2019年7月8日

餅の井と世々開長者

中野町の古民家で歴史企画展

 NPO法人「自然と歴史ロマンの会」(丸山竜平理事長)は、中野町の古民家「世々開の館」で、伝説の用水路「餅の井」にスポットを当てた企画展を開いている。

 中野の農民たちは昔、夏場の水不足に悩まされていた。約10㌔上流の高時川から水を引くことを考え、この思いを地元の豪族・世々開長者が浅井久政らに伝えた。

 高時川には木之本町古橋の井明神橋を挟み500㍍の間に6つの井堰があった。水不足を解消するには最上流に堰を設けることが不可欠と考えた長者は約半世紀前、この地を支配していた井口に許可を求めた。長者は井口から課された餅など牛千頭分の荷物の献上など、無理難題をクリアし、最上流に井堰を造ることが許可され、「餅の井」と名付けられたという。

 工事に際しては村と村の間で調停が行われ、困難な掘削に対して多大な労力や資金が注がれた。その介あり、用水は確保できるようになったが、干ばつになると、かんがい時の決まりとして堰の一部を切る「井落とし」が行われた。

 企画展では「世々開長者」や「餅の井」の歴史にふれながら、取水口「頭首工」(木之本町古橋)から中野までの流路の写真、解説パネルなど約100点を展示。先人の偉業を顕彰している。

 会場は専宗寺向い。午前9時から午後4時、14日まで。無料。問い合わせは横田さん☎090(9095)1914。

2019年7月6日

賤ヶ岳リフト、新装オープン

地元待望、若者・女性もターゲットに

 賤ヶ岳リフトが6日、リニューアルオープン。この日、木之本町大音のリフト乗り場で開場式が開かれた。

 リフトは午前9時から午後5時(11月は4時)、12月1日まで運行。料金は従来と同じく中学生以上片道450円(往復900円)、小学生250円(500円)。

 リニューアル特典として今シーズン、利用者には「賤ヶ岳の絶景」「羽柴秀吉の家紋」が描かれた2種類のオリジナルうちわ、いずれかをプレゼントする。問い合わせは賤ヶ岳リフト☎(82)3009へ。

早期再開望む声、奥伊吹観光名乗り

 リフトは昨年3月23日、大雨で中腹の大量の土砂が崩落し、運行が不可能に。また、利用者はピーク時の2011年、約3万7000人余りいたが、17年は採算ベース(2万人)を割り、1万7000人まで落ち込んでいた。

 復旧工事もされず、昨シーズンを棒に振り、今シーズンに入っても再開のメドが立たないまま。地元や観光関係者からは早期再開を望む声が出ていた。

 運営していた近江鉄道は地元と再開に向けて、協議を進め、その中で譲渡を模索。新たな先として米原市甲津原の奥伊吹観光(草野丈太社長)が名乗りを上げた。

 奥伊吹観光は奥伊吹スキー場やグランピング施設「グランエレメント」の運営しており、現場で培ったノウハウを活用して、賤ヶ岳リフトを運営することに。崩落現場の復旧工事や眺望を確保するための雑木伐採などは同社のグループ企業「草野組」が担当した。

「地域の活性化に貢献したい」

 賤ヶ岳リフトの利用者の週末の利用者は約4割がシニア層。平日になるとさらにその傾向が強まり、9割を占める。

 奥伊吹観光は利用客の増大を図るため、女性や若者をターゲットにしたPR作戦を展開。看板を一新し、ホームページやSNSで情報発信。山頂テラスの開発やアスレチック施設の整備なども検討している。

 この日の開場式で、草野社長は「一旦、賑わいが途絶えたリフトの再開は難しいと思ったが、山頂に登り自分の目で確かめて『きれいなビューを何とかしたい』という衝動にかられた。地域の人に気軽に来てもらえるようにし、ミレニアム世代のコンテンツ作りをしたい。安全最優先に運行し、地域の活性化に貢献したい」と抱負を述べた。

2019年6月29日

スーツNG!私服で就活 学生に好評

長浜で「夏フェス」就職面接会、企業名隠すブースも

 湖北地域の企業60社が参加する学生就職面接会「湖北就活ナビ」が28日、長浜バイオ大で開かれた。学生の売り手市場を背景に近年、参加者が減少しているが、今年はコンセプトを一新して私服での参加を呼びかけたところ、昨年の倍となる87人が来場。リラックスできる雰囲気が学生にも好評で、主催者は手応えを感じている様子だった。

 面接会は若者の地元への定着と、地元企業の人材確保を目指し、2011年から長浜、米原両市が実行委員会を組織して毎年、開いている。当初は「リーマンショック」により就職先が見つからない学生に地元企業を紹介するのが目的で、初年は308人の来場があった。しかし、その後の景気回復に伴って人材が大手企業や都市部の企業に流れ、参加者は年々減少。昨年はわずか40人の参加しかなく、いかに学生を呼び込み、地元企業の魅力を発信するのかが課題となっている。

