2021年10月5日

どうなる?お産 ㉒-㉓

⑳地域医療[3] 医師の働き方改革 期待もある

 2024年に始まる医師の働き方改革。病院が減ってしまわないのか、分娩費が値上がりしないのか…、気がかりは多い。

 ただ、「医師側としては、期待もある」と、滋賀医科大医学部付属病院の村上節教授は言う。

 まずは女性医師が働きやすくなる。産婦人科医は女性が多い。県内の病院勤務医の約48%は女性で、うち7割弱が20〜30歳代だ。

 一般的に、医師は24歳で医学部を卒業後、研修医として2年かけて診療科全体を回る。その後、専攻医として約3年間、専攻した科で研修を積む。

 さらに、産婦人科のキャリアでは、基本となる領域以外にも、それに基づく「サブスペシャルティー領域」(周産期、婦人科腫瘍、生殖医療、内視鏡技術など)を習得するのに約3年かかる。その時点で30歳代半ば。中堅として働き盛りだが、女性医師はとうに出産適齢期を迎えている。子どもを望むなら現場を離れざるを得ない。

 その結果、科の構成が50、40代の次は若い研修医という事態が頻発し、上級医師に過重負担がかかる構図が生まれがちだという。

 村上教授は「集約化で1施設当たりの医師が増えれば、産休・育休から復帰した女性医師に日中を任せ、上級医師は日中休むなど、柔軟な体制が組めるかもしれない」と話す。

 さらに、産婦人科医師の志望者数の増加が期待できる。産婦人科は、当直回数や勤務時間、訴訟リスクが他科を上回る「3K」と呼ばれてきた。過去25年、医師総数は増えているのに、産婦人科医は微減となっている。

 実際、滋賀医大でも、4年生の時には産婦人科に興味を持っていても、翌年からの臨床実習と卒業後2年間の初期研修で各科を回ると、他科を選ぶ者は少なくない。

 「忙しさを目の当たりにするから。だが医学生や初期研修医にゆとりのある働き方を見せることができれば、志望者は増える」と村上教授は信じている。

 なぜなら、「医療界でこんなに幸せなことが起こるのは産婦人科だけ」だからという。

 教授は元々、精神科医志望だった。しかし、入学した東北大の臨床実習で病棟を回る内に、他科が「残念です」ばかりなのに、産婦人科だけが「おめでとう」と言えることに感動し、産婦人科医になったそうだ。

 「今は過渡期。みんな将来がわからないでいる。何年もかかる事業だが、未来は悪くないはずだ」

 一市民として、働き方改革が地域医療にもたらす課題は注視したい。一方で、医師の労働環境の整備が期待通りに進むよう、理解も深めていきたい。

(9月27日掲載)

地域医療[4] 楠井隆・長浜赤十字病院長に聞く1

 市立長浜病院が分娩を中止した背景に、病院の集約化を急ぐ国策があった。

 厚労省は2020年、病院再編を重点支援する全国5区域の一つに、湖北区域(長浜、米原両市)の4病院(長浜赤十字=日赤、市立長浜、市立湖北、セフィロト)を選んだ。

 再編統合の核となる長浜日赤と市立長浜は、救命救急や緊急性の高い「高度急性期・急性期」の病院だ。どんな再編統合が地域医療のためなのか。長浜日赤の楠井隆院長に話を聞いた。

 「2病院の機能を再配分し、急性期も回復期も地域で完結して支える一つの病院となることが望ましい」

 そう話す楠井院長は、理由を次のように説明した。

 「医師不足と将来の人口減を考えると、似た病院が二つあっても効率が悪い。一方で、長浜に回復期の患者の受け入れ先が少なく、県南の施設に転院をお願いしている状況がある」

 院長がモデルとみるのは、兵庫県立病院だった尼崎病院(約500床)と塚口病院(約400床)の統合だ。15年に「県立尼崎総合医療センター」(約730床)に再編された。

 尼崎病院は地域の中核病院として、がん手術など高度専門医療を提供する一方で、周産期医療は実施していなかった。

 塚口病院は、地域周産期母子医療センターの指定を受け、周産期医療と小児(救急)医療を担っていた。しかし脳神経外科医、心臓血管外科医が不在で、合併症妊婦(脳血管障害、急性心疾患など)への対応ができなかった。また両病院とも老朽化や敷地不足に直面していた。

 確かに長浜の2病院と状況は似ている。市立長浜(約600床)は厚労省から「地域がん診療連携拠点病院」の指定を受け、長浜日赤(約500床)は「地域周産期母子医療センター」の指定を受ける。

