長浜の洪水をリアルに体感

VR型防災教育展 滋賀大で

 滋賀大経済経営研究所(彦根市)は、実際の町並みを撮影したうえで洪水の模様を体感できる「VR型防災教育システム」を開発。「いま ここにいる感覚」と題して、撮影や開発の模様を紹介したパネルや機器を士魂商才館1階で展示している。今月21日と2月4日の正午からはVRの実演体験会がある。

 同研究所は画像解析技術とバーチャルリアリティーを融合させたVR型防災教育システムを研究。2017年8月の台風5号の影響で洪水が発生した長浜市大井町の南大井地区の道路約150㍍を全方位カメラで撮影した画像を用い、平常時と洪水が発生した際を体感できる映像を開発した。

 大井町では、姉川の大井橋付近の堤防から水があふれ、床上浸水1軒、床下浸水15軒の被害が出た。VR上の画面では大井町の実際の町並み画像に「浸水ボタン」「通常時ボタン」が示され、浸水ボタンを押すと、洪水の際のイメージ画面に切り替わる。

 防災教育の現場ではVRを使った仮想世界での訓練が広がっているが、災害に直面しているという感覚が乏しく、ゲーム感覚になってしまうなどの課題がある。同研究所が開発したシステムは実際に町並みを撮影した画像を使っているため、臨場感のあるシチュエーションを体感できるのが特徴となっている。

 監修者でデータサイエンス学部の佐藤智和教授は「リアリティーのある『いまここ感』を感じ取りながら防災教育ができる技術として開発した。この研究で得た知見を生かし、安心安全な社会の実現に貢献したい」と話している。

 展示は平日の午前9時から午後5時、6月30日まで。なお、体験会は複数回にわけて実施。申し込みは同研究所℡0749(27)1047。

掲載日: 2022年01月20日