2022年3月10日

自然環境の実態と保護伝える

故・村上さん「やさしいネイチャーウォッチング」発刊

 長年、自然環境保護活動に取り組んだ村上宣雄さん(享年77)が地域情報誌「長浜み〜な」に連載した原稿を再編集した「やさしいネイチャーウォッチング—自然を守り育てる仲間づくり」がサンライズ出版から発行された。

 村上さんは中学校の理科教員を38年間務めた。生涯を通じて数多くの自然観察会を企画して自然保護の大切さを訴え続けた。山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会、滋賀自然環境研究会、滋賀環境教育研究グループ、滋賀ビオトープ研究会、滋賀のオオサンショウウオを守る会、奥びわ湖観光ボランティアガイド協会などで活発に活動した。

 「長浜み〜な」では21年間にわたって「やさしいネイチャーウォッチング」を連載。学校や地域での自然観察会や生き物を守る活動、ビオトープづくりなどをレポートした。

 同書では連載約80本を再編集し、「微生物のすごさ」「生きものを増やす」「生きものを守る」「生きものが危ない」「余呉湖」「食べる楽しみ」「鳥と私たちの関係」「ビオトープ」「核のごみを考える」をテーマとした9章の構成となっている。

 山門水源の森の里山再生活動の成果、びわ中学校による琵琶湖のヨシを増やす活動、木之本町古橋のオオサンショウウオの保護、イヌワシやクマタカが直面する危機的な実態などを、データ分析しながら解説し、読者が少しでも自然に関心を持つようにしている。

 また、旧余呉町で2006年に浮上した高レベル放射性廃棄物処分場の誘致問題を取り上げ、過疎地に犠牲を強いる手法として批判。核ごみに関する国民的論議の必要性と、原子力に頼らないエネルギー政策転換を訴えている。

 同書は2019年、村上さんの闘病中に編集作業が進められ、1回目の校閲を終えたのは翌20年2月29日に亡くなる1週間前だった。妻の尚子さん、長男・悟さんも編集に協力した。

 A5判216ページ・2400円(税別)。県内主要書店を中心に販売している。問い合わせはサンライズ出版℡0749(22)0627へ。

2022年3月3日

規格外絹糸で肌スベスベ

浜ちりめん製造ヤブウチ 入浴剤開発

 長浜の特産絹織物「浜ちりめん」を製造・販売するヤブウチ(八幡中山町)が、製造工程で出る規格外の絹糸を使った入浴剤を開発。「絹糸の湯」と名付けて販売するプロジェクトを進めている。

 天然繊維である絹糸の製造では糸の凹凸を取り除く「フシ取り」などの過程で規格外の糸が発生する。これまでは廃棄処分していたが、SDGsの観点から何か有効利用できないかと社内で検討。絹糸に含まれるたんぱく質成分「セリシン」が保湿性や抗酸化作用などの機能を持つことに注目した。

 日常的に絹糸の加工を担う同社の職員の手は、寒い冬でもあかぎれなどの手荒れがなく、みずみずしいことから、入浴剤として使えないかと提案があり、開発を進めてきた。

 絹織物は製品化の前に「精練」と呼ばれる工程でセリシンや不純物を除去するが、入浴剤の開発にあたっては精練を浅くかけることによってセリシンをたっぷり含んだ状態を維持した。

 「絹糸の湯」はこのセリシンをたっぷり含んだ糸をオーガンジーの袋に包んでいる。浴槽に入れると水溶性のセリシンが湯に溶け出す。社員が使用したところ「お湯がやわらかくなった」「肌がすべすべ、しっとりする」と実感したという。絹糸は100%自然由来のため、同社では「肌が敏感な方、市販の入浴剤が合わない方に試してもらいたい」としている。

 籔内猛之社長(67)は「この入浴剤を通じて多くの人に絹の持つ魅力を伝え、そこから着物文化へ興味をもっていただければ」と話している。

 なお、同社では15日まで「絹糸の湯」をPRするクラウドファンディングを実施し、返礼品として提供する。詳細はキャンプファイヤーのサイト(https://bit.ly/34ysRa7)から。

 

