2022年6月6日

47年ぶり 滋賀で全国植樹祭

森林を育み 次の世代へ

 第72回全国植樹祭が5日、甲賀市の「鹿深夢の森」を主会場に県内10カ所で開かれた。「木を植えよう びわ湖も緑のしずくから」をテーマに国土緑化推進機構と県が主催し、滋賀での開催は47年ぶりとなった。

 全国植樹祭は森林や緑への理解を深めるため毎年開催している。天皇、皇后両陛下は昨年の島根県での開催に続いて、皇居・御所からオンラインで出席された。記念式典で天皇陛下は「健全な森林を育み、木々を木材として循環利用しながら、次の世代、またその次の世代へと引き継いでいくことは、私たちの果たすべき大切な使命」などと述べられた。その後の「お手植え」では、天皇陛下がスギやトチノキなど、皇后さまがヒノキやイロハモミジなどの苗木を木箱に植えられ、「お手播き」としてクロマツやウツクシマツなどの種子をまかれた。木箱は後日、鹿深夢の森に送られ、植え直される。

 緑化功労者の表彰や活動紹介、記念植樹などもあった。

林業体験や演奏会に7千人 サテライト会場のえきまちテラス

 サテライト会場のえきまちテラス長浜では大型モニターで式典のようすが生中継された。ノコギリを使った林業体験やアスレチック、まちなか森ツアーのほか、マルシェ、吹奏楽の演奏、SNSで人気を集めるユーチューバーのよみぃさんによるピアノ披露などがあり、家族連れなどが思い思いに楽しみながら、木に親しんでいた。

 この日はキャンプ道具などの製作・販売を手掛けるクリエイター集団のギャラリーがえきまちテラス長浜1階にオープン。全国からキャンプ愛好家が集ったこともあり、会場は約7000人の人出でにぎわった。

きゃんせの森 70本植樹

 1975年の全国植樹祭のお手播き会場となった米原市夫馬のきゃんせの森では市民が参加して記念植樹があり、ヤマザクラ、コナラ、クロマツ約70本を家族らが植えた。

 会場では県や市の職員、滋賀北部森林組合の組合員らが来場者を出迎え、植樹を手伝った。植樹は2018年に竜巻の直撃で多くの木々が被害を受けた森の一角0・5㌶で実施。同市朝日から家族や親族と参加した岸縄律君(7)はクロマツを植え「大きくなるのが楽しみ」、父の隆太さん(31)は「子どもが大きくなったら一緒に見に来たい」と話していた。

2022年6月3日

ササユリ 今年も咲き始める

山門水源の森でシカ食害対策実る

 希少植物が数多く群生している西浅井町山門の森林公園「山門水源の森」でササユリが咲き始めた。

 ササユリはかつてはどこの里山でも見られる一般的な植物だったが、シカの食害により各地で姿を消している。山門水源の森でもシカの食害で一時激減し、有志団体「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」の保護活動で徐々に数を増やしてきた。依然としてシカによる食害が続いているものの、西浅井中の生徒の種まき、地元の老人会による下草刈りなど地域上げての協力が実を結んでいる。

 まだ蕾のものも多いが、名前の由来となったササに似た葉を風に揺らしながら、淡いピンクや白の花を咲かせている。同会の村田良文副会長は「日ごろの活動の成果が実って今年も咲き、ホッとしています。凜とした上品さと優しい香りを楽しんでもらえれば」と話している。6月中旬にかけて次々と花を開く。今はコアジサイも咲きそろっている。

 森は約4万年の歴史がある山門湿原をはじめ、ブナ原生林や沢などがあり、希少植物が数多く群生。

 この時期は森林浴と多様な植物観察を楽しめる。1時間〜3時間半ほどで楽しめる散策3コースが設けられ、ササユリは「湿原往復コース」(約2・5㌔、約1時間)と「四季の森コース」(約3・5㌔、約3時間)で観察できる。