 両病院とも建設から築20年以上の本館の老朽化、高度医療機器のメンテナンスが問題となっている。長浜日赤は、現状の敷地では改修・増築に対応できない。

 楠井院長は、病院再編への期待は多いという。

 まず、医師が1病院に集まれば診療機能の充実が図れる。そこに患者が集まれば、症例数が増え治療の多様性に厚みができる。

 指導医は研修医や専攻医に多様な指導ができ、若手が習得できる手技が増える。技術的な向上が見込めるとなれば、医師にとってはそこで働く大きな誘因となる。技術レベル向上が医師確保を促す、という好循環を目指したいという。

 楠井院長は「一つになれば、大学病院に負けない高度な機能を持てる。話を前に進めるため、行政の支援が必要だ」と力を込めた。

 

(10月5日掲載)

堀江昌史

2021年10月4日

「旅する蝶」アサギマダラ

西浅井のペンションに大挙、産卵も

 西浅井町大浦のログハウスペンション「ラダー」に、「旅する蝶」アサギマダラが大挙。乱舞する光景が見られ、話題となっている。

 アサギマダラは、浅葱(あさぎ)色の大きな羽が特徴。秋に温暖な地を求め、信州方面から九州などへと、日本列島を縦断するように南下し、その距離は1000㌔を超えることも。人気アニメ「鬼滅の刃」にも登場し、キャラクターのモチーフになった、とファンの間で話題となっており、近年、脚光を浴びている。

 ラダーには開設当初の22年前から数匹が飛来していた。昨年、オーナーの田中伸征さん(52)は蝶が飛び交う「バタフライガーデン」を作ろうと、アサギマダラが蜜を吸うため集まるフジバカマを10株ほど植えたところ、多い日で10匹程度が集まるように。

 今年、フジバカマの数を3倍増やし、産卵場所として好むキジョラン(鬼女蘭)を植えたところ、9月上旬から次々と飛来するようになり、10月3日には過去最多の60羽が集結。初の産卵も確認できた。

 アサギマダラは各地を移動しながら、昼間、フジバカマやヒヨドリバナ、アザミなどキク科の植物に集まり、夜は涼しい山中で過ごす。天候や気温に敏感で環境バロメーターを示すとされ、近年、地球温暖化の影響で北上傾向にあるという。

 この蝶の生態は明らかにされていない部分が多く、各地で固体識別番号を羽に入れるマーキング調査も行われている。田中さんは「ラダーの目前には琵琶湖があり、周りを山に囲まれているから、棲みやすいのでは。来年はもっと増えるだろう」と推測している。見ごろは今週いっぱい。

2021年9月30日

自然農シェア畑を開設

宮崎さん「ゆるく野菜作りいかが?」

 「ゆるく農業してみませんか?」—公園町の宮崎好美さん(50)は米原市長沢に無償貸し出しの「自然農シェア畑」を開設。農業を楽しみたい女性らを募集している。

 宮崎さんが農業に興味を持ったのは6年前。湖北町の山本山の南斜面で、趣味でミカンやハッサクなどの栽培をしていた父の雨森由平さん(享年76)の急逝により、柑橘畑の世話をするようになった。

 雨森さんは実家の西浅井町岩熊から通い、柑橘類を大切に育てていた。宮崎さんは父の思いを受け継ぎ、農薬や化学肥料を使わない自然農法を実践。作物本来の味を知ってもらうと、親子向けの柑橘狩り体験を開いた。その後、夫が同僚から借りた高月町東物部の畑で豆類を栽培し、農業や味噌作りのノウハウを積み重ねた。

 「友達と一緒に楽しく野菜を作りたい」と、1年前、友人の紹介で長沢の畑を無償で借り受けた。このあたりは農業従事者の高齢化により、遊休農地が点在しており、第1区画(約50平方㍍)を預かることになった。

 知人の女性に「農業しない?」と呼びかけたところ、5人が集まり、区割りした畑でキュウリやトマト、ピーマンなどを作るように。参加者は子育てやパートの合間、自由に出向き、好き勝手に作物を栽培。作り方がわからない時は宮崎さんがアドバイスしている。

 地域住民の協力で今は第2区画(25平方㍍)もでき、栽培女性も増えている。「作る喜び、収穫する楽しさを味わってもらえたら」と話す宮崎さん。今後は収穫した農作物を加工するなどし、ムーブメントを広げたい、としている。

 現在、無償で畑を貸してくれる人、野菜作りをしたい女性、畑と人をつなぐ仲間を募集している。問い合わせは宮崎さん℡090(4305)4337へ。

2021年9月29日

ローザンイルミ 琵琶湖&虹をイメージ

面積は関西最大級、LED110万個

 米原市の複合型観光施設ローザンベリー多和田は10月8日から、体験型イルミネーション「ローザンイルミ2021」を始める。関西最大級、約6万平方㍍のエリア内に色鮮やかな約110万個のLEDが灯り、幻想的な世界を演出する。