2022年3月2日

滋賀夕刊賞に寺村君「馬車道新聞」

長浜城博物館  自由研究コンクール

 歴史系自由研究コンクール「長浜城H-1グランプリ」の優秀作品展が2日から長浜図書館2階で始まった。

 コンクールは長浜城歴史博物館と同館友の会が、子どもたちの思考力や創造力、表現力を養おうと開催し、今回で10回目。「ぼく・わたしが住んでいる地域の歴史や人物」をテーマに新聞スタイルの作品を募集し、市内の小中学生から93点の応募があった。

 金賞にびわ北小6年の藤田真緒さんの「石田三成新聞」、銀賞に長浜南中1年の岩崎貫汰さんの「五先賢新聞」、銅賞に湖北中1年の山内結貴さんの「観音の里新聞」、審査員特別賞に浅井中1年の本田顕心さんの「史上最強の天皇 後鳥羽上皇 長浜市の名越に2度潜幸伝説に迫る!」を選んだ。

 また、コンクール共催の滋賀夕刊賞には長浜小6年の寺村勇亮くんの「馬車道新聞」が選ばれ、同社が新聞スタイルに再構成した。八幡中山町などを通る「馬車道」の歴史を調べ、明治期に長浜—関ケ原間に鉄道が走り、廃線後に乗合馬車が運行されていたことなどをレポート。寺村くんは通り沿いにある池田屋(西上坂町)、柏屋老舗(分木町)にも取材し、柏屋老舗が馬車停車場の待合場所となっていたことを紹介している。

 優秀作品展では入賞5点を展示している。16日まで。また、4月1日から5月8日までは長浜城歴史博物館でも展示する。

2022年2月17日

一貫斎の飛行機模型 初公開

鈴木さんが制作、国友鉄砲ミュージアムで

 国友鉄砲研究会メンバーで模型飛行機マニアの鈴木健市さん(81)=八幡東町=は、江戸時代の発明家、国友一貫斎(1778〜1840年)が考案した飛行機絵図の縮尺模型を製作し、国友鉄砲ミュージアム(国友町)で展示している。

 絵図面は一貫斎が鳥に模した飛行機を描いた「阿鼻機流(あびきる)大鳥秘術」。寸法も書いており、文政13年(1830年)に江戸幕府に提出した飛行機構想の資料とみられる。

 鈴木さんは少年時代から模型飛行機、グライダーなどの製作が趣味で、一貫斎発明品の復元企画で鳥形飛行機の製作を担当。縮尺10分の1模型を木と紙を材料に1カ月半がかりで1月末ごろ完成させた。大きさは縦66㌢、横120㌢。

 実際には飛べない構造だが、鈴木さんは「図面には鳥のように飛びたい強い願いが現れている」といい、数々の発明品を生み出した実績から「あと5年も長生きすれば世界初の飛行機を完成させた可能性がある」と、その才能を惜しんでいる。さらに、一貫斎の自画像では、手にした掛け軸から鳥が飛び出す図が描かれており、この絵からも飛行機への関心の高さがうかがえるという。

 特別展「一貫斎への招待」で3月末まで展示される。期間中は無休。問い合わせは℡(62)1250へ。

2022年2月16日

夫婦の絆はどれだけ強い?

糊でくっつくフクラガエル 長浜バイオ大・倉林准教授が接着力研究

 長浜バイオ大アニマルバイオサイエンス学科の倉林敦准教授(50)が広島大学両生類研究センターと共同で南アフリカ原産のフクラガエルの糊(のり)粘膜の成分解明に取り組んでいる。

 フクラガエルは丸々とした愛らしい体型から、ペットとして飼育するファンが日本でも多い。メスに比べてオスが非常に小さいことから、交尾(正しくは抱接)の際にオスがメスを抱きかかえられず、このため、皮膚から糊を分泌して体を接着することでつがいを作るユニークな特徴を持っている。

 これまで糊を人工的に分泌させられず研究が進まなかったが、倉林准教授は電気刺激を与えることで糊の分泌を促し採取することに成功した。

 糊の調査では時間経過とともに接着力が強力になり、面ファスナー(マジックテープなど)と同程度の接着力を持つことが分かった。

 また、オスとメスが違う種類の糊を出し混ぜ合うことでより強い接着力が生じるという「エポキシ仮説」が有名だったが、研究ではオスとメスの糊に大きな違いがないことが明らかになり、双方の糊を混ぜた場合でも変化はなかった。また、オスは糊を出さない別の種類のメスに対しても接着することが確認された。