◇      ◇

 山門水源の森は1960年代までは炭の産地として地域住民の生活を支え、手入れが行き届いた里山だったが、近年は放置されていた。90年、一帯を開発するゴルフ場計画が具現化したことで、山門湿原の地質や植生、昆虫を調査していた研究グループが県や西浅井町に計画中止を要望。同時に湿原の多様な自然環境に注目が集まり、林野庁の「水源の森100選」に選ばれるなど、保全への機運が醸成されることとなった。ゴルフ場計画がバブル崩壊で中止となった後も保全が課題となり、2001年、県民有志で「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」が結成され、保全活動が今に続いている。

2022年5月30日

西田天香・杉本哲郎を顕彰

クラファン実施中 長浜ゆかり「2人の業績知って」

 長浜ゆかりの思想家・西田天香の生誕150年と、宗教画家で哲学者の杉本哲郎の生誕123年を記念した顕彰事業が8月から12月にかけて市街地で開かれるのを前に、顕彰事業実行委員会(月ヶ瀬義雄会長)はクラウドファンディングを通じて事業のPRと資金調達に取り組んでいる。

 天香は1872年(明治5)に長浜市の商家に生まれ、青年期には財界の後押しで地元の農家を率いて北海道に渡り開拓事業に従事。現地で出資者と労働者の対立に苦悩して失意のなか帰郷し、以来、争いのない生き方を求めた。長浜八幡宮近くの愛染堂にて三日三晩の断食坐禅で悟りを開いた。「無所有・奉仕」の生活を送り、京都に奉仕団体「一燈園」を創設。生前は多くの文化人、実業家に影響を与え、その精神は今も脈々と受け継がれている。旧長浜市の名誉市民第1号になっている。

 杉本哲郎は父親が長浜出身。京都画壇の重鎮・山元春挙に学び、インド・アジャンター壁画の模写など、古典に学んだ仏画をはじめ、さまざまな宗教を題材にした絵画を残している。第2次世界大戦末期の1945年(昭和20)には長浜に疎開し、湖北に多くの作品が残っている。閉館中の琵琶湖文化館には巨大壁画「舎利供養」が残され、県が移設を決めている。

 顕彰事業は、天香の生涯や長浜のまちづくり、哲郎の画業を専門家が紹介する連続講座(8〜10月)▽天香と哲郎の足跡を辿るゆかりの地見学会(10〜11月予定)▽長浜城歴史博物館や曳山博物館での展覧会(10月29日〜12月11日)▽シンポジウム(11月予定)—などを計画。実行委員会では「長浜ゆかりの偉大な2人の業績を多くの人々に知ってもらい、イベントを通じて長浜のまちを活性化したい」としている。

 クラウドファンディングでは展覧会の資料輸送費(300万円)、図録作成費(100万円)など総額500万円を目標に、6月30日まで資金を募っている。詳細は「キャンプファイヤー」のサイト(https://bit.ly/3alBQh7)で。問い合わせは実行委員会事務局の長浜城歴史博物館℡(63)4611へ。

2022年5月24日

人力車で日本一周途中の福浪さん

学びあいステーションに2カ月滞在

 兵庫県明石市の福浪弘和さん(35)が人力車を走らせて日本一周を目指す旅の途中、立ち寄った米原市近江学びあいステーションに2カ月近く滞在している。「いろんな出会いがあって毎日が楽しい」と話し、29日には米原市の道の駅伊吹の里・旬彩の森で人力車の乗車体験イベントを催す。

 福浪さんは地元で和食の料理人をしていたが、以前からの夢だった人力車で全国の県庁所在地を巡る旅に出るため退職。今年3月13日に明石市を出発し、24日に大津市に到着した。その模様を放映したテレビ番組を見た近江学びあいステーションの山田裕美館長(66)が、インスタグラムで福浪さんに「私の気持ちも一緒に旅に連れて行ってほしい」とのメッセージを送信。琵琶湖一周の途中だった福浪さんは山田館長と連絡を取り、3月27日に同ステーションに到着した。