 コロナ禍で低迷する地域の宿泊滞在型観光の振興を図るため、昨年初開催。昨シーズンは約8万人を動員した。今回のテーマは滋賀を象徴する「琵琶湖」と「虹」。園内には4つのゾーンがあり、「スターダストレイク」では「琵琶湖」「虹」をイメージ。幾重にも連なった虹のアーチの中をくぐってゆく。「銀河鉄道」は幻想的なブルーを基調とした天の川の横をローザン鉄道ミルキーウェイ(有料)が走る。「妖精と暮らす村 フェアリーガーデン」は丘の上にある絵本の中に入ったようなファンタジーな世界。奇跡の青いバラや七色のシンボルツリーがお出迎え。点灯参加型のイルミで昨年、話題となった。

 インスタ映えするポイントとして約4㍍の巨大リースとツリーハウスが登場。独創的なリースは草輪作家・二名良日さんが手がけた作品。ツリーハウスは9月中旬に完成したばかり。

 広報担当者は「緊急事態宣言が解除されるものの、感染対策を十分してゆきたい。皆さんに元気と癒しをプレゼントしたい」と話している。年内は火曜を除き毎日営業。点灯は午後5時半からだが、日没に合わせ、早める。インターネット予約大人1500円、子ども900円、3歳以下無料。来年2月14日までの予定。問い合わせはローザンベリー多和田℡(54)2323へ。

滋賀中央観光 イルミ&豪華夕食

 醍醐町の滋賀中央観光バスは「ローザンイルミ2021」に合わせ、イルミネーション観賞と優雅な夕食がセットになったツアーを企画した。

 ローザンベリー多和田のイルミを観賞後、長浜市内で特別メニュー(イタリアンコース料理または松茸&ハモ会席)の夕食を楽しめる。指定地まで貸切タクシーの送迎付き。夜間の運転が苦手な人や晩酌をしたい人向け。

 2人乗車で1人1万9000円、3人同で1万5000円、4人同で1万3000円。希望日の2日前までに予約を。問い合わせは同社℡(74)2525。

2021年9月27日

自然染めミツロウラップ

Bookcafeすくらむ 廃野菜をエコ利用、脱プラスチック

 木之本の女性グループ「ブックカフェすくらむ」(藤谷法子代表・11人)は廃野菜で染色したエコな「自然染めミツロウラップ」を開発。10月1日から販売を開始する。

 グループは5年前、食と本で人をつなぐまちづくりを展開しようと、地元の古民家を改修し、飲食スペースを開設。週末や祝日、コミュニティの場としてカフェや本に関するイベントなどを開いてきたが、コロナ禍による緊急事態宣言で活動の休止を余儀なくされた。

 長い休業の間、主婦目線で食にまつわる新たな活動を模索。エコな観点から、ごみ減量化と脱プラスチックを兼ねたミツロウラップの開発を思いついた。

 ミツロウラップは100%コットンの布を野菜くずの煮汁で染色し、蜜蝋(みつろう)を染み込ませたもの。ミツバチが作る天然のワックス蜜蝋には抗菌・防カビ効果があり、鮮度を保ちながら、食品などを包むことが可能。水洗いして繰り返し使えるので、環境にも優しい。

 メンバーたちは調理の際に出たタマネギやニンジン、栗の皮などで染め、通販で取り寄せた蜜蝋をアイロンで溶かして、布に染み込ませる作業を各自で分担。試行錯誤の末、最も使い勝手の良い15㌢〜31㌢角の3サイズで自然な風合いの6色のミツロウラップを完成させた。

 ミツロウラップは手の温かみで固まる性質があり、容器のフタ代わりになるほか、蜜蝋がハンドクリームのように手に保湿感を与えるメリットも。ただ、熱に弱く65℃で溶けるため、電子レンジでは使用できない。

 藤谷代表は「マイクロプラスチックによる環境汚染が世界的に問題になっている。これは脱プラスチックで土に還るエコなラップ。ごみ削減に貢献したい」と話している。

 自然染めミツロウラップはLOCO(えきまちテラス長浜)、ふれあいステーションおかん(木ノ本駅)で販売。1枚350円から。

2021年9月22日

SDGs 持続可能な未来に向けて②

MLGs 2030年の琵琶湖と、琵琶湖に根ざす暮らしに向けた13のゴール

 滋賀県は今年7月、琵琶湖保全のために2030年までに達成すべき13の目標「マザーレイクゴールズ(MLGs)」を策定した。SDGsの琵琶湖版で、生物多様性や環境浄化などを掲げている。ただ、保全するのは自然環境としての琵琶湖だけではなく、山、川、里、湖、海のつながりと、そこにある人の営みまで含めた象徴としての琵琶湖「マザーレイク」。