 「夫婦の絆の強さ」を連想させるフクラガエルの接着力の強さだが、今回、オスが別種のメスにも接着できる生態が分かったことで、その「浮気性」も明らかになった。

 倉林准教授は2003年に広島大学両生類研究センターに赴任したのを機に、ユニークな体位で交尾するフクラガエルの生態に興味を持ち、研究を始めた。2015年以降、計4回、南アフリカで現地調査し、十数種類のフクラガエルの粘液の採取に成功。「瞬間接着剤顔負け」の強力な糊を出す品種も発見している。フクラガエルは20種類が確認されているが、倉林准教授はまだ名前のない新種も発見している。

 なお、フクラガエルの糊はアレルギー反応の出にくい「生体接着剤」として皮膚や骨の接合など手術現場で応用できる可能性があり、倉林准教授は「糊物質の正体や、糊に関わる遺伝子について研究を進めたい」とコメントしている。

 研究成果は15日、国際科学雑誌「SALAMANDRA」に掲載され、フクラガエルの交尾のようすが雑誌の表紙を飾っている。

2022年2月10日

昆虫食が食料危機を救う!?

長浜バイオ大学 コオロギ食用化を共同研究

 「地球規模の食料問題の解決と人類の宇宙進出に向けた昆虫が支える循環型食料システムの開発」—。長浜バイオ大学が壮大なテーマを掲げる内閣府主導のプロジェクトに参加し、将来の食料難を救う切り札として注目を集める「昆虫食」の具現化に向けて研究開発に取り組んでいる。

 世界の人口は現在の78億人から2050年には98億人へと増加し、食料生産が追い付かない状態になるとされ、国際連合食糧農業機関は2013年、その解決策として昆虫の活用を提案。これを受け、世界規模で昆虫食の研究が進んでいる。

 内閣府主導のプロジェクトには長浜バイオ大を含め10の大学と研究機関が参加。長浜バイオ大ではアニマルバイオサイエンス学科の小倉淳教授を先頭に、教員、学生が研究に取り組んでいる。

 食料危機の切り札がなぜ昆虫食なのか。小倉教授は「昆虫は温室効果ガスの排出量が極めて少ない利点がある。さらには牧場のように広大な飼育スペースを必要とせず、栄養価の面でも優秀。例えば、鶏のササミのタンパク質が重量当たり約25%だとすれば、コオロギは約80%。持続可能な次世代のタンパク質源として非常に有望」(大学広報誌めいこう46号)と説明している。つまり、昆虫食の研究は遠くない将来、人口増加でタンパク質の供給が追い付かなくなる「タンパク質クライシス」への備えというわけだ。

 長浜バイオ大では昆虫の食料化・飼料化に取り組み、「昆虫ゲノム育種」「昆虫由来水産飼料開発」「コオロギ由来食料開発」「社会実装」の4つの視点で研究を進める。先行する欧州ではヨーロッパイエコオロギの食用化が進んでいるが、比較的湿度が高い日本では生育に課題があることから、日本全国でコオロギを採取して飼育し、最新のゲノム解析技術を用いて、日本独自の低コストで生産性の高い品種を目指している。

「食材の優秀さ、知って」澤田さん  飼育環境など模索

 このうち、「昆虫ゲノム育種」と「社会実装」を担当する学生の一人が、メディカルバイオサイエンス学科3年生の澤田祐衣さん(21)。子どものころから昆虫が大好きで、特に蛾に魅力を感じ、自宅では蚕を飼育している。

 藻類の分泌する糖類が水中のマイクロプラスチックを絡めとって除去する研究を行っていたところ、昆虫好きを知っていた小倉教授から勧誘され、プロジェクトに参加。全国のコオロギの採取、飼育、観察を担当している。湿度や温度に注意しながら最も適した飼育環境を模索している。観察を重ねるうち体長5㍉程の小型のコオロギが、カビの生えた餌を食すなど劣悪な環境でも生存できることに気づいた。