 福浪さんによると当初は2日程度の滞在予定だったが、ステーションの利用者たちとの交流が楽しくそのまま滞在。4月22日に琵琶湖一周の旅に再出発したが、足の爪がはがれ、腫れもあった状況を知った山田館長や村田輝男理事長(69)の「戻って来たら」の言葉を受け、同ステーションを再訪問。現在まで滞在している。福浪さんは、げたを履いてのフルマラソンでギネス記録を持つほど普段からげたを愛用しているが、人力車での旅には足袋を使っているため、まだ足が慣れていないという。

 生活費は貯金を切り崩しているが1日1000円の出費と決めているため、同ステーションでの宿泊代は宿直を兼ねて無償。福浪さんは「皆さんには感謝している。露天風呂や焼いも作り体験などをさせてもらい、毎日が修学旅行みたいになっている。いい意味で進めなくなっている」と笑顔を見せていた。山田館長は「館内の整備や清掃もボランティアでしてもらっている。(福浪さんの)志をこれからも応援したい」と語っていた。

乗車体験イベント 旬彩の森で 29日

 29日の旬彩の森でのイベントは午前10時から午後3時まで。福浪さんはその後、再出発する予定だが「旅の目的は人との出会い。(乗車体験など)依頼があれば駆けつけ、多くの人に人力車に乗ってもらいたい」と話していた。今後は山科から奈良、和歌山を経て、太平洋沿いを進み、数年かけて日本を一周する予定。旅の様子は福浪さんのSNSで確認できる。

2022年5月20日

豊国神社に多国籍屋台村

梅本さんら企画  CFで資金募る

 豊国神社境内に多国籍料理の屋台を並べるプロジェクトを、化粧品会社経営・梅本博史さん(64)ら市民有志のグループが企画し、クラウドファンディング(CF)を通じて賛同者を募っている。

 梅本さんは今年2月の市長選に立候補し、選挙戦を通じて若者の一人から屋台で長浜を活性化したいとの夢を聞き、「何とか実現できないか」とプロジェクトを立ち上げた。手作りした屋台を準備し、そこで外国籍市民らに自国料理を提供してもらうことで、観光客や市民の賑わいを生みたい考え。

 屋台は無料で貸し出し、売上歩率を徴収することで、誰でも参加しやすい仕組みとする。梅本さんは「出店者のリスクは材料費だけ」と語る。

 屋台は7月下旬から毎週末オープンさせる。当初は市内に居住する外国籍市民による多国籍屋台とし、軌道に乗れば広く市民からも参加を募る。すでに市内の飲食店で自国料理を提供する外国籍市民ら複数が関心を示しているという。

 梅本さんは「豊国神社の屋台村に市民や観光客が集い、コミュニケーションをとれるような賑わいを生みたい」と話している。

 なお、CFでは設備費や人件費などに充てる資金として100万円を募っている。詳細は「キャンプファイヤー」(https://bit.ly/3LDIYm3)で。

2022年5月18日

70代4人 ビワイチ満喫

1泊2日で「来年も行きたい」

 自転車で琵琶湖を一周する「ビワイチ」。湖周道路のサイクリングコース整備や県の推進条例制定などもあって自転車愛好家からの人気が高まる中、長浜市内の70代の女性4人も年1回のビワイチを満喫している。

 宮部早苗さん(73)、松本久子さん(72)、田中千代子さん(73)、田中朱美さん(73)=いずれも三川町=は3年前から揃ってビワイチを楽しんでいる。

 元々自転車に乗ることが好きだった4人。いつしか揃って余呉湖や賤ヶ岳、醒ヶ井、彦根などへの日帰りサイクリングを楽しみ、2019年からは年に1回、ビワイチに挑戦している。

