どぶろくに挑戦 長浜の米と水で

ハッピー太郎醸造所が免許取得  3月初出荷へ

 元浜町の商業文化施設「湖(うみ)のスコーレ」に入居する発酵食品製造販売「ハッピー太郎醸造所」が18日、「その他の醸造酒」の醸造免許を取得し、どぶろく醸造に挑戦することになった。2月初めに醸造を開始し、3月にも初出荷する見込みで、長浜の米と水を使った新しいどぶろくに期待が寄せられている。

 同醸造所を運営するのは大津市育ちの池島幸太郎さん(43)。京都大学在学中、日本酒に出会い、「蕎麦屋で酒を飲むのが好きだった」と振り返る。卒業後、酒造り職人「杜氏(とうじ)」を目指し、島根県の有機農業法人「やさか共同農場」に入社し、米づくりや味噌加工に従事。冬は「日本海酒造」(同県)で酒づくりの基礎を学んだ。大阪の日本酒専門店で流通について知見を深めた後、滋賀に戻り冨田酒造(木之本町木之本)、岡村本家(豊郷町)に勤務。岡村本家ではオリジナルの日本酒を醸造し、ウィーンにも輸出された。

 2017年に彦根市内に自身の名を冠した「ハッピー太郎醸造所」を開設した。「醗酵でつなぐ、しあわせ」をコンセプトに、「糀(こうじ)屋」として、冬は米麹と味噌、夏は鮒ずし仕込みに励むなど発酵食品を製造販売するとともに、滋賀の発酵文化の発信も行ってきた。

 昨年12月「湖のスコーレ」のオープンにあたって店舗を長浜へ移転。学生以来の夢だった酒造りに向けて準備を進め、18日に念願の免許を取得した。今後、従来の発行食品の製造販売を続けながら、どぶろく醸造に挑戦する。

 免許取得に合わせて醸造用のサーマルタンク2本を導入。タンク1本あたり500mlのどぶろく600本を製造できるという。

 どぶろくは、自然循環型農業に取り組む「シバタグラウンドミュージック」(湖北町小倉)の米と伊吹山の伏流水である地下水を使用する。3月中には出荷できる見込みで、池島さんは「米や水のおいしさが伝わり、長浜の土地が見えてくるような、力強いどぶろくを作りたい」と話している。

 なお、ハッピー太郎醸造所では21日から、どぶろく醸造の初期製造資金100万円をクラウドファンディングで募集。同日正午時点で82人から約94万円の資金が寄せられている。詳細はキャンプファイヤー(https://bit.ly/35jpGmv)へ。

 

 【どぶろく】日本の伝統的な酒のうち、米と米麹と水を原料として発酵させた酒を指す。一般的な日本酒は発酵後にろ過することで酒粕と酒に分離するが、どぶろくはろ過しない。このため、米の甘みと香り、適度な酸味を楽しめ、栄養も豊富。

掲載日: 2022年01月21日