 ①清らかさを感じる水に②豊かな魚介類を取り戻そう③多様な生き物を守ろう④水辺も湖底も美しく⑤恵み豊かな水源の森を守ろう⑥森川里湖海のつながりを健全に⑦びわ湖のためにも温室効果ガスの排出を減らそう⑧気候変動や自然災害に強い暮らしに⑨生業・産業に地域の資源を活かそう⑩地元も流域も学びの場に⑪びわ湖を楽しみ愛する人を増やそう⑫水とつながる祈りと暮らしを次世代に⑬つながりあって目標を達成しよう—の13のゴールを設定している。

 MLGsの取り組みはSDGsの達成にも貢献し、すでに複数の企業がMLGsに賛同を表明している。振り返ると琵琶湖の水質改善を目指して県内の主婦が率先した「石けん運動」以来、県内では40年にわたって琵琶湖をはじめとする自然環境保護に積極的に取り組んできた。これらのさまざまな活動が土台となってMLGsにつながっている。

 

滋賀県版ボードゲーム

 SDGs実現への道筋を手っ取り早く体感する手段に、カードゲームやボードゲームがある。座学でSDGsを学ぶだけではなく、ゲームを通してSDGsの実現を体感することで、なぜ今SDGsが必要なのか、SDGsがどんな変化や可能性を生み出すのか、大人も子どもも理解しやすい。

 県内でゲームを使ってSDGsの普及に取り組むのが神照町出身の島田利恵さん(栗東市)。SDGs普及に特化した「あもる」を設立し、企業や学校での研修などに取り組む。今年5月には、未来技術推進協会(東京都千代田区)が開発したSDGsボードゲームを改良し、琵琶湖のヨシの紙を使った県独自のボードゲームを製作。クラウドファンディングで寄付を募って量産を始め、県内の事例を楽しく学べるボードゲームとして注目されている。毎月20日、守山市役所に隣接のSDGs拠点「future lab」で体験会を実施している。出張研修も受け付ける。【問い合わせ】℡050・5866・4969、メール(rie@amoru-s.com)へ。

 

気候変動から考えるSDGs

 滋賀県地球温暖化防止活動推進センター(草津市)は「気候変動から考えるSDGs〜誰一人取り残さない未来のために」と題したプログラムを提供している。温暖化防止活動推進員やセンター職員による出前講座で、気候変動が直接的なものだけでなく、間接的にもさまざまなリスクを引き起こすことを学べる。気候変動対策はSDGsのベースでもあり、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(目標7)、「つくる責任つかう責任」(目標12)について考える。【問い合わせ】℡077・569・5301。

2021年9月22日

SDGs 持続可能な未来に向けて①

 最近、新聞やテレビで目にするSDGs。Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称で、2015年9月に国連で開かれたサミットで採択された国際社会共通の目標を指す。このサミットでは、2030年までの長期的な開発の指針として、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が決定され、この中核を成す「持続可能な開発目標」をSDGsと呼んでいる。

 SDGsは「誰ひとり取り残さない」ことを目指し、先進国と途上国が一丸となって達成すべき目標として、「貧困をなくそう」「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「人や国の不平等をなくそう」など17のゴール(目標)を定めている。湖北地域でも企業や団体、教育機関などがそれぞれSDGsの各目標を念頭に置いた取り組みを推進し、その輪がじわりと広がっている。

 

 湖北地域でSDGsの啓発活動に率先して取り組むのが長浜ユネスコ協会の片山勝会長。学校や団体の研修会でSDGsについて解説し、その輪を広げようと精力的に活動している。いま、なぜSDGsが注目されるのか、そして、市民はSDGsにどう向き合えばいいのか、そのヒントを聞いた。

 —なぜ、今、SDGsが注目されるのでしょうか?

 ◆世界は深刻な課題を数多く抱えています。森林伐採やCO2排出に伴う温暖化、そして異常気象。地球環境はいよいよ悪化しています。一方で、世界の人口は増え続け、国同士が限られた資源を奪い合うことになりかねません。紛争や貧困も、いまだに解決されない課題です。SDGsが国連で採択されたのは「世界は、このままではいけない」という意識が世界の指導者の間で広がったためです。

 —長浜ユネスコ協会としてはどのような取り組みをされていますか?

 ◆書き損じはがきを募って現金化し、途上国の教育環境の向上を図る「世界寺子屋運動」は、SDGsの「質の高い教育をみんなに」(目標4)に通じます。教育を受けられないと、読み書きができない。そうすると安定した職に就けず、収入がなく貧困に陥ります。その貧困によってその子どもも教育を受けられないというスパイラルに陥ります。その連鎖を断ち切るのが「世界寺子屋運動」です。カンボジアに学校を整備し、教育を受けられなかった大人の女性にも教育機会を提供したりと、その成果は着実にあらわれています。

 —世界寺子屋運動は「貧困をなくそう」(目標1)にもつながりますね。他にはどのような活動がSDGsに合致しますか?