 今年は今月16、17日の1泊2日で挑戦。16日午前7時半に三川町を出発し、午後3時40分に大津市南小松のホテルに到着。17日は午前8時半にホテルを出発し、琵琶湖大橋を渡って午後5時半に三川公会堂へゴールした。全行程約150㌔を、平均時速17㌔程で駆け抜けた。

 「風もなく穏やかな天気でサイクリング日和でした」と話す4人。道中、対岸の湖西からの竹生島と伊吹山の眺めが普段と違って印象的で、琵琶湖大橋ではスピードの出る下り坂で風を切るのが楽しかったという。また、サイクリングコースの整備が進んで快適に走行でき、「来年もまた行きたくなった」と笑顔をはじけさせていた。

条例でビワイチ推進 今秋にはイベントも

 ビワイチは琵琶湖を反時計回りに1周する約200㌔のサイクリングコースで、走り慣れた人なら1日で走れる距離だが、観光や食事を楽しみながら2〜3日かけて走るのも魅力。1周完全走破だけでなく、琵琶湖大橋の北側(約150㌔)だけや南側(約50㌔)だけのコースもある。2019年に国指定の「ナショナルサイクルルート」となり、今年4月には県が推進条例を施行している。

 県の集計によると、2021年度の体験者数は8万4000人(速報値)。コロナ禍の影響で19年の10万9000人に比べると減ってはいるが、15年の5万2000人と比較すると、体験者が増加している。

 推進条例で制定された「ビワイチの日」(11月3日)と「ビワイチ週間」(11月3〜9日)に向け、県は老若男女が楽しめるサイクリングイベントを準備している。各地にエイドステーションを設置し、ふるさと観光大使でアーティストの西川貴教さんも参加。県を挙げてビワイチの魅力を県内外に発信する。

2022年5月12日

山久、湖北初プラチナくるみん認定

仕事と子育て両立支援で

 仕事と子育ての両立に取り組む企業を労働局が特別に認定する「プラチナくるみん」を、八幡中山町の機械工具販売「山久」(平山正樹社長)が湖北地域で初めて受けた。

 各都道府県の労働局は次世代育成支援対策推進法に基づいて、仕事と子育ての両立を支援する企業のうち、一定の水準を満たせば「くるみん認定」を交付。その中で、さらに高い水準で取り組んでいる企業に「プラチナくるみん」を認定している。

 認定を取得すれば、認定マークを利用して子育てサポート企業であることをPRでき、イメージ向上、優秀な人材の採用・定着が期待できる。県内では71社がくるみん認定を受けているが、プラチナくるみんは同社で6社目。湖北地域では初めてとなった。

 同社の社員は75人。2017年4月から21年6月末までの行動計画で、主に男性社員を想定して子どものための看護休暇を3人以上、育児休業を1人以上取得することや、育児をする社員へのキャリア形成支援、年次有給休暇の取得推進などを目標に掲げた。

 取り組みの成果として男性社員1人が約2週間の育児休暇を取得したほか、14人が看護休暇(有給)を利用した。また、育児休業を取得し復職した社員にヒアリングを行い、その実体験をもとにした若手社員向けの研修を実施。このほか、子どもが親の仕事に触れる「子ども参観日」も実施し、「家での雰囲気とは違ってかっこよかった」「自分の親がどんな人と働いているか分かってよかった」などの反応があった。

 同社では子育て中の社員が気兼ねなく休暇を取り、男性も積極的に育児に参加できるように、2年目以降持ち越せない有給休暇を充当した「子育て推進休暇制度」を制定するなどし、長浜市からも「子育て応援表彰」を受賞している。

 これまでプラチナくるみんの認定を受けたのは滋賀銀行や日本電気硝子など比較的規模が大きな企業で、山久は認定6社の中で最小。滋賀労働局は「小規模の企業は社員が休むと業務がまわらないとして休暇を取りづらい傾向にあるが、山久は社内の業務体制や制度を整えることで仕事と子育ての両立を支援している」と評価している。

