の製作を提案し、約1年かけて完成させた。堀江さんは「動物がたくさん出てくるので小さな子どもでも楽しめる。アートに触れるきっかけにもなれば」と話している。A4判40ページ。2200円(税別)の一般流通版と、切り絵の複製を付録にした3000円(同)のイベント販売用がある。1月14日から一般販売予定。問い合わせは能美舎℡080・2079・4692へ。

 絵本「白鳥になった王子」の発刊を記念して、1月5日から13日まで、ながはま文化福祉プラザ(さざなみタウン内)で原画展などが開かれる。

原画展とワークショップ

 プラザ内に絵本の原画をはじめ早川さんの作品を展示する。12日午後1時半からは多目的ホールで早川さんのトークイベントと絵本の読み聞かせ(定員100人、無料)。11日午前10時、午後1時半、13日午前10時、午後1時からは動物切り絵ワークショップ。11日が子ども向け(定員各回20人、参加費1000円)、13日が大人向け(35人、2000円)。申し込みは、ながはま市民協働センター℡(65)6525へ。