 ◆終戦記念日に大通寺で「平和の鐘」を鳴らす事業は、「住み続けられるまちづくりを」(目標11)と「平和と公正をすべての人に」(目標16)に該当しますし、わたしのまちのたからもの絵画展は「質の高い教育をみんなに」(目標4)と「住み続けられるまちづくりを」(目標11)に、これまでに延べ2万2000人が受講した外国人市民向けの日本語教室は「質の高い教育をみんなに」(目標4)と、「働きがいも経済成長も」(目標8)に合致します。

自分ごと地域ごととして、明日から実践を

 —長浜市内の学校でもSDGs実現に向けた取り組みがありますね。

 ◆小中学校や高校でSDGsの取り組みが広がっていることに注目しています。虎姫高校では古着や古本を保護者や生徒から集め、得られた資金で途上国の子どもたちのポリオワクチン接種や教育支援に活用する活動に取り組みました。高時小学校は地元のオオサンショウウオの保護活動を通じて源流の自然環境に関心を深めています。また、長浜西中学校は大花火大会後の会場でごみを拾うボランティア活動に毎年取り組んだ結果、年々、ごみの量を減らす成果を出しています。これらもSDGsの達成に向けた活動と捉えることができます。

 —企業や学校、団体などがSDGsの活動に取り組んでいますが、一市民、一地域としてはどう向き合ったらよいのでしょうか?

 ◆決して難しいことはありません。例えば世界全体の食料援助は年間320万㌧です。しかし、日本の食品ロス(まだ食べられるのに捨てている食品)は646万㌧にのぼります。世界の食糧援助の倍の量です。日本では1人当たり毎日ごはん1杯分を捨てている計算となります。賞味期限や消費期限を正しく理解して、食品ロスを減らすことはSDGsの「つくる責任つかう責任」(目標12)に通じます。これなら、明日からでも、取り組めそうですよね。

 —食品ロスの半数近くが家庭で発生しています。買い物や料理のスタイルを改めることで少しでもロスを減らしたいですね。

 ◆スーパーでの買い物でも、ハウス栽培の野菜よりも季節の野菜を買う、遠くの産地のものより地元産を買うことはエネルギーの削減にもつながります。つまり地産地消はSDGsの目標で言えば「海の豊かさを守ろう」(目標14)、「陸の豊かさも守ろう」(目標15)をはじめ、「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」(目標7)、「産業と技術革新の基盤をつくろう」(目標9)、「気候変動に具体的な対策を」(目標13)にも貢献することになります。

 —これならSDGsの実現に誰でも取り組めそうです。

 ◆ほかにも、すぐに実践できる取り組みはたくさんあります。こまめに電気を消す、水を出しっぱなしにしない、アイドリングストップを心掛ける、簡易包装の商品を選ぶなどです。服を買う時に、SDGsの達成に向けて取り組んでいる企業の商品を選ぶなど、消費行動でも協力できます。琵琶湖の湖魚を食べることも地産地消にもつながりますね。最も大切なことは、自分自身がSDGsという物差しを持ち、「自分ごと」「地域ごと」としてとらえて、できるところから実践してゆくことです。

2021年9月21日

地空連携の災害ロボット開発へ

京都大学が大井町で洪水の情報収集

 「地空連携」による災害用ロボットを開発している京都大学の教授らがこのほど、大井町の姉川一帯でドローン3台による同時空撮を実施。ロボット開発に必要なデータを収集した。

 同大学の松野文俊教授(工学博士)の研究グループは日本、ロシア、タイの3カ国で3年間かけ、土砂災害や水害に役立つロボットの共同研究をしている。

 プロジェクトは被災地で開発した「空中」「陸上」「水上」「水中」のロボットの特徴を生かしながら、連携させ、被害状況の確認や人命救助に役立てるというもの。

 今回の撮影は河川流域や集落周辺の地形など、情報を収集するのが目的。災害時を想定し、危険回避のため、省人数化を目指しており、1人のオペレーターが同時に複数のドローン(空中ロボット)を管理する。

 調査では3台のドローンを同時に上空約50㍍まであげ、20分間、飛行。大井橋周辺や姉川左岸一帯の写真を約600枚撮った。撮影した写真は学生たちがコンピューターで地図と重ね合わせ、歪のない画像に処理される。

 松野教授は「ドローン同士の衝突が無いかなど、チェックできた。陸と空との連携により、さまざまなシーンで役立てられるようなロボットを開発したい」と語っていた。

越水の可能性指摘 高時川の調査も

 大井町は2017年8月の台風で甚大な浸水被害を受けており、メンバーの1人、畑山満則教授(京都大学防災研究所)は地元自治会、防災組織の協力を得て、浸水場面をVR(仮想現実)でリアルに体験できる防災システムを開発している。今回の研究ではこのデータを照らし合わせながら、「地空連携」による災害用ロボットを開発する考え。