 また、昆虫食を広める「社会実装」では、どのように情報発信すれば、昆虫食への理解を深められるのかを研究している。これまでの調査で、男性に比べ女性の方が昆虫食への関心が高く、「栄養価の高さや環境問題への意識の高さが背景にあるのかもしれない」と語る。コオロギを粉末状にした「コオロギパウダー」は高タンパクで、筋トレやダイエットに励む女性はあまり嫌悪感を抱かずにプロテインとして注目しているという。

 個人的にも昆虫食への探求心が強い。コオロギパウダーを使った料理を食したり、「タガメ酒」を自作したり、自宅で飼育する蚕をボイルして試食したりと、好奇心は尽きない。

 「昆虫のことを何も知らないままで嫌いになるのではなく、食材として優秀なことを知って欲しい」と澤田さん。今は昆虫食にエンターテイメント性を求める人が多いが、「スーパーに昆虫食が並ぶ将来になれば」と、昆虫食が食卓を飾る未来を夢見ている。

2022年2月10日

伊吹山ふもとに「宇宙図書艦」

数学や宇宙など2000冊  5月開設へ

 伊吹山のふもと、米原市春照に今年5月、さまざまな分野の本を並べる私設図書館「宇宙図書艦 Hull_Terrace」を、東近江市内でリラクゼーションサロンを経営する安川美佐子さん(50)がオープンさせる。現在、クラウドファンディングで改装費の支援を募っている。

 安川さんは数学塾を経営していた父親の岡本礼二さん(故人)の影響で、数学や宇宙など約5000冊の本に囲まれた生活を送ってきた。このまま眠らせておくのはもったいないと、7年前から「宇宙図書艦プロジェクト」と題した私設図書館の整備を計画。適した場所を探していたところ、リラクゼーションサロンの利用客が所有する農業倉庫の紹介を受けた。

 農業倉庫は2階建てで、釣り天井や床板の設置、断熱施工などの改装を行い、5月15日にオープン予定。父親から譲り受けた数学や宇宙などの専門書をはじめ、小説、実用書、漫画など計約2000冊を並べる。このほか、ギャラリーやマルシェ、ライブなどに利用できるマルチスペース、ミシンや楽器などを置くシェアルームも整備する。

 図書館名は、春照の訓読み「はるてらす」の音の響きから英語で「Hull」(船体)、「Terrace」(遺構)と表現した。安川さんは「皆さんに宇宙人の気分になってもらえるよう、楽しく作り上げていきたい。多くの人に本を読んでもらえたら、父も嬉しいと思う」と話している。

 改装費を募るクラウドファンディングは3月30日まで「キャンプファイヤー」で実施。目標額300万円。リターン品はオリジナルブレンドアロマ、宇宙図書艦一日貸し切りチケット、フレンチレストランのパーティーなど。詳細はキャンプファイヤー(https://bit.ly/3JC4FlX)へ。

2022年2月4日

琵琶湖パールとイチゴの洋菓子

尾崎さん 期間限定でえきまちテラス長浜に出店

 えきまちテラス長浜1階のチャレンジスペースに2日、琵琶湖パールを使った手作りアクセサリーと、長浜産イチゴの洋菓子を扱う店「TROIS(トロワ)3」が期間限定でオープンした。

 店主の尾崎友美さん(39)=新庄中町=は兵庫栄養調理製菓専門学校の講師や北ビワコホテルグラツィエの製菓長を務めるなどパティシエとして20年のキャリアを持つ。同ホテルのショップで琵琶湖パールのアクセサリーに出会って以来、その魅力の虜となりアクセサリー作りに没頭。昨年、ホテルを退職し、アクセサリーの制作・販売へと舵を切った。

 尾崎さんが使用する琵琶湖パールは形や色が不揃いだが、「1つとして同じものがないのが嬉しい」と語る。チャレンジスペースにはピアスやリング、ブローチなどが並び、黒壁にちなんでガラスを多用した作品も多い。

 洋菓子は長浜産のイチゴ、県産の米粉、薄力粉を使うなど材料にこだわった「苺シフォン」や「苺タルト」などを販売。「苺シフォン」は瓶にイチゴと生クリーム、シフォン生地を詰め、見た目も可愛らしいスイーツに仕上がっている。