 同社は「子育て中の社員が働きやすい職場づくりを築いてきた。このような認定を頂き大変嬉しい。さらなる飛躍を目指し努力したい」とコメントしている。

2022年5月12日

リーファ 活動に区切り

15日の10周年ライブを最後に

 湖北地域を拠点に活動する2人組音楽ユニット「〜Lefa〜(リーファ)」が15日に米原市の県立文産会館で開くライブを最後に、2人での活動を区切ることになった。

 リーファはボーカルの北川陽大さん(43)とギター・ピアノの河野弘行さん(38)の2人で2010年に活動を始め、12年にコロムビアからメジャーデビューした。これまでに「君の笑顔見たいから/琵琶湖周航の歌」やプロ野球・楽天の則本昂大投手の入場曲・応援歌「魂〜ユメノミチ〜」などシングル5枚、アルバム2枚をリリースしている。

 今年1月、木之本スティックホールでデビュー10周年ライブを開いたが、新型コロナウイルスのオミクロン株流行を受けて予約客の3割余りがキャンセルとなったことから、あらためて「10周年リベンジ」と銘打ってライブを開くことになった。

 このライブを機に2人はリーファとしての自主的なライブを休止し、それぞれが個別活動に専念するが、「解散はしない」としている。北川さんは「デビューから10年間活動できたのは故郷の長浜を拠点にしたからこそ。ファンの皆さんの支えをはじめ、地域の方々に活動の場を提供していただいた」と語っている。

 ライブには米原高校出身の同級生4人で結成する若手バンド「AVALANCHE(アバランチ)」も出演する。リーファが推す次世代のアーティストで、北川さんは「地域の皆さんにも将来ある若い子を応援してもらえれば」と話している。

 ライブは午後2時開演。チケットは前売2500円、当日3000円。

2022年5月9日

宮川さん着物の装いコンテストで1位

母の振り袖で晴れの表彰台に

 米原市米原西の宮川佳奈さん(24)が「全日本きもの装いコンテスト」世界大会(4月24日、東京)に出場。祖母が母にプレゼントした振り袖を装い、世代を超えて着物文化を伝えることの大切さをアピールし、女王、準女王に次ぐ1位に輝いた。

 コンテストは全日本きものコンサルタント協会の主催。振り袖、留め袖、カジュアルなど6部門あり、鏡を見ずに一人でいかに美しく装えるかを競う。

 宮川さんは4年前から松田陽子さん(49)=米原市上多良=の指導で着付けを学び、子ども向けの着物教室を手伝ったり、米原中学校で浴衣の着付けを教えたりしている。

 1月に奈良県で開かれたコンテスト関西大会の振り袖の部で2位に入賞し、世界大会への出場権を獲得した。各地区の代表28人が出場した世界大会では、祖母が母親の成人式のために購入した着物で臨み、スピーチでは次の世代に着物を伝えることの大切さを訴えた。

 宮川さんは「初めて母の振り袖に袖を通し、母も祖母も喜んでくれた。母の着物で表彰台に上がれて、すごく嬉しかった」と話し、母の典子さん(54)は「指導をしてくださった松田先生のおかげ」、祖母の久保川操さん(85)=木之本町木之本=は「嬉しいとしか言いようがない。着物が娘、孫へと受け継がれたのは幸せです」と喜んでいる。

2022年4月28日

GWは野鳥センターで観察いかが?