 湖北の水害について、畑山教授は「水害の要因となった県道の切り通しは塞がれ、同じような被害は無いと思うが、流域の形状から上流域で(堤防を)越水する可能性が高い」とし、高時川についても「水かさが急激に増す姉川との合流点などを調べてみたい」と話していた。なお、今回、収集されたデータは県の「地先安全度マップ」資料に提供される。

2021年9月17日

湖北の消防士3人 全国入賞

機器改良・開発と意見発表で

 湖北地域消防本部の職員3人が消防機器の改良・開発や意見発表の大会で全国入賞し、17日、消防本部で表彰式が行われた。

 表彰を受けたのは全国消防協会主催の消防機器改良・開発論文で会長賞(優賞)を受けた東浅井分署の浦島智彦さん(40)と山瀬樹さん(26)、全国消防長会主催の意見発表会で入賞した長浜消防署の出路夏穂さん(26)。いずれも県予選、東近畿予選を通過して全国大会に出場した。

 浦島さんらは消防現場で使用頻度の高い「三連はしご」の安定性を高める器具を開発。三連はしごを使用する際には支え役がはしごの基底部に足をかけ固定するが、ぐらつくことがある。開発した金属製のプレートを基底部に取り付けたうえで踏むことで「確保力」が4割程度向上した。表彰を受け、浦島さんは「受賞は光栄で、良い経験となった。これからも日ごろ気付いた課題を改善する気持ちを持って活動していきたい」、山瀬さんは「表彰は消防人生における大きなポイントになる。一生懸命取り組んだことが評価され嬉しい。今後も開発を進めたい」と話している。

 出路さんは意見発表会で、女性消防職員の悩みや不安を共有・解消するSNSアカウントの作成を提案した。

 湖北地域消防本部初の女性消防職員として採用され、男性主体の職場の中で「気を遣われている」などとストレスを抱えた自身の経験を伝えたうえ、全国で同年代の女性が同じ悩みを抱えているとして、SNS活用で「都道府県や本部の垣根を越えて支え合うことで多くの女性消防職員の心を救うことができる」と発表した。

 発表後は湖北地域消防本部に「境遇が同じ」などと悩み相談の連絡も入っており、出路さんは「女性が1人しかいない消防署もある。私が発表会に出たことで、同じ悩みを持っている女性職員が多くいることを知ってもらうきっかけとなった」と話している。

2021年9月16日

もったいないをなくしたい

わけわけDeli 「有能」人材活用で食品ロスを削減

 「もったいないをなくしたい」—西浅井町集福寺の熊谷理美さん(34)は食品ロスの削減を目指す「わけわけDeli」(屋号)を発足。10月23日、高月まちづくりセンターで、食品ロスをテーマにした映画「もったいないキッチン」を上映する。

 熊谷さんは10年前、料理教室に通っていた際、調理で廃棄される大根の葉や皮のおいしさ、栄養に気付いた。昨年3月、夫の実家がある西浅井に住むようになり、同時期、同じ野菜を大量にもらっても、消費しきれない。また、少々色形が悪い野菜でも廃棄処分となっていることを知り、「食のもったいない」を感じるようになった。

 また、地域には障害者や高齢者、子育てに追われている母親など、何らかの制約で働きたくても働けない人材がたくさんおり、「人のもったいない」も意識するようになり、「将来、食べ物に困る時代が来るかも」「まだ、間に合うかも」と起業することに。

 来春のオープンに向け、近江塩津駅近くの遊休農地約900平方㍍を借りて、コミュニティーガーデンと貸し農園を整備している。貸し農園ではシルバー世代が農作物を栽培し、作る楽しさを感じてもらいながら、セカンドライフを充実。ガーデンでは「わけあり野菜」を調理し、世代間や地元民との交流を深めてもらう考え。

映画は県内初上映 10月23日、高月で

 農園のオープンを前に、市民に「食品ロス」について考えてもらおうと、映画会を企画した。

 「もったいないキッチン」は日本が大切にしてきた「もったいない」精神に魅せられ、オーストリアからやってきた「食材救出人」ダーヴィド・グロス映画監督が各地を旅して食品ロス解決の糸口を探すロードムービー。

 日本の食品ロスは世界トップクラスで、ダーヴィド監督はコンビニや一般家庭に突撃し、捨てられてしまう食材を救出。キッチンカーでおいしい料理に変身させる爽快なストーリー。

 熊谷さんは「食品ロスの現状を『楽しんで』知ってほしい」と話している。映画会では、長浜でフードバンク、規格外野菜の販売をしている人たちの取り組みの紹介や「わけわけDeli」の事業説明なども予定している。