 「これまでは作ってばかりでお客さんとしゃべることが少なかったので、対面販売で気付かされることが多い」と尾崎さん。「ここでの経験を生かして、いつかアクセサリーと洋菓子の店を持ちたい」と夢を語っている。

 出店期間は28日まで。営業時間は午前11時から午後5時まで(なくなり次第終了)。火・日曜定休。

2022年2月1日

湖北から2人 世界大会へ

きもの装いコンテスト関西大会入賞

 着物をいかに美しく装えるかを競う「全日本きもの装いコンテスト」の関西大会で、米原市上多良の松田清楓(さやか)さん(17)と、同市米原西の宮川佳奈さん(23)が入賞し、4月に東京で開かれる世界大会に出場することが決まった。

 コンテストは全日本きものコンサルタント協会が毎年開催し、振り袖、留め袖、カジュアルなど6部門で、鏡を見ずにいかに1人で美しく装えるかを競う。着装審査後のスピーチも評価の対象となる。関西大会は1月中旬に奈良市内で開かれ、約70人が出場した。

 カジュアル部門に出場した松田さんは小紋を素早く綺麗に着こなし、女王、準女王に次ぐ1位に輝いた。小学2年生からコンテストに挑戦し、世界大会への出場は今度で4回目となる。ただ、これまで1度も1次審査を通過できておらず「さらに早く、美しく着られるようにけい古を重ね、表彰台を目指したい」と語っている。

 振り袖部門に出場した宮川さんは2位に入賞。出場15人の中で最も早い約7分で装った。スピーチでは子ども向けの着物教室を手伝ったり、米原中学校で浴衣の着付けを教えたりした経験をもとに「次の世代に着物を伝えたい」と話した。世界大会では母親の振り袖で出場し、着物文化の継承をPRしたい考え。

 2人を指導している松田陽子さん(48)=米原市上多良=は「世界大会への出場を決めてくれて、ほっとしている。2人にはこれからも着物に携わってもらい、日本の文化を若い世代に伝えて欲しい」とエールを送っている。

2022年1月21日

どぶろくに挑戦 長浜の米と水で

ハッピー太郎醸造所が免許取得  3月初出荷へ

 元浜町の商業文化施設「湖(うみ)のスコーレ」に入居する発酵食品製造販売「ハッピー太郎醸造所」が18日、「その他の醸造酒」の醸造免許を取得し、どぶろく醸造に挑戦することになった。2月初めに醸造を開始し、3月にも初出荷する見込みで、長浜の米と水を使った新しいどぶろくに期待が寄せられている。

 同醸造所を運営するのは大津市育ちの池島幸太郎さん(43)。京都大学在学中、日本酒に出会い、「蕎麦屋で酒を飲むのが好きだった」と振り返る。卒業後、酒造り職人「杜氏(とうじ)」を目指し、島根県の有機農業法人「やさか共同農場」に入社し、米づくりや味噌加工に従事。冬は「日本海酒造」(同県)で酒づくりの基礎を学んだ。大阪の日本酒専門店で流通について知見を深めた後、滋賀に戻り冨田酒造(木之本町木之本)、岡村本家(豊郷町)に勤務。岡村本家ではオリジナルの日本酒を醸造し、ウィーンにも輸出された。

 2017年に彦根市内に自身の名を冠した「ハッピー太郎醸造所」を開設した。「醗酵でつなぐ、しあわせ」をコンセプトに、「糀(こうじ)屋」として、冬は米麹と味噌、夏は鮒ずし仕込みに励むなど発酵食品を製造販売するとともに、滋賀の発酵文化の発信も行ってきた。

 昨年12月「湖のスコーレ」のオープンにあたって店舗を長浜へ移転。学生以来の夢だった酒造りに向けて準備を進め、18日に念願の免許を取得した。今後、従来の発行食品の製造販売を続けながら、どぶろく醸造に挑戦する。

 免許取得に合わせて醸造用のサーマルタンク2本を導入。タンク1本あたり500mlのどぶろく600本を製造できるという。

 どぶろくは、自然循環型農業に取り組む「シバタグラウンドミュージック」(湖北町小倉)の米と伊吹山の伏流水である地下水を使用する。3月中には出荷できる見込みで、池島さんは「米や水のおいしさが伝わり、長浜の土地が見えてくるような、力強いどぶろくを作りたい」と話している。