子育ての季節到来!  抱卵、求愛ダンス、狩りなど

 湖北野鳥センター(湖北町今西)はゴールデンウイーク(29日〜5月8日)の期間中、特別企画「ゴールデンバードフェスティバル」を催し、野鳥観察を呼びかけている。

 センター周辺では連日、20〜30種類の野鳥を観察できる。初夏は子育てが活発になる季節で、GW中はセンター近くのヤナギの巣で抱卵中のトビの夫婦のようすを、センターに設置の望遠鏡で観察できる。センターの谷智子さんは「運が良ければカンムリカイツブリの求愛ダンスが見られるかもしれません」と話している。

 また、フナなどが産卵のために湖岸近くに寄ってきており「ミサゴがホバリングしてから湖面に飛び込んで魚を獲るダイナミックな狩りのようすも観察できるかも」と、来場を呼びかけている。

 なお、センターが企画したフェスティバルの概要は次のとおり。

 【はじめてのバードウォッチング】初心者向けに野鳥センターの周りを歩きながらバードウォッチングの楽しみ方を教える。1日午前9時半から。定員20人。当日受け付け。

 【フロアトーク】開催中の特別展示「鳥の新分類を勝手に大予想」について、専門的に解説する。3日午前10時、午後2時から。定員各25人。当日受け付け。

 【つくってあそぼ!】紙やストローで羽ばたく野鳥を作る。5日午前9時半から。定員30人。要事前申し込み。

 【探鳥会】野鳥センターの周辺で野鳥を観察する。7日午前9時半から。定員30人。要事前申し込み。

 参加にはいずれも入館料が必要。高校生以上200円、小中学生100円。幼児と長浜市内の小中学生は無料。事前申し込みの詳細はセンターのホームページ(http://www.biwa.ne.jp/~nio/)で。問い合わせはセンター℡(79)1289へ。

 

トレカ15種類を作成   期間限定でプレゼント

 湖北野鳥センターは湖北地域で観察できる野鳥を紹介したオリジナルのトレーディングカード(トレカ)を作り、ゴールデンウイーク期間限定で、来場者にプレゼントする。

 カードは縦8.5㌢、横6.0㌢でカイツブリ、コハクチョウ、ヒシクイなど全15種類。うち3種類はラメ入りのレアカード。

 野鳥の写真のほか、体の大きさや習性などを紹介している。それぞれの野鳥に「バードポイント(BP)」を設定し、ポイントの大きさで「生き残り」をかけたバトルゲームも楽しめる。野鳥の持つ特性に由来する「スキル」を設けることで戦略に幅を持たせた本格的なトレカとなっている。例えばヒシクイの固有スキル「警戒心」は、相手がタカ目(ワシ、タカなどの猛禽類)の場合、相手のBPをダウンさせる効果を持つ。実際にヒシクイは非常に警戒心が強く、猛禽類を見ると逃げるという。

 カードを作成したセンターの谷智子さんは「大人にはついつい集めたくなるコレクション性、子どもには野鳥のことを学びながら遊べるゲーム性とした。GW期間限定のプレゼントだが、好評ならば種類を増やしたい」と話している。

 なお、トレカをもらうには同センターのSNS(ツイッター、フェイスブック)をリツイート、フォロー、「いいね」するのが条件。SNSを利用していない人は職員とじゃんけんに勝てばもらえる。1人1日3枚まで。

2022年4月26日

自転車のままベッドルームへ

北近江リゾート  宿泊可能な休憩スペース整備

 高月町唐川の温泉施設「北近江リゾート」は施設内の旧レストランを宿泊可能な休憩スペースへと改修し、ゴールデンウイーク初日の29日にオープンする。雑誌を豊富に取り揃えたコワーキングスペースや、自転車が持ち込み可能なベッドルームなど、従来の温泉施設に新たな機能と魅力をプラスさせた空間に仕上がっている。

 コワーキングスペース360平方㍍と、宿泊スペース290平方㍍からなる。コワーキングスペースにはテーブルやソファ、ハンモックなどを置き、棚には雑誌を並べる。ネット環境や電源なども整備して、自由にくつろいで利用できる。