 県内初上映。上映は午前10時と午後1時の2回。チケットは前売り1000円(当日1200円)。中学生以下無料。購入はhttps://bit.ly/3kuc4Ktから。

2021年9月15日

信徒が600巻の経典補修

大聖寺不動堂、120年前の大般若経

 大門町の大聖寺で1899年(明治32)に納められた大般若経600巻の修復作業が信徒の手により行われている。

 大般若経法会は信徒を中心に毎年10月28日直近の日曜日に勤められ、その際、大般若経600巻の転読が行われる。経典は120年を経過し、虫食いやつなぎの破れ、ページ離れなどが見られ、たびたび補修が行われてきたが、近年、全面的な修復が必要となり、昨秋より、信徒たちの手で作業を行ってきた。

 修復の中心を担った信徒の1人、草野清男さん(73)はかつて印刷所に勤務していた経験を生かし、破れた箇所をつなぎ、貼り合わせるなどし、現在、約400巻を修復。10月の大般若法会には全巻の修復を完了させる予定。

 600巻もの大般若経を所蔵する寺院は湖北地域では総持寺など稀で、県内でも数少ない、とされる。当時、東浅井郡下草野村を筆頭に上草野村、七尾村、湯田村、坂田郡、伊香郡、彦根、東京など600人近い人から志納(寄付)を集めており、当時、大聖寺の影響が広域におよんでいたことがわかる。

 世話人代表の山崎喜世雄さんは「600巻修復という偉業。特別公開には法要を勤めたい」としている。

  不動明王坐像を公開 10月に1日限り

 大般若経を安置する大聖寺の不動明王坐像の特別公開は10月24日午前10時から正午まで。拝観料は800円。

 御堂には湖北最大級の秘仏・不動明王坐像(像高135㌢、平安後期作)が安置されている。桐による一木造が特徴で、2013年、市指定文化財に指定されているが、虫食いなどにより、傷みが著しく、見積もりによると本体や台座などを直すと約530万円。市の規定により助成金は事業費の半分のため、265万円を実質3軒の世話方が負担することになる。

 市は浅井歴史民俗資料館や長浜城歴史博物館、観音ハウス(東京)の企画展や講演会の会場に募金箱を置き、文化財の修復をバックアップ。世話方が工面した資金を合わせ、これまで215万円が集まった。

 仏像の修復は来年4月から、2年かけ、行う計画で、山﨑さんは「残り40万円を何とか2年以内に集めたい」としている。仏像の補修資金調達と大般若経の修復完成を兼ね、志納を募集中。問い合わせは山崎さん℡(74)0076へ。

2021年9月10日

どうなる?お産 ⑳-㉑

⑳地域医療[1] 急速化する病院の再編・統合

 市立長浜病院が今年4月に分娩を休止した。理由は「滋賀医大が、派遣医師を引き揚げたため」。昨年着工した産婦人科病棟拡張工事は中断し、NICU(新生児集中治療室)の増設もなくなった。

 滋賀医科大に行くと、村上節・医学部付属病院教授が「ずいぶん前から(引き揚げるという)話はあり、2年前に方針を伝えていた」と教えてくれた。

 長浜市には、4病院(長浜赤十字、市立長浜、市立湖北、セフィロト)ある。中でも、日赤と市立長浜は「高度急性期」「急性期」に対応する病院で、診療科も似通っている。

 産婦人科も両方にある。日赤には京大医局が、市立長浜には滋賀医大医局が医師を派遣していた。

 村上教授が現職に就いたのは2008年。当時から、県内の産婦人科医不足は深刻だったという。そこで11年、村上教授は「長浜一つ構想」を両病院長に提案した。

 日赤は「地域周産期母子医療センター」に指定されている。そこで産科は日赤に任せ、市立長浜は「地域のがん拠点病院」として婦人科だけを置く。京大、滋賀医大の医局から各病院に派遣されている研修医はその両方を回る、という内容だった。しかし、当時は話がまとまらなかった。

 雲行きが変わったのは15年。岐阜大が、市立長浜に派遣していた小児科医を引き揚げた。「岐阜県内の医療体制の充実」が理由だった。

 新生児の担当は、本来小児科医だ。小児科医がいなくなれば、産婦人科医は新生児に一晩中つかねばならない場合も生じる。ただでさえ多忙な医師には過酷な状況だった。村上教授は「産婦人科医が壊れてしまう。小児科のないところで、産婦人科を続けるのは厳しい」と判断した。