 なお、ハッピー太郎醸造所では21日から、どぶろく醸造の初期製造資金100万円をクラウドファンディングで募集。同日正午時点で82人から約94万円の資金が寄せられている。詳細はキャンプファイヤー(https://bit.ly/35jpGmv)へ。

 

 【どぶろく】日本の伝統的な酒のうち、米と米麹と水を原料として発酵させた酒を指す。一般的な日本酒は発酵後にろ過することで酒粕と酒に分離するが、どぶろくはろ過しない。このため、米の甘みと香り、適度な酸味を楽しめ、栄養も豊富。

2022年1月20日

長浜の洪水をリアルに体感

VR型防災教育展 滋賀大で

 滋賀大経済経営研究所(彦根市)は、実際の町並みを撮影したうえで洪水の模様を体感できる「VR型防災教育システム」を開発。「いま ここにいる感覚」と題して、撮影や開発の模様を紹介したパネルや機器を士魂商才館1階で展示している。今月21日と2月4日の正午からはVRの実演体験会がある。

 同研究所は画像解析技術とバーチャルリアリティーを融合させたVR型防災教育システムを研究。2017年8月の台風5号の影響で洪水が発生した長浜市大井町の南大井地区の道路約150㍍を全方位カメラで撮影した画像を用い、平常時と洪水が発生した際を体感できる映像を開発した。

 大井町では、姉川の大井橋付近の堤防から水があふれ、床上浸水1軒、床下浸水15軒の被害が出た。VR上の画面では大井町の実際の町並み画像に「浸水ボタン」「通常時ボタン」が示され、浸水ボタンを押すと、洪水の際のイメージ画面に切り替わる。

 防災教育の現場ではVRを使った仮想世界での訓練が広がっているが、災害に直面しているという感覚が乏しく、ゲーム感覚になってしまうなどの課題がある。同研究所が開発したシステムは実際に町並みを撮影した画像を使っているため、臨場感のあるシチュエーションを体感できるのが特徴となっている。

 監修者でデータサイエンス学部の佐藤智和教授は「リアリティーのある『いまここ感』を感じ取りながら防災教育ができる技術として開発した。この研究で得た知見を生かし、安心安全な社会の実現に貢献したい」と話している。

 展示は平日の午前9時から午後5時、6月30日まで。なお、体験会は複数回にわけて実施。申し込みは同研究所℡0749(27)1047。

2022年1月14日

66カ国のローカル料理紹介

長浜市立図書館 JICAと共催で

 JICA(国際協力機構)の青年海外協力隊としてアフリカやアジアなどの途上国で活動した66人が赴任地で食べた料理を紹介する展示「どローカルごはん紹介します展」が14日から市内3図書館で始まった。

 展示は任意団体の青年海外協力隊大阪府OB・OG会が出版した料理本「くらして初めて知った どローカルごはん 日本で作れる世界のレシピとお話」を通して、世界のローカル料理を紹介するもの。長浜市立図書館とJICA関西の共催で、協力隊員が各国で出会ったローカルフードのレシピをタペストリー状にして掲示し、関連図書も並べている。

 14日から2月2日までは浅井、びわ、虎姫で、同4日から20日までは長浜、湖北、高月の各図書館で開催。

 びわ図書館ではケニア、ウガンダ、ニジェールなどアフリカ18カ国のレシピを紹介。ウガンダで人気のファストフード「ロレックス」、ザンビアの家庭料理でオクラとトマトの煮込みスープ「デレレ」、エスワティニのスパイシー煮物「チャカラカ」など日本では見かけることのない料理が並んでいるが、日本でも再現できるようにと国内で手に入る材料を記している。色彩の鮮やかなアフリカの民族衣装も展示している。

 JICA国際協力推進員の桂武邦さん(36)は「メジャーではなくローカルな料理を選んでいる。展示を通して世界には知らない国、知らない料理がいっぱいあることを知ってもらい、協力隊にも興味を持ってもらえれば」と話し、市立図書館司書の松山ゆかりさん(52)は「図書館6館全部をまわって世界1周を楽しんでほしい」と来場を呼びかけている。