 宿泊スペースは2段ベッドが並ぶ男女別のドミトリールームと、カーテンで仕切れるプライベートルームがあり、最大36人が利用できる。「ビワイチ」などのサイクリング利用者も使いやすように、プライベートルーム前の通路は土間となっており、自転車のまま入って室内の壁に設置されたフックに掛けることができる。

 利用料金は土日祝・大人の場合、入浴のみの「サクッと入浴コース」(制限時間90分)が980円、入浴とコワーキングスペース利用をセットにした「ゆったりコース」(午後10時まで)が1800円、宿泊スペースを含む全施設利用が4000円となっている。

 温泉施設とそれぞれのスペースは区切られており、利用するコースによってICタグやカードを使って往来する。

 北近江リゾートは「地元のアクティビティの拠点となると同時に、地域の方々が交流する場になれば」と利用を呼びかけている。詳細は北近江リゾートのホームページ(https://kitaoumi.com/)で。

 

2022年4月25日

障害者支援施設ココサロン開所

23日、南高田町で喜びの式典

 子どもから大人まで切れ目なく障害児・者を支援する複合施設「ココサロン」が23日、南高田町にオープンした。現地で開かれた開所式には県内の政治、行政、医療、福祉関係者が集い、施設への期待の高さをうかがわせた。

 施設は一般社団法人なないろ(岡本律子代表理事、八幡東町)が、高齢者福祉施設として使用されていた建物を取得し、バリアフリー構造などをそのまま活用して、障害者向けの複合施設とした。

 施設は3棟からなり、障害児を預かる放課後等デイサービス「アオ」、居宅介護「ビオラ」(5月開所予定)、生活介護「ハース」(8月開所予定)、シェアハウス「ココ」が入っている。来年は訪問看護も始める予定で、子どもから大人までトータルにサポートする拠点としたい考えだ。

 開所式には来賓の上野賢一郎衆院議員、浅見宣義長浜市長、平尾道雄米原市長、楠井隆長浜赤十字病院長、市川忠稔県健康医療福祉部長をはじめ、政治、行政、医療、福祉、企業関係者ら40人余りが出席し、テープカットで開所を祝った。岡本代表理事は「障害名にかかわらず、当事者とその家族の笑顔が多く見られるような施設を目指し、障害者にとってなくてはならない社会資源の役目を担ってゆきたい」とあいさつ。楠井院長は「世の中は多様性の時代となっている。いろんな個性を持っている人が存在することを楽しみ、共に喜べることが大事。そのために医療としてもできる限り協力をしていきたい」と語った。

 同法人は、高次脳機能障害の患者と家族でつくる「脳外傷友の会しが」(現・高次脳機能障害の友の会しが)を母体として2016年に設立。八幡東町に就労支援施設「サンサン」を整備し、障害者の働く場を提供している。

 高次脳機能障害は交通事故や脳疾患などで脳の機能に障害が生じることによって引き起こされ、記憶や感情のコントロールなどに影響する。外見からは分からないため「見えない障害」とも呼ばれる。

 岡本代表理事の次男も2004年の交通事故が原因で高次脳機能障害を抱えた。他人とコミュニケーションがとれなくなって引きこもりがちとなり、2年前にがんで亡くなった。「眠っている時以外はひと時も目を離せない状態でした」と振り返り、同じ境遇にいる当事者と家族を支えるために、同法人を設立して支援活動に取り組んできた。

 今回、「高次脳機能障害に限らず、幅広い障害者を子どもから大人までサポートできる施設が必要」と複合施設の開設に至った。施設名の「ココ」はハワイの言葉で「虹色」を意味し、「此処(ここ)が安心できる空間となり、個々(ここ)が前向きな気持ちになりますように」との思いを込めた。「次男もみんなと集える場所を楽しみにしていました」と語る岡本代表理事。開所式では「当事者とその家族の一員となり、大家族でその人らしく生き生きと楽しく生活し、共に喜べる共生社会を実現します」と理念を述べ、地域社会の温かい支援を呼びかけていた。