 両病院の産婦人科をひとつにする道を探るため、滋賀医大は日赤にも産婦人科医を2人派遣した。2人は、市立病院との交流を図る特命を託されていた。

 しかし、経営母体の違いや医局の壁もあり、実現しないまま派遣は2年で終了した。

 そうした中で20年、湖北地域は、国が病院再編を重点的に支援する区域に選ばれた。病院の再編統合は待ったなしとなった。24年には医師の働き方改革も始まる。

 こうした国策も後押しして、滋賀医大は、湖北地域の周産期医療を日赤に任せることに決めた。村上教授は「集約化のため、医師の引き上げは避けられなかった」という。

(8月31日掲載)

 

㉑地域医療[2] 妊産婦の負担増?公の支援考えて

 2024年、「医師の働き方改革」が始まる。法定労働時間に上限を設け、医師の労働環境を守る国策だ。地域医療はどう変わるのか。

 「現体制を維持できるのは県内で4病院ほどになる恐れがある」

 滋賀医科大医学部付属病院の村上節教授(産婦人科)はいう。

 滋賀医大医局に所属する産婦人科医は約40人。大学で勤務するほか、高島、甲賀、東近江、済生会滋賀県病院、近江八幡市立総合医療センターに派遣されている。これ以外の県内の病院は、京大や京都府立医大の医局に頼っている。

 村上教授によると、働き方改革後も現体制の維持が優先されるのは、滋賀医大のほか、大津赤十字、近江八幡市立総合医療センター、長浜赤十字病院。「それ以外の病院がどうなるか、正直わからない」。さらにこの4病院さえ、「絶対」はないという。

 医師不足は県内だけの話ではない。他府県の大学医局から派遣された医師が、いつ引き揚げられるかもわからないのだ。

 病院だけではない。産科の開業医(診療所)にも深刻な影響がありうると、村上教授はいう。

 「県内でこれまで産科崩壊が起きていないのは、分娩の6割を開業医が担ってきたからだ」

 開業医は半数以上が60歳代以上。滋賀医大は夜勤や休日に医師を派遣し支援してきた。しかし改革後は、院内勤務で法定労働時間の上限に達し、開業医の支援に回れない可能性がある。村上教授は「産科崩壊が県内で起こるとすれば、改革が始まった後、2025年から30年の間かもしれない」と心配する。

 妊産婦の経済的な負担が増える可能性もある。

 働き方改革に伴い、病院はより多くの医師を雇わなければならない。だが、労働時間が制限され、医師1人が担当する妊産婦の数は減る。病院経営者には、人件費ばかり増えて収益が上がらない不安がある。

 報酬を下げれば、医師の離職は避けられない。病院は、雇い控えして分娩を止めるか、分娩料金を値上げするか、選択しなければならない。

 厚労省によると、19年度の出産費用の全国平均は52万4000円。妊産婦が受給できる「出産育児一時金」は42万円で、差し引くと約10万円の自己負担が発生している。買いそろえなければならないベビー用品も多い。これ以上の経済的負担は、産み控えの原因にもなるはずだ。

 村上教授は「公費助成を求めるのがよいと考えている。少子化の時代に産む人を応援するのは、行政の仕事だ」と話した。

(9月10日掲載)

堀江昌史

2021年9月9日

長浜小で創立記念集会 リモート開催

150年の歴史、誇りと自信持って

 長浜小学校で9日、創立150周年記念集会が開かれた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため一部の児童を除き各教室からリモートで参加する形式となった。

 長浜小は1871年(明治4)9月9日に開校し、小学校としては県内最古。「滋賀第一小学校」「開知学校」などと名前を変えながら、明治、大正、昭和、平成、令和と5つの時代を歩んできた。

 体育館で行われた集会には150周年記念事業として実施した「長浜小学校の未来を語ろう!絵画コンクール」の入賞者ら児童38人が出席し、他の児童は各教室からモニター越しに見守った。

 杉本義明校長は「滋賀で最初にできた学校で学んでいることに誇りと自信を持ち、『開知』という言葉に込められているように知識と知恵をいっぱい身に付けて社会に役立つ人になって欲しい」とあいさつしていた。

 かつて開知学校の屋上の鼓楼に設置され、明治時代に1時間ごとに打ち鳴らされていた時報太鼓を叩く行事もあり、1年生の代表8人が元気良くばちを振るっていた。

 絵画コンクールの表彰式では6年生2人が代表して杉本校長から表彰状を受け取った。薮下きぬさん(12)は羽根の生えたランドセルで楽々と通学する1000年後の未来を描き、校長賞に輝いた。「150年も学校が続いてすごいと思う」と長浜小の歴史を振り返り、10月の記念事業に向けて「歌舞伎公演では司会を担当する。みんなに分かりやすく伝えたい」と話した。

 当初、この日はグラウンドで人文字の空撮写真を撮る予定だったが、延期した。

 なお、同校では10月30日に150周年記念式典を実施し、子ども歌舞伎などを行う。