 今年は「夏フェス」をコンセプトに、学生が参加しやすい雰囲気づくりに取り組んだ。企業の担当者、学生、会場スタッフ全員を「スーツNG」として私服を義務付け、BGMにポップスを流すなど、面接会の堅苦しい雰囲気を取り払った。また、企業名を出さないことで、学生が先入観を持たずに企業の雰囲気や担当者の人柄などを知る「共感ブース」も設けた。

 参加した学生はリラックスした雰囲気で企業ブースを回り、企業の担当者と話を弾ませていた。参加した学生は「スーツだと縮こまってしまい、聞きたいことがあっても聞きにくい。きょうは気軽に話をできる雰囲気だった」「参加しやすい。来年もこのスタイルを続けたらいいと思う」と満足気。また、「個人的にパンプスが苦手なので、スーツNGはありがたい」と語る学生もいた。

 企業名を一切明かさない共感ブースに出展した企業の担当者は「これまでも出展していたが、学生がブースに来てくれない。同じようにやっていてはダメだと、チャレンジしてみた。うまくマッチングできるかは分からないが、面白い企画だ」と話し、学生は「仕事の雰囲気や、担当者の人柄、上司との人間関係などが分かった」と話していた。

2019年6月26日

佐藤酒造の「大湖」最高位

ロンドンの日本酒品評会で

 欧州での日本酒の普及のため英ロンドンで毎年開かれている品評会「ロンドン酒チャレンジ2019」(酒ソムリエ協会主催)で、佐藤酒造(榎木町)の特別純米酒が最高位のプラチナ賞を受賞した。

 受賞したのは「大湖特別純米酒」(海外専用銘柄、国内では「湖濱特別純米酒」として販売)。長浜産の山田錦を原料とし、柔らかな口当たりと芳醇な米の旨みが特徴。肉やチーズ、濃厚な味わいの料理などと一緒に楽しめるという。

 品評会は2012年のロンドン五輪に合わせて始まった。今年は5月19日にロンドンの老舗高級百貨店ハロッズで開かれ、世界で活躍する酒ソムリエ28人が味わい、フードペアリング(料理との相性)、ラベルやボトルのデザインを審査した。先日、受賞者の発表があり、最高位のプラチナ賞に佐藤酒造を含む国内18社の日本酒が選ばれた。

 「大湖特別純米酒」は、15年に金賞、16年に銀賞を受賞し、3度目となる出品で最高位に輝いた。佐藤硬史社長(45)は「世界基準で最高位に評価され、日本人だけでなくロンドンの人でも楽しめる味ということが証明された。フードペアリングでも評価を頂け、とても嬉しい」と語り、「地酒を通して長浜の魅力を世界に伝えることを企業理念としているので、受賞は自身の励みになる」と話している。

2019年6月20日

水谷さん、水球日本代表に

ユニバーシアード出場、伊ナポリへ

 西野町出身で日体大3年の水谷瞬也さん(20)=写真=が7月にイタリアで開かれるユニバーシアード競技大会に水球男子日本代表として出場する。日本の看板を背負うのは長浜北星高校時代にアジア選手権に出場して以来2度目で、「自分の持っている力を発揮し、毎試合1得点は取りたい」と決意を語っている。

 ユニバーシアードは国際大学スポーツ連盟が主催する学生を対象にした国際総合競技大会で、30回目となる今年の大会は7月3日から14日までイタリアのナポリで開かれる。日本代表は水泳のほか、陸上、サッカー、テニス、バレーボールなど15競技に出場し、選手280人、監督・コーチ陣84人ら総勢417人で編成される。

 水谷選手は小学4年生で水球を始め、長浜スイミング(現エル・アテインスイミングスクール長浜)で基礎を積んだ。長浜北星高校2年生の時、U17日本代表としてアジアエージグループ選手権に出場。11得点の大活躍で日本優勝に貢献した。北星高を卒業後は名門の日体大に進学。オリンピックを目指し、その足掛かりとしてユニバーシアード出場を目標に練習を重ねてきた。ゴールデンウイークに富山県で行われた選考合宿でプレーが評価され、代表選手13人の一員に選ばれた。

 ユニバーシアードでは日本はオーストラリアやハンガリーなど強豪ひしめくグループで予選を戦う。水谷さんは「ヨーロッパの選手と戦うのは初めて。体格が大きくつかみ合いには勝てないので、スタミナをつけて泳ぎたい」と語り、「キーパーも大きいし、日本の試合で入るシュートも、簡単には入れられないと思うが、毎試合、最低でも1得点を決めたい」と意気込んでいる。